Journal of Veterinary Medical Science
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56 巻, 6 号
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  • 望月 学, 清水 元太郎, 山田 裕, 廉澤 剛, 西村 亮平, 中山 裕之, 後藤 直彰, 佐々木 伸雄, 竹内 啓
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1029-1034
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    日本の都市近郊における集約的飼養形態下に置かれ, 適切な蹄管理を受けていないホルスタイン種乳牛の45頭239蹄を屠場から無作為に採取し, 蹄底の真皮層および表皮層の病理組織学的検索を行った. その結果, 程度の差はあるものの真皮層では循環障害を主体とした病変が, 表皮層では変性や角化の異常が広く認められた. これらの所見を, 循環障害と角化の程度によりGrade 1から5までの5段階に分類した. ほぼ正常であるGrade 1はわずか11.9%しか存在せず, 軽度の病変を示したGrade 2は潜在性蹄葉炎と考えられたが,半数以上を占めていた. Grade 3 (23.9%)および4 (5.4%)の病変は従来報告されている慢性蹄葉炎の組織像によく一致していた. また蹄底潰瘍を伴うGrade 5も5.4%存在した. これらGrade 1から5の所見は, 潜在性蹄葉炎が他の蹄病へ進行する一連の病変の表れと推察された. 以上の結果から, 日本の乳牛においてもかなり高率に潜在性蹄葉炎が存在することが示され, これが, 近年の蹄病増加の一因になっていることが示唆された.
  • 杉井 俊二
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1035-1040
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシコングルチニン分子上の抗原決定基を同定する目的で, N末端側から5アミノ酸残基が重複した20アミノ酸残基から成るペプチドを合成し, ウサギ抗ウシコングルチニン抗体との反応を調べた. その結果, アミノ酸残基31- 50, 166-185および241-260を含む合成ペプチドが最も高い反応を示し, 次にアミノ酸残基1-20, 16-35, 31-50, 76-95, 136-155, 151-170, 181-200, 271-290, 301-320および316-335を含む合成ペプチドが抗体と良く反応した. またコングルチニンとマンナンとの結合はアミノ酸残基16-35, 31-50, 46-65, 76-95, 91-110, 106-125, 151-170, 166-185, 211-230, 226-245および286-305を含む合成ペプチドにより阻止が見られた. また個々の合成ペプチドをキャリヤーと共に家兎に免疫して得られた抗体は全てコングルチニン分子と反応を示したが, 特にアミノ酸配列241-260に対する抗体が強く反応した. 一方コングルチニンとマンナンとの結合はアミノ酸残基16-35を含む合成ペプチドに対する抗体のみが効率的に阻止を示した. 以上の成績から, ウシコングルチニン分子上には免疫原性およびリガンド結合に関与する複数の抗原決定基が存在することが示唆された.
  • 原 康, 多川 政弘, 江島 博康, 織間 博光, 杉山 公宏, 敷波 保夫, 玄 丞烋, 筏 義人
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1041-1045
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    若齢ネコの大腿骨骨幹部に実験的横骨折を作製し, これに対して一軸延伸 Poly-L-lactide (PLLA) 製髄内ロッドおよび外副子を用い髄内釘固定法に準じて整腹・固定を行い, 骨折の治癒過程を臨床的に評価した. その結果, 単純X線検査では, 処置後8週の時点において骨折線の消失, および橋状仮骨の完成が認められた. また骨折線部分のX線CT検査において, 処置後8週以降に, 橋状仮骨表層に新生骨皮質の形成が認められた. また外仮骨のCT値は処置後2週から16週後まで経時的に増加し, 新生骨皮質の骨化が認められた. これらの所見から, 8週の時点において骨折部の骨癒合が完了し, 以降16週までは骨の再構築過程が進行したと考えられた. また観察期間の終了時である16週において, 処置側の大腿骨長径および短径を対側の大腿骨と比較したが, 成長障害などの異常所見は認められなかった. これらの結果から, 若齢動物の骨幹部骨折に対して外副子と組み合わせてPLLA製ロッドを使用した場合, 臨床的有用性が認められることが示唆された.
  • 杉井 俊二
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1047-1050
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウエルシュ菌エンテロトキシン分子上の抗原決定基を同定するため, N末端側から5アミノ酸残基をオーバーラップした20アミノ酸残基を含むペプチドを21個合成し, ウサギ抗ウエルシュ菌エンテロトキシン抗体との反応を調べた. その結果, アミノ酸残基91-110を含む合成ペプチドが最も高い反応を示し, 次にアミノ酸残基46-65, 121-140, 151-170を含む合成ペプチドが抗体と良く反応した. 他のべプチドはやや弱い反応を示した. 抗体と反応したこれらの合成ペプチドをキャリヤーとともにウサギに免疫して得られた全ての抗ペプチド抗体がウエルシュ菌エンテロトキシンと反応することが判った. 今回の成績から, ウエルシュ菌エンテロトキシン分子上には免疫原性を有する少なくとも10の異なる抗原決定基が存在することが明らかになった.
