紙パ技協誌
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59 巻, 12 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
製紙技術特集 I
  • 金丸 吉博
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1759
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
  • 永岡 隆
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1760-1766
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    ドライヤパートは古くから多筒式ドライヤで, 蒸気による熱を利用した乾燥形態を用いているが, 紙品質的には, 紙中の水の蒸発過程による水分移動の不均一性 (表裏差) や幅方向の水分の均一性がドライヤパートの紙品質に大きく関与する。ドライヤパートの形式を見ると, 高速化の流れからドライヤパート配列は, 2段ドライヤからオールトップ配列へと変遷している。
    近年のドライヤパートの開発動向に目を向けると, 機長短縮やドライヤ周辺機器の充実化が主流となっている。紙の市場動向は, 国内紙需要の飽和状態より, 製紙会社による設備投資は控えられている反面, 中国を始めとする海外では, 設備投資も活発に行なわれ, 最新鋭抄紙機による紙が国内にも入りこもうとする勢いである。国内市場では, 優位性のある紙作りに動きつつある。また, 近年, オフセット輪転機が伸びており, 特有の印刷障害の改善に各製紙会社は取り組まれている。
    この流れの中, ドライヤパートでできる紙品質, 特に寸法安定性, カール, そして, 最近現れている表面のボコツキ等の改善方法について, 有効なドライヤパート配列, 特にリバース群付きのトータルベルラン及びオールトップ+エアキャップを提案するものである。
  • ―Voith社ハイドライヤの紹介―
    泰井 修
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1767-1770
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    湿紙がドライヤシリンダから離れる部分では真空力, 遠心力, 接着力が働き, これらの力に応じたテンションが湿紙に掛かる。抄紙機速度が増すに従いこれらの力も増加していくため, 求められる湿紙強度はますます高くなってきている。今後さらに抄紙機速度をアップさせるためにはシリンダドライヤ入口のドライネスをさらに上げることが必要になる。しかしドライネスを上昇させるためにシュープレスを設置しプレスニップ圧を上げることはバルクの減少を招くため, バルクが重要な紙種ではプレスニップ圧アップには限界がある。このためプレスパートと現状のシリンダドライヤの間に新しい乾燥装置を設置することが望まれる。
    これに応えるためにVoith社が開発したのがハイドライヤである。ハイドライヤはインピンジメント乾燥による最新の乾燥装置で, Voith社テストマシンに設置され, LWCでウエットリールスピード2,240m/minの最高スピード新記録を達成した。ハイドライヤを設置することによって (1) 高品質紙においてもスピードアップすることができる, (2) 強度の低い原料を使うことができる, (3) 抄紙機長さを短かくすることができる, 等の大きなメリットが得られる。
  • 斉藤 考治
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1771-1785
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    製紙機械に使用されるエアシステムはドライヤの給・排気システムとして抄紙機とともに発展を遂げてきた。特に, ドライヤの乾燥工程で発生する多量の熱量をいかに回収, 再利用するかは排出エネルギーを最小にするのに重要な課題である。
    最新のエアシステムではドライヤフードを高露点化することで排気量を最小にし, 温水回収, 給気予熱を行うことで熱回収を行い排熱量と消費エネルギーを最小にすると共に, ポケットに乾燥エアを供給することで乾燥効率を落とすことなく湿紙の走行性も改善している。この他, 塗工紙の乾燥に用いるエアドライヤの給・排気, 作業環境の改善を目的としたウエットエンドのミスト回収, 建屋の換気などもエアシステムの一部を構成している。
    ここでは, ドライヤフードの歴史的発展をベースに給・排気と熱回収設備, ミスト換気と建屋換気などについて最新のシステムを紹介する。
  • 星野 祐二
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1786-1790
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    白老工場9M/Cは1975年に上質紙マシンとして稼動し, 1995年にはコート原紙マシンに改造を行い, 現在主にA2コート原紙を生産している。
    本マシンでは, 各種改造・増速, 生産品種の移行に伴い, プレドライヤーでのフラッタリングに起因すると考えられる断紙及びフラッタリング対策としてポケット給気量を減少させた事に起因するフード内結露・欠陥が問題となっていた。
    そこで, 2004年にフラッタリング・フード内結露対策として最新型ポケットベンチレータ導入, 給気ライン方法の変更, カンバスラン変更を中心とした改造工事を行った。
