Journal of Veterinary Medical Science
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54 巻 , 6 号
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  • Agungpriyono Srihadi, 山本 欣郎, 北村 延夫, 山田 純三, Sigit Koeswinarning, 山下 忠幸
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1063-1069
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ジャワマメジカはの(Tragulus javanicus)胃の構造を肉眼, 実体顕微鏡および走査型電子顕微鏡で観察した. 胃は, 第一胃(Rumen), 第二胃(Reticulum)および第四胃(Abomasum)からなり, 第三胃(Omasum)は欠いていた. 第一胃は, 後背盲嚢を欠き, 背嚢, 腹嚢および後腹盲嚢によるS字状を呈していた. 第二胃は第四胃よりも大きかった. 第一胃の粘膜面は, 様々な大きさおよび密度を示す葉状あるいは舌状の第一胃乳頭で覆われていた. 第二胃は, 第二胃小室を形成するが, 二次稜はまれにしか認められなかった. 第二胃溝は大きな唇部を有し, 前部よりも後部で発達していた. 第二胃溝と第四胃の間に認められた小嚢状の移行部(Transition zone)の粘膜には, 多くの粘膜ヒダが認められた. 第四胃には, 低く厚みのある螺旋状の粘膜ヒダが認められた.
  • 嶋田 照雅, 鹿野 創人, 小野 憲一郎, 斉藤 篤志, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1071-1075
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    急性経過で整死するBabesia rodhaini(BR)感染マウスと, 慢性に経過し持続感染を示すBabesia microti(BM)感染マウスについて, 感染経過に伴う脾臓内リンパ球sub-populationの変化を検討した. BR群では感染赤血球の増加時期と同様, 脾臓総細胞数, 脾臓内IgM陽性細胞数, IgG陽性細胞数, およびThy-1陽性細胞数の増加がBM群に比較して早期に認められた. 脾臓総細胞数, IgM陽性細胞数, およびIgG陽性細胞数の最高値は2群間で有意な差は認められなかったが, BM群のThy-1陽性細胞数の最高値はBR群の感染12日目のThy-1陽性細胞数に比較して有意な高値を示した. また, L3T4陽性細胞数とLyt-2陽性細胞数の比では, BR群は感染3日目から減少するのに対し, BM群は感染初期に増加した後, 滅少した. BRで免疫したマウスにBRを再度感染させた群では, Thy-1陽性細胞数はBM群と差がなく, またL3T4陽性細胞数とLyt-2陽性細胞数の比の変動はBM群と類似していた. これらの結果から, BR感染マウスとBM感染マウスの感染経過の相違には感染初期のT細胞の免疫応答, 特にLyt-2陽性細胞のサプレッサー活性の上昇が強く関係していると考えられた.
  • 近藤 栄, 三宅 陽一, 中堀 豊, 中込 弥男, 金田 義宏
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1077-1080
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    外見上ならびに解剖学的に雌の特徴をもつものの, 生後23か月に至るまで発情徴候を示さなかった未経産のホルスタイン種牛について, 染色体の分析とY染色体の構造解析を行った. 染色体分析の結果, 白血球ならびに皮膚, 脾臓, 腎臓からの線維芽細胞に由来するすべての細胞分裂中期像で, 60, XYの雄の核型のみが観察された. 臨床所見とこれらの結果から本例はXY femaleと診断された. 更に, サザーン・ブロッティングによるZFY遺伝子とAMG遺伝子のY染色体上の局在の有無を検索した結果, 両遺伝子は正常な雄牛と同様, 本例のY染色体上にも存在することが確認された. 以上の結果に基付いて, この牛がY染色体をもちながら雄へ分化しなかった原因について, Y染色体上の精巣決定遺伝子(TEF)の変異に関する3つの仮説を立て, 考察した.
