紙パ技協誌
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70 巻, 2 号
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総説・資料
  • 安田 圭児, 藤田 和巳
    2016 年 70 巻 2 号 p. 101-110
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,大きな問題となっている原料古紙の品質低下に対し,製品品質を維持,改善するために,省エネルギーで歩留の良い原料調成機器,及び方法の必要性が増している時代である。これらの問題解消に寄与する最新の設計技術,製造技術を駆使し開発された新製品のコンセプト,構造原理,導入事例等を紹介させて頂く。
    具体的には最高レベルの省エネルギーローターと独自の発想の高離解効率ストレーナーを組合せた最新式パルパー・MaxiPulper,原料歩留を向上させ効率よく異物を排出する粗選リジェクトスクリーン・MaxiTrasher &MaxiSeparator,スリットの精度が突出したMaxiBasketと殆ど全てのOutwardスクリーンで大幅な省エネルギーを実現するGHC2ローター,非常に低動力で繊維強度を最大限に発現することを目的に開発された最新式叩解機・MaxiFinerと叩解刃物ライフタイムの改善をもたらすMaxiCoat Finebar技術,安定した抄紙効率と高い製品品質をバックアップするオンマシン洗浄装置ラインナップからフォーミングワイヤー洗浄装置・FF Cleaner,高い搾水性と安定した水分プロファイルを確保するAirSet・水切りドクター,COLDWATER・ディッケルシールなどである。
    パルパーからオンマシン設備まで多彩な内容であるが,これらの設備・技術が,日々多様化し,品質レベルが低下している原料を,少ないエネルギーで高い品質の製品に仕上げると言った困難な要求に応えるべく日々努力されている製紙工場の皆様に,微力なりとも貢献できれば幸いと考える。
  • 大髙 成裕
    2016 年 70 巻 2 号 p. 111-115
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,製紙業界では古紙リサイクルの上昇による原料の低廉化,薬品添加量の増大,回収水使用率の上昇,抄紙機の高速化などにより抄紙用具としてフェルトやキャンバスの汚れが益々増える傾向にある。この汚れをいかに洗浄するかで抄造効率に大きく影響する事になる。
    フェルト洗浄に関しては,洗浄に用いられる洗浄用薬品や洗剤の使用が発泡やサイズ度低下や排水処理費の発生に繋がる。
    従来の理想的な洗浄方法とは,洗浄シャワー高圧または中圧シャワー,ウエッティングシャワー,及びサクションボックスまたはスクイズロールで構成されている。しかし,高圧または中圧シャワーでは,フェルト表面が毛羽立ちを起こし,摩耗が促進されてしまい期待する洗浄効果が得られない。また,スクイズロールで脱水される場合は,厚みの減少や目詰りにより通気度の低下となる。このように従来の洗浄方法では,フェルトコンディションの維持やフェルトライフの延長は非常に難しい問題である。
    従来のこの様な洗浄では,フェルトが潰れて脱毛が多いため,フェルトがいつも硬くなり,ソフトな紙を抄出すことが出来なくなる。弊社では,これらの問題に対応できる技術と従来の洗浄方法とは異なるフェルト洗浄装置として,シャワーロールを開発した。
    シャワーロールの「揉む」「叩く」「掻き落とす」と言う揉み洗い作用で,フェルトをソフトに洗浄する。フェルトの脱毛を防ぎ,洗浄薬品や洗浄水の使用量を減らして,「いつもソフトな用具で操業する」これがシャワーロールのモットーである。本稿では,シャワーロールの機械の特徴と操業実績を御紹介する。
  • 古賀 英次
    2016 年 70 巻 2 号 p. 116-121
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    製紙工程に付着する異物「デポジット」は,断紙,欠点など紙の生産性や品質安定性に極めて重大な問題を引き起こす。デポジット問題への対策として,連続的な様々な抑制方法が開発されているが,問題の解決には至っていないというのが現状である。
    我々は,問題の根本であるデポジットを,シャットダウン時に適切な方法で強化洗浄する事が,デポジット問題を解決する上で重要であると考えている。近年の製紙工程では,様々な技術の導入によって,工程内に付着するデポジットの内容が質,量ともに変化しており,工程洗浄剤やその使用方法も,その変化に合わせて最適化していく必要がある。しかしながら,多くの製紙工程では,苛性洗浄などの従前どおり行われている洗浄方法が,旧態依然として,その有効性の検証も行われないままに継続されている節が見受けられる。
    本稿では,これまでに弊社が培ってきた経験を元に,様々な工程内の強化洗浄方法と,デポジット問題の解決事例の一部を紹介する。
  • マーク カオ, ステファン メナード, 波多野 正信
    2016 年 70 巻 2 号 p. 122-127
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    本来,包装用板紙抄紙は特にライナーと中芯では歩留り剤として硫酸バンドとロジンサイズを使う酸性システムとなっている。しかし現在,ライナーや中芯はロジンサイズからAKDまたはASAへと変わってきている。これはウェットエンドシステムを酸性から中性へ変更しなければならないことを意味している。この課題を解決するためには多くの問題に直面し,その解決方法を検討する必要がある。なぜ古紙原料板紙製造は世界的に酸性から中性へ変化しているのか?酸性から中性へシステムを移行するとき変更しなければならない必要な点は何か?古紙原料板紙製造において歩留り,中性サイズコントロールをどの様に実現するのか?