    結果, ポケット湿度低下, 給排気湿度の低下, シート走行の安定により, 断紙減少, 欠陥損紙減少, 生産性向上の効果が得られた。
    今回は, 改造工事概要並びに改造後の状況について報告する。
  • 五宝 良之
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1791-1797
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    湿紙の乾燥は熱による水分を蒸発させる作用であり, 熱と物質の移動である。この何十年間もドレネージ装置の基本概念は変化していない。ドレネージ装置は抄紙機の抄速アップに伴い, ドレン排出機器はバケット+トラップよりハイスピード固定サイフォン+ブロースルーへ進化した。調節計や制御機器も空気式のパネル盤から電子式調節計やDCSへ変わってきている。
    本項では熱計算を中心としたドレネージ装置設計業務の実態を紹介する。
  • 大西 秀幸
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1798-1806
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    抄紙要具の中では最もパート数が多くまた寿命も長いドライヤーカンバス (以下カンバス) は, コンディションの維持管理が大変重要なポイントとなっている。世界最高の管理技術を誇る日本国内の抄紙機で, カンバスを安心して長期間使用していただくためにも, 日々の改善・開発は欠かすことが出来ない。
    本稿では, カンバスの改良や新規開発を「カンバス耐久性の改善」「カンバスの汚れ対策」「高速マシン用カンバス」という3つのテーマと, またドライヤーパートの各種計測を「ドライパートの現状把握」というテーマで, それぞれ具体例を交えて報告する。
  • 松下 淳
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1807-1812
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    弊社では, 昨年4月からProjet社 (オランダ, メールセン市) 製の高圧水連続クリーニングシステムの販売を開始し, 9月に1号機を納入して以来1年足らずの間に15台販売し, 引き続き追加や新規の引合いを多く頂戴している。弊社では販売活動の過程で様々な工場へ訪問し, 様々なクリーニングシステムの稼動状態をインタビューしてきたが, 思わしい洗浄効果を得られていないという回答が大半であった。
    なぜ, Projet社のクリーニングシステムが1年足らずの短期間で急速に普及しているのか, 従来型の洗浄方式との違いはどこにあるのか, そしてプロジェット社の現行型クリーナー「プロクリーナー&コンビクリーナー」の課題と最新型クリーナー「パワークリーナー」の狙いについて, 本講演で考察する。
  • 大河 克幸
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1813-1820
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    当社ライナーマシンの汚れ (=欠点) 検出器導入は, 1990年代であるが, それ以降, 紙表面の汚れに対する品質要求は加速度的に高まり, マシン操業管理の最重要ポイントになっている。
    ドライヤーパートでは, 原料事情と相まって, 特に1群ドライヤーの汚れが著しく, 大分1マシンも, 種々対策を実施してきた。
    この一環として, 昨年10月には, 操業中の超高圧水洗浄 (水圧300kg/cm2) を可能にした新タイプのカンバスクリーナーを設置したが, 一応の成果が得られたため, ここに一連の経緯を踏まえ, 1群ドライヤー汚れ対策の操業経験を紹介する。
総説・資料
シリーズ : 大学・官公庁研究機関の研究室紹介 (50)
研究報文
  • ケシュク・ シェリフ, スウィナルティ・ ウィウィン, 鮫島 一彦
    2005 年 59 巻 12 号 p. 1833-1843
    発行日: 2005年
    公開日: 2006/08/25
    ジャーナル フリー
    新しい方法で実験室的に調製した高粘度ケナフ靭皮パルプ試料をFT-IR分光法, X線回折法, ならびにCP/MAS13C NMR分光法で比較分析した。使用した高粘度ケナフ靭皮パルプは3種類の異なる方法で調製したもの (A, B, C) で, 銅エチレンジアミン粘度 (CED) は順に109, 63および102 cPであった。
    FT-IRスペクトルでは, 基本的には同様な分子鎖構造を示したが, 平均水素結合度, エーテル結合比, 結晶化度指数はCED粘度の順と一致した傾向にあった。X線回折図とCP/MAS 13 C NMRスペクトルでは, B法のパルプで, (110) 面間にA法とC法では認められない残留リグニンの存在が示された。FT-IR, X線, CP/MAS 13 C NMRいずれでもA法のパルプが最も高い結晶化度指数を示し, 次いでC法, B法の順であった。粘度とこれらの3種の測定で計算した結晶化度指数との間には高い相関性 (R>0.9) が認められ, これらのパルプの結晶化度はCED粘度と比例関係にあることが示唆された。
工場紹介 (53)
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パピルス
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