日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
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71 巻 , 4 号
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原著
  • 松田 英祐, 岡部 和倫, 山本 寛斉, 平澤 克敏, 杉 和郎
    71 巻 (2010) 4 号 p. 903-906
    公開日: 2010/10/25
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    CTガイド下経皮肺針生検は有用な検査とされているが,気胸や肺内出血など合併症の頻度は高い.また空気塞栓や腫瘍の播種など重大な合併症も報告されている.当院におけるCTガイド下経皮肺針生検症例72例を検討した.その成績は,Sensitivity 86.2%,Specificity 57.1%,Accuracy 83.3%であった.合併症は気胸を11例(15.2%)に生じ,また肺内出血を21例(29.1%)に認めたが全例が保存的に軽快した.空気塞栓,腫瘍の播種を生じた症例は認めなかった.合併症を生じた症例では病変が小さく,胸膜からの距離が深いため正常肺を損傷しやすいことがその原因と思われた.また病変が小さい場合は正診率も低くなり,2cm以下の病変では肺部分切除術など他の手段を検討すべきと思われた.
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臨床経験
  • 月川 賢, 松岡 博光, 四万村 司, 牧角 良二, 櫻井 丈, 大坪 毅人
    71 巻 (2010) 4 号 p. 907-912
    公開日: 2010/10/25
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    目的:当科で吸引式痔核結紮器による内痔核治療を受けた318例を対象に,自覚症状の改善度から吸引式痔核結紮術の適応と限界を考察した.
    結果:来院時の自覚症状は,出血222例(69.8%),脱出89例(28.0%),肛門の違和感81例(25.5%)であった.治療後の症状改善度は,出血は99.0%に症状の改善が見られ,肛門の違和感84.0%,脱出36.0%であった.脱出に対する有効性は他の2症状に比べて改善度が低かった.またGoligher分類別に奏効率を見ると,grade1:96.0%,grade2:92.2%,grade3:46.9%,grade4:0%であった.
    結論:以上から,grade1,2が吸引結紮療法のもっとも良い適応であり,grade3では3~4回施行し,有効ならば継続,無効であれば手術に切り替える.grade4では本治療による改善度は低く,手術療法が第1選択である.
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症例
  • 安原 功, 新田 泰樹, 保田 紘一郎, 丸山 昌伸, 赤在 義浩
    71 巻 (2010) 4 号 p. 913-917
    公開日: 2010/10/25
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    症例1は50歳,女性.切除不能進行横行結腸癌に対し,mFOLFOX6施行中であった.15コース目のoxaliplatin(以下L-OHP)投与7時間後,出血症状をきたしPlt 0.5×104/μlと著明な血小板減少を認めた.血小板輸血とステロイド投与により徐々に血小板数は改善した.Platelet associated IgG(PAIgG)値が高値を示し,drug lymphocyte stimulation test(DLST)にてL-OHPで陽性であったことから,L-OHPによる薬剤性血小板減少症と診断した.症例2は48歳,男性.切除不能進行直腸癌に対しmFOLFOX6施行中であった.21コース目のL-OHP投与7時間後,紫斑出現しPlt 0.1×104/μlと著明な血小板減少を認めた.症例1と同様の治療にて改善した.DLSTにてL-OHPで陰性であったが,PAIgG値が高値であること,臨床経過からL-OHPによる薬剤性血小板減少症と診断した.
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  • 梁 英樹, 山下 由紀, 吉田 一成, 澤田 達男
    71 巻 (2010) 4 号 p. 918-922
    公開日: 2010/10/25
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    乳腺カルチノイドは稀な腫瘍で,多くは良好な予後を示すが,劇症型の再発死亡例もあり臨床上の取り扱いに問題が残る.著者らは術後9年の無再発生存例を経験し,予後の明らかな本邦26例をあわせ臨床的検討をした.63歳女性,左乳房に弾性硬,可動性のある腫瘤を触知.超音波とMRI検査は26×24mm大の境界明瞭で嚢胞と充実部分が混在する腫瘍を描出.針生検で乳癌と診断,乳房温存手術を施行した.HE染色では小型の核小体とクロマチン豊富な小型の腫瘍細胞が策状,ロゼット状に配列,Chromogranin A,Synaptophysin,NSE染色はいずれも陽性であった.T2 N0 Stage IIA,estrogen receptor(+).術後照射を追加,補助化学療法は施行していない.計27例の検討から,癌死率は約15%,手術時の転移は重要な予後因子,縮小手術は可能,リンパ転移例での化学療法の意義などが示唆された.
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  • 山本 洋太, 日野 直樹, 露口 勝
    71 巻 (2010) 4 号 p. 923-927
    公開日: 2010/10/25
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    症例は79歳,女性,平成17年3月,咳,痰を主訴に受診し,胸部レントゲンで左下肺野に6cm大の腫瘤陰影を指摘された.胸部CTで左肺S9に6×5cm大のair bronchogramを伴う腫瘤陰影を認めた.経気管支肺生検を含めた精査で確定診断が得られず,2カ月後の胸部CTで陰影の改善を認めたため,肺炎と考え経過観察していた.その後受診が途絶えていたが,平成19年7月,咳,痰が増悪したため再び受診した.胸部レントゲン,CTで陰影の増大を認めた.経気管支肺生検で細気管支肺胞上皮癌と診断され,同年11月左肺下葉切除術を施行した.腫瘍は9×8cm大の弾性軟な充実性の腫瘍で,永久標本で粘液産生型細気管支肺胞上皮癌と診断された.本症例は診断に苦慮したため,手術まで約2年8カ月を要した.若干の考察を加え報告する.
