紙パ技協誌
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77 巻, 10 号
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製紙技術特集 II
  • 前田 英樹
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 863-866
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    永井鉄工株式会社は,今から67年前となる1956年に現在の兵庫県尼崎市に設立された。以降,1993年には設備の大型化に対応するため新工場を建設するなど,お客様の要望にも応えながら,主にワインダー設備の自動化,省力化を中心として,その周辺設備の技術開発に注力してきた。
    近年は少子高齢化に伴う生産人口の減少という新たな課題に対応するため,ワインダー付帯設備と操業監視支援システムの開発にも取り組み,本報においてその一例について紹介する。
    自動紙管切断供給装置の導入では,リール巾で購入した3インチ紙管を工場の生産管理システムのオーダーにあわせて切断,口金装着,寸法検査,ワインダーへの搬送までを自動で行い,オーダー毎の紙管の手配,在庫管理,更には最終製品鏡面の紙管出入り確認等,品質管理面でも多くの自動化,省力化に成功した。
    ワインダー監視支援システムでは,生産管理や欠陥検出などのパソコン,およびワインダー補機類などのPLCと各操作パネルの情報をEthernetまたはOPC通信で接続することで共有化している。またワインダー運転時の操業データと,各所に設けた監視カメラやセンサーを活用することで,設備の状況をリアルタイムで把握でき,問題発生時の原因追及も容易になり,監視,管理業務の負担軽減に貢献できている。
  • ―ワインダ巻取プロセスの振動低減―
    水越 奏利
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 867-871
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    ワインダは抄紙ラインの最終段に位置し,ジャンボロールを搬送もしくは出荷可能なサイズへと加工している。ワインダでの振動は,運転速度の引き下げ,巻取品質の悪化,最悪のケースとしては小巻の飛び出し事故につながるなど,安全面や機械へのダメージなど大きな影響がある。また,運転速度が上げられない場合,抄紙機の速度を下げざるをえない場合もある。特に,ツードラムワインダでは振動も大きくなる傾向にあるが,抄紙機一台に対してワインダ一台のケースも多いので,生産面でのプレッシャーも大きくなる。
    しかしながら,ワインダの振動は運転の性質上,加速・減速を繰り返し小巻の巻取径も絶えず変化していくことから振動とは切っても切れない関係にある。ワインダの振動抑制方法として,ニップカーブの変更,ロードシェアの変更,張力・速度の変更は良く知られた方法であるが,機械自身の持つ固有振動数と小巻が共振している場合,振動を低下させることは難し場合がある。また,ゴムによる制振機構もあるが振動帯域を変えられないなど受動的であり,摩耗の問題もある。Voithではツードラムワインダ制振技術SmoothRun(hydro-pneumatic damping bearings)を開発し,能動的に振動を低減させることが可能となる。
    この最新技術を適用したワインダでは従来と比較し振動による速度低下を避けることが出来,生産量の最大化が見込まれる。また,安全面や機械に掛かるストレスの低減にも直結する。
  • 加地 晋一郎
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 872-877
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    当社の包装機は,バーコードリーダー,印字装置(IJP),包装機,マーキング装置,ラベリング装置などの機器で構成されている。各機器の信頼性が高く長時間の連続運転が可能で,タッチパネルにより入力設定・変更・監視が容易なため,熟練者でなくても短時間で包装機を操作することができる。さらに近年では性能だけでなく,働く人の安全確保を最優先とした設計を行っている。
    当社は自動包装機を開発し53年となるが,開発の経緯について以下に記す。
    初期の包装機は,1台の抄紙機で生産された紙を処理するために,1台のスリッターワインダーと1台の巻取包装機が配置されていた。しかし,次第に工場全体のコンピューターによる生産データの管理が進み,完成品である巻き取りロール1本1本のデータをオンラインで高速に処理できる環境が整ってきた。
