Journal of Veterinary Medical Science
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55 巻, 6 号
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  • 吉岡 耕冶, 高橋 芳幸, 菱沼 貢, 金川 弘司
    1993 年 55 巻 6 号 p. 901-904
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ体外受精卵をブリンスターの培養液(BMOC-3)を基礎培地とした培養液で体細胞と共培養することなしに体外培養を行った. BMOC-3液による培養では桑実胚への発育は認められなかったが, BMOC-3液からグルコースを除去し, 乳酸およびピルビン酸濃度を, それぞれ20mMから3mMおよび0.5mMから0.3mMへ低下させることにより8%が胚盤胞へと発育した. さらに, この修正BMOC-3液ヘグルタミン, グルタミン以外の12種の必須および7種の非必須アミノ酸を含む20種のアミノ酸を添加して体外受精卵を培養したところ, 16%が胚盤胞へと発育し, ウシ初期胚におけるアミノ酸の発育維持効果が認められた. また, 20種のアミノ酸添加修正BMOC-3液による培養成績(胚盤胞への発育率と胚盤胞の平均細胞数)は卵管上皮細胞との共培養の成績と同程度であった.
  • 渋谷 一元, 田島 正典, 山手 丈至
    1993 年 55 巻 6 号 p. 905-912
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    視神経の一側性変性萎縮がSlc: Wistarラットの雄80匹中6匹及び雌80匹中4匹に発生した. これらのうち2匹では頭蓋内部の一側の視神経が完全に消失し, 他の症例の一側の視神経は萎縮していた. 頭蓋内の視神経消失を示した2匹のラットの視神経乳頭及び視神経は, 組織学的に眼球後極部に認められた. 視神経病変は, 軸索の減数, 髄鞘崩壊及び著明なアストログリオーシスにより特徴づけられた. これらの視神経には軸索の膨化, 断裂及びスフェロイドの形成, ならびに結合組織性鞘膜及び血管壁の肥厚がみられた. 萎縮視神経の対側の視交叉の片側部分及び視索は縮小, 変性し, グリオーシスを伴っていた. 網膜の限局性あるいはび漫性の変性が萎縮視神経をもつ眼球に観察された. 網膜神経節細胞は減少し, 色質融解を示した. これらの網膜は薄くなり, 内及び外層両者が変性し, 網膜血管の硬化性変化を伴っていた. 萎縮視神経をもつ眼球の眼動脈及び毛様動脈には増殖性あるいは閉塞性動脈内膜炎がしばしばみられ, 網膜病変が視神経の軸索変性によるのみではなく乏血によっても引き起こされたことが示唆された. 超シナプス変性を示唆するような組織学的病変が対側の外側膝状体及び前丘に認められた. これらの結果から, 循環障害によって視神経に原発病変が引き起こされ, ついで視覚路の下行性及び上行性変性が発現したものと推測された.
  • 高橋 浩美, 吉川 泰弘, 甲斐 知恵子, 山内 一也
    1993 年 55 巻 6 号 p. 913-920
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    オーエスキー病ウイルス(PRV, Yamagata-S81株)感染により誘発される掻痒症と急性致死の原因を解明するため, マウスを用いて脳内, 眼球内, 静脈内, 皮下接種経路での感染実験を行った. 各感染経路間の比較検討により脳内接種群に次いで眼球内接種群で急性の臨床経過と高い致死率が認められた. そこで末梢感染経路の代表例として眼球内接種経路について病理組織学的, 免疫病理学的検索, ウイルス分離定量を行い, ウイルス伝搬経路を検討した. 神経系では病理組織学的に炎症像は認められなかったが, ウイルス抗原分布は三叉神経路と動眼神経路を中心に限局してみられ, またウイルス回収率も三叉神経系において最も高かった. 一方掻痒症を呈した皮膚からは, ウイルス抗原は検出されなかった. 以上の結果から, 眼球内接種されたウイルスは三叉神経路及び動眼神経路を経て中枢神経内に侵入し, 他の炎症反応を惹起する以前に掻痒症状を引き起こすこと, またこれら神経の上位神経核群に直接到達したウイルスによる細胞機能障害が臨床症状及び急性致死の要因であることが推察された.
  • 高橋 晃ー, 磯貝 恵美子, 磯貝 浩, 高木 智史, 佐々木 一彦, 藤井 暢弘, 木村 浩一
    1993 年 55 巻 6 号 p. 921-924
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    南北海道における970頭の放牧牛について, ライム病の原因菌であるボレリア(Borrelia burgdorferi)に対する抗体価の測定をおこなった(ELISA法). 抗体陽性率を, 牛の年齢別にみると, 3歳以上の牛に比べ, 2歳以下の牛の陽性率が有意に低かった. また, 季節による変動では, 抗体陽性率が夏季に高く, 冬季に低いことが明らかになった. もっとも注目すべき点は, 見かけ上健康な牛の中にも, ボレリアに対する高い抗体価を示すものが多く, 抗体陽性率でみても, 何等かの異常を示す牛との間に, 差が見られなかった点である. このことは, ボレリアへの感染機会が, 想像以上に多いことを示している. 動物のライム病の場合, ヒ卜のライム病における, 慢性遊走性紅斑(ECM)のような典型症状が知られておらず, したがって, ライム病と気付かれずに済まされている例も多いと思われる. 上記, ボレリアに対する抗体価の高い, 見かけ上健康な牛も, その例に含まれているのかも知れない.
