紙パ技協誌
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77 巻, 9 号
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製紙技術特集 I
  • 製紙技術委員会
    原稿種別: 会議報告
    2023 年 77 巻 9 号 p. 771-773
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
  • 長原 正大
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 774-782
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    製紙機械の塗工設備では,古くから様々な用紙に塗工が行われており,用途,品質要求,速度要求に対応して発展してきた。主にサイジングを行うサイズプレスは,ポンドサイズからロールメタリング,ロッドメタリングと開発が進み,非接触でサイジングを行う設備としてはスプレーサイザがある。さらに最近では,ハードニップサイザという紙質強度を格段に向上させる新技術も海外ではいくつもの実機が採用されている。
    カラー塗工を行うコータの主流はブレードコータで,ロールアプリケーション,ショートドゥエルアプリケーション,ジェットアプリケーションが主な型式であり,最近では塗工液をカーテン状に落下させて輪郭塗工を行うカーテンコータが実用化され,多くの実機が導入されている。
    塗工紙の乾燥設備としては,赤外線ドライヤ,エアドライヤ,シリンダドライヤの構成であったが,エアドライヤのノズル技術の発展により乾燥能力が大きく向上し,エアドライヤのみの乾燥設備が世界的標準となっている。エアノズルの性能向上により,既設のエアドライヤのノズル交換や既設の赤外線ドライヤをエアドライヤとすることでエネルギー削減が可能となっている。
    本稿ではこれらの設備の技術変遷と最新の技術動向について紹介する。
  • ―RCS/IBS Reel Changing System―
    工藤 篤
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 783-786
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    1985年IBS社(本社オーストリア)が開発したテープ式枠替え装置(RCS)は1999年にその初号機を国内上市し,現在に至るまで80台以上納入稼働している。それ以後,予防保全を目的とした定期メンテナンスサービスを提供している。
    24時間断続的に稼働する機器においては常に安定した作動を求められ,オペレータの日常保全に加え,技術サービス員による予防保全・予知保全が不可欠である。整備検査を計画的に行う事のメリットは下記である。
    ① 機器ライフサイクルの把握
    ② 検査実施による次期保全計画の策定
    ③ 突発的ダウンタイムの削減
    ④ 生産性向上
    紙テープは機器の予期せぬ摩耗・故障防止の観点から重要なアイテムであり,テープ段付きによる下巻損紙軽減,安定確実な枠替えを継続する上で重要なアイテムとなっており,機器同用,自主開発品の提供を行っている。
    お客様の意見・評価を基に日々改良を施し現システムは3世代目を迎え,オペレータへの機器構成・作動原理を含めた操作手順・不具合箇所の可視化を実現し状況把握の迅速化及び当社技術サービス員への的確な情報提供を可能にしている。
  • 古谷 淳
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 787-791
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,塗工に用いられる薬品類が多様化していること,また,マシンの増速化や省スペースに対応するロッドメタリングサイズプレスが広く普及したことで,特に耐薬品性・耐熱性といった面でアプリケーターロールの使用環境は厳しさを増している。アプリケーターロールの被覆材は,高強度且つ耐摩耗性に優れるポリウレタンが多く使われているが,一方で長期間使用することで,水分や薬品類が浸透し,強度や接着力の低下を招くため,数十日でロールを交換する必要があり管理面での煩雑さを抱えている。
    アプリケーターロールのブリスターによる膨れ,剥離を防ぐことを目的として,耐水・耐薬品性に優れた合成ゴム材質「スーパーテンペックスSP」及び「RPD-164」を開発した。親水性が高く,吸水しやすいウレタンゴムに対し,合成ゴムは原料ゴムのグレード,配合剤を最適化することで,耐水性をより高めることができる。