    中性板紙製造のポイントは再生古紙の中の炭酸カルシウムが増えると,古紙原料板紙システムが酸性から中性へと変化する傾向に選択の余地はない。もし酸性から中性へ抄紙マシンを変更すれば多くの利点があり製造コストの削減にもつながる。その上,ロジンの高い原料コストと予期しない供給サポート問題の点からも,酸性から中性への抄紙システム変更が求められる。2剤併用液体歩留プログラムは歩留り,濾水および強度特性のバランスを取りつつ,コスト削減と操業性向上を実現する。
    次に酸性ロジンサイズから中性サイズにサイジングシステムを変更することである。ほとんどの中性サイジングシステムでは,AKDまたはASAのいずれかが使用されているが,どちらを使ってもいくつかの欠点がある。AKDを使うと紙のスリップ問題が起き,またAKD加水分解物によるプレスロールやセンターロールでの異物問題がある。ASAのスリップ問題は少ないが,粘着性異物はASA加水分解物による問題の一つであり。そのために硫酸バンドを再使用しなくてはならなくなり,硫酸バンドのリスクを完全に排除することができなくなる。
    異物とスリップ性を改良した新しい技術として製紙工場の現場でエマルジョン化する液状AKDの利用があり,スリップ問題を低減し,粘着性異物を無くし,異物も少なくするが加水分解した時点でまだ液状だからである。液体AKDは速やかなキュアリング速度での綺麗なサイズを実現するので,システムに硫酸バンドは必要なく,キュアリング度はリワインダー後で通常90%を達成する。また液体AKDはソレニス社の独占技術であり,紙のスリップ問題とデポジットを減らしシステムをクリーンにする技術である。
  • 河村 宅哉, 糸瀬 龍次, 増田 和香子, 横田 健一郎
    2016 年 70 巻 2 号 p. 128-133
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    ロジン系サイズ剤は,世界各国にて使用されている主要な製紙用薬品の一つである。また原料となるロジン(松やに)は,中国,北南米,欧州を中心に生産されており,日本ではハリマ化成グループが国内で唯一トールロジンを製造している。
    このロジン系サイズ剤と硫酸バンド(Alum)とを組み合わせたサイジングシステムは,酸性から弱酸性領域での抄紙条件において効率良く紙へサイズ性を付与することができる。しかし近年では,古紙配合率の増加による抄紙pHの上昇や,抄紙系のクローズド化による電気伝導度の上昇により,Alumを介したサイズ性付与が困難になってきている。一方,現在,食品接触物の安全性確保から,食品に接触する紙や板紙に使用される薬品に対して,各国では規制が取り纏められつつある。北米では,米国食品医薬品局(FDA,Food & Drug Administration)の認証品を要求されることが一般的であり,日本でも日本製紙連合会が中心となり,パルプ及び抄紙工程で使用する化学物質の管理体制の整備を進めている。
    このような状況の中,弊社では,これまでのサイズ効果,機械安定性および発泡性の特性を保持させ,且つ,FDA認証品となるアニオン性の新規ロジン系エマルションサイズ剤を開発した。さらに,これまで検討してきたロジン系エマルションサイズ剤のサイズ発現機構の知見を基にして,効率的なパルプ繊維へのサイズ剤成分の定着や,サイズ発現に重要と考えられるアルミニウムロジネートの形成を促進できる手法を検討した。その結果,新たな薬品添加システム“Co―mingle™”法を開発した。今後,新規ロジン系エマルションサイズ剤と“Co―mingle™”法の適用にて,紙・板紙の安全性と薬品コストの低減に貢献していく。
  • 植椙 尚明
    2016 年 70 巻 2 号 p. 134-140
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    当社は,スウェーデン国コアリンク社と1991年よりコア関連設備について技術提携を行っており,弊社にて国産化している。
    コアリンク社は過去数十年に亘りその革新的な技術で製紙業界での生産性の向上や豊富な経験から顧客の要望に応じたカスタマイズにより省力化設備,経費節減を可能にしており,50カ国以上の国・数百以上の工場これらの設備を納入している。更なる信頼向上・ロジスティック・人間工学・環境持続性とコストの有効性を改善するため,市場の要望に応えるべく開発を行っている。
    本稿では,国産化1号機として納入した全自動コアカッター「メタルキャップ装着装置付」を紹介する。
  • タイフン オズバキ, 小屋 明彦
    2016 年 70 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    今日の経済状況及び成熟したマーケット環境下においては,既設設備の生産性/収益性を高めることが重要になっている。特に仕上げ部門においては,機械導入当初のままの状態で長年使用されている設備も多く制御・ドライブ装置等の電気機器が製造メーカーにおいて廃版となりメンテナンス性が問題となる場合も出て来ている。MarquipWardUnited社はコルゲーター用クロスカッターナイフを源流とし,その後シーターに転用され様々なアプリケーションの経験を経て今日の世界で最も進歩したナイフを作り上げた。すでに世界中で1,800台以上のクロスカッターユニットが納入されその内350台がシーター用である。