  • 本田 隆, 岡村 宏, 種子野 章, 山田 進二, 高橋 英司
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1051-1055
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    細胞随伴型の伝染性喉頭気管炎(ILT)ウイルス生ワクチンに対する鶏の免疫応答を調べた. ワクチン接種鶏の末梢血及び脾臓由来のリンパ球を用いてMTT assay によるリンパ球幼若化試験を行った結果, T細胞マイトジェンに対する有意な反応が認められた. また, ファブリキウス嚢を除去した鶏では抗体応答が認められなかったにもかかわらず強毒株による攻撃に対する防御効果が認められた. 以上の成績から, 本ワクチンの効果発現には細胞性免疫が主体的に関与していることがわかった. 胸腺を除去した鶏では対照群(非除去群)に比べてワクチンによる防御効果が低い傾向にあった. また, ワクチン接種鶏の脾臓, 胸腺, ファブリキウス嚢, 末梢血由来リンパ球を鶏の静脈内に接種し, 攻撃試験を行った結果, 脾臓細胞及び末梢リンパ球を移入した鶏で防御効果が認められ, それらの細胞が本ワクチンの効果発現に重要な役割を果たしていることがわかった.
  • 平賀 雅之, 布谷 鉄夫, 大滝 与三郎, 田島 正典, 斎藤 敏樹, 中村 俊博
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1057-1063
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    高度病原性鶏伝染性ファブリシアス嚢病(IBD)ウイルス(IBDV)感染の病理発生を解明するため, SPF鶏並びにファブリシアス嚢(BF)を外科的に摘出したSPF鶏を用いて, 高度病原性IBDVの90-11株と従来型のI株の感染実験を行った. 90-11株100.7EID50接種では4日間の実験期間中臨床症状及び病変は認められなかった. 102.7EID50及び104.7EID50接種では, 高度の臨床症状と肉眼及び組織病変がみられ, 免疫染色では接種後2日目からBF, 胸腺, 脾臓, 骨髄にウイルス抗原を認めた. ウイルス抗原はこれらの鶏のBF乳剤を用いたゲル内沈降反応及びラテックス凝集反応でも検出された. I株の106.1EID50接種では, 接種後4日目に軽度の臨床症状を認め, BF病変及び抗原スコアは高度病原性株接種鶏とほぼ同じであったが, 他の器官では病変及び抗原はほとんど検出されなかった. 90-11株を接種したBF摘出鶏では, 胸腺及び脾臓における組織病変の形成と免疫染色による抗原検出などから感染成立は確認されたものの臨床症状は出現しなかった.
  • 中島 靖之, 石川 義春, 門田 耕一, 児玉 道, 本間 裕一
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1065-1068
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    悪性カタル熱罹患牛の血管と粘膜病変における表面抗原を7種のモノクローナル抗体での免疫染色により解析した. MHCクラスI, II抗原が血管壁の変性部位と浸潤細胞にみられた. 病変部に浸潤する単核細胞のフェノタイプは過半数がマクロファージであった.他の細胞はBoCD4またはBoCD8マーカーを持っており, γδ型は稀であった. これらの結果は悪性カタル熱の血管病変形成に, 細胞障害性T細胞に加えて, MHC拘束性とマクロファージが関与することを示唆する.
  • 安田 宣紘, 江崎 健二郎, 阿久沢 正夫, 伊沢 雅子, 土肥 昭夫, 阪口 法明, 鑪 雅哉
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1069-1073
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    事故死したそれぞれ2頭のイリオモテヤマネコ(Felis iriomotensis)とツシマヤマネコ(Felis bengalensis euptilura)に寄生する蠕虫について検査した. イリオモテヤマネコからは Spirometra erinacei, Toxocara cati, Molineus springsmithi, Uncinaria maya, Capillaria aerophila, C. felis-cati, 肺に寄生する所属不明の線虫子虫, Acanthocephala 1種の計8種が検出された. ツシマヤマネコからは Pharyngostomum cordatum,Spirometra erinacei, Toxocara cati, Molineus springsmithi, Arthrostoma hunanensis, Uncinaria felidis, Capil-laria felis-cati, 肺に寄生している所属不明の線虫子虫, Acanthocephala 2種の計10種が検出された.