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  • 大塚 敏広, 椿 雅光, 河崎 秀樹, 竹林 孝晃, 松田 良一, 喜安 佳人
    71 巻 (2010) 4 号 p. 928-931
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は83歳,女性.倦怠感,食欲不振が出現し,前医を受診した.貧血を認め,上部消化管内視鏡検査で胃前庭部前壁に隆起性病変を認め,精査加療目的で当院紹介された.生検結果で低分化型腺癌であった.術前検査で他臓器転移は認められず,手術の方針となった.幽門側胃切除,D2リンパ節郭清,Roux-enY法再建術を施行した.切除標本では胃前庭部前壁に1型の隆起性病変を認めた.病理組織学的検査では粘膜下層に,小さく均一なN/C比の大きな腫瘍細胞が充実性の胞巣を形成しており,免疫組織学的には,Synaptophysin,CD56が陽性であり,胃小細胞癌と診断した.幽門下リンパ節1個に,胃小細胞癌の転移を認めた.胃小細胞癌は,早期にリンパ節転移や肝転移をきたしやすく予後不良である.今回われわれは,まれな疾患である早期胃小細胞癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
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  • 上田 祐華, 近藤 成, 服部 晋司, 矢野 雷太
    71 巻 (2010) 4 号 p. 932-936
    公開日: 2010/10/25
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    症例は86歳,女性.右下腹部痛を主訴に急性虫垂炎の診断で他院より紹介され受診した.腹部CTにて十二指腸憩室穿孔と診断し,同日緊急手術を施行した.手術所見において,十二指腸下行部後壁の憩室内に嵌頓した結石および憩室穿孔を認めた.憩室を縫合閉鎖し,大網被覆術,Cチューブを留置した.十二指腸憩室は消化管憩室の中では大腸に次いで多く,比較的頻度の高い疾患ではあるものの無症状であるため治療の必要性は低い.合併症としてLemmel症候群,憩室炎,出血,穿孔などが報告されており,中でも穿孔を契機として発見された症例は外科的治療を必要とすることが多い.十二指腸憩室内結石(以下腸石とする)が誘因となった十二指腸憩室穿孔の本邦報告例は9例で,その全症例において外科的治療を施行されている.今回われわれは腸石による十二指腸憩室穿孔の1手術症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
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  • 上田 吉宏, 榎本 直記, 加藤 俊介, 円城寺 恩, 大野 玲
    71 巻 (2010) 4 号 p. 937-940
    公開日: 2010/10/25
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    症例は63歳,男性.2週間ほど持続する胃部不快感と嘔気・嘔吐の精査で行った上部消化管内視鏡検査で十二指腸狭窄を指摘された.数回の生検で悪性所見が認められず良性狭窄として保存的治療を行ったが改善なく,手術を行った.術中病理検査で十二指腸癌の診断となり,膵頭十二指腸切除術を施行した.術後は副作用出現までの短期間ではあったが,胃癌に準じたS-1内服による補助化学療法を行い,16カ月経過した現在無再発経過中である.原発性十二指腸癌は他の消化器癌と同様に手術的治療が第一選択となるが,病巣の局在によりその術式は異なる.また稀な疾患であるため補助化学療法や切除不能例に対する姑息的治療に関する指針は確立しておらず,今後の研究が必要と考えられた.
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  • 小林 敦夫, 関戸 仁, 松田 悟郎, 一万田 充洋, 高橋 俊毅, 椎名 丈城, 遠藤 格
    71 巻 (2010) 4 号 p. 941-945
    公開日: 2010/10/25
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    症例は28歳,女性.統合失調症のため長期入院中.腹部手術歴なし.腹痛が出現し,腹部X線検査で拡張した小腸ガスと鏡面形成像を認め,当院紹介となった.CTにて小腸内に4×6×3.5cm大の内部不均一な物体を認め,閉塞起点と考えられた.詳細な病歴聴取から日常的な異食が判明し,嚥下異物による小腸閉塞と診断した.来院時には腹部症状が消失しており,自然排出の可能性も考慮して経過観察としたが,入院翌日イレウス症状が増悪したため緊急手術を施行した.回盲部より約30cmの回腸内に異物を触知し,小腸切開して異物を摘出した.異物は医療用手袋で硬く変性していた.術後経過は良好で術後26病日,転院となった.精神疾患を有する患者のイレウスでは異物による腸閉塞を念頭に置くべきである.本症例は詳細な病歴聴取から異食の既往が明らかとなった.異物の存在診断にはmultidetector-row CT(MDCT)が有用であった.
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  • 高田 晃宏, 中野 博史, 向坂 英樹, 吉田 哲也, 五福 淳二, 西 敏夫
    71 巻 (2010) 4 号 p. 946-950
    公開日: 2010/10/25
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    症例は11歳,男児.下腹部痛を主訴に当院受診.理学所見では,下腹部を中心に圧痛を認め,筋性防御,反跳痛を伴っていた.腹部CTでは虫垂の腫大,内腔の石灰化,骨盤腔に被包化した内部のガス像を伴う液体成分の貯留を認めた.急性虫垂炎の穿孔を疑い緊急入院手術を施行した.手術所見では,回腸末端より口側約30cmの部位に茎捻転により壊死に陥った6.2×3.6cmのMeckel憩室を認め,この憩室を含めた小腸部分切除を行った.組織学的には小腸真性憩室であった.Meckel憩室は卵黄嚢の遺残でありほとんどが無症状で経過するが,時に出血,穿孔,憩室炎などを生じる.捻転の合併頻度は他の合併症に比して低率で稀である.本例ではMeckel憩室が捻転により壊死に陥り腹膜刺激症状を呈したものと考えられた.
