現在の大量生産・大量消費・大量廃棄の社会経済システムは, 私たち人類に便利で快適な暮らしを提供したが, 一方で, 自然環境に多大な負荷を与え, そのため社会経済システムと自然環境のバランスが崩れ, このままでは人類の生存そのものが脅かされる可能性さえ出てきている。
私たちは, このような大量生産, 大量消費, 大量廃棄の20世紀型の社会経済システムを, 「最適生産・最適消費・最小廃棄」の社会である持続可能な循環型社会へと造り替えていかなければならない。
このような持続可能な循環型社会の構築に向けては, 事業者, 消費者, 行政等, 全ての主体が自主的, 積極的な環境への取り組みを行っていく必要があるが, 特に社会経済活動の主要な部分を占める事業者は, 規模や業種を問わず, とりわけ積極的な取り組みが期待されている。
大手企業においては, ISO 14001の認証取得など積極的な環境への取り組みが行われてはいるものの, 中小事業者等においては, 生産活動が主で, 環境への取り組みは費用面, 人員の面からも経済的負担が大きく, なかなか進まない状況にあると考える。しかしながら, 昨今, 環境配慮を取引の条件とするケースが増えつつあり, 今後, 環境経営マネジメントに取り組まない事業者は取り残される可能性があるため, 積極的に環境配慮に取り組むことが望まれる。
以上の点を踏まえ, 紙パルプ産業における現状と課題を認識するとともに, 社会経済活動において枢要な部分を占める中小事業者等において, 環境への取り組みの普及促進を図るべく, エコアクション21の特徴とその取り組み方法等について述べる。
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