  • 三角 一浩, 平川 篤, 坂本 紘, 清水 亮佑
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1075-1080
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    個々の馬の陸上での運動能力が規定水泳運動テストで評価できるか否か検討するために, 同一個体について走行運動と水泳運動に対する運動能力を評価し, 比較検討した. 3~5歳齢のサラブレッド10頭を使用し, ダートトラックと水路において5段階運動テストを行い, 運動中の心拍数と運動直後の血中乳酸値を測定した. 得られた測定値及び速度の相関関係より, 循環器系あるいは代謝系の適応度との関連性が高いとされる一連のパラメーター(VLA2, VLA4, LA0, V150, V200, HRs, HRLA2, HRLA4)を算出し, 主成分分析によってそれらの解析を試みた.第1・2主成分を軸として表した各パラメーターの相関関係は, 両運動テストで類似したものであった. また個々の馬について, 走行・水泳運動に対する適応度を比較したところ, トレーニングされた期間が短く, その強度も弱かった3頭の馬は, いずれの運動においても他の馬とは異なるグループとして統計的に区別された. 以上のことから, 多変量解析を用いて水泳運動に対する適応度を評価することにより, 陸上での運動適応度の劣る馬を判別できるものと考えられた.
  • 冨澤 伸行, 西村 亮平, 佐々木 伸雄, 林 良博, 仙波 裕之, 原 茂雄, 廉澤 剛, 竹内 啓
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1081-1085
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    腰痿を呈する若馬の頸椎骨について, 多変量解析の手法を用いて骨形態学的解析を行った. はじめに, 跛行のない対照馬39例の第3~第7頸椎骨に関して計測した28変数を用いて, 重回帰分析およびクラスター分析を行った. その結果, いずれの部位に関しても頸椎骨の成長に関して性差がないこと, 解析を行う場合, 成長に伴う椎骨形態の変化を考慮し, これらの若馬を8ヵ月齢以下, 9~12ヵ月齢, 13ヵ月齢以上の3群に分類するのが適当であることが判明した. これらの結果をもとに, 最も数の多かった13ヵ月齢以上の腰痿馬28例と対照馬19例の頸椎骨に関して, 20変数を用いて判別分析による変数選択を行った.その結果, 第3~第7の各頸椎骨において1~7個の変数が選択された. これらの変数を用いると, 腰痿馬と対照馬の頸椎骨について高い確率で判別を行うことができた. 頸椎骨全体においては, 椎骨前部および後部における椎孔の高さ, 椎頭の前後長および椎窩の高さが判別に強く寄与していた. 頸後部においては, さらに関節突起の横径や前後径も判別に大きく寄与していた. これらの結果から, わが国の腰痿馬の頸髄病変が頸椎骨の骨軟骨症や二次的な変形性関節症などの形態異常によって起こることが強く示唆された.
  • 杉本 健, 丸尾 幸嗣, 今枝 靖雄, 鈴木 馨, 代田 欣二, 江島 博康, 遠藤 幸夫, 野村 達次
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1087-1091
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    手術もしくは剖検時に摘出された犬腫瘍をSCIDマウスの皮下に異種移植した. 73例中30例(41.1%)が初代移植に成功した. 乳腺腫瘍および皮膚・皮下腫瘍の初代移植成功率はそれぞれ55.9%(19/34)および28.6%(8/28)であった. 甲状腺癌, 口腔内平滑筋肉腫, 骨肉腫各一例も初代移植に成功した. 良性腫瘍の初代移植成功率は31.7%(13/41), 悪性腫瘍は53.1%(17/32)であった. 原腫瘍とその移植腫瘍の組織像はすべての例において互いに類似していた. 臨床的に転移の認められた4例中3例の腫瘍がSCIDマウスに移植成功し, この内2例の乳腺癌はSCIDマウスの肺に転移した. また初代移植に成功した30例全例が2代への移植にも成功した. SCIDマウス異種移植実験系は犬腫瘍の生物学的特性の解明に役立つと思われる.
  • 押鴨 涼子, 遠矢 幸伸, 川口 寧, 朝長 啓造, 前田 健, 武田 直和, 宇田川 悦子, 甲斐 知恵子, 見上 彪
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1093-1099
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    FCVF4株ゲノムの非構造蛋白質をコードしている領域(ORF1)をクローニングし, その塩基配列を決定した. このORF1領域は5292塩基よりなっており, 既に報告されている米国株と比較すると, 核酸及びアミノ酸配列ともに高度に保存されていた. アミノ酸配列のホモロジー検索によりピコルナウイルスの非構造蛋白質(2C-ポリペプチド, 3C-システインプロテアーゼ, 3D-RNA依存性RNAポリメラーゼ)に類似のアミノ酸配列の存在が確認されたが, その中で2C領域にあたる部分のアミノ末端は報告されていたものよりさらに上流にあることが示された. また, 2C類似領域のさらにアミノ末端側にはピコルナウイルスの2B領域にあたる領域が新たに存在することが示唆された. ORF1のアミノ末端より950-1000アミノ酸残基にあたる領域は, 親水性の高い領域となっており, この中には比較したFCVの3株に共通に保存されている塩基性アミノ酸が多数存在していた. この領域の機能についての報告はないが, 今回の解析結果より, 核酸結合能をもつのではないかと推定された.