  • 足立 幸蔵, 吉本 明美, 長谷川 貴史, 清水 高正, 後藤 義孝, 牧村 進
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1081-1084
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ELISA及びWestern blotting法により, B. gibsoni感染症と診断された犬の血清中抗赤血球膜抗体の検出を試みた. 感染犬血清(31)は健常犬血清(24)と比較して有意に抗赤血球膜抗体価(ELISAレベル)が高く(P<0.001), Western blotting法においては, 感染犬血清では家兎抗赤血球膜抗体血清を用いたものとほぼ同様のバンドパターンがみられ, 一方, 健常犬血清及び, 健常家兎血清ではバンドは認められなかった. 以上のことから, B.gibsoni感染時には, 自己赤血球膜に対する抗体産生が誘発されることが示唆された.
  • 久米 英介, 土居 千代, 板垣 慎一, 長島 吉和, 土井 邦雄
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1085-1090
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    あらかじめ片腎を摘出したマウスにストレプトゾトシン(SZ)を投与(50mg/kg/day×5days)することにより糖尿病を誘発した. SZ投与終了後4週おきに剖検を行い, 12週後(12WAI)まで検索を行った. 片腎摘出糖尿病マウスでは4WAIからメサンジウム領域の拡張が認められ, 12WAIでは分節状の糸球体硬化症にまで発展した. 電子顕微鏡による観察では顕著なメサンジウム領域の拡張に加え, 分節状の糸球体基底膜の肥厚および上皮細胞の足突起の癒合, 毛細血管内皮細胞の微絨毛の増加などが認められた. 一方, 片腎摘出を行っていない糖尿病誘発マウスの糸球体では12WAIの時点でも弱から中程度のメサンジウム領域の拡張が認められたのみであった. また興味深いことに, 糖尿病を誘発していないマウスにおいてはボウマン嚢壁は立方上皮または低円柱上皮(male-type epithelium)によって覆われていたのに対し, 糖尿病誘発マウスにおいては扁平な上皮によって覆われていた.
  • 池 和憲, 川原 一芳, 檀原 宏文, 久米 勝巳
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1091-1098
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    敗血症を呈する鶏から分離された大腸菌115株について, 1日齢雛に対するビルレンスとビルレンス因子の解析を行った. その結果, 大部分のビルレンス株は血清抵抗性およびアエロバクチン系鉄取り込み能を有していた. 血清型O2の代表的なビルレンス株であるS-20株について更に検討を行った. S-20株は接合伝達性の100メガダルトンプラスミド(pKI100と命名)を保有していた. 本プラスミドの脱落株および再導入株を用いた実験によって, pKI100プラスミドは血清抵抗性とアエロバクチン系鉄取り込み能をコードしている事, また, pKI100プラスミドの脱落株への再導入により本菌のビルレンスが回復することが示された. これらの結果から, pKI100プラスミドはS-20株のビルレンスプラスミドである事が明らかとなった. また, 血清抵抗性およびアエロバクチン系鉄取り込み能は敗血症など鶏大腸菌症を惹起する大腸菌のビルレンス因子である事が示唆された.
  • 鄭 煕泰, 高橋 芳幸, 金川 弘司
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1099-1103
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス肝を用いて, 体外での2-cell blockが起きる肝と起こらない胚との間で前核の相互置換を行い, 再構築の発育能および胚の発育における核と細胞質の影響を検討した. 核と細胞質の融合は1.5kV/cmの直流パルスを用いた場合, 全群で高い融合率が得られた. F1 (C57BL×CBA)マウスの胚をレシピエント細胞質として用いた場合, ICRおよびF1マウス胚の核を移植した両群の胚盤胞への発育率は, F1対照区と差がなく, 高い発育率が得られた. 一方, レシピエント細胞質としてICRマウスの胚を用いた場合は, F1マウスの胚をレシピエント細胞質として用いた場合に比べて, 有意に低い発育率を示し, また, 移植に供した核の系統の違いによっても胚の発育率に有意な差が認められた. 次に, 再構築胚の胚盤胞における細胞数および偽妊娠マウスに移植後の産子出生率を検討した結果, 各々の再構築胚間およびICR対照区との間には有意な差が認められなかった. 以上の結果から, 再構築胚の発育は核移植並びに電気融合過程にほとんど影響されないことが明らかになった. また, 再構築胚の体外発育は核よりも細胞質によって強く影響されるが, 胚盤胞における細胞数と産子出生率は核および細胞質のどちらにも影響されないことが示唆された.