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  • 山下 修, 倉田 悟, 須藤 隆一郎, 善甫 宣哉, 中安 清, 濱野 公一
    71 巻 (2010) 4 号 p. 951-955
    公開日: 2010/10/25
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    消化管憩室の中で小腸憩室の頻度は2.7%とされ,稀な疾患である.本症は穿通・穿孔をきたすことは少ないが,それらをきたした場合,診断の遅れにより致命的となることがある.今回われわれは,回腸憩室が腸間膜に穿通し膿瘍形成から,限局性腹膜炎をきたした1例を経験した.症例は67歳男性.発熱・右下腹部痛を主訴に来院.右下腹部に限局した腹膜刺激症状を認めた.腹部単純CT検査で,回腸末端に腸管壁の肥厚と周囲に腸管外のair像を認めた.CRPの異常高値を認め,穿孔性腹膜炎と診断し緊急手術を行った.回盲部付近の回腸に腸管壁の浮腫を認め,腸間膜に膿瘍を形成していたため回盲部切除術を行った.摘出標本では回盲弁から約13cm口側に回腸憩室を認め腸間膜に穿通し,膿瘍を形成していた.病理学的にも上記の所見が確認され,回腸憩室炎が腸間膜に穿通し膿瘍を形成したものと診断した.
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  • 村井 俊文, 蜂須賀 丈博
    71 巻 (2010) 4 号 p. 956-959
    公開日: 2010/10/25
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    症例は61歳,女性.嘔吐を主訴に近医胃腸科を受診した.腸閉塞と診断され,外来で点滴治療を受けていたが,改善が認められず近医でイレウスチューブを挿入され入院管理されていた.その後の採血でBUN 90.1mg/dl Cr 2.9 mg/dlと著明な脱水を認めたため,当院救急外来に紹介された.イレウスチューブ造影,腹部CTにて腸重積と診断し,同日緊急手術を施行した.開腹所見ではTreitz靱帯から約25cmの部位の空腸が腫瘍を先進部として重積しており,用手的に整復した.Treitz靱帯から25cmと35cmの空腸に腫瘍を認め,同部位の切除を行った.腫瘍は粘膜下腫瘍で境界明瞭かつ弾性軟,直径2cmほどであった.病理学的検査で神経線維腫と診断された.本症例では基礎疾患にvon Recklinghausen病があり,小腸神経線維腫はそれに伴う続発症と考えられた.
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  • 久保 慎一郎, 井谷 史嗣, 浅海 信也, 室 雅彦, 金 仁洙, 重西 邦浩
    71 巻 (2010) 4 号 p. 960-965
    公開日: 2010/10/25
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    症例は46歳,男性.腹痛,タール便を主訴に近医を受診し,上下部内視鏡検査を施行したが有意な所見なく,紹介受診となった.CTにて,脂肪濃度の回腸腫瘍による重積が疑われ,小腸造影でも回腸に腫瘤性病変を疑わせる透亮像が描出された.良悪性の鑑別困難な有症状症例であり,手術適応と判断し,腹腔鏡補助下に観察の後,切除を行った.回盲部側の回腸付近に20cmにわたって壁肥厚ならびに重積している回腸を確認の後,最短で挙上可能であった臍右側に約5cmの小切開を加えて,体外で回腸部分切除を行った.切除標本より,憩室様病変に生じた非腫瘍性病変を先進部とした回腸重積症と判断した.病理所見にて内翻先進部にlipohyperplasiaを合併したMeckel憩室による腸重積と診断された.
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  • 菅野 仁士, 山下 直行, 柿沼 大輔, 住吉 宏樹, 小澤 俊文, 内田 英二
    71 巻 (2010) 4 号 p. 966-970
    公開日: 2010/10/25
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    症例は73歳,男性.2週間の5kgの体重減少および腹痛を主訴に近医受診.腹部CTで回腸末端から上行結腸にかけて腸重積像を認め当科紹介となった.小腸鏡を施行したところ,回腸末端から約50cm口側に径40mm大の発赤した粘膜下腫瘍を認め,観察中も蠕動により腸重積を呈していたためこれを責任病変と判断し,病変部近傍に点墨とクリッピングを行い,手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察すると,術前点墨された病変部を確認できたため,右下腹部に4cmの小開腹創をおき,体外へ誘導後小腸部分切除術を施行した.病理組織学的には成熟した大型の脂肪細胞から構成される脂肪腫と診断された.術後経過は良好で第9病日に退院した.小腸鏡にて術前に病変部を確認し,腹腔鏡補助下に切除した回腸脂肪腫腸重積の本邦報告例はみられず貴重な症例と思われたので報告する.
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  • 岡 智, 徳毛 誠樹, 山川 俊紀, 小野田 裕士, 鈴鹿 伊智雄, 塩田 邦彦
    71 巻 (2010) 4 号 p. 971-975
    公開日: 2010/10/25
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    症例は62歳,男性.2006年11月に強直性脊椎炎の診断を受け,Prednisolone(PSL)10mg/日でコントロール良好であった.2007年3月に高度貧血にて緊急来院.上部内視鏡検査にてTreitz靱帯より奥に腫瘍様病変を認め,造影CTにて同部の不整な壁肥厚と不均一な造影効果あり,出血性の空腸腫瘍と診断された.外科紹介となり緊急開腹手術となった.腫瘍はTreitz靱帯より約10cm肛門側空腸に主座があり腸間膜へ突出した潰瘍が膿瘍様形状であった.腫瘍を含む十二指腸,空腸,周囲リンパ節を切除し,十二指腸空腸側々吻合(Over lap法)を行った.病理組織結果は,原発性空腸癌で,リンパ節転移陽性であった.術後経過は良好で退院となり,その後PSLの内服を中止できた.現在,中止後も強直性脊椎炎の症状の再燃なく,無再発生存中である.今回,術前に強直性脊椎炎を合併した原発性小腸癌で,切除後症状が消失した1例を文献を含め報告する.