  • 今野 明弘, 橋本 善春, 昆 泰寛, 杉村 誠
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1101-1105
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    健康ネコにおけるglobule leukocyteの全身分布と免疫組織化学的性状を光顕的に検索した. HE染色下でエオシン好性の大型細胞質内顆粒を有するglobule leukocyteは, 胃から大腸までの消化管, 胆嚢, 肝臓の小葉間胆管, および膵臓の導管の上皮内に分布していたが, 呼吸器と妊娠後期の子宮を含む泌尿生殖器の上皮内には認められなかった. これらの細胞は, リンタングステン酸ヘマトキシリン染色, アルシアン青染色, ペルオキシダーゼ染色の結果から, 肥満細胞を含まない均一な細胞集団であることが確認された. またglobule leukocyteの顆粒は抗ヒト・パーフォリン・モノクローナル抗体に対し陽性反応を示し, 抗ヒスタミン・ポリクローナル抗体には反応しなかった. 以上の結果から, ネコのglobule leukocyteは上皮内顆粒リンパ球である可能性が強く示唆された. またネコglobule leukocyteの上皮指向性と顆粒リンパ球としての特徴は, マウスの腸管に分布するγδT細胞のそれらと類似していた.
  • 和田 直己, 中田 亜紀, 古賀 宰, 徳力 幹彦
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1107-1112
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    12頭の成ネコを用いて尾筋の解剖学的研究と各尾筋の収縮による尾の動きについて研究を行った. 尾筋は, M. sacrocaudalis dorsalis medialis (SDM), sacrocaudalis dorsalis lateralis (SDL), coccygeus lateralis (CL), coccygeus medialis (CM), sacrocaudalis ventralis lateralis (SVL), sacrocaudalis ventralis medialis (SVM)から構成される. 各筋に電気刺激を作用させ筋の持続性の収縮による尾の動きを観察した結果,尾の背側, 側方, 腹側への運動はそれぞれ, SDMとSDL, SDL, CL, CMとSVL, SVLとSVMの活動によることが明らかとなった. また両側のCLとCMの活動により尾の長軸を中心とする回転運動が観察された.
  • 難波 慈博, 山本 雅子, 有嶋 和義, 日柳 政彦, 江口 保暢
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1113-1118
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    胎齢14日のラット卵巣原基を成熟雄または去勢した雄の腎被膜下に移植したところ, ほとんどの卵巣原基は, 正常に発達したが, 38例中3例の卵巣が卵巣構造に加えて精細管様構造を示した. 次いで, 胎齢14日卵巣原基を胎齢13-18日の精巣と共に成熟雄の腎被膜下に移植した. 胎齢14日卵巣と13日精巣の組み合わせにおいて, 精巣のみ, または両者の生殖腺が正常に発達した. 胎齢14日卵巣と14日精巣の組み合わせでは, 1例のみ両者の生殖腺が共に発達したが, それ以外は精巣のみが発達し, 卵巣はその発達を阻害された.胎齢15-18日の精巣との組み合わせでは, 全ての卵巣の発達が阻害された. 以上の結果から, 胎齢14日卵巣はホストの未知の因子にわずかではあるが反応すること, また胎齢13日から精巣が卵巣原基の発達を阻害し始め, それ以降その阻害効果は強くなることが示唆された.
  • 冨澤 伸行, 西村 亮平, 佐々木 伸雄, 廉澤 剛, 仙波 裕之, 原 茂雄, 竹内 啓
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1119-1122
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    腰痿馬の不安定頸椎(Cervical Vertebral Instability)をより的確に診断するために, 同一個体における計測値の比を指標として頸椎管狭窄率を示す新しいX線計測法を考案した. 軽種若齢馬12頭の頸中央部屈曲位のX線写真を用いて, 脊髄造影写真および単純X線写真における脊髄の狭窄率を定義し, 頸髄の病理組織学的所見と比較した. 脊髄造影写真の狭窄率は脊髄病変の認められた対象馬6頭のうち5頭(83%)において病変部と一致した部位で40%以上の値を示した. また, 単純X線写真の狭窄率は脊髄病変の認められた対象馬6頭のうち4頭(67%)において病変部と一致した部位で40%以上の値を示した. 脊髄病変の認められなかった6頭のうち, 脊髄造影写真および単純X線写真の狭窄率が40%以上を示したものは1頭のみであった. 基準値とした40%についてはさらに検討する必要があるが, 今回のX線計測法を用いた場合, 頸髄病変の有無やその位置の的確な判定を行うことが可能であり, 腰痿馬の不安定頸椎に対する臨床診断に非常に有用であると考えられた.
