Journal of Veterinary Medical Science
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58 巻, 8 号
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  • 川口 寧, 前田 健, 小野 満, 横山 直明, 坪田 健次郎, 藤田 賢太郎, 遠矢 幸伸, 甲斐 知恵子, 見上 彪
    1996 年 58 巻 8 号 p. 715-721
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)前初期(IE)遺伝子発現機構を解析し, 以下の結果を得た. (i)FHV-1 IE mRNAの転写開始部位は, FHV-1 IE遺伝子のプロモーター領域に存在する, 推測されるICP4結合部位に存在していた. (iii)FHV-1 IE mRNAはそのリーダー部位に, 906bpのイントロンを有していた. (iii)FHV-1 IEプロモーター領域におけるcis-acting elementを同定したところ, 転写開始部位の上流および下流の両方に存在していた. (iv)FHV-1 IE遺伝子産物は, FHV-1 IEプロモーターを僅かに活性化したが, 推測されるICP4結合部位を含む58bpをFHV-1 IEプロモーターより欠損させると, FHV-1 IE遺伝子産物は著しくその変異プロモーターを活性化したことより, FHV-1 IE遺伝子産物はこの部位を介して自身のプロモーターを抑制していることが示された.
  • 伊東 輝夫, 廉澤 剛, 望月 学, 松永 悟, 西村 亮平, 佐々木 伸雄
    1996 年 58 巻 8 号 p. 723-726
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1982年~1993年に悪性乳腺腫瘍と診断された猫53例のカルテからその予後を検討した. 品種は日本系雑種とシャムが優位を占め, 診断時の平均年齢は11.1歳であった. 診断の1年後および2年後の生存率はそれぞれ31.8%および17.7%で, 本疾患の不良な予後が示唆された. 生存期間は腫瘍の大きさあるいはWHOの臨床病期と有意に相関していたが, 品種, 年齢, 性とは関連がなかった. 肺転移の認められた29例は, 転移確認後5ヵ月以内に全例が死亡した. 術後の予後は摘出時の腫瘍の大きさと有意な相関がみられたが, シクロフォスファミドやビンクリスチンを用いた補助的化学療法および術式との有意な相関は認められなかった.
  • 松本 浩毅, 山田 剛久, 竹村 直行, 左向 敏紀, 小山 秀一, 本好 茂一, 稲田 頼太郎
    1996 年 58 巻 8 号 p. 727-730
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    臨床的に健常でDirofilaria immitis (D.immitis)感染の認められない102頭のビーグルと16頭のD.immitis感染犬の血中免疫複合体(CIC)を免疫粘着赤血球凝集反応(IAHA)法によって測定した. 102頭の健常犬のCIC値は, 28.2±29.1μg/mlであった. CIC値に関しては, 年齢や性による有意差はみられなかった. D.immitis感染犬のCIC値(210±111.4μg/ml)は, 健常犬に比べ有意に高かった(P<0.01). 今回の実験結果より, IAHA法がイヌのCIC測定に適した方法であり免疫複合体介在性疾患の検出あるいは診断に応用可能であると考えられた.
  • 林 正信, 岡田 太, 石田 こずえ, 前田 秋彦, 昆 泰寛, 水谷 哲也, 伊藤 豊志雄, 荒井 惣一郎, 渡辺 智正
    1996 年 58 巻 8 号 p. 731-735
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス肝炎ウイルスJHM株のヌクレオキャプシド(N)夕ンパク質をコードしているmRNA7をラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTRあるいはヒト伸長因子(EF)1aのプロモーターによって発現するプラスミドを作製し, それぞれpRSV-mRNA7, pEF-mRNA7と名付けた. pEF-mRNA7プラスミドを筋肉内に投与したC57BL/6マウスの脾細胞はごくわずかな細胞胞障害活性しか示さなかったが, pRSV-mRNA7を投与したマウスの脾細胞はウイルスNタンパク質を発現する細胞に対して有意に高い細胞胞障害活性を示した. RSVのLTRの制御下でクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を発現するプラスミドを投与したマウスの筋肉内におけるCATの比活性はEF-1aプロモーターを用いた場合よりも有意に高い比活性を示したので, pRSV-mRNA7とpEF-mRNA7を投与したマウスにおいて誘導された細胞障害活性の差異は筋肉内におけるNタンパク質の発現量の差に起因すると考えられた.