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  • 長谷川 繁生, 木村 理, 蜂谷 修, 磯部 秀樹, 水谷 雅臣, 野村 尚
    71 巻 (2010) 4 号 p. 976-980
    公開日: 2010/10/25
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    症例は,20歳台の男性で,自転車で国道を走行中にトラックに跳ねられた.近医で骨盤骨折を伴う多発交通外傷の診断で当院に救急搬送された.意識レベルは,JCS30,GCS13点,急性硬膜下血腫,肺挫傷,骨盤骨折など多発外傷と診断した.CTで腹腔内遊離ガス(以下,腹腔内free air)を認めたために,全身麻酔下に骨盤骨折の外固定と左大腿骨骨折に対する固定術を施行した後に開腹手術を施行した.開腹所見では,後腹膜血腫と上行結腸に血腫を認めたものの明らかな消化管穿孔,腹腔内臓器損傷を認めず,nonsurgical pneumoperitoneumと診断して閉腹した.free airの発症機序として肺挫傷から縦隔気腫をきたして,空気が腹腔内に漏れたものと考察した.本症例の文献的考察も含めて報告した.
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  • 片岡 雅章, 太枝 良夫, 吉岡 茂, 若月 一雄, 外岡 亨, 川本 潤
    71 巻 (2010) 4 号 p. 981-984
    公開日: 2010/10/25
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    症例は86歳,女性.繰り返す総胆管結石の発作に対し,内視鏡的逆行性胆道ドレナージ(ERBD)チューブを挿入した.チューブ挿入後29日目に突然腹膜炎を伴う腹痛を呈し当科受診した.CTにてfree air,腹水の他にS状結腸に多数の憩室とERBDチューブを認めた.以上よりERBDチューブ逸脱によるS状結腸穿孔の診断で緊急手術を行った.開腹所見はS状結腸に穿孔部を認め同部にERBDチューブの先端を触知した.周囲S状結腸にも憩室を認め,穿孔部を切除してハルトマン手術を施行した.術後経過は良好で,術後31日目に退院となった.ERBDチューブは逸脱しても通常は便とともに排泄されるが,本症例のように稀ではあるが憩室穿孔をきたす可能性があるので注意深い観察が必要である.
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  • 西川 正博, 徳原 太豪, 真弓 勝志, 西澤 聡, 枝川 永二郎, 石田 幸子
    71 巻 (2010) 4 号 p. 985-988
    公開日: 2010/10/25
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    S状結腸憩室炎が原因と思われる結腸膣瘻に対して腹腔鏡補助下S状結腸切除を施行し治癒した1例を経験した。症例は77歳女性で,37歳時に子宮筋腫にて子宮全摘術,76歳時に当院で胃癌にて腹腔鏡補助下幽門側胃切除術を施行した.以後外来フォローアップ中の平成20年6月頃より膣からの便汁の排泄を認め,大腸内視鏡検査下の造影でS状結腸憩室と膣との瘻孔を認めた.同8月11日に腹腔鏡補助下S状結腸切除施行した.炎症の波及の及んでいない内側からのアプローチで結腸の授動を行い,瘻孔部周辺は膀胱壁とも強固に癒着していたので瘻孔部を結腸側で切除した.胃残結腸粘膜を焼灼したが,瘻孔部の閉鎖は行わなかった.術後は創感染を併発したが以後膣からの便汁の排泄は認めず同9月15日に退院になった.結腸憩室炎は強い炎症,癒着を伴うことが多いが当症例のように瘻孔を形成するような場合でも腹腔鏡手術の適応も考慮すべきであると考えられた.
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  • 高橋 佑典, 弓場 健義, 藤井 眞, 森本 芳和, 赤丸 祐介, 山崎 芳郎
    71 巻 (2010) 4 号 p. 989-994
    公開日: 2010/10/25
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    症例は78歳,男性.2006年4月頃より肛門周囲の腫瘤を自覚していたが,無症状のため放置していた.同年12月腫瘤の増大に伴い,肛門部の違和感,排便困難が出現したため,当科を受診した.既往歴として肛門周囲膿瘍,痔瘻の治療歴を有している.腫瘤が増大傾向を示し悪性腫瘍も否定できなかったため,2007年3月16日,腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は肛門周囲を原発とする径6.0cm大の腫瘤で周辺臓器への浸潤は認めなかった.病理組織学的所見では,紡錘形の異型細胞が不規則な交錯像を呈し増殖しており,免疫染色の結果,c-kit陽性,CD34陽性にてgastrointestinal stromal tumor(GIST)と診断した.核分裂数は高倍率視野10視野に7~8個認め,高リスク症例であった.術後2年2カ月の現在,再発徴候は認めていない.