  • 丸山 総一, 勝部 泰次
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1123-1127
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Campylobacter jejuni の付着因子の性状とその測定法について検討した. C. jejuni 15株の生菌, 死菌(ホルマリン, グルタールアルデヒド, および加熱処理)ならびに菌加熱抽出上清はヒト, ウマ, ヒツジ, ウサギ, マウス, ニワトり, およびウズラ赤血球のうちウサギ赤血球のみを凝集した. C. jejuni Y6878とY6817株の生菌, 死菌(100℃ 30分加熱処理, ホルマリン処理)ならびに菌加熱抽出上清はウズラ腸管上皮細胞およびヒト回腸上皮由来株化細胞(INT407)を凝集した. C. jejuni Y6878とY6817株の生菌および死菌はホルマリンあるいはグルタールアルデヒド固定ウサギ赤血球を凝集せず, また, この2株の鞭毛分画はウサギ未固定赤血球を凝集しなかった. さらに, Y6878株の加熱抽出上清はウズラ腸管粘液に付着することがELISAを用いた測定法で判明した. C. jejuni の付着因子は菌体表面上のホルマリン, グルタールアルデヒドおよび熱耐性の物質で, ウサギ赤血球凝集反応ならびにウズラ腸管粘液と菌加熱抽出上清を用いたELISAが簡便な測定法として有用であった. さらに, 付着因子検出のための赤血球凝集反応には赤血球表面のインタクトなレセプターが必要であることが示唆された.
  • 佐々木 隆志, 深見 直, 波岡 茂郎
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1129-1133
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ブタ由来 Bifidobacterium thermophilum のべプチドグリカン(以下PG)をSPFのC57BL/6CrSlcマウスに経口投与し, ナチュラルキラー(NK)細胞, 腹腔内細胞障害性Tリンパ球(CTL)およびコンカナバリンA刺激リンパ球の細胞障害活性を測定し, PG無投与対照群と比較検討を行った. PG添加飼料を3週間連続給与したマウスの脾臓および腸間膜リンパ節(MLN)のNKは, PG無投与対照群のそれに比べ, 細胞障害活性が有意に高まった. しかしながら, PG1回経口投与では, PG無投与群のNK活性と差がみられなかった. PG添加飼料を2週間給与したマウスの腹腔にマウスマストサイトーマ(P815)細胞を接種し, 1週間感作後, 腹腔内CTLの細胞障害活性を測定した. その結果, PG添加飼料を給与したマウスの腹腔内CTL活性は, PG無投与対照群に比べ有意に高い値を示した. PG添加飼料連続給与群のコンカナバリンAで刺激したリンパ球の細胞障害活性はPG無投与対照群に比べ, 高い活性がみられた. これらの結果から, PGの経口投与は, マウスの細胞障害活性を高めることが確認された.
  • Dominic KAMBARAGE, Paul BLAND, Chris STOKES
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1135-1138
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    腸管マクロファージは, MHCクラスII抗原や抗原非特異的マイトジエンに対するT細胞応答を強く増強するが, 卵白アルブミンに対する応答に対しては弱い作用しか示さなかった. しかし分離調製の際, これらのマクロファージでは, 多数の大きな貧食空胞, ライソゾーム, ファゴライソゾームが確認されたので, 貧食は活発に行っているものと思われる. マクロファージでの低い抗原提示能はマクロファージ調製の過程で, 抗原の取り込み, プロセシングの効率が低下したものと考えられる.
  • 池永 英規, 小野 憲一郎, 友田 勇
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1139-1142
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    各種動物(ヒト, カニクイザル, 犬, 山羊, 豚, 馬)の胎盤抽出液についてゲル濾過を行い, 胎盤組織シスチンアミノペプチダーゼ(CAP)の溶出パターンとその分子量について検討した. CAPの溶出パターンは, ヒ卜および豚では2つの, カニクイザル, 犬および山羊では3つの, 馬では4つのピークとして認められた. 阻害試験で妊娠血漿CAPと同様の阻害効果を示す胎盤抽出液のピークから算出した分子量はヒトで約325,000, カニクイザルで約350,000, 犬および山羊で約140,000, 豚で約128,000ならびに馬で約115,000と, 胎盤と母体血管との間の障壁層の増加にともなってCAPの分子量が小さくなる傾向が窺われた.
  • 田辺 茂之, 田浦 保穂, 古澤 修一, 廣田 好和, 田中 紀則, 中市 統三, 中間 實徳
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1143-1148
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラット肝細胞をマウスの背側皮下, 脾臓内および静脈内に感作されたマウスの遅延型過敏(DTH)応答が検索された. ラット肝細胞(1×106個)を脾臓内あるいは静脈内に前感作されたマウスは同量のラット肝細胞で皮下に感作されたマウスに比して, 有意に低いDTH応答を示した. 脾臓内感作マウスの脾細胞と皮下感作マウスの脾細胞を無処置マウスに混合移入し, DTH応答を検索したところ, 皮下感作マウスの脾細胞により誘導されるDTH応答は抑制されなかった. 一方, 静脈内感作マウス脾細胞と皮下感作脾細胞を同時に混合移入されたレシピエントマウスにおいては, ラット肝細胞に対するDTH応答の抑制がみられた. また, ラット肝細胞を静脈内接種に感作されたマウスの脾細胞をレシピエントマウスに移入し, ラット肝細胞を6時間後背側皮下および7日後に足蹠にそれぞれ接種されたマウスは, 静脈内感作マウスの脾細胞を移入され, ラット肝細胞の同様の接種を受けたレシピエントマウスと同程度のDTH応答を示した. 以上の結果から, ラット肝細胞に対するDTH応答の抗原特異的な抑制は, 脾臓内あるいは静脈内感作により誘導される抑制性の脾細胞の存在と関連していることが示唆された.
