紙パ技協誌
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55 巻, 6 号
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  • 紙パルプ技術協会エネルギー委員会
    2001 年 55 巻 6 号 p. 737-763,019
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    紙パルプ技術協会エネルギー委員会では, 1998年度のエネルギー使用の実態調査を行うため国内の主要工場にアンケート票を送り, 92工場から回答を得た。これは, 全生産の89.6%, 全板紙生産の76.2%, 全パルブ生産の94.8%をカバーしている。同様な調査が1987年にも行われており, 両者を比較することにより, 業界のエネルギー削減に対する努力が明らかになった。
    その2では, 紙板紙生産および環境・間接部門における蒸気及び電力原単位等を要約する。
  • ロバートソン レックス, 山崎 秀彦
    2001 年 55 巻 6 号 p. 764-774,019
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    キャリパー制御システムをカレンダーに使用することは, 現在の紙・板紙マシンとコーターの品質制御の不可欠な部分である。製紙技術が進歩し, マシンがより広幅になり, より高速化するにつれて, これらのシステムの重要性は一層高くなってきた。今日広く用いられている従来のプロファイリングシステムは非常に良い性能を示したが, それらにはいくつかの欠点がある。このことはCDとMDの両方の紙厚変動を制御する狭ゾーンの油圧式プロファイリングカレンダーロールの開発によって今や明白になってしまった。
    新しいプロファイリングロールは, 優れたCD解像度と迅速な応答を与えてくれる。カウンターゾーンの使用により, カレンダーニップ加圧の全操作範囲にわたる効果的なプロファイリングが可能となる。マシンスキャナーによる紙厚測定に基づくクローズドループキャリパー制御は容易に実施できる。この技術はハードニップカレンダー, ソフトニップカレンダー, スーパーカレンダーおよび最新型マルチニップカレンダーへの利用に適している。これは各種の紙・板紙に適用でき, 今日までに優れた運転結果をもたらしている。このほかに, 断紙からの迅速な回復, すっきりした装置の配置, および運転エネルギーコストの低減といった利点もある。こうした特徴に基づき, このプロファイリング技術の応用は拡大, 成長し続けることは明らかである。
  • 望田 靖裕, 藤田 得生
    2001 年 55 巻 6 号 p. 775-784,020
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    メタリングロールの腐食メカニズムはクロムめっきに存在するクラックが拡大し, 素材や下地めっきまで達することにより電位差腐食を起こす。これまでの研究では貫通クラックの発生をいかに抑えるかを主眼に進め, めっき種, めっきの表面仕上げ方での寿命差を求めてきた。今回, 新たに電気化学的手法を用いて電位差腐食の検討を行った。
    各種皮膜の電気化学測定から耐食性を評価すると, クロムめっき, タングステンカーバイド溶射が測定後の表面観察で腐食痕がなく耐食性が高いことがわかった。またニッケルータングステン合金めっきは電位の上昇とともに不動態化が観察され, 耐食性が高いことがわかった。しかしめっき皮膜, 溶射皮膜のいずれの場合も皮膜が溶解していくような事例はまれであり, 腐食事例のほとんどは素材まで達する割れにより電位差腐食を起こすことで発生している。そのため皮膜だけの耐食性を評価するだけでは不十分であり, 皮膜と下地めっき (または素材) とが共存するような系での測定が必要である。そのため表層皮膜に帯状の人工欠陥を形成したサンプルでも測定を行った。ニッケルめっき上のタングステンカーバイト溶射は耐食性が低いという結果になり, 測定後の表面観察でも黒く変色していた。ニッケルめっきやSUS肉盛溶接上のクロムめっきは自然電位は貴な位置にあったが測定後の表面観察で下地に腐食痕が観察された。ニッケルタングステンめっき上のクロムめっきはタングステン皮膜部に不動体化が観察され耐食性が高いことが示された。
