紙パ技協誌
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77 巻, 11 号
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研究発表会特集
  • 木材科学委員会
    原稿種別: 会議報告
    2023 年 77 巻 11 号 p. 965-973
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
  • 五十嵐 圭日子
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 974-976
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    現状,バイオマスからのプラスチック生産のほとんどが,抽出した油や糖成分をそのまま,もしくは構成する糖成分を単糖に分解,モノマーに変換し重合させてプラスチックを得ているが,前者の場合は多くが食糧との競合であること,後者では変換過程で経済性とエネルギー効率が低くなることが問題となっている。
    そこで,バイオマスを組織構造や分子量の大きさによってカスケード利用ができるよう技術開発をすること,すなわち,未利用バイオマスを酵素等によって変換する際,繊維として残りやすい部分は繊維として利用し,化学的に分解しにくい成分は多糖やオリゴ糖として,そして分解しやすい部分を単糖として利用するための技術開発を目指している。
  • 但木 孝一
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 977-978
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    製紙工場で使用される各パルプ原料は,その種類によって電荷の状態が大きく異なっている。そのため電荷を調整するための前処理が必要なケースがあり,近年ではポリマー系凝結剤の適用が増えている。ここでは,カチオン性ポリマータイプの凝結剤適用による電荷状態の最適化と原料歩留りの関係についてカチオン要求量に焦点をあて報告する。
    電荷調整等に使用される硫酸バンドは,中性抄造時にアルミニウムの帯電価数が大きく減少するため凝結効果が低下する。一方,ポリマー系凝結剤は,pHの影響を受けにくいため,幅広い領域で使用可能である。
    製紙原料のカチオン要求量が高い場合は,カチオン性ポリマータイプの凝結剤を添加することにより電荷状態を最適化し,ウエットエンド工程での原料歩留りを改善できることが分かった。また,ポリマー系凝結剤の適用時は,その分子量や添加量の最適化が重要であった。
  • 伊藤 翼
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 979-980
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,プラスチック成形品のバイオマス度を高めるため,セルロース繊維を充填剤とした複合材料が精力的に研究されている。しかしながら,ポリオレフィン系プラスチックはその極性の低さからセルロースなど高極性フィラーとの親和性に乏しく,複合化した場合に物性面で課題が生じることが多い。本研究では,ポリエチレン/セルロース繊維複合材の添加剤としてロジン系樹脂の一種である極性基含有ロジン誘導体の適用を試みた。植物由来のロジンを活用した素材は,粘着剤用途において粘着付与樹脂(タッキファイヤー)として広く利用されている。
    種々検討の結果,ロジン誘導体がポリエチレン/セルロース繊維複合材の物性向上に効果を示した。また,顕微鏡画像から,ロジン誘導体がポリエチレンとセルロースの界面密着性の向上に寄与していることが示唆された。
  • 山戸 海里, 久米田 和寛
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 981-983
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    板紙抄造時の抄紙pHが7付近を示す抄紙系では,内添薬品の定着剤として使用されている硫酸バンドは失活しやすい。硫酸バンドの失活は紙力低下や濾水速度の低下,サイズ不良の原因となるが,硫酸バンドの効果不足を硫酸バンドの増添で補った場合,スケール発生や紙面欠点などのトラブルの原因となりやすい。一方で硫酸バンドは内添薬品の定着剤以外にも,抄紙工程の清浄化や脱水性の改善により操業性を高める効果があり,更にロジンサイズ剤のサイズ発現に必須であるため,使用量を低減することは難しい課題である。
    本稿では,両イオン性ポリアクリルアミド(両性PAM)中のアニオン基に着目した検討を行った結果を紹介する。アニオン基として一塩基酸,二塩基酸,α-ヒドロキシ一塩基酸を比較したところ,α-ヒドロキシ一塩基酸を用いた場合に硫酸バンドの使用量を減らした抄紙条件における種々の課題を解決できる可能性がある両性PAMが得られることがわかった。
  • 金村 将之
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 984-986
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    昨今の世界情勢により,様々な価格が上昇している。各製紙会社では原単位削減の必要性が日々増大している。本稿ではクラフトパルプ法の蒸解工程に注目し,蒸解を効率的に行う事でパルプ製造原単位の削減の可能性について述べている。以前から使用されている蒸解助剤アントラキノンとSolenis社の蒸解助剤を対比した上で,Solenis社の蒸解助剤の作用機構を述べている。その上で,海外実績を元にSolenis社の蒸解助剤の作用性・有用性を示している。
総説・資料
  • 横山 朝哉, 小松 聡浩, 岸本 崇生, 近藤 哲男, 浦木 康光, Korawit Chitbanyong, 侯 高遠, 宮 欽樂, Es ...
    原稿種別: 会議報告
    2023 年 77 巻 11 号 p. 987-997
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    The International Symposium on Wood, Fiber, and Pulp Chemistry (ISWFPC) has a long history. It has been held every other year since 1981 (Stockholm), and this year marks the 21st time. The 2021 was postponed due to the pandemic, so it past four years since 2019 (Tokyo). It was held in Venice from July 4th to 7th, and is headed by Prof. Claudia Crestine, Ca’ Foscari University of Venice. Approximately 200 researchers and students (235 peoples including local staffs) from all over the world, mainly from Europe, participated in 84 oral presentations divided into 3 rooms and in 86 poster presentations into the fields of wood biorefinery, cellulose and lignin (35, 20 and 31, respectively) over 3 days. At the beginning of the first and second days, Dr. John Ralph (USDA, USA) and Prof. Thomas Rosenau (BOKU University, Austria) gave plenary lectures on lignin and cellulose, respectively. The next 22nd symposium in 2025 will be held in Raleigh, headed by Prof. Hasan Jameel of North Carolina State University, USA. This time, it has been decided that Pekanbaru, Indonesia will be the venue for 2027.