    開発した合成ゴム材質はウレタンに対する耐水性の大幅な向上が認められ,その結果を踏まえた耐ブリスター性の検証結果からもブリスター剥離に対する耐性が示された。ウレタンゴムに対して大幅な耐性向上が認められたことで,アプリケーターロールの使用サイクルの延長が期待でき,取り換えコストの軽減,操業の安定化に貢献できるものと考える。
  • 片野 敏弘
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 792-798
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    抄紙工程の後半,ドライヤパートをでた紙は表面が粗く,組織も柔らかい。紙に圧力を掛けて組織を緻密化させ,表面を滑らかにかつ所定の厚みに調えるのがカレンダーである。カレンダー掛けされた紙は次工程にて処理するためにリールによって円筒上に巻上げられる。以降,製品品種に応じてさらに塗工工程や仕上げ工程へと進んでいくが,この工程では,単に厚みを整えるだけでなく必要な光沢や平滑性を得ることを要求され,それを損なわないようにより繊細な巻き上げが求められる。一方生産性の向上や競合製品との差別化と言った時代の要求と技術の進歩により工程間の融合や更なる細分化が行われてきた。他の抄紙プロセス機器と同様,製品品種特有の要求事項を満足するべくカレンダーやリールもまた固有の技術が開発され現在に至っている。本項ではカレンダー,リールについて現代までの技術的な変遷と最新技術について述べる。
    また,弊社では近年設備診断に力を入れている。良好な状態を維持することで品質を維持し,結果的にコスト節減につながるものである。その取り組みと実際の事例などについても述べる。
総説・資料
  • 曽根 雅史
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 799-803
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    富士工場N-2号抄紙機は2001年に稼働し主に白板紙を抄造してきた。今回難離解紙を抄造するにあたり,各所設備対応を行ったが,中でも懸案事項である難理解紙のブロークパルパー離解に対しては,既存のパドル式サイドラパルパーでは,キャビテーションを起こしパルパー閉塞,操業停止となる恐れがあるため,難離解紙を処理することができるブロークパルパーへの更新が不可欠であった。今回,アンドリッツ製難処理損紙用パルパーを導入した結果,離解不良,パルパ閉塞,また抄造後パルパ内の多量の未離解片処理といった問題は皆無となり,また残巻仕込み処理も問題なく離解ができるようになった。
  • 吉野 剛史
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 804-808
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    近年の古紙利用率は64%前後で推移しているが,SDGsが叫ばれている中で更なる紙のリサイクル率向上は製紙業界にとって永遠のテーマである。しかしながらコロナ禍により古紙の発生量は減っており古紙品質も低下が進行している。そのため低グレード古紙の使用量が増えている。それに伴いピッチなどの粘着異物が増え,用具に付着して搾水不良や断紙などを引き起こし生産性を下げる要素が多くなっている。同時に製品品質向上も求められており,難題に取り組まなければならないことが増えている。
    このような状況下で低グレード古紙を使用するにあたり,抄紙工程でワイヤーパート,プレスパート,ドライパートに分けて最適な用具洗浄のための異物除去技術を紹介する。洗浄を強化することで必ずや生産性と品質の両方を向上できると確信している。
  • ―SmartPapyrus®1.0による発生源別欠点分類システム―
    下 貴行
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 809-813
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    古紙を主原料として使用する板紙マシンにおいて,マシン汚れによる欠点・断紙は最大の問題であり,マシンのピッチ汚れを防止して生産性を維持することは製造現場における重要な課題の一つとなっている。当社は1980年代より,汚れ防止薬品と薬品散布装置を用いたドライパート汚れ防止技術を開発,世界の製紙会社に提供しており,2022年7月現在,世界11の国と地域の252機のマシンで約800のアプリケーションが稼働しており,その普及率は,日本国内の板紙の95%,段ボール原紙では99%,アジアでも半分以上(いずれも生産量換算)である。また,2020年以降は欧州・北米での採用も急速に進んでいる。