  • 水野 信哉, 藤永 徹, 萩尾 光美
    1993 年 55 巻 6 号 p. 925-930
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    インターロイキン-2(IL-2)依存性マウスT細胞(CTLL-2)に対する増殖活性がフィトヘマグルチニン-P(PHA-P)を用いて刺激したイヌ末梢血リンパ球(PBL)培養上清中に検出され, これをイヌIL-2とした. イヌIL-2の至適産生はイヌPBL2×106個/mlを10μg/ml濃度のPHA-Pを用いて38℃, 48時間刺激した場合に認められた. イヌIL-2活性は65℃の加温処理, pH 4以下の酸処理, pH 10以上のアルカリ処理およびトリプシン処理によって有意に低下した. イヌIL-2活性のピークはゲル濾過法によって分子量約31,000に相当する画分に認められた. イヌIL-2を用いたイヌリンパ球の10代以上にわたる長期培養はPHA-P刺激を3代毎に繰り返した場合に可能となった. 培養細胞は小ないし中型リンパ球が主体であった. これらの細胞は抗イヌ胸腺細胞家兎血清および抗イヌThy-1モノクローナル抗体に反応し, Tリンパ球系起源と考えられた. 正常犬由来PBLはイヌIL-2を用いて30日以上培養すると可移植性性器肉腫細胞に対し, 有意に高い細胞増殖抑制を示した.
  • 河上 栄一, 山田 陽一, 筒井 敏彦, 小笠 晃, 山内 亮
    1993 年 55 巻 6 号 p. 931-935
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    妊娠38日齢から60日齢までの犬の雄胎子61頭および生後0日齢から50日齢までの雄幼犬55頭の心臓または頚静脈から採血を行い, 血中4-androstenedione (A), 5α-dihydrotestosterone (DHT)およびtestosterone (T)値を測定した. また, 雄の胎子および幼犬を安楽死させた後, 精巣下降の状態を調べるとともに, 精巣の組織学的観察も実施した. 妊娠38および40日齢の胎子精巣は, 腎臓後縁に接していたが, 妊娠42日齢の精巣は, わずかに腎臓から離れた位置にあった. 生後0日齢においても, 精巣は腹腔内の内鼠径輪付近にあったが, 生後5日齢では, 精巣は鼠径管を通過しており, この時期の精巣下降は顕著であった. 生後35日齢以後に観察した幼犬の左右精巣は, いずれも陰嚢腔内に位置していた. 妊娠54および58日齢では, 性索内のgonocyte数が増加し, 間質のLeydig細胞の形態は成犬のそれに近くなり, 細胞集団を形成して, 他の間質細胞と容易に区別できるようになった. 胎子血中A値は, 出生後一時的に低下し, DHT値は, 妊娠54および58日齢で一過性に高値を示した. さらに, 出生後の雄犬の血中T値は, 顕著な上昇を示した. 以上の成績から, 犬では妊娠54日齢以後のLeydig細胞のDHTおよびT分泌能が高まり, これらのホルモン作用によって精巣下降が促進されるものと推察された.
  • 岡本 芳晴, 極山 太, 南 三郎, 松橋 晧
    1993 年 55 巻 6 号 p. 937-940
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    種々な性周期にある豚18頭より下垂体前葉を採取し, 性周期と黄体形成ホルモン(LH)陽性細胞との関係を免疫組織学的に検討した. LH陽性細胞は細胞質中のLH陽性顆粒の量によって3つの型(A, BおよびC型)に分類された. LH陽性細胞数は性周期と共に変化した.第1期および第6期では, 多数のLH陽性細胞が観察された(398±39, 391±60個/10-2mm2).第2期では, ほとんどLH陽性細胞はみられず(6個/10-2mm2), 第3期から第5期にかけて漸次増加した.
  • 大橋 貴, 松本 安喜, 亘 敏広, 後飯塚 僚, 辻本 元, 長谷川 篤彦
    1993 年 55 巻 6 号 p. 941-944
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Polymerase Chain Reaction(PCR)法を用いてネコIL-6cDNAの遺伝子クローニングを行った. ネコリンパ節mRNAから作製したcDNAについて, ヒトとマウスのIL-6遺伝子の塩基配列を基に作製したプライマーを用いたPCRを行ったところ, 約800 bpのDNAが増幅された. このフラグメントをプラスミドベクターに組み込み, 内側のプライマーを用いたPCRによってスクリーニングした結果, AF-11およびAF-13の2クローンがネコのIL-6cDNAを含むものと考えられた. これら2クローンは全く同一の塩基配列からなり, アミノ酸208残基をコードするopen reading frameを含んでいた. 予想されるアミノ酸配列は, ヒ卜およびマウスのIL-6とそれぞれ58%および39%の相同性を示していた. さらにこのDNAクローンを発現ベクターに組み込み, CRFK細胞にトランスフェクトしたところ, 培養上清中にIL-6活性が検出された.
