医療従事者に対してHBワクチンを接種し, その抗体反応の推移を, 最長5年に渡って調査した.
対象者は262例 (男性61例, 女性201例, 平均35.1歳) で, HBワクチン20μgを3回 (初回, 1ヵ月, 6ヵ月) 接種した. 用いたワクチンは, 2社3種類のplasmaderived HBワクチンで, A群 (120例) にはY社製乾燥を, B群 (74例) にはY社製液状を皮下に接種し, C群 (68例) にはZ社製液状を筋肉内に接種した. なお, 対象者はHBs抗原, HBs抗体およびHBc抗体のいずれのHBVマーカーも陰性であった.
HBs抗体陽性率 (RIA法) は, 3回目接種直後である9ヵ月で, A群では79.8%, B群では78.6%, C群では95.4%と最も高い成績を示した. 以後, A群は5年で42.3%, B群は4年で46.8%と減少したが, C群は4年で89.4%と殆んど減少はみられなかった. HBs抗体価 (PHA法) は, B群は9ヵ月で2
6.5倍, C群は1年で2
7.7倍と最も高値を示したが, 4年でそれぞれ2
4.5倍, 2
5.9倍と低下した. HBs抗体陽性率および抗行価ともにC群が最も良い成績であったが, これは用いたワクチンの製造法あるいは接種法の違いにあると考えられた.
さらに, 9ヵ月でのHBs抗体価と5年後でのHBs抗体の状態を検討した. 9ヵ月の抗体価が27倍以上の群では, 4年後の抗体陽性率が97.4%, 2
4-2
6倍では76.2%, 23倍以下では30%と減少し, それぞれの間で有意差がみられた (x
2test, p<0.05)-すなわち, 3回接種後の抗体価が低い例ほど, 4年後での抗体は陰性化する傾向を示した.
抄録全体を表示