紙パ技協誌
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73 巻, 9 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
製紙技術特集 I
  • 製紙技術委員会
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 829-831
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり
  • ─最新の原料調整設備の紹介─
    浦田 治朗
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 832-841
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり

    中国の古紙調達方針の変更や米中間の貿易摩擦といった外的要因により,日本国内の古紙調達事情は大きく左右される状況となっている。2020年までに中国では固体廃棄物0を目標とする方針も発表しており,良質古紙は不足し未選別古紙は過剰気味となる可能性が高い。新聞古紙は発行部数の減少により入手が困難になってきている。この様な状況下,従来よりも低グレードの古紙の使用頻度が多くなると予想する。

    低グレード古紙を使用した場合でも,古紙処理設備では製品品質を維持する事を求められる。加えて混入する異物量の増加に対し,安定操業できる設備である事も重要である。国内の製紙工場は合理化が進んでいる反面,想定外の異物混入により製品品質に大きな影響を及ぼす場合がある。低廉古紙対策として,日本よりも異物含有量の多い古紙を使用している海外古紙処理設備が参考となると考える。

    当社では複数の海外古紙調整プラントを手掛けてきた。その実績,経験及び蓄積されたデータの解析により開発された,複数の低グレード古紙対策の新技術を有している。

    離解工程では異物除去効率に優れた連続式デトラッシュシステムを有する低濃度パルピングシステム及び省エネルギーローターマキシローターの導入により,60m3クラスのパルパーに於いて段古紙処理で950T/Dの製品生産量を安定して供給している。除塵工程では最新型粗選末端スクリーンとして原料歩留りに大きく貢献したマキシトラッシャーシステムと重量異物除去に優れたクリーナーシステムにより,要求される製品品質をクリアしている。叩解工程では20%を超える省エネルギーを達成したファインバーとファインバーの製造コスト低減,長寿命化する方法を開発した。

    これらの新技術により,日本国内でも低グレード古紙対策の一翼を担えると確信する。

  • 藤木 恵一, ユハ ペッカ フータネン
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 842-850
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり

    紙料調整におけるリファイニング工程は紙および板紙原料の特性を形成する上で大事な役割を演じる。リファイナ装置において,適切な繊維の処理は抄紙機の運転性および最終製品である紙の品質に多大なる影響を与える。実機の運転およびパイロットマシンテストを含む長年に亘る各種リファイナの経験を元に,バルメット社は原料処理効率を次世代レベルに高めたリファイニング工程を開発した。

    開発の主目的は,運転コストを低減すること,および要求される紙品質を維持しながら利益を向上することにある。この目的を達成するための三つの土台が有る。第一の土台はリファイニング装置そのもので,処理能力の大きいOptiFiner Proの採用にある。例えば,所定のリファイニングエネルギーを与えられた状況で,繊維はどのように処理されるのかが重要なポイントである。第二の土台はオートメーションで,人手を介さずどのように原料特性を自動計測するのか,またマシンチェスト後の原料特性を予想するモデルをどのように構築するのかが重要なポイントである。第三の土台はIndustrial Internetの適用で,これはオンラインでのデータ授受を元にした対話を可能性にする。オンラインでのデータ対話は,従来以上に製造工程を安定化すること,および問題発生時の解決時間を劇的に短縮することに寄与する。また,素早いトラブルシューティングを提供し,製造工程の最適化をサポートする専門家を有するバルメット社パフォーマンスセンターへの接続も可能である。

    バルメット社紙料調整装置パイロットマシンはメカニカルパルプ,リサイクル繊維,紙料調整およびパルプドライイングに関し完全なテスト環境を提供する。これは顧客独自の製造工程を模擬したテストを可能にすると共に,製品向上のための包括的な基本情報を提供することが出来る。

    数多くの実機の導入事例が,リファイニング工程の改善が最終製品である紙の品質を改善し,エネルギー効率を改善することを証明している。その電力コストの低減能力は熟考に値する。一台の新型リファイナで二台の従来型リファイナを置き換えた事例では,40%もの消費電力が低減されている。

    本論文では,工場における実機経験および運転状況結果を元に,リファイニングの改善,オートメーション基盤およびIndustrial Internet適用性について詳細に記載する。