    そこで,複数の抄紙機で生産された多品種の巻取ロールを自動で処理できる処理能力の高い包装機が求められ,当社はこの自動包装機を開発・製品化した。また各抄紙機と包装機はコンベア等により直結されているため包装機のトラブル停機は上流設備の生産に直接影響を与えることとなる。このことは,単に高機能・高処理能力のみでなく,高信頼性をも要求されることとなり,当社はそれを満足する包装機を実現した。
  • ―紙・板紙市場向けの挑戦と技術革新―
    松本 昇, Lorenzo Alba
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 878-883
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    われわれが日常生活で実感しているとおり,情報のデジタル化による印刷用紙やコート紙の需要は大きく減っており,今後も需要増に転じることは無いと予測される。これとは逆にパッケージや包装紙などの機能紙は,e-コマース(ネットショッピング)の劇的増加に伴い,年々その生産量は増加し続けている。
    また,印刷技術のデジタル化により多様かつ個性的なデザインが簡単にクリエイトできる環境となったことから,いわゆるデジタル印刷紙の需要が広がっている。
    本稿では,弊社が販売代理店を務めるイタリアのパルマ近郊にある創業35年以上,ユーザーに寄り添った柔軟性のあるオーダーメイドの設備設計を得意とするシーターメーカーのミルテックス社(Milltex)の紹介と同社からの海外市場動向,並びに環境への対応をご紹介する。
    また,大きく変わる印刷用紙市場に対し製紙メーカーが選択した設備増強の例とオンライン・シーターの例を併せて紹介する。
  • 木田 庄一郎
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 884-887
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    Kida Iron Works Co., Ltd. was founded in Osaka in 1928 and started manufacturing machine parts. At the time when the textile industry was booming, Kida’s self-developed humidifier was widely used in spinning mills in Japan, and later entered the recycling industry to meet the needs of the times. Later, the company began designing and developing labor-saving equipment for the printing industry, which continues to this day.
    The New Turner series is the fully automatic system that turns sheets over, aligns sheets and removes dusts and powders by air blow. This series has been adopted by large and small printing companies throughout Japan, and currently hold the top share of the domestic market. The company also builds systems to solve users’ problems based on its specialized know-how in the printing industry. The company is a typical “monozukuri” (manufacturing) company with its own integrated system from design to manufacturing, installation, and repair. The company’s products include the “Turner Series” of paper reversing machines, the “Blanks Checker” of blanks inspection system, the “Mini-Piler Series” of paper alignment high stacking machines, FA, and many other custom-made products. The flexible systems and durability of the machinery built from many years of experience and know-how are well received.