  • Bela Elias, Albert Mihaly, Tuboly Sandor, Rafai Pal
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1105-1110
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Bordetella bronchiseptica毒素産生性Pasteurella multocide D型の相互作用をSPF子豚各4頭からなる5群について調べた. 3群と4群の子豚は生後28日目に, 両側の鼻腔内にB. bronchiseptica 1相菌の皮膚壊死毒(DNT)非産生株の1013CFUを接種した. 1群と3群の子豚は,B. bronchisepticaの毒素非産生株の超音波抽出液を経鼻的に, 2群および4群の子豚は, B. bronchisepticaのDNTを左側鼻腔内に接種した. 超音波抽出液とDNTの処理は生後33日目から始めて5日間続けた. 5群は対照とした. 37日齢で, 5群を除く全群の子豚に毒素産生性P. multocidaの5×107CFUを両側の鼻腔内に接種した. 50日齢のと殺時に, 2群の3頭と4群の全頭の左側の鼻腔からP. multocidaが回収された. b. bronchiseptica DNT接種子豚では, 左側鼻腔の粘膜上皮は, 繊毛の消失と空胞化, 核濃縮と壊死のような退行性病変が認められ, また上皮の肥大, 上皮や粘膜下組織には炎症細胞の浸潤も認められた. この結果は, B. bronchiseptica DNTの鼻粘膜に対する作用は, P. multocidaの鼻腔内における発育の前提条件であることを示唆している. p. multocida定着は他の病毒因子の関与なしにB. bronchiseptica DNTそのものによる粘膜の傷害の存在が前提であることが明らかとなった.
  • 柴田 勲, 波多野 豊, 稲葉 右二
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1111-1115
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    5日齢及び27日齢のHPCD豚にそれぞれZHtsTK-株の106.3PFUを筋肉内接種及び106.6PFUを鼻腔内接種し, これらの豚から21種類の臓器サンプルを経時的に採取してウイルス分離を行った. その結果, 接種した豚において軽度の発熱以外の臨床症状の異常は認められず, 筋肉内接種豚では鼻汁からウイルスは分離されなかった. 一方, 鼻腔内接種豚では接種後1日目から5日目の鼻汁から少量分離されたが, 同居感染は認められなかった. 臓器からは, 筋肉内接種豚においてのみ, 接種後2日目の接種部位の大腿部筋肉とソ径リンパ節および4日目の筋肉から少量のウイルスが分離された. 本ウイルスの潜伏感染の有無を調べるために筋肉内あるいは鼻腔内接種した豚にプレドニゾロンを投与し, cocultureにより三叉神経と鼻汁からウイルス分離を試みたが, 全て陰性であった. 免疫試験の結果, 本ウイルスの免疫原性として, 強毒ウイルスの攻撃に対して臨床症状を防御し, ウイルス排泄の期間を短縮し, 量を減少させることが示された. さらに, 1回免疫より2回免疫のほうが排泄ウイルス期間を短縮する効果がより著明であった.
  • 松元 光春, 西中川 駿, 九郎丸 正道, 林 良博, 大塚 閏一
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1117-1124
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    卵巣除去マウスの腹鼠径部第1乳腺と血管の発達に及ぼすエストロジェン(E)およびプロジェステロン(P)投与の影響を形態計測, 光顕および電顕を用いて検索した. 乳腺のfat padの面積は各実験群間で差はなかったが, 実質の面積はE+P投与群で最大であった. 乳腺に分布する深腸骨回旋ならびに浅後腹壁動・静脈の径はE+P投与群で最大で, また, 導管やbudを取り囲む毛細血管もE+P投与群で最も密に分布していた. 間質の脂肪細胞は主要血管の周囲にmultilocular型が, それ以外の部位にunilocular型がみられるが, EおよびE+P投与群ではunilocular型がほとんど全域を占めていた. 従って, 乳腺脂肪組織は実質の発達のベースになることが示唆された. 電顕所見でも, E+P投与群で最も顕著な所見がみられた. 即ち, 実質の上皮細胞は多数のミトコンドリアやリボゾーム, よく発達したゴルジ装置やrER, および大きな脂質小滴をもち, また毛細血管内皮細胞は, 多数の飲小胞, 長い辺縁ヒダおよび微絨毛様突起をもっていた. 以上の観察から, 卵巣除去マウスへのE+Pの投与によって乳腺および血管の発達が引き起こされることが明らかとなった.
