ウシ子宮内膜におけるIGF-IおよびEGFが細胞特異的に局在しているかどうか, また発情周期にともなって増減しているかを明らかにする目的で, その局在を免疫組織化学的に比較検討した. 正常な発情周期を繰り返すホルスタイン種未経産牛(n=54)の子宮内膜バイオプシーを実施し, その日付に基づき(発情日を0日とする)対象牛を以下の9群に分類した. 1)20~0日, 2)1~3日, 3)4~5日, 4)6~7日, 5)8~10日, 6)11~13日, 7)14~15日, 8)16~17日, 9)18~19日. 各切片における内膜上皮細胞, 子宮腺上皮細胞および間質細胞の各1,000個の細胞について, 免疫陽性細胞数を算定し比較した. 内膜上皮細胞および間質細胞におけるIGF-Iの免疫陽性細胞数は, 子宮腺上皮細胞と比べ, 発情周期を通して多く(p<0.01), 内膜上皮細胞では約5日周期の増減が認められた. 子宮腺上皮細胞における免疫陽性細胞数は, 発情日から日数の経過に伴い減少した. 一方, EGFの免疫陽性細胞数は, 発情周期を通して, 間質細胞では内膜上皮細胞および子宮腺上皮細胞より多かった(p<0.01). 間質細胞のEGF免疫陽性細胞数は, 発情日に少なく, 1日に急激に増加した後, 約5日周期で増減を繰り返した. 以上のように, ウシ子宮膜におけるIGF-IおよびEGFは, 内膜上皮細胞, 子宮腺上皮細胞および間質細胞において発情周期にともない特異的に局在し, 増減を繰り返していることが示された.
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