  • 大島 浩二, 平松 浩二
    1993 年 55 巻 6 号 p. 945-950
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1-6週齢のウズラ松果体は多数の胞胞状構造から成り, それらは主として, 松果体細胞と支持細胞から構成されていた. 孵化1日齢のウズラ松果体で観察された松果体細胞の規則正しい平行層板構造から成る外節や多数のグリコゲン果粒と滑面小胞体から成るパラボロイドはその後, 速やかに退化消失した. それらに代わって, 1週齢以後, 松果体細胞の外節に相当するうずまき状の層板構造物が濾胞腔内に発達し, 内節に相当する先端突起内や核上部にはミトコンドリア, 核上部にはさらにライソゾームも徐々に増加した. 1週齢の松果体細胞の基底突起内には有芯小胞やシナプスリボンが多数存在し, 以後, 顕著な変化は認められなかったが, 支持細胞に存在する暗調小体は徐々に増加した. さらに, 濾胞状構造の基底側に多数の色素果粒含有細胞が島状に集り, メラニンと考えられるそれらの色素果粒は, 1週齢以後, 徐々に大形, 円形になった. このように, 松果体細胞の外節のうずまき状層板構造物, 先端突起や核上部のミトコンドリア, 基底突起内のシナプスリボン及び色素果粒含有細胞のメラニン色素などは, 光受容性構造であり, 一方, 松果体細胞の有芯小胞やライソゾーム及び支持細胞の暗調小体などは分泌性構造と考えられ, それらば孵化後の成長に伴って, 変化することが明らかになった. さらに, それらの構造に関して, ウズラ松果体はニワトリのものより活動的な様相を呈しているようであった.
  • 沖田 賢冶, 落久保 文子, 鎌田 安永, 鎌田 寛, 山内 一也, 甲斐 知恵子
    1993 年 55 巻 6 号 p. 951-954
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛疫ウイルス高感受性のマーモセットリンパ芽球株化細胞であるB95a細胞により継代した牛疫ウイルスL株と, L株感染ウサギのリンパ節乳剤の病原性の差異を, クローズドコロニーおよび近交系NW-NIBSウサギにおいて比較し, またB95a細胞継代L株に対するウサギの感受性の差異を近交系NW-NIBSおよびDUY-NIBS, クローズドコロニーJW-NIBSウサギを用いて比較した. B95a細胞継代L株は, L株感染ウサギのリンパ節乳剤同様クローズドコロニーおよび近交系NW-NIBSウサギに病原性を示し, B95a細胞継代L株に対する感受性はNW-NIBS, DUY-NIBS, JW-NIBS系統間ではNW-NIBSウサギが最も高いことが示された. これらより近交系NW-NIBSウサギとB95a細胞継代L株を用いた実験感染モデルが牛疫ウイルス感染症の解析に有効であると考えられる.
  • 和田 直己, 徳力 幹彦
    1993 年 55 巻 6 号 p. 955-958
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    脊髄ネコ腰髄腹根より記録される後肢運動ニューロンの単シナプス性反射における後肢足底FOOTPADに存在する異なるタイプの感覚受容器からの求心性入力の効果について検討を行った. 持続性圧刺激による効果は観察されなかったが, 相同性圧刺激による効果は著しかった. このことは, FOOTPADの刺激効果は主に相同性の感覚入力によるものであり, 持続性の感覚入力によるものではないことを示している. また侵害受容器の刺激を50℃の熱刺激により行い, 明らかな効果を観察した. これらの実験結果はFOOTPADからの末梢入力が後肢の安定, また侵害逃避反射に重要であることを示している.
  • 猪股 智夫, 伊藤 嘉寿, 鈴木 久美子, 二宮 博義, 滝沢 達也, 山本 雅子, 有嶋 和義, 江口 保暢, 齋藤 寛史, 望月 公子
    1993 年 55 巻 6 号 p. 959-962
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    スナネズミの中腎管は胎齢13日に, 雌雄ともによく発達している. 中腎傍管(ミュラー管)は雌雄ともに胎齢14日にその原基が認められ, 中腎上部の生殖腺あたりで, 中腎管(ウォルフ管)のそばに観察される. その後, 中腎傍管は中腎管に沿って尾側に発達し, 胎齢19日になると尿生殖洞に達する. この時期, 外生殖器に性分化が観察され, 雄の肝門生殖結節間距離は雌のそれよりも有意に長くなる. また, 雄の中腎管の直径は雌のそれよりも有意に増加する. このことからスナネズミ胎仔の精巣は胎齢19日以前にアンドロジェンを分泌することが示唆される. 一方, 胎齢19日において, 雄の中腎傍管は退縮を始め, 雌のそれは発達を続ける. このことからミューラー管抑制ホルモンは胎齢19日以前に分泌されるものと考えられる.
