感染症学雑誌
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66 巻, 5 号
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  • 佐藤 隆美, 井上 敏郎, 梶原 真人, 宮崎 千明, 楠 浩一, 植田 浩司
    1992 年 66 巻 5 号 p. 551-554
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Human Herpesvirus-6 (HHV-6) が原因と考えられる突発性発疹の回復期に突然のけいれんで発症した急性脳症の6ヵ月女児例を報告した. 患児は, 3日間におよぶ高熱の後, 全身性発疹が出現し解熱, 突発性発疹と診断されたが, 解熱した夜, 再度の発熱, けいれん, 意識障害が突然出現し, 諸検査により急性脳症が疑われた. 経過中, 一時的に全身状態の悪化を認め, 人工呼吸器による呼吸管理, 抗けいれん剤の投与などを要したが, 重篤な後遺症を残すことなく, 回復した. 血清HHV-6抗体価が回復期に上昇し, HHV-6による急性脳症が疑われた.
  • 出口 隆, 山本 啓之, 多田 晃司, 米田 尚生, 岩田 英樹, 伊藤 康久, 斉藤 昭弘, 坂 義人, 玉木 正義, 前田 真一, 斉藤 ...
    1992 年 66 巻 5 号 p. 555-560
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Polymerase chain reaction (PCR) による淋菌の検出方法を開発した. 淋菌の16Sribosomal RNA遺伝子の一部の塩基配列に相補的な2つのoligonucleotideを伸長用プライマーとして用いた. 男子尿道炎患者より分離された15株の淋菌すべてからPCRにより206bpのDNAの断片の増幅が認められたが, Chlamydia trachomatis, Ureaplasma uzealyticumを含む他の細菌からのDNAの増幅は認められなかった. 淋菌6.5コに相当するDNA量以上で, PCRによりDNAの増幅がみられた. 男子尿道炎患者の尿道擦過材料からPCRにより淋菌の検出を試み, 培養法と比較検討した. 培養法にて67検体中28検体で淋菌が分離・同定され, そのうち27検体にてPCRにより206bpのDNAの増幅を認めた.培養法で淋菌が分離されなかった39検体中2検体でPCRによりDNAの増幅が認められ, 残り37検体ではDNAの増幅が認められなかった. PCR法の培養法に対する陽性一致率は96.4%(27/28) で, 陰性一致率は94.9%(37/39) であった. 両者の全体での一致率は95.5%(64/67) と高い一致率を示した. 以上より, PCRによる淋菌の検出方法は, 淋菌に対して特異性が高く, 感度の点においても優れた方法であり, 臨床検体からの検出結果においても培養法と高い一致率が認められることより, 淋菌性尿道炎診断において有用な方法と思われた.
  • 第3報: 投与期間3年以上の症例を中心に
    三笠 桂一, 澤木 政好, 古西 満, 前田 光一, 竹内 章治, 浜田 薫, 国松 幹和, 増谷 喬之, 佐野 麗子, 喜多 英二, 樫葉 ...
    1992 年 66 巻 5 号 p. 561-567
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1986年以前にEM治療 (Erythromycin stearate600~1,200mg/日) を開始した慢性下気道感染症31例に対し, その有用性などにつき検討した. 1) 投与継続し, 有効性を判定し得た20例 (投与期間3年6例, 4年5例, 5年5例, 6年4例) では著効3例, 有効14例, やや有効2例, 無効1例で, 有効以上の有効率は85%であった. 2) QOLは20例中15例に改善を示した. 3) Pseudomonas感染例では有効率 (87.5%) と菌の消失率 (12.5%) に解離があったが, Heamophilus感染例では解離がなかった (75%). 4) 投与中止した11例では, 中止理由は死亡5例 (肺癌1例, 心筋梗塞1例, 心不全1例, 呼吸不全1例, 突然死1例), 副作用2例 (口内炎, 胃腸障害), 自己中止3例, 転院1例であった. 5) 自己中止した3例は, 悪化しEMを再投与したが, 2例は無効であった. 6) 長期投与例では副作用はなかった. 以上より, EM長期治療は有用であり, 中止することなく継続するのが望ましいと考える.