    近年,国内では古紙利用率の向上や原料事情の悪化に伴う原料の悪化でマシン汚れによるトラブルは増加する一方,段ボール工場からの原紙に対する品質要求は一段と厳しくなっており,最終巻取り製品の継手率の低減は製造現場の大きな課題となっている。更には,労働人口の減少,熟練者の退職により,製造現場ではマシン汚れに対するタイムリーかつ適切な対応がますます困難となりつつある。この課題に対して当社はマシンの汚れをIoTで見える化,AIを用いて欠点・断紙の予兆解析を行い,マシン汚れ防止技術を用いて欠点・断紙を未然に防止するシステム『SmartPapyrus®』を開発している。その第一弾では,カンバスの汚れ状態の可視化技術『SmartDepo.®』を実用化し,カンバスの汚れ状態に応じた薬品調整,カンバス洗浄装置であるファブリキーパーとの連動によりカンバス汚れを抑制することが可能となった。一方で,カンバス汚れと欠点検出器で検出される欠点との直接の因果関係が分からないため,対策の有効性を定量的に把握することが困難であった。
    そこで,AIを用いた欠点画像の自動分類を現場の熟練オペレーターと同じ精度で瞬時に行うシステムSmartPapyrus® 1.0を開発し,『いつ,どのような欠点が発生し,その欠点は原質工程またはマシンのどのパートで発生したのか?』をリアルタイムに分析・統計処理することで,マシンオペレーターが対策の必要性を確認でき,その対策の効果を定量的かつタイムリーに確認することが可能となった。
    本報告では,欠点分類システムの紹介と本システムの現場での活用事例について紹介する。
  • ―SmartPapyrus®2.0による欠点発生予兆解析―
    坂田 人丸
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 9 号 p. 814-819
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,国内では古紙利用率の向上や原料事情の悪化に伴う原料の悪化でマシン汚れによるトラブルは増加する一方,段ボール工場からの原紙に対する品質要求は一段と厳しくなっており,最終巻取り製品の継手率の低減は製造現場の大きな課題となっている。更には,労働人口の減少,熟練者の退職により,製造現場ではマシン汚れに対するタイムリーかつ適切な対応がますます困難となりつつある。この課題に対して当社はマシンの汚れをIoTで見える化,AIを用いて欠点・断紙の予兆解析を行い,マシン汚れ防止技術を用いて欠点・断紙を未然に防止するシステム『SmartPapyrus®』を開発している。SmartPapyrus®が目指す姿は抄紙工程における欠点・断紙をゼロにすることである。欠点・断紙がなくなることでこれまで当たり前のように行っていたことが削減され,マシンの生産性だけではなく働く人もより生産性の高い仕事に注力することが出来る。更に,欠点・断紙によるロスを抑えることで余分に生産していたエネルギーを抑制することが出来るため脱炭素への貢献が可能となる。
    これまで当社は高温フード内をリアルタイムに監視し,カンバスの状態に合わせて汚れ防止薬品やファブリキーパーと連動するシステムである『SmartPapyrus® Ver.1』,欠点種別毎にリアルタイムに分析するシステム『SmartPapyrus® 1.0』をリリースしてきた。SmartPapyrus® 1.0では,欠点種別毎に欠点発生数が定量的に取得できるようになった。これにより,欠点の発生箇所を確認することでマシンの対策箇所の絞り込みが可能となる。逆に言えば,各パートのマシンの状態が変化したときに,どの欠点種別の欠点が増えるのかを推測することが可能になる。そこで今回,SmartPapyrus® 2.0として欠点発生予兆解析の開発に着手した。SmartPapyrus® 2.0では,SmartPapyrus® Ver.1のカンバス汚れのデータとSmartPapyrus® 1.0の欠点情報に加えて,DCSやBM計からマシンの状態をデータとして受け取り,AIにより解析することで欠点が発生する前の予兆を捉え,欠点を抑えるための対策を提案するシステムである。本報告では,欠点発生予兆解析の概要について紹介しPoC(実証実験:Proof Of Concept)の速報について報告する。
  • 佐治 聡一
    原稿種別: 会議報告
    2023 年 77 巻 9 号 p. 820
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/01
    ジャーナル 認証あり
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