  • 正田 秀一
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 888-893
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,画像処理の技術は飛躍的に向上している。デジタルカメラが高解像度・高速化され,コンピューターも高速処理が可能なスペックを持つことで,欠陥検査システムにおいても今までになかった機能が開発されるようになった。今回は検査システムに新しく追加された機能をいくつか紹介する。
    通常,欠陥検査システムは検出した欠陥部分だけを画像データとして保持するが,新しく開発されたストリーミング・ビデオは,ロール全長の画像を表示・保存して再生することができる。このストリーミング・ビデオのデータを活用してロールの再検査をするヴァーチャル検査の機能も追加された。
    新技術の1つに,カメラ信号の多重化(Multiplexing)がある。1つのカメラから複数カメラ信号(ビデオ・データ)を生成し,1つのカメラフレームで別々の複数の検査を行うことができるようになった。
    その他にはしきい値を地合い変動に追従させ,欠陥検出の最適化を図ることができるアダプティブ・スレッシュホールドやスマートラーンという学習型の欠陥判定機能を利用することで,システムが欠陥の検出,分類をサポートしてくれるようになる。
    外部システムとの連携も強化され,SmartViewシステムに他システムのデータを取り込んで,SmartViewの画面上にそのデータを表示することや,SmartViewシステムで取得した欠陥画像および欠陥特徴量のデータを外部のシステムへ受け渡すこともできるようになった。
    アメテックは欠陥検査システムメーカーの強みを生かして,それぞれの製造現場に最適な検査システムを構築するための支援を今後も顧客に提供していく所存である。
  • 石崎 健郎
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 894-901
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    効率的・効果的な防虫防そ管理を行う上で,モニタリング(トラップ類での昆虫やそ族の調査)は重要な役割を担う。適切なモニタリング方法を構築しなければ,昆虫やそ族の侵入や生息に関する正確な情報が得られず,昆虫等の混入による顧客クレームや製品ロス等の不具合につながる危険性があり,また一方で過剰さが現場の必要以上の負担増加につながる可能性もある。そのため,防虫防そ管理におけるモニタリングの位置づけや意味を知り,リスクベースの考え方でモニタリングのツールや場所の選定方法を検討する必要がある。
    防虫防そ管理は,計画,組織や活動体,点検や調査,対策,教育訓練などを含む「防虫防そプログラム」の下で組織的な活動を行うことが重要だが,モニタリングもその一要素であり,他の要素と関連しあう。またモニタリングとは「サンプリングで得られたデータの傾向を把握・分析し,原因追究,根本対策や予防管理,検証につなげること」であり,それゆえ昆虫・そ族やエリア等のリスクに基づく方法を選定する必要がある。
    モニタリングツールのうち捕虫器はその捕獲効率だけでなく誘引リスクも考慮し,エリア特性を踏まえた機種選定や,飛翔昆虫侵入経路の仮説に基づく設置場所選定を行う。歩行昆虫やそ族トラップ等の種類や設置方法は昆虫・そ族の特性や使用環境などを踏まえて,また設置場所は歩行昆虫やそ族の侵入・生息リスクとなる場所を中心に選定する。本稿ではこれらをリスクベースで考える際の主な着眼点を提供する。なおそ族モニタリングの新手法「Pescle」についても紹介する。
    最後に,捕獲データの解釈などモニタリングに関連するいくつかの留意点についても解説する。
総説・資料
  • 大倉 優作
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 902-905
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    近年のデジタル技術の向上により,従来保存しきれなかったセンサーデータが大量に蓄積できるようになってきている。ビッグデータを活用した製造プロセスの自動化が積極的に進められているが,いまだにオペレーターが手動で設定している制御は多数みられる。
    本稿では,当社中央研究所と金津工場で実施したビッグデータを用いたプロセス自動化の事例として,消泡剤流量の自動制御によるフォーミングパート白水の発泡抑制に関する取り組みについて紹介する。
    金津工場では,フォーミングパート白水の泡を抑制するために消泡剤を使用しており,流量の設定はオペレーターが泡の状態を直接目視して調整していた。しかし,発泡状態が急激に変化した場合は対応が間に合わないことがあり,泡による欠点や紙切れが発生していた。