    現在, テストプラントサイズの試験機で実機を模した試験を行い, 電気化学測定結果を検証中である。
  • 西島 輝彦
    2001 年 55 巻 6 号 p. 785-791,020
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    製紙工場において, スクリューブレスはその脱水能力 (処理量及び固形分濃度) の高さから, 総合排水汚泥処理の中心的役割を果たしてきた。ここで紹介するドイツFAN Separator社のPSSプレススクリューは, 非常にコンパクトながら高い脱水能力と処理能力を併せ持つスクリュープレスとして, 排水処理のみならず, クリーナー, スクリーン, 加圧浮上装置等からのリジェクト個別処理, 及びパルプ脱水等のアブリケーションで欧米, アジア各国等で広く採用されている (全産業: 2,500台以上, 紙パ: 250台以上-2000年4月現在)。
    コンパクトで取扱いが容易いこと以外にも,(1) 低濃度且つ濃度変動のある処理液において安定した高い固形分濃度が得られること,(2) 液によっては高価なポリマーを大幅に削減できる事が本機の大きな特徴である。ここでは, PSSのユニークな設計コンセブト及び脱水プロセスの説明と, 欧州を中心とした実用例の紹介を行う。
  • 湯浅 理之
    2001 年 55 巻 6 号 p. 792-799,021
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    当社は, 1951年に日本初の抄紙機セクショナルドライブシステムを納入して以来, 半世紀を経て, 現在では日本はもとより東南アジアを中心に世界的にも製紙機械用の電気品, ドライブ設備を多数納入するまでに至っている。その間, 製紙機械の大型化の傾向は著しく, 高速・広幅の抄紙機が続々と市場に投入されてきている。これに伴い総駆動容量は大きくなり, 単機駆動容量が1,000k Wを超えるものもあり, また生産ブロセスの改良により電動機総台数も増加の一途にある。電動機保守の軽減の観点からも, 抄紙機駆動システムはいまや世界的にACドライブが主流となっており, 高圧・大容量インバータの適用により今後一層ACドライブ化に拍車がかかるものと予測される。
    同時に, 品質向上, 生産性向上の要求から, 制御系および操業, 生産管理が複雑化しており, これらに対してより柔軟に対応が可能な, 電気・計装を統合した制御システムが多く導入されるようになっている。一方, マシン停止による生産低下, 操業率低下の影響は以前と比べて桁違いに大きくなっており, 信頼性が高いだけでなく, 万一故障発生時にも短時間での復旧が可能なシステムが不可欠とされている。このため, RAS機能のより充実したACドライブシステムを目指して技術革新が進んでいる。本文では, 大型・高速マシンに対応するための駆動システムを中心に,
    1) 最近の海外大型製紙ブラント電気品の特徴と実績,
    2) 最新の製紙ドライブシステムの構成, 特に電気・計装を統合したシステム構成と統合化によるメリット,
    3) 最新のACドライブ装置の高性能・高機能化, メンテナンス機能の向上策について具体的に紹介している。
  • 曽根原 克和, アンダーソン シェル
    2001 年 55 巻 6 号 p. 800-805,021
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/11/29
    ジャーナル フリー
    アニオン性コロイダルシリカとカチオン性ポリマーを組合せ使用するエカケミカルス社の歩留り・濾水システム,「コンポジルシステム」は1980年代に開発され, その優れた性能により世界中で使用され確固たる地位を築いている。
    初めに開発されたCompozil Original Systemは, 分散型のコロイダルシリカとカチオン化デンプンの組合せシステムであり中性上質紙で大成功を収めている。1990年代に開発されたCompozil Plus Systemは, コロイダルシリカの粒子径, 構造, および表面性状を改良したもので, 酸性紙, 中質紙および再生紙などの不純物の多い系にも適用されている。