  • 森好 政晴, 玉城 正幸, 中尾 敏彦, 河田 啓一郎
    1996 年 58 巻 8 号 p. 737-741
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    約10分の短時間で測定可能な市販の牛乳用プロジェステロン(P)定性測定EIAキット(定性キット)を用いて豚の唾液中P濃度の定性測定を試み, 早期妊娠診断への応用の可能性について検討した. 最終交配後17~24日の繁殖雌豚138例における妊娠診断適中率は陽性例では91.3%(105/115)であり, 陰性例では100%(6/6)であった. 妊否不明例17例を含めた全体の妊娠診断適中率は80.4%(111/138)であった. 定性キットによる判定結果と, 同一サンプルを用い定量キットによって測定した唾液中P値との関係を調べたところ, 138例中定性キットにより非妊娠と判定された6例のP値はすべて5ng/ml未満であり, いっぽう妊娠と判定された115例中111例はすべて5ng/ml以上のP値を示し, 両者の判定結果はほぼ一致した. 以上の結果より, 牛乳用P定性キットを応用した豚唾液中P濃度の定性測定による早期妊娠診断法は実用的価値が高いものと考えられた.
  • 近藤 千雅, 牧田 登之
    1996 年 58 巻 8 号 p. 743-748
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    雄Wistarラットにペルオキシゾーム増加剤であるbezafibrateを混餌投与し, 肝臓における微細構造変化を電子顕微鏡を用いて経時的に観察した. 体重100g当たりの肝重量, ペルオキシゾームの数および面積の計測の結果, 肝重量およびペルオキシゾームの面積は投与14日(それぞれコントロール群の2.2倍, 10.6倍)において, またペルオキシゾームの数は投与30日(コントロール群の6.8倍)において最大であった. これらの値は, 投与90日では最大時のそれぞれ62%, 52%, 67%と著しく減少していた. ミトコンドリアにおいては, 投与90日にクリステが小胞化しその中に線維状構造物を含んでいた. カタラーゼ染色による細胞化学的検索では, 投与7日において弱い活性を示すペルオキシゾームが多数観察された. 以上より, 肝肥大およびペルオキシゾームの数的増加はbezafibrate投与後短期間で誘発されるが, bezafibrateの投与中であってもピーク後それらは著しく減少することが判った. これはペルオキシゾーム増加剤の休薬時に観察される現象に類似していた. またbezafibrateはミトコンドリアにも形態的に変化を及ほすことも判った.
  • Jusa Enuh Raharjo, 稲葉 右ニ, 河野 通大, 広瀬 修, 柴田 勲, 久保田 道雄, 安原 寿雄
    1996 年 58 巻 8 号 p. 749-753
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)ウイルス感染豚の抗体検出感度をあげるため中和試験の諸条件について検討したところ, ウイルス希釈液に補体(新鮮モルモット血清)を10%(v/v)添加し, 血清・ウイルス混合物を4℃, 24時間反応させることにより, 高力価の中和抗体が得られた. この改良中和試験および間接蛍光抗体IFA法による抗体の出現と持続は同じ傾向を示した. しかし改良中和試験による抗体価はIFA法によるそれよりも常に低かった. 実験感染後2週またはそれ以降に遅作用性補体要求性中和抗体が検出され, 感染初期中和抗体は2-mercaptoethanol(2-ME)に感受性であったが, 感染後期中和抗体は2-ME抵抗性であった. したがって初期抗体はIgMで後期抗体はIgGと思われる. 補体添加血清・ウイルス混合物を4℃, 24時間反応させる改良中和試験の感度は, 従来の37℃60分反応させる中和試験よりも高いことが判明した.