    その最大の特徴は,クロスカッターローターの構造にあり外周部のシェルにナイフを取り付け,軽量のシェルのみ水冷式ダイレクトドライブモーターで駆動することにより以下の利点が得られる。
    ① 優れたスピードカーブ
    ② 低消費電力
    ③ 高ナイフロード(最大3,000gsm)
    ④ 機械に取り付けたままでのナイフ研磨
    本稿ではMarquipWardUnited社の最先端クロスカッター技術を設置後20年以上が経過し,経年変化による精度不良,メンテナンスコスト増大等の問題に直面している既設のシーターに導入する技術改善プログラムについて紹介する。
  • 竹中 俊喜, 町野 勝彦
    2016 年 70 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    近年,製紙工場においては温暖化対策,原料コストの高騰から省エネ・省コストの取り組みがこれまで以上に急務とされてきている。また,建設から数十年経過した工場も少なくなく,トラブルによる生産機会損失や補修費用の増加も課題となっている。
    本稿では,ボイラや抄紙機に代表される蒸気システムの省蒸気や安定操業に関する改善を実現する「蒸気システム最適化プログラム(SSOP)」を紹介する。SSOPは「ドレン排出箇所」,「蒸気使用設備」,「工場全体のエネルギー・バランス」の最適化を行う3つのPhaseに分かれている。それらを実行するために,ドレン排出箇所(スチームトラップ,及び周辺機器)からの蒸気ロス,ドレン障害などの問題を視える化・解消し,最適状態を維持する仕組み「ドレン排出箇所管理プログラム(BPSTM)」,スペシャリストが現場を診断する「蒸気システム総合診断(CES Survey)」の2つのプログラムがある。
    SSOPは石油化学業界の事業所では多数の採用実績があり,幾つかの製紙工場においてもすでにBPSTMや装置単位の診断が採用され,評価をいただいている。BPSTMは動力部門を中心にご採用をいただき,ある工場では導入後3年目にはスチームトラップの不良率を約20%から約9%に低下させ,蒸気ロスを4,700t/年削減し,閉塞スチームトラップの問題も解消した。また,診断を採用いただいた工場では,塗工機において排蒸気回収を見直し,1.5倍以上の蒸気回収を行った結果,約4%の蒸気原単位削減につなげ,抄紙機のエアシステムにおいては空気温度の変動やウォーターハンマーに対して原因を特定し,対策を立案することで問題を解消した。
  • ―有圧と無圧のダブルでフラッシュ蒸気を熱回収するシステム及びエアヒータ搭載高効率ガス焚き高圧貫流ボイラ―
    上藤 丈浩, 畑中 宏之
    2016 年 70 巻 2 号 p. 152-156
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    一般に紙パルプ・段ボール工場では間接加熱の蒸気利用比率が高く,負荷機器から排出されたドレンを有圧で回収するクローズドドレン回収が行われているが,負荷機器から排出される際に発生するフラッシュ蒸気を上手く熱回収する事が運転効率を高めるポイントとなる。
    負荷機器から排出されたドレンはスチームトラップを通過する際に減圧されるため,ドレンの一部が蒸発し,ドレン水(液体)とフラッシュ蒸気(気体)が混在した状態で戻るが,クローズド(有圧)とオープン(無圧)のドレンタンク内の飽和状態でない保有水でフラッシュ蒸気を凝縮し熱回収する。フラッシュ蒸気回収制御を搭載したクローズドドレン回収装置に,フラッシュ蒸気回収装置を搭載したオープンドレンタンクを組み合わせたクローズドドレン回収システムは,ダブルでフラッシュ蒸気を熱回収するこれまでに無い画期的なシステムで,特許技術として認定された。
    貫流ボイラは大型ボイラと比較して保有水量が少なく運転効率が高い為,産業用・業務用熱源として主流になっている。貫流ボイラ,およびその多缶設置システムに更新することでシステム効率は向上するが,フラッシュ蒸気としての廃熱を有効活用する熱回収システムは更に高いシステム効率を維持し,大きな省エネルギー効果が期待できる。また,ドレンやフラッシュ蒸気の熱回収で給水温度が上昇すればボイラエコノマイザの熱交換率が低下し排ガス温度が上昇する。クローズドドレン回収条件では業界最高効率となるエアヒータ搭載高効率ガス焚き高圧貫流ボイラで従来捨てられていた廃熱(排ガス)を回収し更なるボイラ効率向上を達成する。
  • ―ローレンツェンアンドベットレー オートラインと実例―
    山崎 光洋
    2016 年 70 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    成熟した製造には,それがどのようなものでも,競争力の維持に持続的な改善が要求される。今日では以前に増してこのことがより重要になっている。コスト削減と効率改善の探求が常に議題となる。パルプ・製紙業界では,定められた品質内の製品を可能な限り低コストで製造するのが目標であり,品質試験とプロセス管理がその目標を達成する1つの方法である。
    L&W(ローレンツェンアンドベットレー)オートライン400は,多くの製紙工場で生産制御に必要不可欠となっている全自動紙質試験システムである。全自動紙質試験システムを導入する主なメリットは,人員削減よりも,ラボ試験をプロセスラインのそばに移して統合することで,品質制御と生産効率の両方を改善できるという点にある。さらに,規格に準拠することで,別試験機の結果との比較も容易となる。