    さらにエカケミカルス社では, 最新のシステムであるCompozil Select Systemを2000年3月に上市した。これは, 最近開発された新しいタイプのコロイダルシリカ (Eka NPおよびEka XP) をカチオン化デンプン (Eka CS) もしくはカチオン性ポリマー (Eka PL) と組み合わせ, さらに前処理としてエカケミカルス社のアニオントラッシュキャッチャー (Eka ATC) を組み合わせたシステムであり, 酸性, 中性上質紙だけでなく, ライナーや板紙, 中質紙や再生紙など, 抄紙全般にわたり適用されている。
  • 小林 治, 葛西 潤二
    2001 年 55 巻 6 号 p. 806-810,022
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    近年コーティングカラーの顔料組成として, コストや白色度や流動性などの点から, 炭酸カルシウムの割合が増加している。特に, 特に, A2以上のグレードの塗工紙においてはダブル塗工が施されることが多く, アンダー用カラーにおいては炭酸カルシウムの割合が100%に近づきつつある。このような炭酸カルシウムの高含有配合において, ラテックスの種類によってはコーティングカラーの粘度挙動が大きく変化することが判明した。
    そこで, 原因解明の第一歩として, 湿式重質炭酸カルシウムに絞り, 色々な薬品を添加することによって, 粘度挙動の解析を行った。その結果, NaClや酢酸Naのような低分子電解質の存在が粘度上昇に大きく寄与することが判り, デンプンやラテックスの共存下においても増粘挙動が観察された。一方, ラテックスの種類においては, 処理温度によって増粘するものも見られた。
    このような特異な粘度上昇現象機構は, 炭酸カルシウム粒子を安定化させていたポリカルボン酸のような分散剤が, 低分子電解質の添加により, ポリカルボン酸塩が脱離し, 炭酸カルシウム粒子が不安定化したものと推測される。
  • スキャンプロプレスチューナー, フェルトパームの紹介
    二葉 勝
    2001 年 55 巻 6 号 p. 811-817,022
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    抄紙機のプレスパートの診断のツールとして, マイクロ波を利用したスキャンプロ水分計が利用されてきた。これはブレスパートの走行中のフェルトの含水量プロファイル, またはサクション, プレスニップ等の前後での含水量の差を解析し, プレスパート全体の脱水性能を診断するものである。
    現行機種は「プレスチューナー」で旧来型に比べ液晶画面が追加され瞬時にプロファイルを確認でき, ウィンドウズ対応マルチビューソフトによりデーターペースの構築が可能である。さらに水分計とは別にフェルトの通水度計「フェルトパーム」が開発された。これは走行中のフェルト面に対して一定圧で水を注入し, その際に注入される流量を測定するものである。
    これによりフェルトの使用期間中の磨耗, コンパクション, 詰まりや高圧シャワーの状態等フェルトのクリーニングコンディションの診断に利用され, 問題の早期発見やフェルトの寿命を延ばすことの一助となる。
    表示部の操作方法, データー処理ソフトマルチピューはプレスチューナーと共通である。含水量と通水度の測定を補完し合うことにより豊富な情報を得ることができ, プレスパートの問題箇所の特定が容易になる。
  • メカニカルシールの選定と最近の適用例
    高橋 秀和
    2001 年 55 巻 6 号 p. 818-824,023
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    紙パルププラントにおいては, 蒸解工程から抄紙・塗工工程に至るまで, 各種ポンプや攪拌機, スクリーン, リファイナほかさまざまな回転機が多数使用されている。これらの軸封部には, 省エネ, 省資源, 省メンテナンスなどの経済性追求および環境保全の目的で, 多数のメカニカルシールが採用され, 大きな効果が得られている。紙パルプブラントにおけるメカニカルシール化は, 蒸解および黒液濃縮工程から本格的に始まり, 洗浄工程や抄紙工程他に急速に進展した。その背景には, 環境保全, 省コスト, 信頼性・安全性向上などのメカニカルシール化のメリットが検証されたことがある。現在では, 新設プラントにおいては, メカニカルシール採用が標準的になってきている。そこで, 各工程で取り扱われる液名を主体に, メカニカルシールの選定と最近の技術動向を紹介する。
  • 太田 節三