  • 中村 郁子, 扇元 敬司, 和泉 博之
    1996 年 58 巻 8 号 p. 755-759
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Selenomonas ruminantium HD-4の生育および構造に対するlasalocidとCa2+の相互作用を検討した. 培養開始時にlasalocidとCa2+を添加した場合, 高濃度(5~50mM)のCa2+存在下では, 12時間後の生育は10μM lasalocidによりほぼ完全に阻害されたが, 0.2mM Ca2+存在下ではわずかに阻害されたのみであった. 12時間培養後の生育は, Ca2+単独投与により濃度に応じて阻害された. Mid-exponential phaseにおける10μM lasalocidと50mM Ca2+の添加は生育を顕著に阻害した. lasalocid単独処理が弱い生育阻害を示したのに対し, Ca2+単独処理は影響を示さなかった. 50mM Ca2+とlasalocidで処理した細胞の超薄切片を観察すると, 細胞質に空隙を有し, outer membraneがinner membrane層から遊離した異常な細胞がみとめられたが, このouter membraneの変化はlasalocid単独処理細胞でも観察された. Ca2+単独処理細胞では, outer membraneの異常は観察できなかったが, ほとんどの菌の細胞質に空隙が観察された. 以上の結果から, lasalocidとCa2+は生育に相乗効果があり, それは細胞質の変化を誘発した結果であることが示唆された.
  • 菱田 尚樹, 局 博一, 関澤 信一, 菅野 茂
    1996 年 58 巻 8 号 p. 761-767
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    自発呼吸あるいは人工呼吸下において, ラット喉頭腔にカプサイシン(CAPS)溶液を滴下し, その呼吸循環反射および反射発現機序を検討した. CAPS(100μg/ml, 20μl)の初回作用によって, 呼気時間(TE)が著明に延長し, 一時的な無呼吸(apnea)が発現した. 同時に血圧上昇および徐脈も発現した. これらの反射は, 2回目のCAPS作用で著しく抑制されたが, 両側上喉頭神経および両側反回喉頭神経の切断下でも5例中3例のラットで消失しなかった. 血圧上昇および徐脈は, 無呼吸発現のない人工呼吸下においても自発呼吸下と同様に発現した. 徐脈はアトロピンの前処置により完全に消失し, フェントラミンあるいはプロプラノロールの前処置は血圧上昇を抑制した. これらの結果から, 咽喉頭領域への侵害刺激は著明な呼吸循環反射を誘発するが, 循環反射は呼吸抑制に起因する二次的な反射効果によらないことがわかった. また, このような呼吸循環反射の発現は, 求心経路として無髄C線維および細い有髄線維が介在するとともに, 遠心経路として交感および副交感神経の同時興奮が関与することが示唆された.
  • 杉山 誠, 源 宣之, 金城 俊夫, 伊藤 啓史, 山内 一也
    1996 年 58 巻 8 号 p. 769-771
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛疫ウイルスLA株のHA遺伝子の塩基配列を決定した. 推定アミノ酸配列からそのHA蛋白質の構造は牛疫ウイルスのなかでよく保存されていた. Asn結合型糖鎖の付加が予想される部位は3ヵ所であり, 位置はL株と一致した. また, LA株は200番目のアミノ酸の変化によりL株に存在した糖鎖付加部位を1ヵ所欠いていたが, 両株のHA蛋白質の分子量が同じであったことから, L株の200番目のAsnには糖鎖が付加しないと考えられた.
  • 中市 統三, 田浦 保穂, 中間 實徳, 竹内 啓, 松永 尚文, 江部 和勇, 網本 昭輝
    1996 年 58 巻 8 号 p. 773-775
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬の原発性脳腫瘍2例に対し, 外科的切除と術後放射線療法を併用して治療を行った. 摘出標本の病理組織学的検査では, それぞれ神経膠腫, 髄膜腫と診断された. 治療開始後, 2例ともに神経症状の改善が得られた. 神経膠腫の1例は術後6ヶ月良好な状態を維持した後に急死したが, 髄膜腫の例は術後24ヶ月経過した現在でも生存中である. 以上のことから, このような治療法が犬の脳腫瘍に対して有用であることが示唆された.
  • 小野 満, 張 炯寛, 前田 健, 川口 寧, 遠矢 幸伸, 新倉 昌浩, 見上 彪
    1996 年 58 巻 8 号 p. 777-780
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マレック病ウイルス血清1型(MDV1)のGA株, Md5株, JM株をそれぞれ感染させた鶏胚線維芽細胞(CEF)をMDV1の糖蛋白D相同蛋白(MDV1 gD)を認識する単クローン抗体を用いた関接免疫蛍光法に供した. GA株に感染させたCEFにおいては多数の細胞が抗体で染色されたが, Md5株を感染させたCEFにおいては抗体で染色された細胞は極僅かで, JM株を感染させたCEFにおいては抗体で染色された細胞は全く認められなかった. 抗MDV1 gD抗体を用いたイムノブロット法によりGA株を感染させたCEFから64 kDaのバンドが検出された. この報告はMDV1感染培養細胞においてMDV1 gDの検出を認めた最初の報告である.