  • 石原 智明, 辻 正義, 萩原 克郎, 日置 恭司, 有川 二郎, 東 市郎
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1149-1154
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    最近我々は, SCIDマウスにウシ赤血球を頻回輸血する方法で赤血球をマウスからウシに置き換えることが可能であること, この赤血球置き換えマウスはウシの小型ピロプラズマ症の病因原虫である Theileria sergenti を増殖させる実験モデルとなることなどを報告した. 本研究では, ウシなど異種動物赤血球のSCIDマウスへの定着とその排除について検討するため, ウシ, ヒト, ウマのほかマウス赤血球をSCIDマウスに輸血してその消長を追う一方で, マウス血漿中の血球排除因子についても検討した. PKH色素(Zyaxis Cell Science)で染色した赤血球の2.5×108個をマウスに輸血し, 時間を追って静脈血を採取し, 血液中の蛍光陽性細胞数を顕微鏡下で測定した. その結果, 標識赤血球数が輸血5分後の値の1/100に減少するまでの時間は血球によって特異的であり, ウシ, ヒト, ウマそれぞれ2~7日, 4~7時間, 1~2時間であった. 対照としたマウス赤血球は, 血流中に50日以上存在し, マウスの赤血球寿命とほぼ一致した. 蛍光色素標識赤血球と非標識赤血球を同時に輸血した場合, 同種赤血球の組み合わせでは標識血球の排除が抑制されるのに対して, 異種血球の組み合わせではこのような効果が認められないこと, 培養した脾臓マクロファージによる異種動物赤血球貧食試験でヒト赤血球がウシ赤血球に比べて高率に貧食されることなどから, SCIDマウスの細網内皮系組織が特異的に異種赤血球を排除しているものと考えられた. また, SCIDマウスの補体第3成分がヒト赤血球に付着し, ウシ及びウマ赤血球に付着しないことがわかった. 従って, 少なくともヒト赤血球の排除にはマウスの補体が関与していると考えられた.
  • 伊藤 美武, 大坪 浩一郎
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1155-1159
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    赤カビ毒の一種であるゼラレノン( 5-30μg/animal)を新生児・雌マウスに生後1-10日の間, 1回または連続投与し, 離乳後の生殖生理に及ぼす影響を検討した. その結果,膣開口日の遅延, 持続発情, 不妊症などエストロゲン様の作用が観察された. ゼラレノン10-30μg/animalを3回または5回連続投与した群に見られた不妊症マウスの膣スメア像は, 卵巣・副腎を同時に摘出しても阻止されない内因性エストロゲン非依存性の持続発情であった. これらゼラレノンの作用は新生児期投与によってエストロゲン標的臓器のレセプターと不可逆的に結合した結果と推測された.
  • 間 弘子, 水野 豊香, 帆保 誠二, 吉田 光平, 藤永 徹
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1161-1165
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウマにおけるセボフルレンの最小肺胞内濃度(MAC)を口腔粘膜への電気刺激法により測定するとともに, マスク導入の生体反応を観察した. セボフルレンのウマでのMACは2.31±0.11%であった. マスク導入時においては, 発咳などの気道刺激の反応は観察されず, ほぼ良好な呼吸が得られた. 倒馬にいたる過程において1~2回の騒擾が観察されたが, 2.54±0.7%の呼気セボフルレン濃度で倒馬が可能となった. 以上の成績はセボフルレン麻酔のウマにおける臨床応用に不可欠な情報でありウマへの応用の可能性が示唆された.
  • 廉澤 剛, 野崎 一敏, 佐々木 伸雄, 竹内 啓
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1167-1169
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1.5歳の雌雑種犬に自然発生した骨肉腫から直接細胞培養し, 骨肉腫細胞株POS細胞を樹立した. この細胞は, 33時間で倍加し, 形態的にはいくつかのタイプの細胞が観察された. 透過型電子顕微鏡で, 多数の拡張した粗面小胞体が認められ, また高いALP活性を持つことから, 骨芽細胞由来の細胞と考えられた. さらに, この細胞のヌードマウス移植腫瘍を病理組織学的に調べたところ, 原発腫瘍と同様の骨肉腫組織像を示すことが明らかになった.
