紙パ技協誌
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最新号
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自動化技術・IoT/DX特集
  • 「製造現場の変革―最新の電装技術と自動化への展望―」
    自動化委員会
    原稿種別: 会議報告
    2024 年 78 巻 3 号 p. 184-187
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
  • ―時系列情報のデジタル化の必要性―
    西田 祐介
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    世界的な感染症流行が報告される前である2018年から5年が経過する中,当社の製品戦略も大きく変化を迎えた。当社の歴史的変遷を改めて紹介し,産業界における大局的なビジネス動向と求められる企業戦略,そしてそれを実現するために求められる革新的なデジタル技術を活用した操業管理について述べる。
    製紙業界における経営課題として2013年から続く「持続可能な開発」および「エネルギー利用とCO2排出削減」への継続的な活動,新しく政府ガイドラインに従う「物流の適正化・生産性向上」が取り組みを行うべき課題として認識されていることが見て取れ,時代とともに変化する経営課題の解決に対し,安全かつ最適な操業状態を定義することが革新的な操業管理を実現するために求められており,デジタル技術により継続的に結果を管理し改善していく結果,最大の利益を生み出すことが可能となる。
    ここでは当社が提供する製品群の中からデジタル技術を用いて実現可能な操業管理システムを構成するソフトウェアを紹介し,革新的な操業管理実現に最も必要なこととは何であるかについて述べる。
  • 髙根沢 真
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 194-201
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    発電所や工場の設備として設置される発電機は,重要な電源設備である。長期間安定して運転するには,運転状態を把握し,定期的にメンテナンスを行うことが必要である。近年の再生可能エネルギーの導入に伴い,火力発電所は従来の運用とは異なる調整電源の役割を担うようになり,発電所全体の監視強化が求められている。そこで東芝は,CPSベースのIoTプラットフォーム“TOSHIBA SPINEX for Energy”に発電機器診断用のIoTアプリケーションを組み込んだ,新しい発電所監視診断システムを開発した。このシステムは機器の運転状態をリアルタイムに監視することで停止に至る故障の予兆を検知し,最適なメンテナンス計画を立案して設備稼働率を改善する。故障停止に至ってしまった場合には,故障原因と対策を提示することで,早期復旧を支援する。この監視診断システムは工場の発電設備にも適用できる。
    発電機の固定子コイルは長期間運用すると絶縁が劣化し,地絡事故に至ることがある。事故により発電機は計画外停止となり,地絡した固定子コイルを修理するには長期間を要する。発電機の長期計画外停止を回避するためには絶縁診断を実施し絶縁劣化の状態を把握することが重要である。従来,固定子コイルの絶縁診断方法は,発電機を停止した状態で実施され,複数の試験結果で絶縁状態を総合的に診断するオフライン絶縁診断が行われてきた。今後は,運転中に絶縁状態の傾向を監視できるオンライン絶縁診断が主流になると考えられる。
    東芝では,“TOSHIBA SPINEX for Energy”に診断用のIoTアプリケーションとして搭載が可能で,発電機の機外に非接触センサを設置するオンライン絶縁診断システムを開発した。本稿ではその特長を紹介する。
  • 淺村 和人
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 202-206
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    市場ニーズの多様化に伴い,多品種少量生産の必要性が増したことで,化学プラントにおけるオペレーションの難易度が従来に比べ格段に上がっている。また労働人口の減少に伴い,運転員の確保や運転技術の継承がプラントを操業する企業にとって共通の課題となっている。
    「AIプラント運転支援ソリューション」は,プラントのプロセスデータと運転員の操作履歴より運転員の操作を学んだAIモデルを作成し,AIモデルを活用したガイダンスおよびオートパイロット(自動運転)機能を提供する。
    オートパイロットにより手動操作負荷を軽減し,運転員の手動操作と比較して高頻度(分単位)での操作が可能となり,プロセスの安定性向上に寄与する。
    また,プラントの状況変化に応じて,操作推奨値を算出する仕組みとして,本ソリューションでは,AIが運転員の操作を自動で再学習する機能(自動再学習機能)を設けている。
    本ソリューションを稼働中の化学プラントに導入し,24時間連続試験を実施した。試験の結果,従来技術では制御が難しかった工程の自動運転に成功するとともに,運転員による手動操作を超えるプロセス安定度を実現した。
  • 髙井 真也
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 207-209