  • 加藤 敏英, 酒井 淳一, 板垣 昌志, 渡辺 栄次, 渡辺 大作, 小形 芳美
    1996 年 58 巻 8 号 p. 781-782
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    呼吸器病牛から分離したP.multocida, P.haemolyticaおよびMycoplasma bovisに対するthiamphenicol(TP)とlincomycin(LCM)およびTPとtylosin(TS)の併用効果をchecker board methodを用いFIC値により判定した. その結果, それぞれの菌株に対するFIC値は, TPとLCMの場合は0.36±0.10, 0.72±0.09および0.81±0.18, TPとTSの場合は0.79±0.20, 0.66±0.11および0.32±0.14であり, これらの併用は相乗または相加効果があると判定された.
  • 加藤 敏英, 酒井 淳一, 小形 芳美, 漆山 芳郎
    1996 年 58 巻 8 号 p. 783-785
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛の呼吸器病に対しチアンフェニコール(TP)とタイロシン(TS)を同時投与し, その臨床効果を検討した. 投与群はTP10mg/kgとTS4mg/kgをI群, TP5mg/kgとTS2mg/kgをII群とし, アンピシリン群(10mg/kg)およびTP群(20mg/kg)と比較した. その結果, I群は他群に比べ症状の改善が速やかであり, 治癒率も有意に高かった(p<0.0001). 以上の結果から, TPとTSの併用は牛の呼吸器病に対し, それぞれ最小基準量で高い治療効果を示すことが明らかになった.
  • 荒城 寛, 坪田 敏男, 前田 菜穂子, 原田 信広, 小南 思郎, Mason J.I, 喜多 功
    1996 年 58 巻 8 号 p. 787-790
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    交尾期にあるエゾヒグマの卵巣を用いて4種のステロイド合成酵素の局在を免疫組織化学的に調べた. この卵巣は, 大型卵胞を有していたことより, おそらく卵胞期のものと考えられた. 大型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞で認められた. P450 c17は内卵胞膜細胞で認められたが, 顆粒層細胞では認められなかった. また, P450 aromは顆粒層細胞で認められた. しかし, 中型卵胞においては, P450 sccおよび3βHSDは内卵胞膜細胞にのみ認められ, P450 aromは内卵胞膜細胞と顆粒層細胞のいずれにも認められなかった. 間質細胞では, P450 aromを除く全ての酵素が認められた. 以上の結果は, エゾヒグマの卵胞におけるエストロジェンの産生機序は卵胞膜細胞と顆粒層細胞の両者の関連によるものであり, いわゆる2細胞説に従うこと, 大型卵胞の顆粒層細胞はプレグネノロンおよびプロジェステロンの産生能力を有すること, さらに間質がステロイド合成能力を有することを示唆している.
  • 玄間 剛, 岩附 研子, 辛 〓実, 吉田 恵美, 甲斐 知恵子, 見上 彪
    1996 年 58 巻 8 号 p. 791-794
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    迅速かつ特異的なイヌジステンパーウイルス(CDV)の検出方法としてimmunocapture ELISAの開発を試みた. 本法は感度, 特異性はともに充分高かった. 次に野外分離株2株とCDV Onderstepoort株, 及びそれらの感染血清を用いた交叉中和抗体価試験に本法を応用し, 野外分離株とCDV Onderstepoort株感染血清中の, これらウイルス株に対する交叉中和活性の違いが認められた.
  • 奥井 登代, 遠藤 大二, 荒井 惣一郎, 林 正信
    1996 年 58 巻 8 号 p. 795-797
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    LECラットは生後4から5ヶ月齢で遺伝性の急性肝炎を発症する系統であり, また, WKAHラットと比較してX線の全身照射に対して高い感受性を有する. 本研究はLECラットから単離した線維芽細胞をin vitroでX線照射することによって特定の型の染色体異常がWKAHラットの細胞と比較して高頻度に誘発されることを示した. 例えば, クロマチドギャップはLECの細胞でWKAHの細胞と比較して4から5倍, 染色体交換は6から8倍高頻度に誘発された.