  • 宮田 英人
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 851-853
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
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    大分工場は,1・3・5マシンの3台の抄紙機を有し,ライナー原紙・石膏ボード原紙・白板紙・紙管原紙・色板紙の多種多様の製品を生産している。これら3台のマシンで発生した排水は,工場内の活性汚泥にて処理をしているが,活性汚泥処理前段のSS処理設備がなく社内他工場と比較して排水原水SS濃度が高く,総歩留低下の要因の一つであった。

    また,各マシンの抄物構成によって,SS濃度が変動し,活性汚泥処理安定化が課題であった。

    今回導入した株式会社大善社製「バーチカルZ」は,縦型のスクリーンのような構造となっており,本体下部が入口,本体胴部より処理水が排出,上部から回収された繊維分が排出される構造となっている。機器内部は,本体ケーシング内側にφ0.3mmの孔が無数にある「ドラム」と,軸に送り羽根及び攪拌羽根がついた「シャフト」で構成されている。ドラム内に通した白水は,シャフト,ドラムの回転によって,繊維分,処理水に分離される仕組みである。バーチカルZ導入することにより,排水原水中の繊維分を95%削減することができ,また,灰分を含むSS濃度についても,37%削減することが出来た。

    本稿では,バーチカルZ導入に伴う排水原水SS濃度低減によって,大きな歩留まり改善効果を得ることができた事例について報告する。

  • 宮本 和也
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 854-860
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
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    内添サイズ剤として代表的なロジンサイズ剤,AKD(アルキルケテンダイマー)サイズ剤,ASA(アルケニル無水コハク酸)サイズ剤の特徴,および技術動向について紹介する。

    ロジンサイズ剤はサイズ性能の向上や,弱酸性〜中性領域でのロジン成分の溶出を防ぐために強化反応や疎水変性が行われている。また,ロジンサイズ剤はアルミニウムイオンとの反応によりサイズ性能が向上するため,効率的なサイジングには硫酸バンドの有効バンド指数(=バンドの電荷×バンドの歩留)を考慮する必要がある。AKDサイズ剤はサイズ度の立ち上がりが見られ,紙のサイズ度管理が難しいという問題があるが,抄紙系を適切なpH,アルカリ度にすることで効率的なサイジングや立ち上がりの改善が認められる。ASAサイズ剤は容易に加水分解し,加水分解物が汚れの原因となるため,加水分解を抑制しつつ効率的にパルプ繊維に定着させることが重要となる。

    近年は省資源化,コスト削減のために古紙利用率の増大や抄紙用水のクローズド化などにより製紙用薬品のパルプ繊維への定着や機能発現が阻害されやすい状況となっている。このような状況下では定着剤の使用や,サイズ剤の近傍に硫酸バンドを添加し,活性な硫酸バンドを有効利用するなど,ウェットエンドで使用される薬品全体での処方改善も必要となってくる。

総説・資料
  • 五十嵐 一穂
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 861-865
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル 認証あり

    日本製紙株式会社八代工場は,日本三大急流の一つである球磨川と,九州山脈,八代海といった豊かな自然を擁する八代市に所在している。当工場は九州地区にある当社唯一の工場である。新聞用紙,印刷用紙,情報用紙を生産しており,パルプからの一貫生産を行っている。抄紙機は4台有しており,年間生産量は約50万tである。そのうち新聞用紙は国内最大級のN2M/Cで年間約24万t生産し,九州地区の新聞用紙の約70%を供給している。

    今回紹介するN2M/Cは,1998年に稼働したツインワイヤー多筒式の新聞用紙専抄マシンである。ワイヤー幅は9,050mm,最大抄速は1,700m/minであり,デュオフォーマーCFD,シュープレス,オールシングルドライヤー,親巻自動搬送装置を設置するなど当時の最新技術を導入した生産性の高いマシンである。また,品質面でも印刷作業性,カラー印刷適正等,お客様から高い評価を頂いている。

    N2M/Cでは,ピッチ・ドライ系欠陥損紙を削減するため,国内洋紙マシンでは初となる最新カンバスクリーナー(相川鉄工製スーパークリーナー)を2016年に1群〜3群カンバスに設置した。

    本稿では,N2M/Cの設備概要と,最新カンバスクリーナーの操業経験および効果について報告する。

  • 宮西 孝則
    原稿種別: 研究論文
    2019 年 73 巻 9 号 p. 866-871
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/01
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