  • Ijaz M. K., Sabara M. I., Alkarmi T., Frenchick P. J., Ready K. F., Lo ...
    1993 年 55 巻 6 号 p. 963-971
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    病原性の強いマウスロタウイルス(MRV)と比較的弱いウシロタウイルス(BRV)の分子生物学的性状と病原性について比較した. いくつかのRNA分節の移動度が異なっており, この2種のウイルスのRNA分節4のみを置き換えたリアソータントのマウスおよびウシの腸管ループを用いた病原性の比較から, RNA分節4が病原性に深く関与していることが明らかとなった. MRVとBRVの蛋白分解酵素によるペプチドマッピングの結果, コア内部の蛋白は差がなかったが, 外被蛋白には差がみられた. この差異はMRVがBRVと比べて塩化カルシウムやEDTA処理に安定である理由を説明し, 特に84K蛋白(VP4)にみられた差異はわれわれや他のグループが報告しているVP4をコードする遺伝子が病原性を決定するという成績を裏付けている. また, MRVとBRVのVP4をカルボキシペプチターゼ消化によって比較したところ, アミノ酸の307から407番目の領域に差がみられ, この領域が病原性を規定している可能性を示唆している.
  • 山手 丈至, 辰巳 正史, 仲辻 俊二, 桑村 充, 小谷 猛夫, 佐久間 貞重
    1993 年 55 巻 6 号 p. 973-977
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    四塩化炭素の2回反復投与によって誘発されたラット肝傷害におけるマクロファージ及び類洞周囲細胞(PSC)の動態を免疫組織化学的に観察した. 単回, 反復いずれの投与においても, 投与後2日に静脈周囲性の肝細胞傷害が著しく, 4及び6日では線維化がみられた. 傷害された静脈周囲野では単球・在住マクロファージに特異的なED-1陽性細胞数はいずれの投与においても2及び4日後に有意に増加し, 投与後2日にピークを示し, その数は第1回投与後よりも第2回投与後で2倍多かった. 在住マクロファージのみに特異的なED-2陽性細胞数は第1回投与後では4日のみに有意に増加し, 第2回投与後のピークは2日で, 4及び6日においても有意に増加していた. 筋アクチン陽性PSC数の有意な増加は第1回投与後では4日のみに, 第2回投与後では2及び4日に有意に上昇し, 4日にピークに達した. これらの成績は, ラットの四塩化炭素誘発肝傷害においてPSCの増加に先立ちマクロファージが増加すること, そしてその動態は第2回投与後により著しいことを示した.
  • 廣野 巌, 伊藤 充哉, 柳生 茂, 羽賀 正信, 若松 一雅, 岸川 輝彰, 西川 宰, 山田 静之, 小鹿 一, 木越 英夫
    1993 年 55 巻 6 号 p. 979-983
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Suffolk種の雄羊2頭にワラビ粉末を含む飼料を投与し, 網膜変性症(bright blindness)を誘発した. 網膜変性症発現の最初の徴候は, 実験開始後4力月で認められた. この成績から網膜変性症を誘発するために必要なワラビ粉末量が算定され, 同時に初発徴候が観察された(実験I). 次に, ワラビに含まれている発癌物質であり, 同時に牛のワラビ中毒の原因物質でもあるプタキロサイド(illudaneタイプのnorsesquiterpene glucoside)を, Suffolk種雄羊2頭に投与した(実験II). この実験IIにおいても, 先のワラビ飼料を投与した羊にみられたと同様の網膜変化が誘発された. したがって, プタキロサイドが, ワラビによる進行性網膜変性症の原因物質であることが示唆された.
  • 北沢 剛久, 小野 満, 前田 健, 川口 寧, 神谷 直洋, 新倉 昌浩, 見上 彪
    1993 年 55 巻 6 号 p. 985-990
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ヒト単純ヘルペスウイルスの糖蛋白C(gC)遺伝子と相同なマレック病ウイルス(MDV)血清2型(MDV2)のゲノム領域を, MDV血清1型(MDV1)のgC相同糖蛋白(gC homolog)遺伝子をプローブとして同定し, その塩基配列を決定した. その領域には479個のアミノ酸をコードしうるオープンリーディングフレーム(ORF)が存在し, そのORFから予想される蛋白には, MDV1やMDV血清3型(七面鳥ヘルペスウイルス: HVT)のgC homologと同様に, N末端とC末端の両方に強く疎水性を示す領域が存在した. このMDV2のgC homologのORF内に位置するDNA断片をプローブとしたノーザンブロット解析により, MDV2感染細胞に3.6と1.9kbのRNA転写物が検出された. 3MDV血清型間においてgC homologのアミノ酸配列を比較したところ, MDV1とMDV2およびMDV1とHVTの配列間では76%のアミノ酸が同一であったのに対し, MDV2とHVT配列間では同一なアミノ酸は70%であった. これらの結果は, MDV1とMDV2およびMDV1とHVTの間の進化学的距離が, MDV2とHVTの間の進化学的距離よりも短い可能性を示唆している.