  • 酒寄 享
    1992 年 66 巻 5 号 p. 568-578
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    敗血症性ARDS (Septic Adult Respiratory Distress Syndrome) の本態はエンドトキシンと好中球とによる血管内皮障害にもとつく透過型肺水腫であるといわれている. さらに, 近年, エンドトキシンとサイトカインとくにTNF (Tumor Necrosis Factor) との関係が注目されているが, Septic ARDSにおけるTNFの意義は未だ不明である. そこで, 本研究ではSeptic ARDSの発生機序に関するTNFの意義を明確にすることを目的とした. エンドトキシン投与後, 内因性TNFは直ちに出現し短時間のうちに消失した. また, in vitroにおいてTNFは好中球を活性化した. さらに, TNFは好中球エラスターゼにより不活化させることも示唆された. また, in vivoにおいて大量のTNFを静脈内に投与した場合, 肺組織の障害がみいだされた. したがって, 好中球減少下においては血中TNFの活性が長時間維持され, TNFによる肺組織障害が助長されることが示唆された.
    以上の成績から, Septic ARDSにおけるTNFの役割は, エンドトキシンにより活性化されたマクロファージより産生されたTNFが, 好中球を活性化し, その好中球により肺毛細血管透過性亢進が助長され, 透過型肺水腫を出現させる. 一方, TNFが極めて大量投与された場合, あるいは好中球減少下では直接的に肺組織障害を発生させる可能性も考えられた.
  • 高崎 智彦, 佐野 浩一, 田中 恵津子, 森松 伸一, 木船 紘爾, 鶴谷 良一, 中井 益代, 山口 淳二
    1992 年 66 巻 5 号 p. 579-583
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ウイルス濃縮をより簡単により効率よく行いHuman Immunodeficiency Virus type1 (以下HIV-1) 濃縮時のウイルス感染の危険性を減ずるために, ミニコン簡易濃縮器 ® (Amicon Division, W. R. Grace & Co.-Conn.) の吸水部分を天然多糖体の一種であるキチンより作られたベスキチン-F ® (ユニチカ社製) を用いて改造し, 培養上清中のHIV-1の濃縮を行った. その結果, ベスキチンーF ® を用いて改造したものは, 従来のミニコンに比べてより良好な濃縮効果とより均一な濃縮速度を示した.
  • 松本 明, 別所 敞子, 岸本 寿男, 副島 林造, 渡辺 博夫, 川越 清隆
    1992 年 66 巻 5 号 p. 584-591
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    共通抗原性が低く, かつ客観的な数値表示ができる Chlamydia trachomatis 抗体検査用キットの開発を目的とし, トラコマティス抗原の調製, マウス抗血清に対する特異性ならびにヒト患者血清に対する反応性を検討した. C. trachomatis L2/434/Buの精製基本小体 (EB) を Sarkosyl, dithiothreitol, SDSで順次処理してEB外膜 (COMC) を得た. PAGEによりこのCOMCの構成蛋白は 96k, 60k, 39.5k (MOMP) が最も多かった. このCOMCを96穴マイクロタイタープレートに固定化し, 抗クラミジアマウス血清 (100倍からの段階希釈) のIgGをEIA法によって調べたところ, 抗C. trachomatis血清の反応性が最も高かった. ヒト患者血清については健常人血清 (抗原陰性, MFA法による抗体陰性) 100例について測定し, それらの平均吸光度に2倍の標準偏差を加えてカットオフ値としてMFA法にて抗C. pneumoniae (17例), 抗 C. trachomatis (9例), 抗 C. psittaci (4例) 陽性血清のIgG (200倍希釈), IgA (20倍希釈) に対する本法の検出率をみた. その結果, 抗C. pneumoniae血清で IgG 88%, IgA 100%, 抗C. trachomatisで89%, 78%, 抗C. psittaciで50%, 50%の一致率を得た. 抗C. psittaciで多少の共通抗原性, 例数が少ないため不一致が認められるが, 抗体保有者数が多いC. pneumoniaeとの交叉は低く, 本キットの有用性が示唆された.
  • 田野 吉彦, 松島 敏春, 中村 淳一, 矢野 達俊
    1992 年 66 巻 5 号 p. 592-598
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    安定した長期気管切開患者9例を対象に, 1990年1月から1990年12月までの1年間, 2週間毎定期的に咽頭ぬぐい液 (TS) と気管切開部位からの吸引疾 (TSTA) を同時細菌培養をおこなった. TSとTSTAの検査回数は各々延べ200回であった. 1回平均分離株数はTS2.9株, TSTA 1.8株であった. 細菌の分離頻度はTSでα-Streptococcus 84.8%, Neisseria 69%が主であったのに対して, TSTAではPseudomonas seruginosa 53.5%, Serratia marcescms30%が主であった. これらの菌の上気道との同時分離率は約20%に過ぎなかった. 9例中8例にPmruginossが下気道に常時または長期定着して認められた. 調査期間中に6例, 延べ14回の感染エピソードがあった. 推定起炎菌はP. seruginosa7回が最も多かった. 長期気管切開患者では, P.seruginosaが下気道に定着し, 感染時の起炎菌となりやすいと思われた.