    白水の発泡状態を可視化するために,ハイドロミックスに超音波センサーを設置することで,白水の泡高さを安定して測定できるようにした。次に,泡高さの数値を情報管理システムのビッグデータに組みこみ,回帰分析をもとに発泡と関連の強い要素を抽出した。さらに,得られた要素から消泡剤流量のソフトセンサーを構築することで自動制御を行うことができた。これらの取り組みにより,欠点の発生を大幅に低減でき,操業の安定化を実現した。
  • 奥村 順彦
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 906-911
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    紙製造のプロセスにおける叩解工程の重要性は周知のことである。目的とする紙の性状に大きく影響する叩解工程は,同時に紙製造プロセスの中でもエネルギーを多く消費する工程でもあることから様々な角度から研究が続けられてきた。当社においても,1954年に国産第1号機となる連続式コーン型リファイナーである「スーパーリファイナー」の開発以降,原質機器メーカーの視点から叩解工程の最適化について模索してきた。
    本稿では,17世紀後半にオランダで開発された回流槽型ビーター以降,現在でも活用されているシリンドリカル型デラックスファイナー,ダブルディスクリファイナーおよびダブルコニファイナーに至る叩解機の変遷を辿りながら,それぞれの叩解機が開発された背景や求められた機能を振り返ってみる。また叩解機本体とともに重要な要素である叩解刃物のパターンの一般的な選択方法,および標準的な鋳鋼製刃物と特殊叩解刃物・ファインバーとの比較について紹介する。
    近年の紙の需要の変化やSDGsを意識した新たな活動などにより,原料繊維の性状や求められる紙製品の機能も多様化が予想される中,叩解機および叩解技術の基本を確認するとともに,新たな目的や用途に合わせた設備の開発などの参考として頂ければと考える。
  • 製紙工程のお困り事を解決する永続的ケミカルアプローチ
    櫻庭 佳孝
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 912-916
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    泡の制御は製紙工程中の問題を解決する上で極めて重要な事である。近年,新型コロナウィルスの影響による原料供給の大幅な混乱,インフレによる原料高騰,環境への配慮を目的とした各種規制による原料の使用制限などが重なり,各薬品メーカーを取り巻く環境も大きく変化している。
    KP工程においては,蒸解後の洗浄工程の発泡対策としてシリコーンエマルション系消泡剤が使用されている。シリコーン系消泡剤においても従来のオイル系消泡剤より低減されてはいるが,樹脂酸ピッチの集積を助長する事や,シリコーン自体が紙中に残存するという問題を抱えている。弊社では,消泡成分と濾水成分を組み合わせる事で,パルプ洗浄時のサクション性を向上させ,ピッチや欠点の原因ともなり得る消泡成分を根本的に削減する試みを行っている。
    白水循環系においては,安価な高級アルコール分散型エマルション消泡剤(サスペンション)が広く使われてきたが,主原料である高級アルコールの急激な価格高騰が起きている。弊社では,以前より特殊な界面活性剤を用いた界面活性剤分散型のエマルション消泡剤の製剤化に取り組んできた。今後もその特徴を生かしつつ,高級アルコール分散型の長所に近づけるべく製品開発を実施していく。
    また,食品包装類に使用する紙は安全性の面から,製造工程で使用する薬品においてもFDA等に準拠する原料を用いた成分で構成される事が望まれている。弊社でもその登録化合物中の有用な成分を組み合わせ,最適な消泡剤の開発に取り組んでいる。
    本稿では,この急激な世界情勢の中でも,永続的に取り組んできた泡対策に関連する最新の動向について報告する。
  • ―スライムコントロール剤と多機能凝結剤によるウエットエンドの最適化―
    武末 早織, 但木 孝一
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 917-923
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    弊社では,複合的な要因からなる抄き込み欠陥の対策や紙品質向上のため,酸化型スライムコントロール剤「キュアサイドシリーズ」と多機能凝結剤「リアライザーAシリーズ」を多方面に展開している。
    近年,抄紙マシンでの抄き込み欠陥や断紙トラブルが増加する傾向が見られる。これらは,古紙原料の品質悪化,抄紙系内のクローズド化や各種内添薬剤の使用量増による汚れ物質の蓄積等が原因と考えられ,特に微生物由来のスライム,古紙原料由来の粘着性ピッチやアニオントラッシュ等が複合的な異物を形成するケースが多い。抄き込み欠陥や断紙を低減し,抄紙マシンの操業性を向上するためには,紙品質を維持しつつ各種内添薬剤の添加量を最適化して行くことが重要である。