  • セリム ハテムモハメド, 今井 壮一, 大和 修, カバニ アーメ, キロロス ファイツ, 前出 吉光
    1996 年 58 巻 8 号 p. 799-801
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    エジプトで飼育されている水牛, 牛および緬羊について, それらの第一胃内繊毛虫構成を調査した. その結果, 水牛では12属29種7型, 牛では10属28種11型および緬羊では7属18種6型がそれぞれ同定された. 牛と水牛では22種が共通してみられたが, 緬羊では12種が牛および水牛との共通種であった. 各家畜ともエントジニウム属, 特にE.simplex, E.nanellumおよびE.exigumが最も多くみられた. 以上から, エジプトの家畜反芻動物の第一胃内繊毛虫構成は, 水牛が熱帯地域の繊毛虫の一部を保有しているものの, 全体として, 温帯地域の反芻獣のそれと類似していることが明らかとなった.
  • 大橋 文人, 黒田 一雄, 嶋田 照雅, 島田 保昭, 大田 光明
    1996 年 58 巻 8 号 p. 803-804
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イオタラム酸(IOT)の猫における体内消失を検討するために健常猫及び実験的腎不全猫にイオタラム酸(IOT: 118.3 mg/kg)を静脈内投与し, その血漿消失速度を測定した. 一区画モデルによる解析で実験的腎不全猫のIOT血中消失速度は2.16±0.240×10-3μg/ml/minと健常群の値(4.10±1.00×10-3μg/ml/min)に比較して有意な低値を示し, 血漿IOT消失速度は猫の簡便なGFR測定法となる可能性が示唆された.
  • 柴田 勲, 宇留野 勝好, 森 正史
    1996 年 58 巻 8 号 p. 805-807
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚肺胞マクロファージ(SAM)を用いて分離した35株の豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)ウイルスの血清学的性状とSAMおよびMARC - 145細胞における感染性を調べた. immunoperoxidase monolayer assayですべての分離株はEDRD - 1株および2株の国内分離株に対する抗血清とほぼ同程度に強い反応を示したが, Lelystad virus(欧州株)に対する抗血清とは弱いかあるいは反応を示さず, 国内分離株が米国株に近縁であることが示された. 35株中22株はSAMとMARC - 145細胞でCPEを示して増殖したが, 13株はMARC - 145細胞でCPEを示さなかった. 国内分離株の抗原性状はその由来と培養細胞での増殖性とは関連が認められなかった.
  • Zhao YuMin, 成田 實, 川嶌 健司
    1996 年 58 巻 8 号 p. 809-810
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    6週齢のSPF豚4頭に対して, オーエスキー病ウイルスをそれらの空腸と回腸ループに接種し, 腸病変の発現過程を調べた. ウイルス抗原は最初, 腸の粘膜上皮直下の壊死巣に検出され, その後腸の粘膜上皮細胞, パイエル板のリンパ小節, マイスネルとアウエルバッハの神経叢の神経細胞で観察された.
  • 音井 威重, 山本 憲, 小山 信幸, 立川 進, 鈴木 達行
    1996 年 58 巻 8 号 p. 811-813
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    凍結融解成熟卵子由来の雌子牛の正常性(発育および繁殖能)について調べた. 生時体重は体外受精胚および人工授精由来の雌子牛より軽かったが, 生後6ヵ月までの発育は, 人工授精由来の雌子牛と同様であった. この凍結卵子由来の雌子牛が200kgに発育したときに人工授精した結果, 280日後に雄子牛を分娩した. また, 凍結卵子由来の雌牛の染色体数は正常であった. 以上から今回得られた凍結卵子由来の雌子牛は, なんら異常が認められなかった.
  • 新矢 恭子, 野村 耕二, 和田 章司, 森岡 宏, 梅村 孝司
    1996 年 58 巻 8 号 p. 815-817
    発行日: 1996/08/25
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    7歳の雌犬が過去1年間に渡り鼻梁部と眼瞼周囲部の難治性皮膚炎を示した. 患部は肉眼的に痂皮形成と落屑が著明で, 組織検査では棘細胞解離を伴う角質下膿疱形成が見られた. パラフィン切片を用いた免疫組織学的検索で表皮浅層と毛包漏斗部の角化細胞間にIgG沈着が観察された. 表皮基底膜にIgG沈着はなかった. 以上の臨床及び病理所見は, 膿疱性自己免疫性皮膚疾患である落葉性天疱瘡に一致するものであった.
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