日本製紙株式会社富士工場は,平成27年4月以降,吉永工場と一つとなり新生富士工場となった。今回は富士工場(富士)で取り組んだ内容について紹介する。富士工場(富士)では平成23年度末の「洋紙事業の復興計画」により洋紙生産量が減少する反面,余剰となった電力について,安定した発電の実現と発電量の更なる増大に取り組み,大きな成果を得ることが出来た。具体的な取り組みとして,
① 2号ボイラーの負荷低下に対する取り組み
洋紙減産による影響として,2号ボイラーの主燃料である自社PS発生量が減少し2号ボイラーが発停を繰り返すという懸念があったが,近隣企業のPS焼却を受託することで2号ボイラー停止を回避することが出来た。また,3号バイオマスボイラーからの蒸気を2号タービンに送気する配管を設置し,2号ボイラーの負荷低下分を補い発電量増加に貢献出来た。
② 3号バイオマスボイラーの最大能力での安定操業化
先述の3号バイオマスボイラーからの蒸気を2号タービンに送気する配管の最適運用により,抄紙機定期点検停止時の3号バイオマスボイラーの余剰蒸気を大気放出したり,ボイラー負荷を下げることなく操業可能となった。また,主燃料である木屑の受入系統の改善や木屑の安定した集荷体制の構築により木屑増燃となり24時間最大負荷運転が出来るようになった。
③ 1号タービン発電量増加
1号タービンの復水器冷却水に水温の低い井戸水活用することで1号タービン復水発電量増加となった。また,大気放出発電の経済効果を確認し,抄紙機定期点検停止時に大気放出発電を行うことで更なる発電増に努めた。
④ 電力供給運用管理の徹底
電力監視装置のデータを中央操作室のDCSに取込み一元化するなど,電力供給監視システムを構築することで電力供給を安定的に行うことが可能となった。また,関係各課との設備運転,停止の連絡強化により計画的な電力供給を行うことが出来た。
以上の取り組みにより,洋紙減産下において安定的,かつ最大限の電力供給を行う体制が構築された。
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