  • 熊田 貴之, 田中 健郎, 平原 翔, 遠藤 将利
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 998-1002
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,インフラ施設における点検は,人の立入りが困難な箇所や危険を伴う作業があるなどの作業上の課題や,少子高齢化を受けた若手の経験不足やベテラン従業員の引退などによる点検員が不足しているという課題があり,当社は球体ドローン「ELIOS」を活用したドローン点検ソリューションを開発した。本ソリューションは従来の点検手法に比べて,①作業員の安全性の向上,②作業効率の向上,③点検費用のコストダウン,④デジタルデータ化による予兆保全といったメリットが挙げられる。
    ELIOSには,壁面との距離を等距離に保ったまま飛行する機能や,粉塵環境でも視界がクリアに撮影できる機能,暗闇でも周囲を照らし出すライティング機能などが搭載されているほか,当社では取得したデータを解析して3Dモデル化しDX化の推進も行っている。
    2018年から現場で活用し,200現場以上での実績がある。たとえば,環境プラント施設内の発生ガス管の点検では,それまで人が入って状況確認できなかった内部の状況を把握できた事例や,石油化学プラント施設のダクトおよび煙突内の点検では,足場を組むことなく点検が可能となったことでダクト内の点検では1日がかりの作業範囲を30分,煙突内点検では2~3日がかりの作業範囲を半日で完了できた事例もある。
    2019年に総務省消防庁,厚生労働省,経済産業省の3省から「プラントにおけるドローンの安全な運用方法に関するガイドライン」が発表され,ドローン点検が従来の目で見る目視点検の代替手段になると明記された。これを受けて,当社ではガイドラインに準拠したドローン点検の講習「プラント点検スペシャリスト養成コース」も提供している。
  • 岩崎 哲嗣
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 1003-1008
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    我が国では国際競争力が低下し,DXをスピーディに進めることが期待されているが,PoC(概念実証)は行われるもののビジネス変革に容易に繋がらない。DXのスピードが上がらない要因には様々指摘があるが,本稿では価値創出の活動モデルが未確立である点が要因であり,更に真因はDXに関する先入観の作用にあると考え,その視点を元にプロセス産業61社100名とのDX企画段階の対話履歴を整理し確認した。
    その際,会話で直接話題とした関心事項と前提となる観念を分けて変数とし,経営者やDX推進当事者の意識の分布を表す方法で行った。
    その結果,情報処理活動の4階層(ビジネス,意思決定,データ活用,データ供給)のいずれにおいても,先入観の作用によりDX推進に関わる意識の偏りが生じている可能性が浮き彫りとなった。以下の各階層の前者の観念が意識下で採用されDX推進に影響を与えていると推定される。
    ・ビジネス層:価値は提供される(受けとる)vs共創する
    ・意思決定層:デジタル技術は対象物に適用するvs不確実な現実に直面する人に適用する
    ・データ活用層:データ活用はAIが答えを出すvs問題定義しモデルによりデータを要求する
    ・データ供給層:データは所与のものvs要求に対しデータ供給の改善に取り組むもの
    以上を踏まえ今後DX加速に転じるには,要素技術適用に留まらず,いわゆる「攻めのアプローチ」を定式化し共有し続けることが必要かつ有効と考える。
    プロセス産業は元来コントロールが難しい対象を扱い情報処理とデータ活用の可能性を切り開く歴史を築いてきた。攻めのアプローチにより本来のあり方へと回帰しDXを最大限に進めることを提言したい。
    本稿では論旨と各企業の経営者とDX推進当事者の意識分布の検証結果を報告する(発表では攻めのアプローチの明細にあたる各企業での実践事例を報告)。
  • ―オンライン分析を活用した叩解・ウェットエンド制御―
    土肥 清幸
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 11 号 p. 1009-1015
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル 認証あり
    2050年までのカーボンニュートラルな日本にするために,産業界全体への生産プロセスの改善・転換のプレッシャーが年々強くなっています。また日本,そして素材産業ならではの問題として,人口の減少,魅力的なIT産業への人材流出により,素材産業は優秀な労働力を確保することが難しい状況にあります。一方で,「紙」は人に,そして環境に優しい最良の材料であり,近年の脱プラスチックの流れと新素材への期待から,今後多くの可能性を秘めた材料でもあります。ABBは上記のようなお客様の課題に対し,複数のアプローチを行っています。
    本稿では「最適な叩解・ウェットエンド制御のためのオンライン測定機器」のアプローチのうち,フリーネスと繊維形状を同時に測定することが可能なフリーネス・ファイバーオンラインを用いた叩解制御,及び光学式濃度計を活用したリテンション計のウェットエンド制御の事例と概念を説明します。
    多くのお客様では電力原単位での一義的な制御が主流であるのに対し,フリーネス・ファイバーオンラインによる叩解制御は,叩解機前後のフリーネスの変化に基づく,連続的な電力量の制御を可能にします。また,将来的にはフリーネスという簡易的指標から,繊維形状に基づく叩解制御を行うことで,最終製品の品質制御を目指します。
    KRAによりヘッドボックス・白水の全濃度,灰分濃度を正確に測定することで,ABBのWECは調成工程フィードフォワード制御を行います。板紙製造工程においては全濃度に占める灰分のウェイトが大きいことから,高度な制御には全濃度だけでは不十分であり,灰分測定が重要であると考えております。
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