塩基性溶液中でヘキサシアノ鉄(III)酸イオン([Fe(CN)
6]
3-)の光分解反応を紫外線光源(低圧水銀ランプ)を用いて窒素雰囲気中で検討した。[Fe(CN)
6]
3-の光分解反応は水酸化物冴オンの濃度に依存して複雑に変わることがわかった。o.1mol.dm
-3 NaOH溶液では[Fe(CN)
6]
3-が,初めにペンタシアノアクア鉄(II)酸イオン[Fe(CN)
5.H
20]
-3とシアン化物イオン(CN
-)になり,さらに照射を続けると[Fe(CN)
5・H
2O]
3-は水酸化鉄(III)の沈殿となり,CN-はOCN-に酸化される。.また,2mol・d
-3 NaOH溶液では[Fe(CN)
6]
3-は初めヘキサシアノ鉄(II)酸イオン([Fe(CN)
6]
4-)になった後に,[Fe(CN)
5.H
20]
3-を経ながら可溶性鉄(III)物質とOCN
-になる。以上,各NaOH濃度溶液においては,[Fe(CN)
6]
3-のFe(III)が[Fe(CN)
5・H
20]
3-および[Fe(CN)]
4-のFe(II)に還元され,さらに再びFe(III)に酸化されている。一方,CN-はOCN-になっている。また,中性および弱酸性溶液においては[Fe(CN)
6]
3-が主にFe(II)とCN-に解離するのみでOCN-は生成しなかった。これら,Fe(III)のFe(II)への還元および再酸化,またCN-のOCN-への酸化などの現象は,下記のOH-の光分解によって生成する電子(e)と酸素(02)によるものと思われる。2 OH
- --. 1/2 O
2+H
2O+2 e
-そこで,[Fe(CN)
6]
3-の光分解反応に二,三の金属酸化物半導体の添加効果を調べたところ,Tio
2(ルチル型),ZnOなどが触媒効果を示すことがわかった。
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