    プロセスラインに統合したリアルタイムの品質管理データにより,経時変化するプロセスを監視・制御し,目標品質を維持することができる。リアルタイムデータにより,プロセスのどこで品質変化が起こり,何が何に影響するのかを知ることができるのである。
    本稿では,世界中で400を超える実績から得られたノウハウと共に,L&Wオートラインの設計コンセプトと機能を紹介し,Seven Hills Paperboard,Lynchburg工場殿のコスト削減事例,Nippon Paper Industries殿他L&Wオートラインのお客様からいただいたコメントを報告する。
  • 第4回 原料パルプの生産
    飯田 清昭
    2016 年 70 巻 2 号 p. 163-171
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    19世紀に入ると,抄紙機の後を追いかけるようにパルプ製造にも技術開発が始まった。19世紀中ごろまでに,ぼろ及びわらを地球釜でアルカリ蒸解する技術が完成した。それを受けて,19世紀後半には,木材のアルカリ蒸解が竪釜のデザインでできあがった。時を同じくして,ヨーロッパでGPが開発され,アメリカでSPが実験された。これらの技術が,大西洋を挟んで交流し,基本デザインを完成し,20世紀初めにはGPとSPの配合による新聞用紙が大量に生産されるようになった。それより少し遅れるが,KPも回収を組み込んだシステムとして完成した。
    明治期は,まさに,このパルプ化技術が急速に革新しつつある時であり,それに日本の技術者が如何に対処したかが技術史となる。
    まず,欧米のように,ぼろをアルカリで蒸煮した。このパルプを輸入抄紙機で紙にするのでは輸入紙に太刀打ちできない。最初のコストダウンが,アメリカで実用化されていたわらパルプのアルカリ蒸解で,大川平三郎が稲わらに応用して,わらパルプ6割,ぼろパルプ4割の新聞用紙を製造した。
    次いで,SPがヨーロッパで工業化されたとのニュースを知り,大川平三郎が調査に出向いた。大川は独自にSPの技術を開発しようと,5年の歳月をかけた後,木曽の気田に工場を建設する。当初,業績は甚だ振るわなかったが,世界的に普及しだしていたGPを導入,さらに抄紙機を併設し,木材ベースの一貫工場としてノウハウを完成させた。これが,気田工場から10年後の中部工場の建設となり,北海道,樺太への展開の基礎となった。
    次回は,その北海道から樺太への展開を紹介する。
  • 2016 年 70 巻 2 号 p. 172-177
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル 認証あり
    In 1943, Mr. Taichi Ishikawa founded Maruishi from scratch to manufacture repair parts for the pulp and paper mills on the foot of Mt. Fuji, Japan. As a man of entrepreneurship, he didn't set limits for himself. He had a big dream-to start design and engineering work for his own products and serve clients' needs with the best knowledge. An excellent opportunity presented itself in 1970 when Maruishi signed its first license agreement with Machinenfabrik ANDRITZ, of Austria, to manufacture its patented Twin Wire Wet Wrap Machine. That was the beginning of Maruishi's global expansion, followed by more than a dozen of international technical alliances later on. Today Maruishi's machine technology covers nearly all paper machinery requirements, from wood handling, stock preparation, paper machine, coater, to modern finishing machines. Maruishi is committed to global technical exchanges and unlimited technological development for high-tech modern paper machinery. We grow together with our worldwide clients and technical partners. And like our founding father, Maruishi's global aspirations for technical challenges, are limitless.