  • 堀内 善信, 戸田 眞佐子, 大久保 幸枝, 原 征彦, 島村 忠勝
    1992 年 66 巻 5 号 p. 599-605
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    茶およびカテキンの百日咳に対する感染防御の可能性を, 百日咳菌に対する殺菌活性, 菌の培養細胞への付着に対する抑制作用および百日咳毒素のリンパ球増多 (Lymphocytosis promoting, LP) 活性に対する不活化作用を指標として検討した.殺菌活性については, いずれも濃度依存的であり, 緑茶, 紅茶およびコーヒーは, それぞれ常用飲用濃度 (5%) で, 百日咳菌に対して強い殺菌活性を示した.プアール茶も比較的弱いながら殺菌活性を示した. (-) エピガロカテキンガレート (EGCg) およびテアフラビンジガレート (TF3) の殺菌活性は強く, 1mg/mlで24時間以内に百日咳菌を完全に殺菌した.HeLa細胞およびCHO細胞への百日咳菌の付着能に対する抑制作用を検討したところ, EGCgやTF3は全く抑制を示さなかった.これに対し, 緑茶および紅茶は, 培養細胞への菌の付着を強く抑制した.百日咳毒素のLP活性不活化作用は, 細胞への百日咳菌の付着抑制とは逆で, 1%で緑茶が全く作用を示さず, また紅茶でもわずかな不活化作用しか示さなかった.一方, EGCgおよびTF3は100μg/mlで強い不活化作用を示し, なかでもTF3の不活化作用は顕著であった.以上の結果から茶, EGCgおよびTF3には百日咳防御に関して, 興味ある活性のあることが示された.
  • 帖佐 浩, 戸田 眞佐子, 大久保 幸枝, 原 征彦, 島村 忠勝
    1992 年 66 巻 5 号 p. 606-611
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    mycoplasmaに対する茶エキスおよびカテキンの抗菌・殺菌作用を検討した.緑茶エキスおよび紅茶エキスはMycoplasma pneumoniaeに対して, 抗菌作用を示した.緑茶エキスおよび紅茶エキスはM.pneumoniaeM. oraleに対して顕著な殺菌作用を示した.2%紅茶エキスはM. salioariumに対しても殺菌作用を示したが, 緑茶エキスのM. salivariumに対する殺菌作用は弱かった.プアール茶エキスの三菌種に対する殺菌作用は弱かった.緑茶から精製した (-) エピガロカテキンガレート (EGCg) および紅茶から精製したテアフラビンジガレート (TF3) は三菌種に対して殺菌作用を示し, M. pneumoniaeに対しては特に強い殺菌作用を示した.以上の結果, 茶およびカテキンは殺マイコプラズマ作用を有することが明らかになった.
  • 中澤 信八, 森 健, 日比谷 一郎, 小栗 豊子
    1992 年 66 巻 5 号 p. 612-619
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1986年から1990年までの5年間に, 経静脈高カロリー栄養 (IVH) のため挿入されたカテーテルからの採血を含め, 動・静脈血液培養で, 真菌が検出された症例84例について検討した.検出真菌はCandida albicansを単独に検出したものが39.3%, C.parapsilosis単独が20.2%, C.tropicalis単独が11.9%, C.glabrataが10.7%, C.guilliermondiiが4.8%, Trichosporon beigeliiが4.8%の順であった.84例中男性が59例, 女性25例で, 男性に多く認められたが, 死亡例は46例で, 死亡率 (54.8%) には検出真菌および男女差が認められなかった.全ての症例に基礎疾患があり, 24例に剖検が行われ, 8例に真菌性病変が認められたが, そのうち肺クリプトコックス症の1例と肺ペニシリウム症1例は, 血中から培養された真菌とは関連が認められなかった.しかしT.beigelii検出例4例では2例が死亡し, 共に真菌病変が認められた.今後注目すべきであろう.血液培養で真菌を検出後, 無処置の場合は72.7%が死亡しており, しかも剖検で深在性真菌症を認め, 血液培養で検出された真菌と関連ありと考えられたものが6例存在した.一方カテーテル抜去のみを行った場合, 死亡率は41.7%に減少していた.また真菌性眼内炎を6例に認めた.従って血液培養で真菌を検出した場合, 先ずカテーテルを抜去し, 繰り返し眼内炎の有無を検索すべきであろう.抜去後も解熱しない場合は, 早急に治療を開始すべきである.