  • 平澤 健介, 韓 晋洙, 武田 真記夫, 板垣 慎一, 土井 邦雄
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1125-1129
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    脳心筋炎(EMC)ウイルス感染マウスの心筋炎の動態について, 糖尿病高誘発株であるD株(EMC-D)または糖尿病非誘発株であるB株(EMC-B)をEMCウイルス誘発糖尿病高感受性系統のBALB/cに105 PFU/head腹腔内接種した群および同様のEMC-Dを低感受性系統のC57BL/6に接種した群の計3群を用い, 病理学的またはウイルス学的に検索した. 病理学的には, 接種4日後(4 DPI)までは3群間に心筋病変の強度に差が認められなかったが, 7 DPIには, EMC-D接種BALB/c群で病変の拡大が認められたのに対し, 他の2群では病変の進展は観察されなかった. 一方, ウイルス学的にも, EMC-D接種BALB/c群の心臓中のウイルス力価は4 DPI以降他の2群のそれより高値を示し, 7DPIにいたっても他の2群のそれの100倍以上であった. また, EMC-D接種BALB/cの心筋の電顕検索で, 変性した心筋細胞にウイルス様粒子の集族が認められた.
  • 大上 美穂, 牧田 登之
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1131-1135
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ハムスターの肩甲間褐色脂肪細胞における脂肪滴とミトコンドリアとの関係について, 電顕組織学的に検索を行った. まず, 脂肪滴とミトコンドリアが接触すると, 接触部分のミトコンドリア膜に変性が起こり始める. その後, 接触部分よりミトコンドリアのクリステが崩壊していく. 変性途中のミトコンドリアは脂肪滴によって徐々に包囲され, 脂肪滴内に空砲として存在するようになる. 最終的には, 残っていた外膜も消失し, フラグメントとして認められるようになる. また, 以上のような構造変化の起こっている細胞では脂肪滴内にミトコンドリア膜の残渣のような構造がみられた.
  • 辻 尚利, 板庇外 茂雄, 中村 義男, 平 詔亨, 久保 正法, 浦 重義, 源野 朗
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1137-1143
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    野外における乳頭糞線虫濃厚感染による子牛の突然死のメカニズム探索の第一歩として, ホルスタイン種の子牛8頭を用いて, 同子虫を感染させ, 心電図と呼吸曲線を記録した. 突然死した6頭では, 死亡前1~6日より洞性頻脈が連続して記録され, 心拍数は死亡時まで経時的に増加した. このほか, 死亡前1~2日より, さまざまな頻拍性お上び徐拍性不整脈が認められた. 死亡時の心電図は, 突然出現する一連の心室頻脈, 心室粗動および心室細動であった. 呼吸停止は心室細動発現後であった. それ以前に呼吸の異常は認められなかった. 耐過した2頭の内の1頭では, 一時的に徐拍性不整脈が出現したが, 後に正常パターンに回復した. これらの結果は, 乳頭糞線虫の濃厚感染による突然死は, 不整脈による心臓突然死であることを示唆するものである.
  • 関崎 勉, 宮崎 茂, 伊藤 博哉, 淺輪 珠恵, 野々村 勲
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1145-1149
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏の病原性大腸菌PDI-386株(血清型O78)から1型線毛を精製し, 性状を解析した. 本菌に見られた酸により誘発される自家凝集性を利用して, 酸による沈澱, 洗浄および中性緩衡液(pH8.0)への溶解により, 線毛は容易に精製できた. 電子顕微鏡観察で精製線毛は, 直径8nm, 平均長10μmであった. SDS-ポリアクリルアミド電気泳動で求めた線毛サブユニットの質量は, 19,000ダルトンであった. 精製線毛のアミノ酸組成および線毛サブユニットのN末端配列は, 既報のKlebsiella pneumoniaeの1型線毛のそれと類似していた. さらに, 免疫学的にも, K. pneumoniaeの1型線毛と交差した. これらの成績より, 大腸菌とK. pneumoniae間に見られた1型線毛の多様性は, 鶏の病原性大腸菌の間にも既に存在していることが示された.