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  • 小松 英明, 長嵜 寿矢, 長谷場 仁俊, 柴田 良仁, 山口 広之, 中島 正洋
    71 巻 (2010) 4 号 p. 995-999
    公開日: 2010/10/25
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    症例は85歳,女性.便潜血陽性精査のため下部消化管内視鏡を施行されS状結腸に隆起性病変を指摘された.生検による病理組織学的診断は低分化腺癌であった.初診時である2007年11月のCT検査では明らかな肝,肺,リンパ節転移を認めなかった.S状結腸癌の診断にて2007年11月15日S状結腸切除+D2郭清を施行した.最終病理診断は内分泌細胞癌,進達度SM,N0でStageIであった.術後7カ月目のCT検査にて多発肝転移,肺転移を認めた.その後転移巣は急速に増大してゆき術後9カ月で死亡した.大腸内分泌細胞癌は稀であり予後不良な疾患とされている.本症例では手術時StageIであったにも関わらず早期に多発肝,肺転移が出現し急速に進行した.文献的考察を含め報告する.
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  • 松村 富二夫, 柴田 雄司
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1000-1003
    公開日: 2010/10/25
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    患者は88歳,女性.下腹部痛を主訴として当院に緊急入院となった.理学所見では腹部は平坦,軟で腹膜刺激症状はなく,血液生化学検査では白血球,CRPの上昇は認めなかった.腹部レントゲン写真にて腸管に著明なガス像を認め,腹部造影CT検査では肝両葉に樹枝状の門脈ガス像が存在した.中心静脈カテーテルを挿入し,抗生物質を投与し経過観察を行った.腸管壊死も考慮していたが入院後3日目には症状の改善と門脈ガスの消失が見られたため手術は行わなかった.本症の成因には腸管の壊死からの感染の結果大腸菌などのガス産生菌が関与する場合と,非絞扼性腸閉塞の場合など単に腸管内圧の上昇によって発生する場合があるが,本症例は後者であり経過観察が可能と考えられた.手術適応の判断は全身状態,腹部の理学所見などの正確な把握が重要であり,検査値としては白血球,CRPが手術適応の参考となった.
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  • 後町 武志, 三澤 健之, 脇山 茂樹, 広原 鍾一, 石田 祐一, 矢永 勝彦
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1004-1007
    公開日: 2010/10/25
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    症例は60歳代女性.26歳で胆嚢結石症に対し開腹胆摘後.33歳で遺伝性球状赤血球症(HS)と診断されるも摘脾は受けず.2007年2月右季肋部痛を主訴に前医受診.著明な貧血と黄疸を指摘され入院.肝内・総胆管結石を認め,加療目的に当院転院.HSに伴う肝内・総胆管結石症と診断し,腹腔鏡下脾摘術(第21病日)施行し,減黄後に拡大肝左葉切除・胆道再建術(第59病日)施行.病理組織検査では悪性所見は認めず.経過良好で第88病日に退院した.HSにはしばしば胆石が合併するが肝内結石を合併した報告は少ない.本症例では胆摘後にHSが診断されたため肝内結石を発症する結果となったと示唆された.また摘脾で減黄後の二期的肝切除術を選択することで肝切除が安全に施行しえた.以上,胆摘後に肝内結石を発症したHSの1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.
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  • 南部 弘太郎, 渋谷 哲男, 塩谷 猛, 渡邉 善正, 野村 聡, 山田 太郎
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1008-1012
    公開日: 2010/10/25
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    症例は98歳,女性.腹痛と嘔吐を認め,イレウスの診断で当院紹介となる.腹部全体に圧痛を認めたが,筋性防御はなかった.血液検査ではWBCが10,500/ul,CRPが26mg/dlと高値であった.腹部CTは腸管の拡張とニボー,肝腎嚢胞を認めた.CT,腹部所見から絞扼性イレウスの所見はなく,98歳という超高齢者でもあり経過観察とした.翌日ショック状態となったが,昇圧剤とアルブミン投与により状態が改善し絞扼性イレウスの疑いで開腹手術を行った.手術所見では,腸管の拡張は軽度であったが,胆嚢は捻転し右腎臓外側に陥入し壊死になっていた.壊死胆嚢を摘出し手術を終了した.術前CTで胆嚢と思われた部位は肝嚢胞であり,拡張した腸管と思われたものは捻転した胆嚢であった.胆嚢捻転症は比較的稀な疾患であるが,肝嚢胞と麻痺性イレウスを認める症例は胆嚢との鑑別に注意が必要である.98歳の胆嚢捻転症の報告は,本邦最高齢であり,若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 阪田 和哉, 高瀬 功三, 佐溝 政広, 山本 正博, 小島 芳夫
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1013-1016
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は82歳,男性.平成21年7月胆管癌にて膵頭十二指腸切除施行した.術前検査にてhepatomesenteric typeの肝動脈走行変異が認められた.上腸間膜動脈より総肝動脈,肝右葉後区域枝が分枝,総肝動脈は膵鉤部より膵腹側を走行し,肝右葉後区域枝が膵背側を走行していた.侵襲が大きい手術であり高齢であることも考慮し,術中,総肝動脈,肝右葉後区域枝を温存した.まれな変異と考えられ若干の文献的考察を加え報告する.
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  • 猪狩 公宏, 藍原 有弘, 落合 高徳, 熊谷 洋一, 山崎 繁
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1017-1021
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は61歳,男性.皮疹を主訴に近医を受診した際に肝機能異常および超音波検査にて肝内胆管の拡張を認め,当院を紹介受診した.腹部MRI検査で中部胆管の狭窄像を認め胆管癌が疑われ手術施行となった.術中所見では胆嚢を硬く触知し,この硬結は中部胆管に浸潤するようにして存在したことから,原発巣は胆嚢癌でこれが中部胆管に浸潤したと考え,胆嚢摘出術,肝外胆管切除術および肝S4a+5切除術を施行した.切除標本の組織学的所見より,原発巣である胆嚢は腺癌の像を呈したが,合併切除した肝内に認めた転移巣は腺扁平上皮癌の像を呈していた.胆嚢腺扁平上皮癌および扁平上皮癌は腺癌の扁平上皮化生より生じると考えられており,その説を裏づける上で興味ある症例として本症例を報告した.
