紙パ技協誌
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61 巻, 9 号
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総説・資料
  • 内河 英臣
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1041-1046
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    ストラエンソ社のカベル工場(ドイツ南部)の5号コータは1980年から稼動されている。その後ブレード付のアプリケータロールコータは増速をするために2段階で改修された。1994年にプレコータにスピードコータを装備され,2001年にはさらにトップコート用のアプリケータロールコータに2台のジェットフローが装備された。この一連の改修工程の中で2005年2月9日に既設の品質管理システムを最新のシステムに更新することとなった。当時CDプロファイルは手動で制御されていた。この改修は,最新技術の導入目的だけでなく,グラビア印刷の需要増大やロール幅の拡大傾向に対応するためのものでもあった。
    カベル工場のプロジェクトは,システマチックなプロセス解析の手法と組み合わせたフォイトペーパー社の品質管理システム(OnQシステム)がもたらす技術的な利益の一例を示すものである。
    本報告は使用者側の観点から品質管理システムの改良の必要性と,かつFFT(Fast Fourier Transformation)解析に重点をおいたフォイトペーパー社のプロセス解析の手法を解説するものでもある。同時に,使用されるセンサの技術的特徴を説明し,製品上で得られる利益を言及することとする。最後にこのプロジェクトの成果を示すこととする。
  • ―MAXFlow及びNew GranFlowの紹介―
    青嶋 和男
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1047-1055
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    近年環境保護対策が叫ばれている中,原油高騰も重なり,わが国の紙パルプ業界では省エネルギーが大きな課題となっている。古紙処理工程は特に大きな動力を使用している機器が多く,パルパー工程,叩解工程などで消費されるエネルギーは非常に大きい。使用電動機も大きいことから先ず始めにこれらの機器が省エネルギーの対象となり開発,弊社でも既にこれらの実機を開発,納入し省エネルギーを達成してきている。しかし板紙処理工程及び脱墨工程で使用されているスクリーン工程でも使用機器台数も多く,各機器も大きな動力を消費していることから改善を望まれる工程の一つである。そこで究極の省エネルギー達成を目標にあらゆる角度からスクリーンを見直し開発を行った結果,アウトワード型スクリーンであるMAXFlowとインワード型スクリーンであるNew GranFlowを完成できた。これらスクリーンを使用して機器本体の省エネルギーを達成できるのは勿論のこと,古紙処理工程全体を見直しラインの簡素かも含めて大きな消費電力の削減が実行できた。
    本稿ではスクリーン各部分の開発手順と結果を紹介し,完成した新しいスクリーンの特徴及び実績に関して紹介する。
  •  
    ヨウニ マトラ, 江島 顕
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1056-1060
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    Wetend Technologies 社はヘッドボックス間近で薬品をミキシングするシステムの開発に近年来取り組んでいる。循環原料ラインを使用した高速ジェットによる,新しい高効率薬品ミキシングシステム‘トランプジェット™’では薬品ミキシングに使用される2次希釈水使用量の削減が行える。2次希釈水の温水化熱源の減少によりCO2排出量もケース・バイ・ケースで削減できる。ミキシング時のせん断力を最小化し,高いミキシング能力により,薬品効果を最大限に引き出し,薬品使用量を適正化できる。
    本稿では環境負荷軽減へも貢献できる‘トランプジェット™’システム概要と使用実例について紹介する。
  • 松下 淳
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1061-1064
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    製紙工程中の枠換えでは,枠換え効率の向上や収益に直接寄与する損紙の低減が叫ばれている。弊社が取り扱うカナダ,パプリマ社の全自動枠換え装置(商品名「リールジェット」及び「リールジェットS」)は,高圧水(1,100~1,500bar/20~25cc)を使用してシートセンターでテールあるいはテールチップを2本のウォータージェット・ノズルで切り出し,テールあるいはテールチップが新スプールに巻き取られると同時にそれらを高速(2~10m/秒)でシート全幅方向に展開し,巻ムラの無いスムーズで滑らかな枠換えを実現している。この枠換え装置により,ユーザーは枠換え効率の向上はもとより,枠換え時の損紙を著しく低減して利益として回収できるため,短期間での設備コストの償却が可能となっている。本装置を採用した欧米の顧客からは,その確実な枠換えパーフォーマンスに,そして著しい損紙削減率と生産性の向上に絶賛を頂いている。