  • 阿久沢 正夫, 森園 充, 須藤 京子, 安田 宣紘, 岡本 嘉六, 出口 栄三郎
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1151-1155
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    新生豚の血清アミラーゼ活性を色素産生法(ブルースターチ法)により測定し, アイソエンザイム分画をセルローズアセテート膜電気泳動法により検索して, 成豚の値と比較した. 新生豚の血清アミラーゼ活性は成豚の約1/2で, 加齢とともに増加した. 血清アミラーゼのアイソエンザイムは陰極から4分画を示し, 各分画の組合せにより5群に分類された. 分画および各群の出現頻度に, 子豚と成豚間で有意差は認められなかった. 新生豚にデキストラン鉄投与後, 赤血球数, 血色素量, 血球容積とともに血清アミラーゼ活性は増加した. 血色素量と血球容積の増加は1回投与よりも2回投与群で著しかったが, 血清アミラーゼ活性は両群とも同程度の増加であった. 血清アミラーゼ活性の増加は, 鉄剤投与によってアミラーゼ産生臓器の発達が促進されることを示していると思われる. 血清アミラーゼ活性は新生豚の順調な発育を示す指標になるものと考えられた.
  • 松澤 時弘, 初谷 真琴, 森口 克彦
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1157-1163
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラットにおける実験的潜在精巣中のメチオニンアミノペプチダーゼ(Me-AP)活性の経時的変化を組織化学的に観察した. 潜在精巣手術後5日目から, 精子の消失, 精細管の萎縮, ライディヒ細胞の増殖・肥大に伴って, ライディヒ細胞でMe-AP活性が増加した. 一方, ロイシンアミノペプチダーゼ(Leu-AP)活性は変化しなかったが, アルギニンアミノペプチダーゼ(Arg-AP)は, 手術直後から7日目まで減少し続けた. 潜在精巣でのこれらアミノペプチダーゼ活性の変動の生理的意義を理解するために行った, 実験的再生肝での対照実験では, 手術後24時間で, 増殖肝細胞が認められたにもかゝわらず, Me-AP活性, Arg-AP活性とも減少した. このことは潜在精巣におけるMe-AP活性の増加が, 細胞増殖に伴う一般的現象ではなく, ライディヒ細胞の増殖による固有の現象であることを示している. また潜在精巣におけるMe-AP活性の変動, セルロース. アセテート膜によるアミノペプチダーゼザイモグラムの変化はミトコンドリア分画で顕著であった.
  • 古澤 賢彦, 大森 保成, 渡辺 徹
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1165-1173
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコの肝臓の連続切片に, グルカゴン(Glu), インスリン(Ins), ソマトスタチン(Som)及び膵った. ネコの膵臓は肉眼的には十二指腸部, 胃部, 脾臓部および吻合部の四部分に区別できる. 十二指腸部の特徴は腺房中にPP細胞に富む膵島と多数の散在性PP細胞の存在であり, Glu細胞は認められなかった. 十二指腸部での膵島の面積, 長径および密度は他の三部分と比較して明らかに小さかった. 逆に, 他の三部分ではPP細胞の数が非常に少なく, Glu細胞に富む大きな膵島の存在で特徴付けられた. Ins細胞は他の免疫反応細胞を含まない密な細胞集団を形成しており, ほとんどの膵島で最も数の多い細胞であり, またどの膵臓部分の膵島でもほぼ同じ細胞割合を示した. Som細胞はどの膵臓部分の膵島でもGlu細胞の多寡に相応した分布を示した. 結論としてネコの膵島ではGlu細胞とPP細胞の分布には相反関係が見られ, これにより膵島をPP細胞に富む膵島とGlu細胞に富む膵島の2つの型に分類できる.臓ポリペプチド(PP)抗血清を用いて, 免疫組織化学的染色を施し, 膵島における4種類の内分泌細胞の割合, 膵島の面積, 長径および密度の形態計測的評価を行
  • 檀原 宏文, 森口 良三, 鈴木 祥子, 田村 豊, 木島 まゆみ, 大石 弘司, 松井 英則, 阿部 章夫, 中村 政幸
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1175-1178
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    7.2×105-3.5×107生菌数のRF-1株(pKDSC50保持)および31N-1株(pKDSC50脱落)をヨークシャ豚に静脈接種した. RF-1株投与群の臨床症状(菌血症, 発熱)は31N-1株投与群よりも重度であった. 8.3-8.7×109生菌数接種の場合, RF-1株投与群は全身性の充出血を呈して2~4日後に死亡した. 一方, 31N-1株投与群の充出血は軽度であったが6日後に死亡した. 以上, pKDSC50プラスミドはRF-1株の毒力を増強していることが示された.