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    当工場の家庭紙製品加工設備において,生産安定,歩留改善,品質安定を目的に生産管理システムを導入した。また,導入にあたっては,拡張時のコストや改良時の柔軟性等を考慮し,自社設計でシステム開発を行った。
    ネットワークを構築したことで,製造ラインは生産状況の見える化や日報の自動化,品種切替えの自動化が可能となり,オペレータの意識改革やデータ分析による問題解決,ポカミス防止等のメリットに繋がった。
    また,新設ラインだけでなく,既設ラインも事務所や出張先,自宅からも接続できるようにしたことで,リモートメンテナンスが可能となり電気担当者の呼出し削減だけでなく,操業を停止して,電気担当者が到着するまでの停止待ち時間削減にもなり,双方の負担軽減に繋がった。
  • 和田 望
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 210-215
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    今日の高度な自動化技術にはDCSやOPCといったIoTの基盤が実装済みであることが概ね前提となっている。BTG/Capstoneの予測モデル制御ソリューションであるOnEfficiencyや,情報一元化・統合ソリューションであるdataPARCにおいても同様である。
    一方で,DCS・OPCが未実装な,特に中小企業の工場においては,システムを一から設計・導入となると莫大なコストや検討におけるマンパワーが大きなハードルとなって立ちふさがってしまうことであろう。
    製紙業界全体の自動化技術を向上・普及するには,APCのような予測モデル制御を提供しつつ,かつ従来のPIDコントローラーのようなコスト・マンパワー面での敷居の低さを両立した新規ソリューションが必要である。
    本稿では,APCと従来PID制御の間に位置する新規ソリューションについてそのコンセプトを紹介し,日本の製紙業界における自動化技術の普及を後押ししたい。
  • 原稿種別: 会議報告
    2024 年 78 巻 3 号 p. 216
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
総説・資料
  • ―BI×IoT×データの活用による可視化事例―
    北村 泰一
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    近年の燃料費の高騰から,回収・運搬コストが増加,東南アジアでの古紙需要の急増などから,古紙のコストは上昇を続けているため,無駄にならない古紙在庫管理が必要となる。
    上記の背景の中で,今回の取り組みでは,レンゴー株式会社福井事業部金津工場様(以下,金津工場様)と共に,IoT(Internet of Things)によるデータ収集と,収集したデータとBI(Business Intelligence)による古紙ヤード(以下,ヤード)のデジタル化を通じて,古紙の循環性を更に高める,先入先出の実現を目指した。
    問題の解決のために,センサーデータ(非構造化データ)と古紙在庫データ(構造化データ)の構造の異なる2種類のデータの統合のために課題はあったが,金津工場様のご協力のもと解決することができた。
    BI導入によって構造化データの視認性が高まり,原料のトレーサビリティが明確になり,有事の際どのロットの古紙がリスクであるかを瞬時に追跡することができるようになった。加えて,視覚的に古紙の状態を把握することができるようになったことで,劣化した古紙の滞留を防ぐことができ,適切な原料出庫によって製品の歩留まり率が向上し製品品質の向上につながった。
  • ―第52回日本産業技術大賞 内閣総理大臣賞受賞―
    清水 誠
    原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 221-224
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    日本の製造業は,高品質な製品と高い技術力によって,長年にわたり世界を牽引してきたが,近年,急速な外部環境変化や国際競争力激化への対応を迫られている。同時にデジタル化やAI技術の発展にともない,多種多様なAIが存在する。DXという旗印の下,多種多様なAIを製造現場に適用を進めているが,製造業で大きな成功事例を聞くことは少ない。本稿では,日本の製造業が国際競争力となる差別化要素を作り出す最も期待されるAIとは何か,日刊工業新聞社が主催する「第52回日本産業技術大賞」の最高位となる「内閣総理大臣賞」を受賞した制御AIを活用し化学プラントの自律制御に成功した事例を紹介する。
  • 原稿種別: その他
    2024 年 78 巻 3 号 p. 225-230
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル 認証あり
    The history of AQUAS CORPORATION goes back to the foundation of NITTO KAKO K.K. in 1958 as a manufacturer of water treatment chemicals and water treatment equipment. The company back then manufactured and sold metal chelating agents newly developed for the dyeing industry.
