国内の製紙業界においては,2030年のCO
2削減目標に向けてプラントの省エネ化が模索されている。バルメットは世界的に包括的なサステナビリティ事業を展開しており,バルメットの技術の使用段階におけるCO
2排出量の削減を目指し,技術開発を進めている。
蒸解プロセスにおける省エネ化の例として,大気圧型浸透釜Valmet ImpBin
™の導入や,既設1ベッセル蒸解釜のValmet OptiCook
™への改造が挙げられる。これらの改造はいずれも,チップへの低温,長時間での十分な薬品浸透により,高収率な蒸解の実現を目指すものであり,蒸解温度も低下するために蒸気使用量の削減に繋がる。
又,洗浄ラインにおける省エネ化の例としては,プレッシャーディフューザープロセスへのDiConn
™の導入や,プレス洗浄機Valmet TwinRoll Press Evolution
™の導入が挙げられる。前者はPDWでの高温での洗浄を実現することに因り,洗浄効率の向上と共にC8抽出液の温度が上昇,フラッシュサイクロンでの蒸気使用量の削減に繋がる。後者は,未晒洗浄ラインの最終段に設置することにより,洗浄効率を保ちつつ洗浄水使用量を削減すると共にエバポレータ方面へ送られるBL量を削減することで蒸気消費量の削減効果を見込むことが出来る。
その他,プラントの新たな収益へつながる設備として,バルメットが提供する蒸解プロセスからのリグニン回収及びメタノールの回収設備が挙げられる。前者で回収したリグニンは,バイオ燃料として使用可能であると共に,高付加価値化により,プラントの新たな収益源になることが期待できる。後者においては,NOx及びSOxの含有量を抑えた液体メタノールが回収可能であり,燃料用途や販売用途での活用が期待できるものである。
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