雪氷
Online ISSN : 1883-6267
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69 巻 , 4 号
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  • 佐藤 威, 平島 寛行, 根本 征樹, 望月 重人, 阿部 修, Michael LEHNING, 佐藤 篤司, 花岡 正明, 秋山 一弥, ...
    2007 年 69 巻 4 号 p. 445-456
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    2006年2月10日,秋田県仙北市の乳頭温泉鶴の湯の裏山の3カ所において相次いで発生した乾雪表層雪崩により,1名が死亡,16名がけがをした.雪崩発生の翌日に現地調査を行い,雪崩の状況やデブリの状態などを明らかにした.また,同日に積雪断面観測を行い,発生日未明から積もり始めた新雪層の構造を明らかにするとともに,ハンドテストによって弱層の存在を確認し,その勇断強度を測定した.さらに,1週間後および3月下旬の融雪期にも現地調査を行った.また,積雪変質モデル(SNOWPACK)を用いて積雪構造と積雪安定度のシミュレーションを行った.これらの結果から,この雪崩は,強い降雪が続く中で新雪層の積雪安定度が低下し,その内部に何らかの原因で生じた弱層をすべり面として発生したと考えられる.
  • 町田 誠, 早川 典生, 町田 敬, 坂上 悟
    2007 年 69 巻 4 号 p. 457-469
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    わが国における爆薬を使用した人工雪崩誘発技術は,半世紀近い歴史を有し独特の発展を遂げてきた.しかし,その経緯を知る人は少なくなり,またその技術的発展段階では経験的要素も多いが,多くの基礎知識が積み上げられたもので,いまだ有用な技術が多い.本論文はこれまでの人工雪崩の歴史を概観し,あらたに爆薬の選定と積雪層への装薬法を検討した.さらに応用研究として,斜面での雪崩誘発技術と雪庇処理技術の開発を試みたので,それらの結果を報告する.
  • 庄司 淳, 和泉 薫, 河島 克久, 伊豫部 勉
    2007 年 69 巻 4 号 p. 471-480
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    高密度雪塊の衝撃力特性を明らかにするため,雪崩実験用シュート等を用いて密度630~790kgm-3の雪塊の衝撃力を測定するとともに,高速度ビデオカメラを用いてその破壊状況の観察を行い,低密度雪塊との比較を行った.高密度雪塊は衝突直後に雪塊の後端部まで亀裂が生じ,破壊が短時間に完了する破壊形式であった.これにより,雪塊全体の運動量変化が衝突直後の短時間に集中するために,最大衝撃力が非常に大きくなることが明らかになった.また,高密度雪塊が遇角的に衝突した場合には,平面的に衝突した場合と比較して最大衝撃力は小さくなるが,局所的な衝撃圧は平面的衝突の2~3倍大きくなった.これは高密度雪塊の遇角的衝突では実質の衝突面積の減少による圧力増加の効果が大きいことを意味する.これらの結果から,高密度雪塊の衝撃力特性は衝突時の剛体的な挙動に起因していることがわかった.これは衝突時の挙動が流体的である低密度雪塊には見られない特性である.
  • 石坂 雅昭
    2007 年 69 巻 4 号 p. 481-488
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    天井の一部に開口部を設けた低温室を利用して積雪に形成される降雪粒子に起因する弱層形成の観測を行った.自然の降雪を天井開口部から-5℃前後に保たれた低温室内に取り込み,水平の実験台の上に降り積もらせた.このようにして1日ないし2日間に形成された積雪層を観測し,弱層の有無を調べた.弱層がある場合は,並行して稼働させている降雪粒子自動観測装置と降水量計の記録から,弱層形成に寄与した降雪粒子の種類や大きさ,降雪の強度などを推定した.その結果,これまで雪崩現場で観測されているように,大きな霰が集中して降った場合や雲粒の少ない広幅六花系の結晶が降った場合に弱層ができることを確認するとともに,その時の降雪粒子の特徴を明らかにすることができた.また,得られた降雪粒子の特徴や強度などから,この種の弱層の検知の可能性について考察した.
    このような人工的な環境場で弱層形成を観測する本手法は,降雪粒子の種類と大きさ,降雪量など,現場では変質の後でしか知り得ないことについても観測可能なことから,今後の雪崩弱層の研究に役立つものと考えられる.