シリーズ:大学・官公庁研究機関の研究室紹介(109)
技術報文
  • 宮西 孝則
    2016 年 70 巻 2 号 p. 183-190
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    [早期公開] 公開日: 2015/11/18
    ジャーナル フリー
    著者らは日本製紙の研究所において,サーモメカニカルパルプ(TMP)製造工程のチップ前処理としてキレート剤や苛性ソーダを用いることで,漂白性が著しく向上し,晒薬品が節減され,TMP最高白色度が上昇することを明らかにした。一方,米国の新聞用紙工場ノーパックではTMP製造工程において,一次リファイナー後の原料をスクリーン処理することによって,パルプ化された繊維を分級して二次リファイナーをバイパスさせ,省エネを図るインターステージスクリーン技術の工場テストを行っていた。しかし,バイパスによってアニオントラッシュが抄紙機に持ち込まれ,抄紙機でのピッチトラブル等の弊害が発生し,このプロジェクトは中止になっていた。また,ノーパックでの抄造品種転換ニーズや,北米での植林事情等により,大量に持続的に入手できる安価なダグラスファーチップを使用できれば,大きなコストメリットが得られる可能性があったが,ダグラスファーは過酸化水素との反応性が低いことなど,乗り越えなければならない大きな壁があった。
    著者はノーパックに転勤し,前述のチップ前処理とインターステージスクリーンを組み合わせることでピッチトラブル等の課題を解決できると考え,パイロットプラントテストを実施して2009年に有望な結果を得た。そしてノーパックは2012年に実機設備を導入し,大きな省電力効果を達成するとともに,高白色度中質書籍用紙の製品ポートフォリオを拡張した。日本で研究を開始してから12年の歳月を経て,米国でプロジェクトは成功裡に終了した。
  • Takanori Miyanishi
    2016 年 70 巻 2 号 p. 191-198
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/05/01
    ジャーナル フリー
    It is reported that Douglas-fir is not suitable for mechanical pulp. Extractives such as dehydroquercetin and quercetin contained in the heartwood of Douglas-fir are known to be deleterious by consuming costly bleaching chemicals with the result that the end product may be a pulp with lower brightness. The objective of this study was to improve bleachability of thermomechanical pulp (TMP) of Douglas-fir. The TMP interstage bleaching was selected as a model process, where hydrogen peroxide bleaching took place between the primary and the secondary refining. Two sets of experiments were carried out to evaluate pulp washing and chip pretreatment in various conditions. The first experiments showed that pulp washing with water after the primary refining prior to the interstage bleaching was effective in improving bleachability. The second experiments found that chip pretreatment with diethylene triamine penta-acetic acid (DTPA) or sodium hydroxide (NaOH) prior to the primary refining improved bleachability and saved 35-40% hydrogen peroxide in the interstage bleaching to achieve 55% ISO brightness. Precautions were taken to optimize the chip pretreatment conditions. The pretreatment efficiency depended on the initial pH of the chemical liquor and the optimal pH range was found to be around 11.5. DTPA or NaOH, which were added for the chip pretreatment, showed the same effect. The experimental results were successfully applied to the energy efficiency project in one of the largest TMP plants in North America.
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