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  • 山下 俊, 田中 信孝, 高橋 道郎, 野村 幸博
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1022-1025
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は肺結核で内服加療歴のある45歳女性である.腹痛で近医受診し,肝十二指腸間膜から膵頭後部の腫瘤が指摘され当院紹介受診となる.各種画像検査で径4cm大の膵頭部嚢胞性腫瘍が疑われ,FDG-PET(18F-fluorodeoxyglucose positron emission tomography)検査でも比較的高度の集積を認め悪性の可能性を否定できず開腹に至った.腫瘤は膵頭部裏面のリンパ節と一塊となっており穿刺吸引細胞診を行うとclassIであった.腫瘤と膵実質との間を剥離すると腫瘍内部より黄色粘稠液が流出したため結核性リンパ節炎乾酪壊死巣と診断した.胆道閉塞はないため試験開腹で終了した.粘稠流出液はPCR(polymerase chain reaction)法で結核菌陽性であったがガフキー0号であった.1983年以降,本邦で傍膵臓リンパ節結核の報告は29例だが術前診断ができず開腹手術を要した症例は21例であった.稀ではあるが悪性疾患との鑑別が問題となった症例を経験したため報告する.
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  • 長谷川 康弘, 土屋 誉, 本多 博, 内藤 剛
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1026-1029
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.検診での腹部超音波検査で右上腹部に径約5cmの腫瘍を認め,精査加療目的に当院紹介となった.MRI,CTなどから壁外進展型の十二指腸gastrointestinal stromal tumor(以下GIST)を疑い手術を施行した.膵頭部腹側に5cm大の充実性腫瘤を認め,十二指腸とは剥離された.膵とは癒着していたため膵頭部を一部削るように腫瘍切除を行った.病理組織学的検査ではCD34陽性,c-kit陰性などからsolitary fibrous tumor(以下SFT)と診断された.術後経過は良好であった.SFTは胸膜や軟部組織に発生する腫瘍で腹腔内の発生は稀である.悪性度の判定が難しい疾患とされている.また不完全切除の場合,局所再発をきたしやすいとの報告もある.本症例では腫瘍の大きさや,強い異型性や多形性は認められなかったことから積極的には悪性とは言えないが今後も厳重なfollow upが必要と思われた.
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  • 小林 慎二郎, 櫻井 丈, 小泉 哲, 朝倉 武士, 中野 浩, 小池 淳樹, 大坪 毅人
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1030-1033
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は60歳,女性.検診で腫瘍マーカーの高値を指摘されて紹介,CEAが8.7ng/ml,CA19-9が51U/mlであった.膵尾部に30mm大の多房性嚢胞性腫瘍を認めた.同腫瘍は主膵管と連続しており,主膵管が拡張していたことから混合型IPMNと診断した.また,臍から腹腔内に突出するように70mm大の嚢胞性腫瘍を認めた.IPMNの転移性腫瘍である可能性も考えたが,IPMNがinvasive carcinomaとは考えにくいことから同時重複腫瘍と判断し膵体尾部切除術と臍腫瘍摘出術を施行した.病理所見でも両腫瘍は共に1層の高円柱上皮で被われた嚢胞性腫瘍で,IPMN(IPMC)と尿膜管癌と診断された.IPMNに合併した尿膜管癌の報告はわれわれが検索した限りではみられなかった.両者は形態的にも病理組織学的にも類似しており,興味深い症例と思われた.
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  • 江本 慎, 蒲池 浩文, 田原 宗徳, 神山 俊哉, 松下 通明, 藤堂 省
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1034-1038
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    膵癌の5年生存率は切除例でも13.0%と,予後不良の疾患である.今回膵癌切除後6年で肺の孤立性転移にて再発し,切除しえた症例を経験したので報告する.症例:79歳,女性.現病歴:2002年7月頃より上腹部不快感を訴え,近医を受診.CTにて膵癌と診断された.同年9月,当科紹介初診し,膵頭十二指腸切除術を施行.病理組織像は浸潤性膵管癌(Ph TS2 pCH(-)pS(+)pRP(+)pPV(-)pA(-)pPL(+)pOO(-)pT4 pN0 M0 pStageIVa)であった.術後化学療法としてgemcitabineおよびUFTの投与を行った.2008年3月経過観察中のCTにて肺S8に結節影を認め,経気管支肺生検にて膵癌の肺転移と診断.局所再発やその他の遠隔転移を認めず,同年5月に胸腔鏡下肺切除術を施行した.肺転移切除後も1年間無再発で経過している.膵癌術後長期生存例の中には孤立性の遠隔転移が発生する場合があり,他に再発を認めない場合には切除することが患者の予後に寄与すると考えられた.
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  • 宮澤 恒持, 臼田 昌広, 鈴木 洋, 望月 泉, 佐熊 勉
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1039-1042
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の飲酒歴のある男性で,突然心窩部痛が出現し,脾破裂と診断され緊急手術を施行,脾臓の破裂と仮性嚢胞が確認された.脾臓摘出を施行し,組織学検査の結果,膵炎による脾動脈瘤の破裂の可能性が示唆された.術後,膵液瘻の治療に難渋したが軽快し外来にて経過観察中である.非外傷性の脾破裂はまれな疾患で,原因はアルコール性慢性膵炎,血液・代謝性疾患,感染症,悪性腫瘍などが知られている.アルコール性慢性膵炎に続発した脾動脈瘤の破綻によると思われる脾破裂に対し,脾臓摘出を施行し救命した1例を経験したため報告する.