  • 山中 典子, 山中 晴道, 長澤 成吉
    1993 年 55 巻 6 号 p. 991-994
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ストレプトゾトシンで誘導された糖尿病のラットにおける解毒機能を解明するために, 著者らは糖尿病ラットに対して主に肝臓に作用し, グルタチオン抱合を受ける2種の薬物, エチオニンとベンツ(a)ピレンを投与し, 肝のグルタチオンおよびその関連酵素の変化を検討した. ストレプトゾトシン誘導糖尿病ラットの肝では, 総グルタチオン量, グルタチオンS-トランスフェラーゼ活性およびグルタチオン-インスリン トランスヒドロゲナーゼ活性が低下し, グルタチオン ペルオキシダーゼ活性は上昇していた. 非糖尿病ラットにエチオニンおよびベンツ(a)ピレンを投与すると, これらの機能が特有の変化を起こしたが, 糖尿病ラットではこのような毒性に対する生体の反応が抑制される傾向がみられた.
  • 平川 篤, 坂本 紘, 三角 一浩, 上村 利也, 清水 亮佑
    1993 年 55 巻 6 号 p. 995-1000
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Extravascular thermal volume(以下ETV)による肺水腫の病態を評価する目的で,正常犬と実験的に作製した肺水腫犬におけるETVと胸部X線像とを対比して検討した. ETVは熱とNaを用いる二重指示薬希釈法で測定した. その結果正常犬のETVは, 8.20±1.44ml/kg(mcan±SD)であった. 肺水腫犬では, ETVが11ml/kgを越えると肺野を中心とした不透過性の充進像が認められ, 15ml/kg以上で明らかな水腫像が認められた. しかし, ETVが更に増加してもX線像にはより不透過性充進の所見は認められなかった. また, ETVとPaO2との間には有意な相関が認められたが, ETVと膠質浸透圧(Colloid oncotic pressure, 以下COP), ETVと肺動脈楔入圧(PAWP), ETVとPAWP-COPとの間には有意な相関は認められなかった. 以上の結果より, ETVを測定することは従来のX線所見では判読が困難であった重度な肺水腫においても重症度を数値で判断でき, 肺水腫の病態を定量的に診断するために有用であり, 肺水腫の早期発見, 早期治療が可能であることが示唆された.
  • 岡野 昇三, 多川 政弘, 浦川 紀元, 小川 龍
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1001-1004
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Dibutyryl cyclic AMP(DBcAMP)のエンドトキシンショックに対する治療効果について検討した. 全身麻酔下で実験的に作出したエンドトキシンショック犬11頭をDBcAMP群5頭およびcontrol群6頭に群分けし用いた. DBcAMP群には, エンドトキシン(3mg/kg)投与前にDBcAMP(10mg/kg)を一回静脈内投与し, さらにエンドトキシン投与後180分にわたってDBcAMPを点滴投与(0.1mg/kg/min)した. 循環動態およびケミカルメディエータを中心とした測定は, エンドトキシン投与後360分まで行った. その結果, DBcAMP群においては, control群に認められた心拍出量および尿量の低下が有意(P<0.01)に抑制され, さらにエンドトキシンショック時のケミカルメディエータのProstaglandin I2およびThromboxane A2の代謝産物である6-keto-PGF1αおよびThrom-boxane B2の上昇が有意(P<0.01, P<0.05)に抑制された. 以上のことより, エンドトキシンショック時のDBcAMP投与の有用性が示唆された.
  • 佐藤 享二, 岩本 市蔵, 吉木 研一
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1005-1009
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    トキソプラズマ(Tp)抗体陰性猫9頭の妊娠初期(胎齢14日), 中期(胎齢30日)及び後期(胎齢40日及び51日)に, 著者らが家猫より分離したTp-K株のシストを経口投与し, Tpの胎児感染性を調べた. Tpの経口投与による分娩成績は, 妊娠初期および中期群では, 胎児は未熟子であったが, 後期群では, 正常子を分娩した. 母猫は, Tp接種後6~10日後よりparasitemiaが発現しoocystは接種後4~7日以後から全例の糞便中に検出された. また, 血中抗体は, 接種後2週より陽転し, 経週的に上昇した. 一方, 産子は妊娠初期感染群は全胎児の組織内にTpを認めたが, 中期感染群からの正常産子の原虫検出は陰性で, 未熟子の80%に原虫が認められた. 一方, 妊娠後期感染群から分娩された正常産子からも原虫が分離されたが在胎期間の短かかったNo.9猫の産子5例は全て陰性であった.