  • Mina Rostami B., 内田 和幸, 作美 礼乃, 山口 良二, 立山 晋, 小川 博之, 大塚 宏光
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1171-1172
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    17ヵ月齢のホルスタイン牛の左側乳房に発生した直径60cmの腫瘤を外科的に摘出した. この腫瘤は周囲組織との境界が明瞭で, 割面は小葉構造を示していた. 組織学的には, 本腫瘤は導管と粘液に富む間質の増殖により構成されていた. 免疫組織化学的には, 間質にビメンチン陽性の線維芽細胞と, アクチン・ビメンチンともに陽性の筋線維芽細胞が増殖していた. 以上の本腫瘍の特徴は, ヒ卜およびイヌの乳腺線維腺腫に類似していた.
  • 田中 雅治, 阿瀬 善也, 藤田 常夫
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1173-1175
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    LPS(0.5mg/kg, i.v. 4週間)で誘発されたラットの巨核球 emperipolesis(EP) を観察した. 組織学的に成熟好中球を主体とした血液細胞の巨核球細胞質内への侵入像を認めたが, 変性像はなかった. 骨髄スメアで巨核球を形態分類した結果, EPを示す巨核球の大半は血小板産生の盛んな成熟型であった. また, LPS投与群では巨核球数が増加した. しかし, Plt数はLPS投与群で著しく減少した. これらの結果から, 巨核球EPの発生増加にはPlt減少に起因した巨核球の増加が関与することが推察された.
  • 田中 聖一, 今村 孝, 松井 元, 坂口 正士, 松尾 和夫, 山元 通孝
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1177-1179
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    培養細胞にオーエスキー病ウイルスを感染させた後ホルマリン固定し, そのワクチン効果を検討した. マウスをホルマリン固定細胞で免疫し野外株で攻撃したところ, 良好な防御効果が確認された. 又, 豚においてもホルマリン固定細胞で免疫したものは攻撃後一過性に軽い症状が認められたのみで, 体重の伸びも良好であった. これらの結果は, ホルマリン固定細胞が簡便かつ安全でしかも充分な効果を有する新たなタイプのワクチンとして機能する可能性を示唆する.
  • 早崎 峯夫, 七村 史人, 紺野 克彦
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1181-1183
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    大糸状虫雄成虫, 雌成虫, ミクロフィラリア(Mf)のPBS抽出液を用いてSDS-PAGEによる蛋白分画を分析したところ, Mfは, 形態的には単純であるが, その抽出液は成虫と類似の複雑な蛋白成分で構成されていた. 犬糸状虫感染・Mf血症犬血清と同・無Mf血症犬(オカルト感染犬)血清を用いたイムノブロット法による抗原分析では, Mf殺滅機序に虫体の低分子量物質が関連している可能性が示唆された.
  • 那須 哲夫, 中井 雅晶, 村上 昇
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1185-1186
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    カラス松果腺の血管系に樹脂を注入し, 走査型電子顕微鏡および実体顕微鏡による観察を行った. 松果腺には後大脳動脈から枝分れした後, 硬膜動脈と松果腺枝の2本の動脈が分布していた. これらの動脈は松果腺内に進入し, 枝分かれして松果腺の毛細血管網を形成していた. 松果腺は密な毛細血管を有し, これらの毛細血管は松果腺周囲の静脈洞へ連絡していた. 松果腺茎部の毛細血管は第三脳室脈絡叢の毛細血管と連絡していた.
  • 織間 博光, 藤田 道郎, 鷲巣 月美, 鷲巣 誠
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1187-1189
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    逆行性に門脈-後大静脈シャントを造影する方法について検討した. 胸腔内圧を上げて胸腔内後大静脈を圧迫虚脱させた状態で腹部大静脈内に造影剤を投与することにより, シャント血管を逆行性に造影することができた. この方法は特殊なカテーテルや高度の技術を必要とせず, 門脈-後大静脈シャントの確定診断に有用であると思われる.
  • 入谷 好一, 澤口 和成
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1191-1193
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ELISAによる鶏痘ウイルス(FPV)に対する抗体価の測定の実用性をSPF鶏, 種々のFPV株免疫鶏およびFPV以外の病原微生物に対する免疫血清を使用して評価した. 精製FPV抗原の濃度は10μg/mlの蛋白濃度が至適であった. この濃度における1から63日齢のSPF鶏のOD値は0.1以下であり, 種々なFPV株免疫血清のOD値は0.2以上を示した. また, FPV以外の病原微生物に対する免疫血清のOD値は0.1以下であったことから, OD値0.1以下を陰性に, 0.2以上を陽性とすることにより, ELISA法が鶏痘ワクチンの実用的な抗体測定法として利用できることが示唆された.