  • 和田 光一, 鈴木 紀夫, 川島 崇, 塚田 弘樹, 尾崎 京子, 荒川 正昭
    1992 年 66 巻 5 号 p. 620-627
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1976年より1990年までの最近15年間に, 新潟大学医学部附属病院第二内科で取り扱った208例の菌血症 (単独菌例182例, 複数菌例26例) について, 臨床的に検討した.1981年以降, 菌血症は明らかに増加し, 起炎菌もStaphylococcus aureusを初めとするグラム陽性菌の頻度が, 陰性菌の2.6倍となっている.これらの原因は, 血管留置カテーテルの増加による要因が大きいと考えられた.臨床背景では, 院外で発症した菌血症は18例 (8.7%) のみであり, これらの症例は院内発症の例より, 予後は良好であった.Focusは, カテーテル, 皮膚および軟部組織の頻度が高かった.全体の予後は, 144例 (69.2%) が除菌され, 年度別および年齢別では, 有意差は認めなかった.基礎疾患に白血病および血液疾患, 悪性腫瘍例を有する症例, 肺炎を合併している症例では, 予後が不良であった.起炎菌別の検討では, methicillin resistant S.aureusPsudomonas aeruginosaの予後が不良であった.死亡例における生存日数は, 平均5.1日で, 3日以内に40例 (62.5%) が死亡しており, 特にP.aeruginosa菌血症の生存日数が短かった.検査所見では, 白血球数10,000/mm3以上の症例が38.3%, 1,000/mm>3未満の症例が25.3%であったが, 除菌率で両群に有意な差は認めなかった.CRP8.5mg/dl以上の症例は63.5%で, CRPの低い群に比較して, 除菌率は有意に低かった.血清ビリルビン値と除菌率は, 有意に反比例していた.以上の検討より, 菌血症においては, 起炎菌判明後の治療では手遅れのことも多く, empiric therapyが重要であると考えられる.
  • 福山 正文, 川上 久美子, 今川 八束, 伊藤 武, 原 元宣, 田淵 清
    1992 年 66 巻 5 号 p. 628-631
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    東京都立の4病院の下痢症患者から分離された運動性Aeromonas102株についてファージ型別を行ったところ, 以下の成績を得た.
    1) 供試した102株中52株 (51.0%) が28のファージ型に型別されたが, 既に著者らが行った自然環境由来株21.7%, 食肉由来株25.0%に比べ高率であった.菌種別では, A.hydrophilaは62株中33株 (53.2%), A.sobriaは35株中16株 (45.7%), A.caviaeは4株中2株 (50.0%), Aeromonas spp.は1株中1株 (100.0%) が型別された.
    2) ファージ型別された52株の内, 1群に型別されたものが16株 (30.8%) と最も多く, 続いて1/III群に5株 (9.6%), 1/II群, 1/II/V群, IV群, V群及びVI群に各々2株 (3.4%) が該当していた.残りの21株はそれぞれの各群に1株 (1.9%) つつ型別された.また, 型別された中で, 35株 (67.3%) が1群と1群を含む複数の組み合わせのものに該当し, 下痢症由来株の34.0%が1群と関連していることが明らかとなった.
  • 山崎 勉
    1992 年 66 巻 5 号 p. 632-636
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    本邦小児より分離されたChlamydia pneumoniae (C. pneumoniae), AC-43株の性状につき検討した.AC-43株の封入体はC.pneumoniae特異モノクローナル抗体を用いた間接蛍光抗体法にて染色され, C.pneumoniaeに特徴的とされる密な卵型を呈した.電顕ではminiature bodyを含むperiplasmic spaceの広い西洋梨状のElementary body (EB) が観察され, これまでのC. pneumoniaeの電顕所見と合致した.AC-43株のEBを精製し, これを免疫源としてエチレングリコールを用いた細胞融合法にて, C.pneumoniae特異モノクローナル抗体を作製した.得られたクローンの培養上清を用いて, AC-43株および米国より分離されたC.pneumoniae株であるAR-39を抗原としてmicro-immunofluorescence (micro-IF) 法を施行したところ各抗原に対してほぼ同じ抗体価を示したが, Chlamydia trachomatis, Chlamydia psitiaciには反応しなかった.AR-39およびTW-183株 (C. pneumoniae) を用いて作製したモノクローナル抗体は, micro-IF法にてAR-39およびAC43株に同じ反応を示した.AC-43株は, 形態学的所見やmicro.IF法における反応性において, 他のC. pneumoniae分離株と明らかな違いはみられなかった.