  • 布川 寧, 藤永 徹, 平 知子, 奥村 正裕, 山下 和人, 角田 修男, 萩尾 光美
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1011-1016
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    セファデックスG-75を用いたゲルクロマトグラフィーを3回繰返すことによって急性期ウマ血清から血清アミロイドA(SAA)を分離した. これをウサギに免疫して得られた抗ウマSAAを用いた一次元放射免疫拡散(SRID)法によって, ウマ血清中のSAA濃度を測定した. 臨床的に健康なウマのSAA濃度は, 出生直後から1週齢にかけて高値を維持した後一旦低下したものの, その後も加齢に従って若干の増減を示した. 12ヵ月齢以下の子馬のSAA濃度の平均は19.37±9.41μg/ml, 18か月齢以上の成馬では平均21.53±9.81μg/mlであった. 周産期にある雌馬の血清SAA濃度の推移は, 分娩4か月前から分娩時まで特に変動はみられなかったが, 分娩直後より急上昇し, 分娩3日目には最高値136.78±56.74μg/mlを示したが, 分娩1か月以内に正常値範囲内に回復した. 実験的炎症作出馬では処置後6時間目より急激に上昇し, 処置後2日目には処置前値の約4~20倍の最高値に達した. その後, 局所の炎症消退につれて10日から4週間以内に処置前値に回復した. 検査に供した炎症性病態にある多くの症例馬の平均SAA濃度は正常値と比較して有意に高値を示した. 以上の結果から, ウマSAAは各種炎症性疾患の急性期の初期に著増する急性相蛋白の一つであると判断された.
  • 矢用 健一, 安念 保昌, 桑原 正貴, 局 博一, 菅野 茂
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1017-1023
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    筑波高情動系(THE系)および低情動系(TLE系)ラットの自律神経機能の違いを, 心電図を指標として明らかにすることを目的とした. まず, 対照群としてWistar系ラットを用い, ランウェイテストにおける移動活動量および排糞数を比較した. 移動活動量はTLE系, Wistar系, THE系の順に有意に多く, 排糞数はTHE系, Wistar系, TLE系の順に多く, 特にTHE系とTLE系の間に有意な差が認められた. 次に, THE系, TLE系およびWistar系ラットに対し, 埋め込み式心電図送信用小型テレメーターによってホームケージにおける24時間連続心電図記録を行った. 同時に, 自発運動量も記録した. 自発運動量には, 全個体で明瞭な夜行性が観察されたが, 明期, 暗期ともに系統間で有意な差は認められなかった. 心電図R-R間隔の平均値は, 明期, 暗期ともにTHE系が他の2系統に比べて短い(心拍数が多い)傾向にあり, 特にTHE系とTLE系の間には有意な差が認められた. 心電図R-R間隔の標準偏差は, 明期, 暗期ともにTLE系が他の2系統に比べて大きく, 特にWistar系との間には有意差がみられ, THE系との間にも明期において有意差がみられた. 心電図R-R間隔の変動係数には有意差は認められなかったもののTLE系は他の2系統に比べて大きい傾向にあった. また, アトロピンおよびプロプラノロールの投与により, 両系統の自律神経緊張度を検討したところ, 交感神経緊張度はTHE系21.6%, TLE系16.8%, 副交感神経緊張度はTHE系-9.0%, TLE系-12.3%を示し, さらに, 正味の自律神経緊張度は, THE系10.7%, TLE系-6.6%となった. これらの結果から, THE系はTLE系に比べて交感神経緊張度が高く, 逆にTLE 系はTHE系に比べて副交感神経緊張度が高いことが示唆された.
  • 足立 幸蔵, 松田 孝子, 牧村 進
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1025-1026
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    C57BL/6およびICRマウスにC. parvum死菌体(KCP)を投与し, その21日後にB. rodhaini(BR)で攻撃したところ, ICRマウスでは全頭生存したが, C57BL/6マウスでは全頭死亡した. 一方, KCP投与7日および28日目のBR未感染マウスの脾臓貪食細胞ケミルミネッセンス反応の充進は, ICRマウスでは顕著であったが, C57BL/6マウスでは認められなかった. すなわち, C57BL/6マウスでBR感染防御効果がみられなかった一因として, KCP投与による脾臓貪食細胞の活性化の弱いことがあげられた.
  • 中馬 猛久, 山田 能子, 岡本 嘉六, 柚木 弘之, 大宅 辰夫
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1027-1029
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Campylobacter jejuni subsp. jejuni ATCC 33560からビオチン標識DNAプローブを作製し, 鶏糞便を培養したスキロー培地をメンブランフィルターに転写してコロニーハイブリダイゼーションを実施した. このプローブはC. jejuniを確実に検出でき, 培地上の他の雑菌とは反応しなかった. この方法は, 鶏糞便中の雑菌が多数存在する場合でも, 少数(102CFU/g)のC. jejuniを検出でき, 野外での, より詳細な疫学調査に応用可能であると考えられる.
  • 本庄 和人, 萩原 雄大, 伊藤 喜久冶, 高橋 英司, 廣田 好和
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1031-1034
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    無菌(GF)ニワトリおよび通常の環境で飼育した(CV)ニワトリのリンパ系臓器(盲腸扁桃, 脾臓, ファブリシウス嚢, 胸腺)でのBおよびTリンパ球の組織分布を, 各種モノクローナル抗体を用いて免疫組織化学染色を施すことにより比較検討した. 盲腸ではGFニワトリのリンパ濾胞はCVニワトリに比して発達が悪く, またIgG陽性リンパ球あるいはIgA陽性リンパ球がほとんど認められなかった. さらに, GFニワトリの盲腸絨毛においてもBおよびTリンパ球はCVニワトリに比して少なかった. 脾臓ではBリンパ球の分布には差が認められなかったが, Tリンパ球の分布はCVニワトリにおいてより発達していた. ファブリシウス嚢および胸腺においてはリンパ球の分布には差が認められなかった. 以上の結果から, ニワトリの腸管関連リンパ系組織は腸管内細菌叢の影響を受けて発達するものと考えれた.
