近年の省力化, 高速化に伴い, オフセット輪転印刷 (オフ輪) 化が進んでいるが, 「オフ輪じわ」と呼ばれる品質上の大きな課題がある。この課題を解決すべく, 「オフ輪じわ」発生のメカニズムの解明と要因解析を進めた。
オフ輪じわは, 本来平坦であるべき画線部が横方向圧縮力を受けて座屈を起こした現象と考えられ, その時に発生するオフ輪じわの波数 (
N) は, 下記式に示されるように, ・横方向圧縮力 (
P)・画線部の長さ (
b)・画線部のガーレ剛度 (
S) の3つの要因により決定される。
〓 (オフ輪じわ式)
N: しわの数 (なおN≧1とする), w: 画線部の幅,
P: 横方向圧縮力
b: 画線部の長さ,
S: 回線部の横方向のガーレ剛度,
K: 定数 (K=0.333)
この時の横方向圧縮力には, 印刷時のテンションにより発生する力と, 画線部と非回線部の乾燥収縮の差により発生する力があるが, 乾燥による圧縮力の影響が大きく, 乾燥収縮を低減させる事によりオフ輪じわは改善できる。
具体的には, 原紙の繊維配向性を抑え, また, 特定のポリマーを含有する表面処理層を設け, 乾燥工程での紙層中の蒸気圧をコントロールした。こうして得られたOKノンリンクルは, 乾燥時の画線部, 非画線部の収縮差が従来の数分の1であり, オフ輪じわが大幅に改善されている。
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