機械パルプ (砕木, TMP) 及び軽量コート紙 (LWC) を生産する工場で, 二次スラッジの脱水試験を行った。回転真空式プレコート濾過機 (Rotary Vacuum Precoat Filter) のパイロットプラントが用いられた。この装置は回転刃による面直し機構 (doctoringassembly) を装備しており, 各種の市販珪藻土をプレコート材として試用し, 回転刃の送り速度, 真空度, ドラムの水浸度合, およびスラッジの条件の変化による効果を調査研究した。
紙・パルプ工場の二次スラッジは本質的には生物学的であって, 特有の物理的・化学的性質をもっているので, 一次スラッジに比べ脱水上の多くの難題をかかえている。二次スラッジの主体はバクテリアで, コロイド状をなし, 粒径は0.1~10μmである。極めて水和性があり, 変形が甚しく, 不透過性で, 且つ表面電荷をもっている。
紙・パルプ工業におけるスラッジの脱水処理の近代技術は McKeown によって発表されている。
二次スラッジについては技術的に未だ開発の域を脱していないが, 主として炉過と遠心分離によって脱水されている。
二次スラッジの濾過特性は化学的凝固剤の使用, pHの微妙な制御, 及び比抵抗の低いフィルターケーキを形成するフィルター助剤 (一次スラッジ, 飛灰, 樹皮など) の添加によって改善される。
最近の研究から, 純粋な二次スラッジの脱水の炉過能力を高め, 操作を容易にするには, 回転真空式プレコート炉過 (RVPF) が実用的であることが示されている。
この工程は濾過面をプレコート材料で構成され, ドラムに向ってドクターブレードの送り機構がある点が従来の真空濾過とちがっている。これはドラムが水に浸っている間に積層するフィルターケーキが, 一回転の間に除かれて常にきれいな濾過面を保つからである。
中間規模テストの結果を基礎にして, 各種の変数がパイロットプラントで研究された。その中でも重要な独立変数は, プレコート材, 回転刃の送り速度, 真空度, ドラムの水浸度合, 供給濃度, スラッジの条件及び固形分となった性質であり, 従属変数としては固形分の負荷, ケーキの固形分, および固形分の回収率がある。濃度やスラッジの性質のような独立変数は工場の二次廃物処理システムの操作によって決まるので, プレコート材, 回転刃の送り, スラッジの条件, ドラムの水浸度合と速度及び真空は最も精力的に研究された。
抄録全体を表示