  • 諸角 元二, 佐々木 伸雄, 大山 洋子, 上塚 浩司, 中山 裕之, 後藤 直彰
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1035-1037
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    痙撃発作を呈した3歳のリンパ性白血病の猫に対し, CT検査およびMRI検査を行った. Iohexolによる造影CTでは大脳鎌が増強され, Gd-DTPAによる造影MRIでは大脳鎌を含む大脳周囲が増強された. 同時に, 脳脊髄液中にリンパ芽球の増加が認められるところから, 白血病細胞の浸潤による髄膜症候群と診断した. 病理組織学的所見とこれらの画像診断所見はよく一致しており, 中でも造影MRIが本症の診断には最も有用であった.
  • 渡辺 太郎, 太田 千佳子, 白幡 敏一, 後藤 仁, 角田 修男, 田上 正明, 秋田 博章
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1039-1040
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1987年と1989年の6月に, 一軽種馬牧場の育成牧場で, 血清型3型ロタウイルスによる幼駒下痢症が集中発生した. 1989年には, 下痢の流行が始まった時点で, 全仔馬に牛初乳免疫グロブリン(Ig)パウダーを投与した. その結果, 下痢の罹患率は, Igパウダーを使用しなかった1987年の罹患率に比べて低下し, Igパウダーの投与は, ロタウイルス性幼駒下痢症を, ある程度予防すると考えられた.
  • 田中 雅冶, 阿瀬 善也, 板垣 伊織, 成田 牧子, 下内 孝司, 藤田 常夫
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1041-1042
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    癌原性試験の対照群に供された97週齢の雄性F344ラット仙尾部に直径20 mm大の腫瘍がみられた. 腫瘍は, 線維性結合組織で隔てられた分葉状構造を呈し, physaliphorous 細胞, stellate細胞が索状, 胞巣状に増殖していた. その他, 腫瘍内に骨形成が観察された. 腫瘍の周囲組織への浸潤は認められたが, 遠隔転移は観察されなかった. 以上の組織学的所見や発生部位から, 本腫瘍は骨組織の成分を伴った仙尾骨部原発の脊索腫と診断された.
  • 村田 智昭, 井上 誠, 鹿江 雅光, 河野 良輝, 石田 美樹, 掘尾 雅博, 嶋田 雅暁, 横山 満, 田浦 保穂, 中間 貴徳
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1043-1045
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Hepatozoon canis感染白血球の微細構造を電顕により観察した. 感染白血球の細胞質には多数の小胞があり, 典型的な特殊顆粒は減少していたが, 少数の特殊顆粒様構造物を認めた. rERや糸粒体が局在し, 偏在したクロマチンをもつ分葉核が観察された. 酵素染色を行った結果, 感染白血球にはAP, peroxidase, NACEおよびANAEの活性は認められなかった. これらの成績から感染白血球は典型的な特徴の消失している好中球や単球である事が示唆された.
  • 吉松 組子, 有川 二郎, 苅和 宏明
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1047-1050
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    組み換えバキュロウイルスを用いてSeoul virus SR-11株の核蛋白(NP)を昆虫細胞中に発現させ, 間接蛍光抗体(IFA)法の診断抗原として応用した. 本細胞はハンタウイルス共通抗原を発現し, 腎症候性出血熱の原因となる3種の血清型のウイルスに対する抗体を検出した. 実験感染マウスと感染ドブネズミ血清の抗体価測定の結果, 本抗原は, 従来の感染Vero細胞と同等の感度と特異性を有し, 効果的で安全な代替であることが示された.
  • 江島 博康, 原 稔生, 梶ヶ谷 博
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1051-1052
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    重度な猫角膜分離症から得られた黒化角膜と正常猫から得られた正常角膜成分の化学的分析を行った. その結果, 黒化角膜から色素の抽出はできなかった. また, 元素の定量, 定性分析の結果から, この黒化角膜中には正常角膜に比較して100倍以上の多量の鉄が含まれていた. この鉄は角膜輪部からの新生血管の血液由来ではないと推定された.
  • 音井 威重, 立川 進, 近藤 正冶, 鈴木 達行
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1053-1055
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    正常な透明帯を持つ変性胚にK99保有大腸菌(101~109CFU/ml)のを1時間もしくは18時間曝露し, その後の洗浄, 抗生物質処理およびトリプシン処理による効果を検討した. その結果, 抗生物質を含まない修正PBSによる洗浄処理およびトリプシン処理においては, 洗浄後の胚から菌が分離された. しかし, 抗生物質処理においては, 曝露時間および曝露菌量に関係なく洗浄液および洗浄後の胚から菌は分離されなかった.