  • 金本 康生, 坂野 堯
    1992 年 66 巻 5 号 p. 637-642
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    急性気管支炎の患者 (15歳男子) の咽頭スワブからHeLa細胞とHL細胞を用い, Chlamydia pneumoniaeが分離された.この患者の急性期血清中には, microimmunofluorescence (MIF) 法によってC.pneumoniaeに対する抗体価160倍のIgM抗体が検出された.また, 急性期, 回復期両血清にはそれぞれ抗体価40倍, 160倍のIgG抗体が検出され, 4倍の上昇が認められた.これらの結果は, 本症例がC.pneumoniaeの感染による急性気管支炎であった可能性を強く示唆しているものと思われる.
  • 岡野 昌彦, 柴田 昌雄, 佐藤 篤彦
    1992 年 66 巻 5 号 p. 643-647
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A 75-year-old female was admitted to our hospital with complaints of fever, cough and left hypochondralgia. She had been operated for cholecystectomy ten years ago.
    Chest roentgenogram indicated bilateral pleural effusion. Tube drainage was done to the left thorax and empyema was caused by Bacteroides fragilis and Escherichia coli (E. coli). Though antibiotic therapy was already being conducted, the left hypochondralgia persisted.
    A CT scan and MRI demonstrated local subphrenic abscess around the spleen due to E. coli. Tube drainage was conducted to the subphrenic abscess under ultrasound control and the symptoms disappeared rapidly.
    The present results show that examination of the abdomen is necessary for empyema with complication of compromised host. The past history of abdominal surgery and disturbance in the biliary tract should also be considered.
  • 増本 英男, 須山 尚史, 荒木 潤, 浅井 貞宏, 古賀 宏延, 河野 茂, 原 耕平
    1992 年 66 巻 5 号 p. 648-652
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Life threatening mediastinitis as a complication of acute epiglottitis is very rare. A 38-year-old male in previously good health was admitted to our hospital in a state of unconsciousness. Seven days prior to admission he had complained of a sore throat, dysphagia, high fever and dyspnea. A chest X-ray on admission showed widening of the mediastinum, mediastinal emphysema, subcutaneous emphysema and left pleural effusion. Bronchoscopy showed the swelling of supraglottic structures. He was diagnosed as having acute mediastinitis and pyothorax as a complication of acute epiglottitis, but pathogens were not identified. The blood was hyperglycemic and insulin therapy was started. Though he gradually improved by massive antibiotic therapy, steroid therapy, tracheotomy and surgical drainage of both the left thoracic cavity and the mediastinum, he died suddenly of massive hemoptysis. Autopsy revealed that the acute mediastinitis had healed, but that the Aspergillus infection was present in both lungs and the pericardium. The Aspergillus infection was not lethal in the present case, and it seemed that death had resulted from arterial hemorrhage caused by erosion of the trachea. The present case suggests the need for antifungal therapy even in non-immunocompromised patients in particular when massive doses of antibiotics and steroids are administered.
  • 坂口 美佳, 板垣 信生, 船内 正憲, 長谷川 廣文, 入交 清博, 堀内 篤, 大場 康寛
    1992 年 66 巻 5 号 p. 653-656
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A case of Vibrio cholerae non-O1 septicemia is described in this paper. A 45-year-old male with a three year history of liver cirrhosis, was admitted to our division with hematemesis, abdominal pain, high fever and a loss of consciousness. Three days before onset of symptoms, he traveled to Ishigaki Island and ate a raw lobster. Two days after, his temperature rose to 39.7°C and the blood pressure dropped to 36/-mmHg. By endoscopic examination, an ulcer was found in the stomach, and the bleeding was stopped by electorical coagulation. Blood culture showed growth of V. cholerae non-O1. The organism was found to be sensitive to OFLX, CZX, MINO, LMOX and CP. Although DIC, infections of fungus and MRSA occurred as complications, he recovered by adequate procedures. Subsequently, he left this division after eight weeks. There are various reports related to V. cholerae non-01 septicemia in foreign countries, but few cases have been reported in Japan. And these cases had severe underlying diseases such as leukemia and liver cirrhosis.
  • 芦谷 淳一, 道津 安正, 谷口 治子, 伊井 敏彦, 松倉 茂
    1992 年 66 巻 5 号 p. 657-658
    発行日: 1992/05/20
    公開日: 2011/09/07
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