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  • 橋本 敏章, 中島 弘治, 森内 博紀, 円城寺 昭人, 大谷 博, 下川 功, 古井 純一郎
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1043-1046
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    CA19-9産生脾嚢胞で極めて稀な破裂症例を経験したので報告する.症例は15歳の男性.2004年12月より脾嚢胞の診断で経過観察されていた.2008年9月,腹部打撲直後より腹痛出現し緊急入院した.入院時血中CA19-9は1,044U/mlと上昇していた.腹部CTで,虚脱した脾嚢胞と多量の腹水が認められ,脾嚢胞破裂の診断で緊急手術を行った.手術は開腹下に脾嚢胞天蓋切除・嚢胞底焼灼術を行った.腹水および嚢胞内容液は茶褐色でCA19-9は419×104U/mlと異常高値を示したが,細胞診は陰性であった.組織学的にはCA19-9免疫染色で強陽性に染色された扁平様上皮に覆われた良性の真性嚢胞と診断された.手術後,血中CA19-9は基準値内に復した.術後再発は認めていないが,長期成績の報告は少ないため今後も経過観察が必要と考えられた.
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  • 佐伯 吉弘, 先本 秀人, 福田 三郎, 有田 道典, 江藤 高陽, 高橋 信, 西田 俊博
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1047-1051
    公開日: 2010/10/25
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    38歳,女性.2007年1月,右下腹部痛で当院を受診した.採血で炎症所見なく他に症状もないため,鎮痛剤を処方され帰宅したが,症状が改善せず2日後,再度当院を受診した.来院時,右下腹部痛は増強し,炎症反応もWBC 10,930/μl,CRP 5.9mg/dlと上昇しており,CTで虫垂を中心とした炎症所見を認めたため,卵巣嚢腫を伴う急性虫垂炎との術前診断で緊急手術を施行した.開腹時,虫垂に腫大を認めず右卵巣に隣接して長径60mm大の嚢腫を認めた.嚢腫は卵管と連続性があり,反時計回りに540度捻転しており卵管留水腫の茎捻転と診断した.
    卵管結紮術後の卵管留水腫茎捻転は術前診断が困難であり,多くは卵巣嚢腫茎捻転との術前診断がなされる.卵管結紮術後の成人女性の下腹部痛においては,卵管留水腫の茎捻転を鑑別診断の一つとして念頭に置くべきであると考えられた.
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  • 加藤 恭郎, 伊澤 光, 平川 富夫
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1052-1055
    公開日: 2010/10/25
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    症例は83歳,女性.20歳台での虫垂切除術以外に腹部手術の既往はなく,過去に尿膜管膿瘍を疑わす症状をきたしたこともなかった.今回は腹痛で受診した.下腹部の圧痛以外には腹部所見に異常なく,臍部にも異常を認めなかった.血液検査では著明な炎症反応を認めた.腹部CT検査では尿膜管膿瘍の像と上行結腸の拡張を認めた.輸液,抗生剤投与により全身状態の改善をはかった.3病日のCT検査では上行結腸の拡張が増強した.尿膜管膿瘍の診断で開腹手術を行った.手拳大の尿膜管膿瘍を認め,そこに大網が集積し,横行結腸には屈曲による通過障害が認められた.尿膜管膿瘍の全摘出を試みたが,膿瘍壁と膀胱壁に連続性があり,膀胱壁に大きな欠損が生じるのを避けるため,膿瘍壁部分切除による膿瘍開窓術にとどめた.膿瘍腔内と臍,膀胱とはいずれも交通がなかった.術後経過は良好で,第4病日には食事を開始した.炎症反応も速やかに陰性化し17病日に退院した.
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  • 枝園 和彦, 久保 義郎, 小畠 誉也, 野崎 功雄, 棚田 稔, 栗田 啓
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1056-1060
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,女性.腹部違和感を主訴に近医を受診したところ,画像検査にて腹腔内腫瘤を指摘され,当院を受診された.当院で行った腹部超音波,MRI,CT検査では,小腸に接して5cm大の多房性嚢胞性病変を認め,PET-CT検査にてFDGの集積亢進を認めた.小腸間膜悪性腫瘍の可能性も考え,開腹手術を行った.開腹所見では,回腸末端より125cm口側の小腸間膜内に4.5×3.5cm大の軟らかい腫瘍を認めた.腫瘍は小腸と接しており,約17cmの小腸部分切除を伴う腫瘍切除術を行った.腫瘍は多房性嚢胞性病変で,嚢胞内腔には血液が充満していた.病理組織学的には,嚢胞壁の内腔は1層の扁平な細胞に裏打ちされていた.免疫染色上,D2-40陽性で,小腸間膜リンパ管腫と診断した.成人小腸間膜リンパ管腫は比較的稀な疾患で,文献的考察を加え報告する.