  • 坪井 孝益, 金沢 美孝, 庄司 智太郎, 徳久 修一
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1179-1181
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛卵巣から採取した牛未成熟卵子にBHV-1 Los Angeles株を暴露し洗浄後, 成熟培養を実施した. その結果, 洗浄後もウイルスは除去されず, 卵丘細胞付着牛未成熟卵子で顕著なウイルス価の上昇を認め, 一方裸化卵子では全く認められなかった. また蛍光抗体法により特異蛍光が卵丘細胞に認められた. 以上の成績からBHV-1は牛未成熟卵子に吸着するが, ウイルスの増殖は卵丘細胞において行なわれているものと思われた.
  • 坂口 実, 西村 亮平, 佐々木 伸雄, 石黒 敏一, 田村 弘, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1183-1185
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    メデトミジン(80μg/kg)の豚における鎮静作用に対し, 桔抗性鎮痛薬(opiate agonist-antagonist)であるブトルファノール(0.2mg/kg)の鎮静増強効果を調べた結果, ブトルファノールはメデトミジンの鎮静作用を高め, 横臥および自発運動の消失を指標とした鎮静時間も延長し, 良好な筋弛緩と, 軽い疼痛を伴う手技を実施できる程度の鎮静効果をもたらした.
  • 田島 朋子, 廣直 武司, 梶川 武次, 川村 齋
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1187-1189
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    2, 3-bis(2-methoxy-4-nitro-5-sulfopheny 1)-5-[(phenylamino)carbonyl]-2H-tet-razolium (XTT)を用いた比色定量法の鶏細胞への応用を検討した. 1mg/m/lのXTT溶液に, 0.025mMのphenazinemethosulfateを加え, microplatel wellあたり50μlずつ加えて37℃で4時間反応させ, 490nmの吸光度を測定した. この条件で, マレック病腫蕩由来株化細胞, 鶏肝線維芽細胞の生死ならびに, mitogen刺激をした鶏脾リンパ球の活性化が測定できた.
  • 高橋 滋, 深水 昭吉, 波多江 利久, 山田 裕二, 杉山 文博, 梶原 典子, 八神 健一, 村上 和雄
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1191-1193
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    最も強力な血圧上昇物質の一つであるアンギオテンシンIIの前駆体・アンギオテンシノーゲンの酵素レニンによる切断は, 血圧や電解質のバランス維持に関与するレニン・アンギオテンシン系において重要な反応過程である. 本研究では, 以前我々が作製したヒトアンギオテンシノーゲンを過剰発現するトランスジェニックマウスにおいて, その生理的な影響を調べるため血圧と心拍を測定した. その結果, トランスジェニックマウスとコントロールマウスの血圧および心拍数には, 有意な差は見られなかった. そこで, マウスレニンのアンギオテンシノーゲンに対する反応性をin vitroのアッセイ系で検討した. その結果, ブタ血液から精製したアンギオテンシノーゲンには, ヒトレニンとマウスレニンは反応性を示した. しかし, ヒトアンギオテンシノーゲンに対してヒトレニンは反応するが, マウスレニンは反応性を示さなかった. 以上のことより, トランスジェニックマウスにおいてヒトアンギオテンシノーゲンの過剰発現にもかかわらず血圧が正常に維持されるのは, マウスレニンのヒト基質に対する種特異的な反応性によることが示唆された.