    現在,欧州,米国,中国を中心に実績を伸ばしここ一年間で22台(2007年6月現在合計42台,日本国内実績を含む)と実績を伸長する枠換え装置の概要を紹介する。
  • マンタイン ファン レウベン
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1065-1069
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    紙塗工分野に利用するための新たな多分枝状ポリマーが,TopBraneの商標名でDSM社により商品化され,日本では,東永産業(株)が販売展開を行っている。
    TopBraneの多分枝状構造は,塗工液の低粘度化を可能にし,そのユニークな機能により,紙の品質性能向上,操業性の改善と共に経済効果にも貢献することができる。例えば,紙塗工処方に澱粉をより多く効率的に使用することができたり,ミスティング,パイリングおよびスピッティングなどの操業上の問題もなく,コート重量を増やすことが可能となる。
    更には,塗工用化学薬品(バインダーおよび添加物)のコストの削減も達成した。
  • 黒崎 篤
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1070-1072
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    コグネックス社は欠陥検査システム「SmartView®(スマート・ビュー)」に搭載される新しい欠陥分類ソフトウェア「SmartLearn®(スマート・ラーン)」を開発した。「スマート・ラーン」は (1) マルチ・ステップ(階層的に)に欠陥を判定,(2) 欠陥データ(実績)を用いて学習する―という2つの機能を持ち,欠陥分類(判定)の精度を大きく向上させることができる。また,学習型の欠陥分類エンジンでは,従来の分類テーブル(欠陥画像の特徴量の範囲を設定する方法)だけでなく,統計的な手法(特徴量の信頼度を計算する方法)などを用いることができ,さまざまなアプリケーションに対して,最適な欠陥分類(判定)を提供することができる。
  • 安部 裕人, 大原 健太郎
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1073-1078
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    近年,京都議定書の発効や改正省エネ法の施行により,あらゆる分野における徹底した省エネルギーとCO2排出量の削減が求められている中,エネルギーの有効利用をテーマに,弊社のエネルギーナビゲーションシステムEnemapの機能についてご紹介する。
    Enemapは以下の4つの機能を持つパッケージとなっている。
    (1)電力,蒸気,冷水/温水などの未来の需要量を予測する「需要負荷予測機能」
    (2)予測した需要量を満たすために必要な設備の運転計画を燃料のコスト削減や環境負荷低減を目的として導出する「最適運転計画機能」
    (3)長期間の運転データを基に運転効率などの傾向を分析し,設備のコンディションを診断する「設備傾向分析機能」
    (4)豊富な帳票フォーマットを提供する「管理帳票機能」
    これらの4つの機能をそれぞれご紹介し,また製紙工場の原動力設備へ最適運転計画機能を適用した場合の応用の考察をご紹介する。
  • ―JFE―フェルント式木質バイオマスガス化発電プラントの製紙産業への適用―
    小俣 孝二, 西村 宏平
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1079-1084
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    近年,バイオマスはそれが持つ「自然循環による再生可能資源」「カーボンニュートラル」といった特性によって,地球温暖化防止,循環型社会形成に有効であることから注目されている。産業界においてもCO2削減及び化石燃料代替エネルギーの利用はますます重要な課題となっていることは周知のとおりである。
    本稿では当社のバイオマス利用の取り組みの一例として,木質バイオマスを利活用し,バイオマス燃料を生成するJFE―フェルント式ガス化プラントについて紹介する。
    本プラントでは,高含水率の木屑でも乾燥工程を経ることなく直接投入できる特徴をもつ円筒竪型アップドラフト式のガス化炉を用い,木質バイオマスから燃料として有用な生成ガス・重質タールを回収することが可能である。
    これらのバイオマス燃料を利用することにより,化石燃料代替及びCO2排出削減効果が期待できる。また,専用の設備を新たに設置することなく,既設の重油ボイラ・黒液ボイラ・ディーゼルエンジン等の様々なシステムで利用できる可能性がある。
  • 菊地 英雄
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1085-1090
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    メッツォオートメーションは,50年以上の紙パルプ濃度測定の経験と製品供給を行ってきた歴史がある。紙パルプ工場では,数多くの回転式濃度計が利用され,オフライン型・オンライン測定型濃度測定装置が設置され新旧が交差した製品サポート及び保守が行われている。また,メッツォオートメーションより供給しているブレード式,マイクロ波式,光学式濃度計に加え新たに開発された回転式濃度計は,他の濃度計製品ではプロセスコンディションの特性によって採用できない測定場所で測定可能な製品であり,測定原理も代表的な濃度計である。