  • ニ宮 博義, 猪股 智夫
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1195-1198
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    チャイニーズハムスターに発生した肝癌の血管系の樹脂鋳型標本を作成して走査型電子顕微鏡で観察した. 癌組織の毛細血管は, 正常な肝組織にみられる中心静脈を中心とした放射状配列を失い規則性のない血管網を形成していた. 毛細血管は表層にある細静脈に集合し, 肝静脈に合流していた. 癌周辺の毛細血管は周囲の洞様毛細血管と緊密に連結していた. ヒトの肝癌造影で認められる arterio-portal shunts は今回の観察では認められなかった.
  • 志賀 敦史, 代田 欣二, 宇根 有美, 野村 靖夫
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1199-1202
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    11歳の雌のプードルの右胸部皮下にリンパ管肉腫が発生した. 転移は臨床的には観察されなかった. 腫瘍細胞はヴィメンチン陽性で, 赤血球を含まない, 不規則な管腔あるいはスリットを形成していた. 腫瘍組織内にはリンパ球浸潤および水腫が観察された. ごく少数の腫瘍細胞が第VIII因子関連抗原に陽性を示した. 電顕的に腫瘍細胞は基底膜と細胞間接着装置を伴っていなかった.
  • 長谷川 貴史, 小倉 ゆかり, 猪俣 生輝, 村雲 由子, 山本 哲郎, 安部 茂, 山口 英世
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1203-1206
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    化学療法時の白血球減少症に Enterococcus faecalis 加熱死菌体(FK-23)の経口投与が及ぼす影響をサイクロフォスファマイド(CY)処置マウスを用いて検討した. FK-23はCY処置マウスの白血球減少症は抑制しなかったが, それの再構築を促進した. FK-23投与群では末梢血好中球の増加と, 骨髄M/E比の上昇が観察された. FK-23を化学療法時に用いた場合,それが骨髄の活性化を介して白血球再構築促進効果をもたらすことが示唆された.
  • 高橋 美幸, 遠藤 裕子, 濱本 修一, 石原 好仁, 西川 英知子, 野川 浩正
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1207-1208
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏にスルファメトキサゾールを投薬して採材した筋肉, 肝臓及び血漿を試料として, 3試験施設で酵素免疫測定法による共同分析を行った.その結果,、実施者や装置の違いによる定量値の試験施設間差は, ガスクロマトグラフ法や液体クロマトグラフ法の場合と同程度で,残留分析上支障ないと考えられた.
  • 中久喜 正一
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1209-1211
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    「噛乳類の肺の気管支分岐の基本型」(Nakakuki, 1975) に基づき, スジイルカ(Stenella coeruleo-albus)の肺の気管支分岐と肺葉の関係について調べた. スジイルカの肺は外観上, 左右ともそれぞれ一葉から成るが, 気管支分岐から検討すると左右とも前葉および後葉から成り, 中葉および副葉を欠如する.
  • 白坂 昭治, 鈴木 美保, 遠藤 悟郎, 足立 吉数, 平 詔亨
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1213-1214
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血中 Setaria 属ミクロフィラリア陽性の子牛10頭にイベルメクチン200μg/kgを投与した. 血中Mf陽性頭数は, 投薬後1及び4週でそれぞれ7及び2頭に減少し, 12および16週目には, 全頭陰性となった. また本剤による羊及び山羊の脳脊髄糸状虫症の発生予防試験として, 8及び9月の各上旬に, 本剤の200μg/kgを対象動物に2回投与したところ, 投与群の221頭は全く発症しなかったが, 無投与群では303頭中17頭が発症した. 以上の結果から, 本薬剤はセタリア感染子牛における血中ミクロフィラリアの駆除及び羊並びに山羊の脳脊髄糸状虫症の発症予防に著しい効果のあることが示唆された.
  • 宇佐見 泰之, 岡本 芳晴, 南 三郎, 松橋 皓, 熊澤 教眞, 谷岡 真一郎, 重政 好弘
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1215-1216
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ブラインドウエルチャンバーと孔径5μmのポリカーボネイトフィルターを用いて,微粉末状キチンおよびキトサンの懸濁液(平均粒径1μm)の犬好中球に及ぼす影響をCheckerboard Assayにより検討した結果, キチンおよびキトサンは化学走化的に犬好中球を遊走させることが明らかとなった. また, キチンは化学運動的にも犬好中球を遊走させた.
  • 猪熊 寿, Kemp David H., Willadsen Peter
    1994 年 56 巻 6 号 p. 1217-1218
    発行日: 1994/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Boophilus microplus, Haemaphysalis longicornis 及び Ixodes holocyclus の飽血前成雌1個体当りの唾液腺中にはそれぞれ374.3pg, 427.0pg及び825.0pgのプロスタグランディンE2 (PGE2)が含まれていた. また, B. microplus 飽血成雌の唾液及びヘモリンフのPGE2濃度は, それぞれ40.3 ng/ml 及び 19.1 ng/mlであり, さらに1個体当りの唾液腺, 卵巣及び腸管中には, それぞれ35.5 pg, 27.0 pg のPGE2が含まれていた.
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