    In 1987, we changed the corporate name to AQUAS CORPORATION as part of the corporate identity initiative.
    Today, we provide optimal solutions from diverse perspectives incl. chemicals, equipment and plant design by harnessing our technologies accumulated for over half a century.
    We stand on the foundation of honesty, integrity and sensitivity, and act based on the AQUAS Values:‘great humanity’,‘a high-level of expertise and professionalism’,‘passion and courage to fearlessly drive transformation’and ‘pride and responsibility for the AQUAS brand’.
研究報文
  • 井上 亮太, 伊達 隆
    原稿種別: 研究論文
    2024 年 78 巻 3 号 p. 231-235
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    セルロースは,木材,草,農業残渣などの非可食バイオマス源から入手でき,最も豊富かつ,安価で再生可能な,環境に優しいバイオベースのポリマーである。国内外の豊富にある森林から容易に調達でき,2050年カーボンニュートラル社会の実現に向けたキーとなる素材である。このセルロースは,樹脂に含有するとその強度を向上させるという効果を持ち,ガラス繊維,炭素繊維や無機填料に代わる樹脂の強化材として注目されている。我々は,新たにこのセルロースナノファイバー(CNF)を,3Dプリンター用樹脂の強度向上に適用した。3D造形の方式として粉末床溶融結合式(PBF式)を選択し,当社実証設備にて製造したCNF複合樹脂をPBF式3Dプリンターによって造形することで,軽量で高強度の造形物が出来ることを確認し,CNFが3Dプリンターに適用できる可能性を見出した。
    検討では,変性パルプとナイロン6(PA6)を混練して得られたペレットを凍結粉砕することにより,CNF配合量が5.0 wt%のCNF強化PA6複合樹脂(CNF5%/PA6)粉末を調製した。得られたCNF5%/PA6粉末をPBF式3Dプリンターで試験片に造形し,機械的特性を評価した。その結果,CNF5%/PA6試験片の引張特性,曲げ特性は,20%ガラスビーズ強化PA6複合樹脂(GB20%/PA6)と同等以上であった。また,GB20%/PA6よりも約10%軽量であった。このように,GBと比較してCNFが低添加量にもかかわらず大きな強度向上効果を示した理由について,光学顕微鏡,TEM観察による造形物の内部構造の違いやCNFと樹脂の相互作用から,そのメカニズムを類推した。
    以上,我々はCNF5%/PA6をPBF式3Dプリンター用材料として大いに期待しており,本材料の実用化に向けた検討を更に進めていく。
  • Ryota Inoue, Takashi Date
    原稿種別: research-article
    2024 年 78 巻 3 号 p. 236-240
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/04/01
    ジャーナル フリー
    Cellulose is the most abundant, renewable, and environmentally friendly bio-based polymer, which is available from non-edible biomass sources such as wood, grass, and agricultural residues. Cellulose is attracting much attention as a reinforcing material for resin that can replace glass fibers and glass beads. Composites of resin and cellulose nanofibers (CNFs) have been prepared for many attempts in the injection molding field, but only few tries in the 3D printing industry. Therefore, we have produced CNF-reinforced composites in demonstration facility, and verified the application of CNF-reinforced composites to powder bed fusion (PBF) 3D printers. In this research, we prepared a 5 wt% CNF compounded PA6 (CNF5%/PA6) powder by compounding of modified pulp fibers and PA6 pellets and followed by cryogenic powdering. The obtained CNF5%/PA6 powder was then molded to prepared test pieces by a PBF 3D printer, and the mechanical properties of the pieces were evaluated. As a result, the tensile strength and modulus of the CNF5%/PA6 test pieces were 60MPa and 2.6 GPa, and the bending strength and modulus were 95 MPa and 2.7 GPa, respectively. These values of the CNF5%/PA6 test pieces were similar to or better than mechanical properties of 20% glass bead-reinforced PA6 composites composite (GB20%/PA6). Moreover, the CNF5%/PA6 3D model samples were almost 10% lighter than GB20%/PA6 because of characteristics of the lower density of CNFs than that of GB. Therefore, the CNF5%/PA6 powder is expected to be an important candidate as the raw material for the PBF type 3D printers.
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