    これらの状況を踏まえメッツォオートメーションでは,最新型回転式濃度計として従来品にはない機能強化(デジタル処理機能/通信機能)を取り入れた製品を発表した。この製品機能を利用し,効率的なサービス及びトラブル原因の推察に利用する事も可能である。 代表的な濃度測定装置に新機能が組み込まれ,次世代濃度計として開発された。製品機能及び仕様について紹介する。
  • ―ニューパックセーバー―
    村田 敦男
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1091-1094
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    当社は長年培ってきた油圧技術及び制御技術を駆使し,現場のニーズをよく見聞きし,図面化し製品化し実用化し商品化に結びつける開発型企業である。当社の商品開発の前提は,環境を害さない・作業者の苦役を取り除く・省力化等で会社の利益に貢献する事を最低条件とし,装置を製作している。
    現在,多くの工場の仕上げ工程では,包装前工程の平判の給紙作業を手作業で行っている。これには既存設備との接続に関する技術的問題及び全自動システムへの設備投資額が過大であることに要因がある。現場ではもともと包装機のメンテナンス等の作業員が随時必要であり,給紙作業以外の問題でも完全無人化が不可能な工程である。本装置2台の導入により,これまでの2ラインでの2人作業を2ラインでの1人作業に変更可能であり,あらゆる点を考慮すれば,本装置は設備投資額の負担が少なく,作業者の単純肉体労働による苦役をなくし,省力化と生産性向上に大いに貢献できる装置である。
  • 張替 康夫
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1095-1100
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    マースデン=ガス赤外線ドライヤーは20年以上前から販売され現在に至っている。弊社は当初からマースデンの発熱ボード(エミッター)を取り扱い,国内にてシステムを組み,市場に供給してきた。
    マースデンの特徴は発熱体そのものにある。特殊セラミックファイバーマットにより形成されたエミッターは特にユニークである。着火後5秒で最高発熱温度に達し,消火後4秒で常温に戻る。つまりその常温でエミッターに手で触れることができるのである。また,このエミッターの最大の特徴は,ガス=赤外線熱変換効率が高いことでありランニングコストの大幅な削減をもたらす。この特徴は各方面で立証テストが行われ,またこれまでの実機での結果から,その評価は揺ぎない。この性能をもって,幅方向の一定過熱,またはソーン分割にてプロファイル制御の変調加熱が可能である。使用ガスの種類もLPG,LNG,その他,幅広く対応できる。発熱時に発生するNOXも低い値を示している。
    近年,環境保全,省エネルギー対策が叫ばれる中,この赤外線ヒーターはそのニーズに適合した費用対効果の高い機器と言える。
研究報文
  • ―アルカリ前処理としてのソーダ蒸解条件の検討ー
    池田 努, 杉元 倫子, 野尻 昌信, 真柄 謙吾, 細谷 修二, 島田 謹爾
    2007 年 61 巻 9 号 p. 1102-1111
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/06/25
    ジャーナル フリー
    木質系バイオマスからバイオエタノールを生産するための糖化に関する研究は数多く発表されており,この中の一つである硫酸を用いた糖化法を採用したプラントが国内でも稼働している。しかし我々は,より低コストでかつ大量生産に向いた新たなバイオエタノール生産法の開発を目指し,アルカリ蒸解によるパルプ化(アルカリ前処理)を行った後,酵素糖化と発酵(同時糖化発酵)を行う手法を提案してきた。本研究では,アルカリ前処理としてアルカリ蒸解の一種であるソーダ蒸解を行う場合の,最適な蒸解条件を明らかにすることを目的とした。スギでは,ソーダ蒸解後に得られたパルプに含まれるクラーソンリグニン量と,パルプの酵素処理により可溶化した部分の割合を示す可溶化率との間に相関関係がみられ,クラーソンリグニン量の減少に伴い可溶化率は上昇した。この場合,パルプ中のリグニン量をゼロにしなくても可溶化率はほぼ100%に達した。バイオエタノール生産のためのアルカリ前処理としてソーダ蒸解を行う場合,スギでは,AQを添加しHF3000程度で行う条件が,最適な条件であると考えられた。ユーカリはスギに比べソーダ蒸解によるリグニン除去が容易であり,スギよりも低温かつ短時間の蒸解で,高い可溶化率を達成することが可能であった。しかし短時間の蒸解では,可溶化率は高かったが粕率も高かったために,極端に短時間な蒸解は,可溶化率が高くても好ましくないと考えられた。バイオエタノール生産のためのアルカリ前処理としてソーダ蒸解を行う場合,ユーカリでは,AQを添加しHF350程度で行う条件が,最適な条件であると考えられた。スギ,ユーカリともに,AQを添加してソーダ蒸解を行うことにより,蒸解時間を短縮しかつパルプ収率の増加を達成することが可能であった。
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