    2001 年 55 巻 6 号 p. 825
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
  • 紙端部における収縮抑制とカールの防止
    久野 廣明, 蓮池 牧雄, 鈴木 節夫, 真田 晃, 大平 和仁
    2001 年 55 巻 6 号 p. 828-837,023
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    紙の寸法安定性は乾燥工程における拘束率や拘束力, あるいは表裏の乾燥負荷などにより大きく影響をうける。紙の端部では幅方向の収縮率が大きく, 印刷時には, 湿し水の吸収による横伸びでファンアウト障害を生じやすい。そのため, 実機ドライヤの寸法安定性改善の課題は, 紙幅方向とくに端部の収縮率を抑制することで, 中央部から端部にかけての急激な物性変化をなくし均一化することである。本研究では, ドライヤでのオープンドロー部のアスペクト比 (紙幅/オープンドロー長さ) に着目して, アスペクト比と幅方向の乾燥収縮特性の関係を定量化し, さらに紙端部の拘束がない部分では乾燥を抑制するとともに, カンバス拘束のある加熱ロール上で積極的に乾燥促進する方法を考案し, 動的な要素乾燥実験により検証を行った。またカールの抑制については表裏の熱負荷を制御する手段としてカンバス越しの熱風噴流乾燥の要素実験を行い, その効果を検証した。
    その結果, アスペクト比を40と大きくするとともに, 真空拘束力を上げることで, 均一な幅方向収縮プロファイルが得られること, またカンバス拘束下で熱風噴流乾燥による乾燥促進とオープンドロー部でのミスト冷却などによる乾燥抑制で, 幅方向に均一な伸縮特性を有する寸法安定性に優れた紙に改善できる目処が得られた。さらにカンバス越し熱風噴流乾燥はカールの抑制に対して有効な乾燥手段であることが検証された。
  • 中澤 克仁, 片山 恵一, 桂 徹, 坂村 博康, 安井 至
    2001 年 55 巻 6 号 p. 838-852,024
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
    非木材パルプおよび古紙パルプを配合した上質紙のライフサイクルにおけるCO2, SOx, NOx, 焼却灰のようなインベントリーにおける環境負荷を研究した。本研究において, 木材パルプや古紙パルプに関するインベントリーデータは, 三菱製紙八戸工場で収集された。非木材パルプに関するインベントリーデータは, コロンビアで製造されたバガスパルプのデータと日本国内で製造されたケナフパルプのデータが使用された。木材パルプに非木材パルプや古紙パルプを混合して作られた上質紙における環境負荷と, 木材パルプ100%から作られた環境負荷が比較された。
    バガスパルプを配合した上質紙のライフサイクルにおけるCO2排出量は,(ビスの焼却により排出されるCO2排出量除けば) 100%木材パルプから作られた上質紙のものと同等であった。ここでのビスは, 農業生産物とされる場合もある。ケナフパルプは, 黒液回収設備が整っていない小規模工場で製造されたため, ケナフパルプを配合した上質紙のライフサイクルにおけるCO2排出量は, 他種の上質紙のものよりも多かった。古紙パルプの場合, 上質紙における古紙パルプ配合量を増加させることで, 化石燃料使用が増加し, その結果CO2排出量が増加した。SOxの排出については, 古紙パルプを配合した上質紙における排出量が他のパルプの排出量よりも少なかった。NOxの排出については, パルプ種による排出量の差は小さかった。どの上質紙においても焼却灰の排出については, 上質紙製造プロセスで使用される石炭からの石炭灰と, 排紙の焼却処理プロセスからの焼却灰がほとんどであった。
    今後さらに詳細な研究を行うために, 植林・栽培における土地利用形態や農業廃棄物利用を考慮したインベントリー分析が望まれる。
  • 日本製紙株式会社石巻工場
    2001 年 55 巻 6 号 p. 853-860
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 55 巻 6 号 p. 861-863
    発行日: 2001/06/01
    公開日: 2010/10/27
    ジャーナル フリー
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