当社は, 1951年に日本初の抄紙機セクショナルドライブシステムを納入して以来, 半世紀を経て, 現在では日本はもとより東南アジアを中心に世界的にも製紙機械用の電気品, ドライブ設備を多数納入するまでに至っている。その間, 製紙機械の大型化の傾向は著しく, 高速・広幅の抄紙機が続々と市場に投入されてきている。これに伴い総駆動容量は大きくなり, 単機駆動容量が1,000k Wを超えるものもあり, また生産ブロセスの改良により電動機総台数も増加の一途にある。電動機保守の軽減の観点からも, 抄紙機駆動システムはいまや世界的にACドライブが主流となっており, 高圧・大容量インバータの適用により今後一層ACドライブ化に拍車がかかるものと予測される。
同時に, 品質向上, 生産性向上の要求から, 制御系および操業, 生産管理が複雑化しており, これらに対してより柔軟に対応が可能な, 電気・計装を統合した制御システムが多く導入されるようになっている。一方, マシン停止による生産低下, 操業率低下の影響は以前と比べて桁違いに大きくなっており, 信頼性が高いだけでなく, 万一故障発生時にも短時間での復旧が可能なシステムが不可欠とされている。このため, RAS機能のより充実したACドライブシステムを目指して技術革新が進んでいる。本文では, 大型・高速マシンに対応するための駆動システムを中心に,
1) 最近の海外大型製紙ブラント電気品の特徴と実績,
2) 最新の製紙ドライブシステムの構成, 特に電気・計装を統合したシステム構成と統合化によるメリット,
3) 最新のACドライブ装置の高性能・高機能化, メンテナンス機能の向上策について具体的に紹介している。
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