  • 池田 慎二
    2007 年 69 巻 4 号 p. 489-499
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    長野県白馬村周辺の山岳地において発生した5つの雪崩の破断面での積雪断面観測と1999/00~2003/04冬期に実施した6つの定点での積雪断面観測結果(140ピット)を基に対象地の雪崩発生に関わる積雪特性について考察した.破断面の観測によると,雪崩の発生原因は,新雪の弱層(2例),表層付近に形成されたこしもざらめの弱層(1例),凍結したざらめと新雪との弱い層境界(1例),地面付近に形成されたこしも・しもざらめ(1例)によるものであった.定点での断面観測により新雪,表層のこしもざらめによる弱層および弱い層境界は対象地内の広域で観測された.新雪による弱層は観測期間において最も高頻度で年により較差なく観測されたのに対し,表層のこしもざらめによる弱層および弱い層境界は観測される頻度が低く,年により較差もみられた.一方,地面付近に形成されたこしも・しもざらめは吹き払い地において局所的に形成されるが,高頻度で年により較差なく観測された.過去10冬期の気象データから北米において使用されている雪崩気候区分を試みたところCoastalに区分され,観測結果を支持する結果となり,この区分が日本の山岳地にも適用できる可能性があることが示唆された.
  • 阿部 孝幸
    2007 年 69 巻 4 号 p. 501-505
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    人工台地を利用し,ほぼ同一傾斜角で方位の異なる4つの斜面において積雪深,積雪重量および平均密度の同時観測を行い,相互に比較した.その結果,融雪期になると積雪深および積雪重量に大きな相違が生じることが判明した.特に北向き斜面の積雪重量は,同時期の南西向き斜面のものの1.5倍となった.この主な原因は日射量の小さな北向き斜面では雪面から流下する融雪水が地面に遅れて到達することにより,それまでの降雪が積雪重量として加算されるためであると推察された.今後,スノーシェッドや雪崩防止柵などを設計する場合の積雪荷重については,斜面の方位についても考慮する必要がある.
  • 上石 勲, 山口 悟, 佐藤 篤司, 見玉 裕二, 尾関 俊浩, 阿部 幹雄, 樋口 和生, 安間 荘, 竹内 由香里, 町田 敬, 諸橋 ...
    2007 年 69 巻 4 号 p. 507-512
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    2007年2月~4月にかけて4件の大きな雪崩事故が発生した.2007年2月14日には八甲田山系前岳で表層雪崩によってツアースキーヤーの2名が死亡,8名が負傷した.3月18日には,北海道積丹岳で,スノーモービルで走行中の人など16人が雪崩に巻き込まれ,4人が死亡,1人が重傷を負った.また,3月25日には,富士山富士宮口五合目付近でスラッシュ雪崩が発生し,建物と道路施設に被害を与えた.さらに4月18日には富山県立山雷鳥沢で山スキーヤーとスノーボーダーが表層雪崩に巻き込まれ,1名死亡,2名が負傷する事故が発生した.これらの雪崩事故調査から山岳地域では暖冬でも雪崩の危険性は低くないことが確認された.
  • 阿部 修, 力石 國男, 石田 祐宣, 小杉 健二, 上石 勲, 平島 寛行
    2007 年 69 巻 4 号 p. 513-518
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2009/08/07
    ジャーナル フリー
    2007年2月14日午前11時過ぎに八甲田山系前岳の北東斜面で発生した表層雪崩について,現地調査および周辺の気象・積雪観測からその発生要因を考察した.その結果,この雪崩は強風により生じた吹きだまりの一部が崩落した可能性があることがわかった.また,今回雪崩があった沢は,典型的な雪崩地形であることがわかった.
  • 粉川 牧
    2007 年 69 巻 4 号 p. 519-530
    発行日: 2007/07/15
    公開日: 2010/02/05
    ジャーナル フリー
    既往のスパン10mm~30m級アイスドームのフィールド実験におけるクリープ変形過程を検討し,崩壊までの変形-時間曲線は大略,時間の経過に対して,I変位がほぼ直線的に増大する区間,即ち定常的クリープ過程と,IIその後から崩壊までの変位が加速的に増大する区間,即ち加速的クリープ過程の二つの過程から成ることを示した.このうち,本論文では定常的区間におけるクリープ変形の算定式を提案した.算定式の誘導は,(1)氷をニュートン粘性体と仮定しさらにクリープ材料の不変量理論とシェルの膜理論を適用して,球形アイスドームの鉛直変位式を導き,(2)その変位式において未定パラメータである氷の粘性係数を既往の10m~30m級アイスドームのフィールド実験で得られたクリープ変位測定値を用いて評価するという方法によった.その結果,粘性係数の平均値は約3500kgfcm-2dayであった.以上により,アイスドームの定常クリープ過程における鉛直変位の実用式を示した.
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