  • 安原 寿雄, 松井 修, 平原 正, 出水田 昭弘, 児玉 和夫, 中井 正久, 稲葉 右二
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1057-1058
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1987年に九州地方の豚の下痢症例より分離された小型DNAウイルスは, 既に報告したH-45株(Jpn. J. Vet. Sci.51(2))と理化学的性状, 赤血球凝集性及び培養細胞での増殖性においてその諸性状はよく一致したが, 中和反応ではH-45株及び豚, 牛, 大の各パルボウイルスいずれとも交差性はなく, 同一性状を有する小型DNAウイルスに血清型が存在することが示唆された.
  • 卯野 由美子, 桃井 康行, 亘 敏広, 後飯塚 僚, 辻本 元, 嶋田 照雅, 小野 憲一郎, 後藤 直彰, 長谷川 篤彦
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1059-1061
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    7歳, 雄のヨークシャーテリアが多発性の結節性皮膚病変のため来院した. 生検では, 表皮, 真皮および皮下織における大型類円形細胞の著明な増生が観察された. これらの細胞は非特異的エステラーゼ活性陽性で, 核の辺縁には種々の程度の陥凹がみられた. 悪性組織球症と診断し, 化学療法を行ったが, 来院90日目に死亡した. 病理組織学的検査においては, 腫瘍細胞は皮膚の他, 心筋および骨格筋にも浸潤していた.
  • 鈴木 利行, 大島 寛一
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1063-1065
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種, 3歳の雌牛にみられた直腸硬性腺癌の症例を検索した. 臨床的に著明な直腸狭搾と出血性下痢を主徴としていた. 病理学的に直腸の肝門近くに原発病巣を認め, PAS陽性の酸性粘液を容れる不規則な腺管状構造を示す増殖巣がみられ, 著しい膠原線維の増殖を伴っていた. 腫瘍細胞の核は明調で円形ないし類円形, 細胞質は比較的豊富で弱好酸性を示した. また, 肝門直腸リンパ節の辺縁洞と髄洞に転移病巣が認められた.
  • 甲斐 知恵子, 落久保 文子, 沖田 賢冶, 飯沼 哲夫, 見上 彪, 小船 富美夫, 山内 一也
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1067-1070
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    臨床的にイヌジステンパーウイルス(CDV)感染症と診断された犬の脳, 脳脊髄液細胞, 脾臓, 末梢血細胞から, マーモセットBリンパ球由来のB95a細胞株を用いてウイルス分離を試みた. ウイルスは高率に分離され, また分離ウイルスのCPEの型や大きさに違いがあり, 野外流行株に異なる性状のウイルス群が存在することが示唆された. このようにB95a細胞株による分離は, 野外CDVの生態学的研究に有用と考えられた.
  • 内田 和幸, 立山 晉, 山口 良二, Rostami Mina, 門田 君江, 長谷川 貴史, 小川 博之, 黒木 昭浩
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1071-1072
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    臨床的に神経症状を主訴とする疾患が1農家の5頭の牛に認められた. 5頭中2頭が病理組織学的に検索されたが, これら2頭の大脳髄膜及び皮質の中小動脈周囲に, 著明な好酸球とマクロファージが浸潤し, 病巣内の血管内皮細胞は腫脹していた. 以上の所見より, 本例を"好酸球性髄膜炎"と診断した. 脳以外の臓器では, 1例の肺動脈周囲に好酸球とマクロファージの反応を伴う肉芽腫性炎が観察された. 検索例から細菌, 真菌, 原虫, 及び寄生虫等は検出されなかった.
  • 佐藤 良彦, 久米田 章仁, 小山 武彦, 高田 俊也, 青柳 高弘, 市川 憲一, 和田 浩彦, 古谷 隆徳, 田中 けい子
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1073-1076
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ジュウシマツが水様下痢を呈し死亡した. 肝臓の軽度腫大と巣状壊死を認め, 主要臓器, 糞便からS. Typhimuriumが分離された. ニューカッスル病およびクラミジア症は陰性であった. 以上の成績からサルモネラ感染症と診断した. 有効薬剤の投与, 病鳥の淘汰を実施したが198羽が死亡し致死率は74%に達した. 疫学調査により, 県外から購入したジュウシマツが感染源と推定された. 本症例はジュウシマツにおけるサルモネラ感染症の最初の報告である.
  • 五十嵐 功, 田内 清憲, 湯川 真嘉
    1993 年 55 巻 6 号 p. 1077-1079
    発行日: 1993/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    出生時精巣摘出ラットの114週齢におけるリンパ球サブポピュレーションおよび幼若化能を無処置老齢ラットと比較した. リンパ球サブポピュレーションは, 無処置10週齢あるいは114週齢ラットと差がなかったが, リンパ球幼若化能は, 無処置10週齢ラットの約1/2の値を示した. 無処置114週齢ラットはほとんど幼若化能を示さなかった. また, 無処置114週齢ラットでは胸腺は肉眼的に検出されなかったが, 出生時精巣摘出ラットの胸腺重量は無処置10週齢ラットの約68%で, 構造もよく保持されていた.
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