日本では内添サイズ剤としてロジンサイズ剤が最も広く使用されている。この傾向は中性サイズ剤に限定した場合でも同様であり,中性ロジンサイズ剤の占める割合は,一般的な中性サイズ剤として知られるAKDやASAサイズ剤と比較してかなり高い。これは日本で独自に進化した中性ロジンサイズ剤の普及によるものである。
しかし,昨年末以降,ロジンサイズ剤の主原料であるロジンの価格が急激に高騰しており,脱ロジンサイズ剤の動きが高まりつつある。
そこで,我々はロジンサイズ剤に代わるサイズ剤として,ASAサイズ剤に着目し,ASAの乳化剤,乳化方法,抄紙系での使用方法について種々の検討を行った。
その結果,我々はASAエマルションに優れた分散安定性を付与する新規な乳化用合成ポリマー,および従来のカチオン化澱粉を用いた乳化方法では達成することが困難であったシャープな粒度分布をもつASAエマルションを得るための高せん断型乳化装置の開発に成功した。また,抄紙系での使用方法を検討する中で,サイズ定着剤の極めて優れた効果を見出した。
この新たな技術は,これまでASAサイズ剤が抱えている最大の問題であったマシン汚れに起因する操業性の低下を根本から解決するものである。
抄録全体を表示