  • 滝沢 達也, 有嶋 和義, 山本 雅子, 日柳 政彦, 宗宮 弘明, 江口 保暢
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1195-1198
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    妊娠末期の胎仔および自然分娩あるいは帝王切開による新生仔について, 動脈管および肺動脈を観察した. 動物をドライアイス・アセトンで急速に全身凍結し, メスを用いて, 実体顕微鏡下で観察しながら, その胸部を背側から少しずつ薄切し, 接眼レンズに挿入したマイクロメーターを用いて動脈管と肺動脈の内径を測定した. その結果, 動脈管は自然分娩180分後には, ほぼ閉鎖していた. 一方, 帝王切開により得た新生仔では90分後にほぼ閉鎖していた. このことから, 動脈管の閉鎖過程は帝王切開により促進することが明らかとなった. 肺動脈の内径は, 自然分娩, 帝王切開に関係なく, 出生後の観察期間中ほぼ一定の値を示した.
  • 金山 喜一, 山海 直, 成相 孝一, 遠藤 克, 佐久間 勇次
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1199-1200
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    重複子宮の形態をとる家兎において, 左側の上部子宮角内に精液を注入して人工授精を行った. 次いでhCGを投与して排卵を誘起した. その結果, 左側のみならず右側子宮角にも着床胎子を認めた. 一方, 右側の子宮一卵管接合部を結紮して同様の人工授精を行ったところ, 右側卵管での受精は成立しなかった. このことから, 左側子宮角に注入された精子の一部は腔腔に排出された後, 右側の子宮頸管に進入し, 右側卵管に達して受精に関与したものと結論した.
  • 古澤 賢彦, 宇根 有美, 野村 靖夫
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1201-1203
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    インスリン療法が十分な効果を示さなかった猫に対して, ACTH負荷試験, デキサメサゾン抑制試験および血中ACTH測定を実施し, 下垂体依存性副腎皮質機能充進症と診断した. 剖検後の病理組織学的検査により, 下垂体の嫌色素性細胞腫および副腎皮質の過形成が認められた.
  • 清宮 幸男, 大島 寛一, 伊藤 博, 村上 隆宏
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1205-1207
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    出生時以来, 沈鬱, 起立困難等を示した9日齢の子牛を病理学的ならびに細菌学的に検索した. 主要な病変は幾つかの内臓諸器官における多発性巣状壊死と線維素化膿性髄膜炎であった. 壊死巣は肝臓において最も頻繁にみられ, 単核細胞の浸潤とグラム陽性小桿菌を伴っていた. 同小桿菌は, 内臓病巣はもとより中脳の中心灰白質にみられた単核細胞の集族巣にも認められた. 脳を含む全身諸臓器からListeria monocytogenesが分離された.
  • 川村 齋, 田島 朋子, 廣直 武司, 梶川 武次, 小谷 猛夫
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1209-1211
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚卵管由来の19-PFT細胞株のうち, 線維芽性と上皮性の2種について豚サイトメガロウイルスの増殖を調べた. ウイルスは線維芽細胞の方で良く増殖した. 感染細胞はtrypsin-verseneで消化すると正常細胞より巨大で, これを指標にして感染価の測定ができた. 感染細胞の核内に封入体が形成され, 電顕観察で核内及び細胞質内にヘルペスウイルスの特徴を持った粒子が観察された. 感染細胞は特徴的なred plaqueを形成した.
  • 町田 登, 中村 孝, 桐生 啓冶, 服巻 滋之, 戸尾 [キ]明彦
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1213-1216
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    うっ血性心不全の症状を呈し, 心電図検査で心室頻拍と診断されたポニー雌馬, 20歳の心臓を病理学的に検索した. 肉眼的に心臓は両心室腔の拡張により著しく拡大していた. 心室中隔の割面では上部の心筋層内に大きな灰白色の斑状病巣(5×25mm)が見出された. 組織学的に本病変は, 左脚に隣接した領域に形成された心筋線維化巣であり, 部分的に左脚の特殊心筋線維と接していた. この病変が心室頻拍の発生に関わっていたものと推察された.