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  • 大谷 泰介, 瀧井 康公
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1061-1065
    公開日: 2010/10/25
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    症例は75歳,男性.前立腺癌の経過観察中の腹部CT検査で虫垂嚢胞性腫瘍および腹水を指摘された.2006年11月に虫垂切除術および粘液性腹水の可及的摘出術を行った.術中腹水細胞診ではCy1(cystadenocarcinoma)が検出され,病理組織診で虫垂粘液嚢胞腺癌穿孔性の腹膜偽粘液腫と診断された.術後よりmodified FOLFOX6(以下,mFOLFOX6)療法を開始し,5クール終了後の腹部CT検査で腹水の減少を認めたが,術後6カ月経過した10クール終了後にGrade3の末梢神経障害が出現したために休薬となった.しかしながら術後1年,休薬より6カ月後の腹部CT検査で腹水は完全に消失し,再発所見も認められないことからCRと診断した.術後3年以上経過した現在でも再発の徴候を認めていない.
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  • 平山 一久, 林 忠毅, 田村 浩章, 金井 俊和, 池松 禎人, 西脇 由朗, 長谷川 進一, 小澤 亨史
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1066-1070
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は72歳,男性.下血を主訴に当院を受診し,腹部超音波検査にて偶然骨盤内に境界明瞭な腫瘍を発見された.CT検査で腫瘍は仙骨前面右側に位置し,充実成分と嚢胞性分の混在する腫瘍で周囲組織への浸潤はなく,MRI検査ではT1強調画像で低信号,T2強調画像で不均一な高信号だった.確定診断が得られなかったが腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は仙骨前面に強固に癒着しており鋭的に切離した.病理学的に腫瘍は良性変性型神経鞘腫であった.術直後より右下腿のしびれを訴えたが2カ月程度で軽快した.
    神経鞘腫は特異的な症状や特徴的な画像所見がないため良悪性を含めた術前診断は困難である.また,摘出に伴い神経障害を惹起することがあり手術に際しては充分なインフォームド コンセントが必要である.
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  • 中島 慎介, 木許 健生, 井上 善文
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1071-1075
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,女性.右側の閉鎖孔ヘルニア修復術後9日間という短期間で対側に閉鎖孔ヘルニア嵌頓による腸閉塞を発症した症例を経験した.これは初回手術時,対側にも閉鎖孔ヘルニアが存在していた可能性を示唆しており,初回手術時に両側の修復術を施行すべきであったと考えられた.初回発症時に骨盤CTにて対側閉鎖孔の開大を評価し,術式の決定を行う必要性があり,対側に非嵌頓閉鎖孔ヘルニアの存在を疑う所見を伴えば両側の修復術を施行する必要があると思われた.
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  • 高坂 佳宏, 村山 弘之, 寺島 孝弘
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1076-1078
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は91歳,女性.嘔吐と左鼠径部から左大腿部への放散痛を主訴に来院.腹部CTにて小腸の左閉鎖孔への嵌頓とそれより口側の振張像を認めたため,左閉鎖孔ヘルニア嵌頓と診断し,同日緊急手術を施行した.鼠径アプローチで鼠径管後壁を切開した後,嵌頓したヘルニア嚢を環納し腹膜を切開し腹腔を開放したところ,小腸に壊死は見られなかったため,Direct Kugel法にて修復した.術後経過は順調で第14病日に退院した.閉鎖孔ヘルニアは高齢者に多いため,鼠径法からのアプローチは小切開でも直視下に閉鎖孔を確認し,小腸を十分に観察できるため,切除術も十分に可能である.また,腸切除が必要のない時は同操作で腹膜前腔を剥離できるため,Direct Kugel法でtotal hernia repairが可能である.閉鎖孔ヘルニア嵌頓に対する鼠径アプローチのDirect Kugel法は安全で合理的な術式と考えられた.
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  • 松下 典正, 鈴木 隆文, 鈴木 仁呂衣, 古川 達也, 重松 恭祐
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1079-1083
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    直腸癌に対する腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術の術中体位が原因と考えられる左腕神経叢障害を経験した.症例は46歳女性.排便時出血を主訴に来院.下部消化管内視鏡検査にて肛門縁より約10cmの直腸に径2cm大のI型直腸癌を認め腹腔鏡補助下直腸低位前方切除術を施行した.術中体位は頭低位約20度,右低位約20度とし両側上腕は70-80度外転として両側肩支持器を肩鎖関節上に置いた.手術時間は6時間25分,術中4回ほど体動を認め麻酔深度の調節が必要であった.麻酔覚醒時より患者から左上腕の位置覚,運動覚,触覚異常の訴えあり.診察の結果術中体位異常によって惹起された腕神経叢障害と診断して運動療法,低周波刺激療法,ビタミンB12製剤投与を行った.腹腔鏡手術では開腹手術と異なった術中体位をとることがあり,近年腹腔鏡下手術術中体位が原因と考えられる神経障害の報告が散見される.それら神経障害に対し対策を講じる目的で文献的考察を加え報告する.
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  • 佐々木 邦明, 川村 武, 佐藤 力弥, 細野 知宏, 島村 隆浩, 川村 統勇
    71 巻 (2010) 4 号 p. 1084-1087
    公開日: 2010/10/25
    ジャーナル フリー
    症例は87歳,女性.腹痛にて上行結腸癌による腸閉塞と診断し,結腸右半切除術が施行された.最終診断SSN0H0P0M0,stage IIで経過観察されていた.術後1年目の胸部CT検査にて肺転移を疑う単発性肺病変を認め,他臓器転移検索目的で施行したFDG-PETで右上腕にもFDG高集積腫瘤を認めた.右上腕部腫瘤は転移性腫瘍が否定できず摘出生検を施行したところ,病理検査にて神経鞘腫の診断となった.大腸癌転移再発の検索目的でFDG-PETは頻用されるが,FDG高集積を呈するものに神経鞘腫があり,再発巣との鑑別が重要であると考えられた.
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