    キュアサイドシリーズは,真菌類に強い有機殺菌成分も生成できる酸化型スライムコントロール剤で,殺菌力向上とスライム発生予防に貢献できる薬剤である。ORP(酸化還元電位)による自動制御等の添加技術も導入しており,系内環境の変動が大きい場合でも安定した殺菌力を発揮できる。弊社の新技術「リアクティブポリマー」を導入した「リアライザーAシリーズ」は,系内のアニオントラッシュ低減や粘着性ピッチ対策に有効な多機能凝結剤である。両薬剤とも抄き込み欠陥やマシン汚れ,断紙の低減対策として有効だが,併用することで複合要因によるトラブルにも対応できる。板紙マシンにて両薬剤を併用した事例では,抄き込み欠陥や汚れの低減だけでなく,内添薬剤の定着性が向上したことによる紙力剤の使用量削減にも繋がった。
    本報では,両薬剤を各種抄紙マシンに適用し,操業性や紙品質向上を目指しテストを実施した結果について報告する。
  • 古林 和
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 924-927
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    フォイトではPM4.0の名の下に製紙プロセスのデジタル化を推進している。抄紙工程へのデジタル製品の納入実績を全世界的に増やしているが,フルラインサプライヤとして原質工程へのデジタル製品も開発している。本稿では,OCCラインにおける繊維損失の見える化を可能とする,OnView.MassBalanceという製品について紹介する。
    通常,原質工程における繊維損失は,月単位もしくは週単位でのみ把握されており,実際に損失が発生しているプロセスの場所を特定するのは困難である。フォイトが開発したOnView.MassBalanceを用いることにより,各工程のフィード,アクセプト,リジェクトの流量がサンキーダイアグラムと呼ばれる図表形式で明瞭に表示され,繊維損失が多い場所をリアルタイムで特定することが可能となる。構成の基本となるのは流量・濃度計であるが,さらなるバランス精度向上のためのデジタルアイとリジェクトカメラという2つのカメラシステムも開発中である。前者はパルパ投入ベールをカメラにより認識させベール取引等級の区分に応じてリジェクト含有量を自動的に判断する。後者は,リジェクトコンベア上の画像解析に基づきリジェクトにおける繊維含有量を推定するものである。
    OnView.MassBalanceの導入により,平均で1か月あたり600トンのリジェクトが削減され,OCCラインの歩留まりが合計2%向上したことで,コスト削減に成功した実績もある。
  • 秋田 修平, 袖山 卓司, 林 俊介
    原稿種別: その他
    2023 年 77 巻 10 号 p. 928-932
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/11/01
    ジャーナル 認証あり
    世界的な問題として認知されている地球温暖化を抑制するため,各国においては温室効果ガス削減の取り組みを進めることが求められている。国内の製紙業界においても,日本製紙連合会が「製紙業界―地球温暖化対策長期ビジョン2050」を掲げており,現在,各製紙会社では長期ビジョン達成に向けた様々な対策に取り組んでいる。
    ハリマ化成グループは「自然の恵みをくらしに活かす」の企業理念のもと,再生可能な資源である松脂を原料とするパインケミカルを中心に事業を展開している。「資源循環型事業」であるトール油精留設備とバイオマス発電設備を最大限に活用することで,安全で環境負荷の少ないものづくりに取り組んでいる。
    本報では製紙用薬品を提供するメーカー(サプライヤー)という立場から,当社の「資源循環型事業」に関する取り組みと,これら事業によって生産されるCO2排出量の低い製紙用薬品および当社製品による製紙業界へのソリューション(酵素技術による操業改善と環境対応,バリアコート剤による紙素材の活用)を提案する。具体的には,環境負荷の低い製紙用薬品によるサプライチェーン排出量への貢献,酵素“Refinase®シリーズ”によるパルプの叩解負荷低減や製紙工程でエネルギー消費量の多いドライヤーの乾燥負荷低減,バリアコート剤“ハイコートBCシリーズ”による紙素材の活用である。
    ハリマ化成グループは,資源循環型事業に取り組むサプライヤーとして,製紙業界における環境負荷の低減に貢献できる製品開発を通じ,持続可能な社会の実現に貢献していく。
シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (153)
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