  • 岩村 祥吉, 小泉 伸夫, 松原 豊, 本庄 和人, 福田 勝洋, 廣田 好和
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1217-1218
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ヘアレス犬および有毛犬の発育に伴う血漿コルチゾール, プロジェステロンおよび総テストステロン値の推移を検索した. ヘアレス犬におけるコルチゾール値は4~5週齢時まで有毛犬に比して高い傾向が認められた. プロジェステロン値に関しては, ヘアレス雌犬と有毛雌犬に差異は認められなかった. また, 総テストステロン値の推移に関しては, 13~21週齢においてヘアレス雄犬が同齢の有毛雄犬に比して有意に低い値であった.
  • 木内 明男, 田原口 智士, 花澤 良, 原 元宣, 池田 輝雄, 田淵 清
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1219-1220
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌの外耳道から分離された酵母様真菌Malassezia pachydermatisの染色体DNAをパルスフィールドゲル電気泳動法により解析した. M. pachydermatisのゲノムは6本のバンドとして泳動され, それぞれの分子量サイズは, 820, 1,100, 1,400, 1,470, 1,660および1,820キロベースであると算出された. M. pachydermatisは分離株の電気泳動パターンの比較からホモ接合体であろうと推察された.
  • 足立 幸蔵, 牧村 進
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1221-1223
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬へのBabesia gibsoni感染実験を行い抗赤血球膜抗体価(ELISAレベル)の推移を観察した. その結果, 低寄生率にもかかわらず貧血が進行し, 逆に抗赤血球膜抗体価は有意に上昇した. 加えて, 血液塗抹像に球状赤血球を確認した. 以上の結果から, Babesia gibsoni感染症における抗赤血球膜抗体価の上昇は貧血機序の一端を担う可能性が示唆された.
  • 仲嶺 マチ子, 大城 守, 天久 勇市, 大城 喜光, 慶留間 智厚, 沢田 拓士, 江崎 孝行
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1225-1227
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1990年11月に沖縄県で飼育されていたフランス鴨の1群200羽に元気食欲の廃絶, 起立不能, 下痢を主徴とする疾病が発生し50羽が死亡した. 死亡例の全臓器からPasteurella multocida subsp. multocidaが純粋に分離され, 芙膜抗原がCarterのA型, 菌体抗原がHeddlestonの3・4・12型, Namiokaの5 : A型と同定された. 病理学的検査では家禽コレラに特徴的な病変が認められた. 分離菌108個を90日齢ニワトリの静脈内に接種した結果21時間以内に全羽が死亡した. 以上の成績から, 本例はフランス鴨の家禽コレラの初発例と診断された.
  • 大上 美穂, 牧田 登之
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1229-1232
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラットの白色脂肪と褐色脂肪について, 走査電顕による比較を行った. 白色脂肪の表面は滑らかであったが, 褐色脂肪では半球状のもり上がりが多数認められた. また, 割断面は白色脂肪では大きい脂肪滴が1~2個ということが多いが, 褐色脂肪では数個の小脂肪滴と小顆粒がぎっしり詰まっていた. その他に, 試料作製中に生じた脂質の溶出跡に小顆粒が数多く析出していたが, これは脂肪滴の内部構造を示唆するものとして興味深い.
  • Marc VASSART, Arnaud GRETH, Saud ANAGARIYAH, Francois MOLLET
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1233-1235
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    13ヶ月齢のアラビアかもしか(Oryx Leucoryx)の拘束性筋症の1例について, ヘマトクリットと23種の血液生化学パラメーターの変化を10日間にわたって調べた. ビリルビン, クレアチンキナーゼ, アラニンアミノトランスフェラーゼ, アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ値の上昇がみられたが, カリウム値は変化しなかった. 今回調べたパラメーターの大部分は, この動物種での報告としては最初のものである.
  • 西村 亮平, 金 輝律, 松永 悟, 坂口 実, 佐々木 伸雄, 田村 弘, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 6 号 p. 1237-1240
    発行日: 1992/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚におけるメデトミジンに対するアティパメゾールの桔抗効果について検討したところ, アティパメゾールはメデトミジン(80μg/kg)の鎮静効果に対し十分な桔抗効果を示し, その至適用量はメデトミジンの2~4倍量の160~320μg/kgであると考えられた. この用量では鎮静からの覚醒は迅速かつ円滑で, 覚醒時の過剰運動や頻脈もほとんど認められなかった.
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