今日,叩解工程には2つの大きな課題が存在する。1つ目の課題は叩解が製紙工程の中でももっとも大きな動力を要することから,普遍的な課題としての省エネルギーである。
2つ目の課題としては,近年の製紙原料自体の変化に則した叩解方法の応対が挙げられる。もっとも大量に使用される製紙原料はLBKPパルプと段ボール古紙,新聞古紙であるが,LBKPパルプは近年原木の植林による伐採樹齢の一律化によって,また段ボール古紙と新聞古紙はリサイクル率の上昇によって,繊維長,フリーネスがともに低下してしまった。この短く,弱くなってしまった主要原料を活かすには従来のカッティング叩解ではなく,これ以上繊維を切断しないで紙力強度を高める粘状叩解が必要である。
皮肉なことに原料繊維の叩解効果を測定するフリーネス低減をもっとも低動力で実現する方法は繊維を切断するカッティング叩解であり,粘状叩解ではないと言うのが一般論である。すなわち,今日の叩解にはこの相反するようにも思える2つの課題をともにクリアすることが求められているのである。
本稿ではこの2つの課題に応える弊社の最新叩解技術,叩解機ADC型ダブルコニファイナーとFinebar叩解刃物双方からの弊社の取り組みと,弊社の最新技術によるメリットを紹介させて頂く。
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