感染症学雑誌
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75 巻, 6 号
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  • 6. 抗酸菌の分類・命名の現状と将来像
    前田 伸司, 小林 和夫
    2001 年 75 巻 6 号 p. 457-459
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 加地 正英, 久能 治子, 大泉 耕太郎
    2001 年 75 巻 6 号 p. 460-463
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    本邦では感染症の診断や治療に関する研究は盛んであるが, その医療費に関する検討はごく限られている.
    本研究では最も身近なかぜ症候群の中でも多数の罹患者を出し, しかも病院, 診療所へ受診することの多いインフルエンザに注目しその医療費を検討した.
    調査対象としたのは2000年1月から3月末まの期間に当院の外来に受診したインフルエンザ患者 (迅速診断キット, 血清中抗体検査によりインフルエンザと診断) と非インフルエンザ (インフルエンザ迅速診断キット陰性, インフルエンザ抗体検査陰性) の患者の2群の医療費について検討した. 調査項目は年齢, 通院日数, 医薬品代 (内服, 点滴), 検査費, 画像診断費, 総計 (初診・再診料など) である.
    その結果非インフルエンザ患者 (医薬品代3, 416±124円, 点滴代350±269円, 検査費4853±506円, 総計12, 420±976円) に比してインフルエンザ患者では (医薬品代3, 557±296円, 点滴代670±195円, 検査費6, 577±495円, 総計14, 800±987円) となり高額であることが明らかとなった.
  • 金森 修三, 新里 敬, 豊田 和正, 當山 真人, 平田 哲生, 仲宗根 啓樹, 比嘉 太, 健山 正男, 草野 展周, 佐久川 廣, 斎 ...
    2001 年 75 巻 6 号 p. 464-468
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1993年から1998年までの6年間に経験したStreptococcus milleri group (SMG) による肝膿瘍12例の臨床的検討を行った. 平均年齢は53.4歳, 男性11例, 女性1例であった. 症状として発熱が12例 (100%), 腹痛が8例 (67%), 食欲低下が7例 (58%) で認められた. 9例 (75%) に悪性腫瘍や糖尿病などの基礎疾患が認められた. 発症原因として特発性が5例 (42%) で最も多く, 次いで胆管系の疾患が4例 (33%) であった. 3例 (25%) は悪性腫瘍の増悪により死亡した. 12例中8例 (67%) は単独感染であり, 嫌気性菌との混合感染は認められなかった. 分離されたSMGにはpenicillin Gやampicillinに対する耐性株は認められなかった. 11例で血液培養が実施され, 8例 (73%) からSMGが分離された. 血液培養からSMGが分離される症例では本菌群による肝膿瘍も原因の1つとして考慮しなければならない.
  • 高橋 達雄, 高山 雄次, 國崎 裕文, 草場 信秀, 角野 通弘, 吉田 博, 佐田 通夫
    2001 年 75 巻 6 号 p. 469-472
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    伝染性紅斑は膠原病や他のウイルス感染症と類似の症状がみられることがあるため, 成人のパルボウイルスB19 (以下B19) 感染症の症状と検査所見を検討した. 症例は抗体検査によりB19感染症と診断された5例であり, 年齢は18歳から39歳 (平均29歳) で, 全例が女性であった. 5例全例に発熱, 関節痛, 四肢の浮腫がみられ, 4例に顔面や四肢に紅斑が認められた. 5例中2例は当院へ受診する前に伝染性紅斑と診断されていたが, 3例はそれぞれSLE, 成人スティル病や風疹が疑われ当院へ紹介された.
    症例2の27歳女性は多発関節炎と顔面の蝶形紅斑を主訴に来院した. 抗核抗体は320倍と陽性を示し, リウマチ因子も陽性であった. AST51IU/L, ALT68IU/L, LDH568IU/Lと肝機能異常を認めた. 臨床症状は3週間にわたり持続したが, 肝機能障害は3週間で改善した. 抗核抗体は5カ月後に陰性化 (40倍以下) した. B19感染症は膠原病と類似の症状と血清学的反応を示すことを銘記すべきである.
  • 高山 陽子, 吉田 一成, 山口 禎夫, 野々山 勝人, 遠藤 忠雄, 砂川 慶介
    2001 年 75 巻 6 号 p. 473-479
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Methicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA) は, 院内及び術後感染症の原因菌として最も重要な細菌の一つである.
    今回, MRSAによる感染性心内膜炎 (以下IEと記す) に罹患した患者に, 当初vancomycin (VCM) を用いて治療を行ったが, 有効血中濃度が維持されていたにも関わらず, 奏功しなかった症例を経験した. 本症例から経時的に分離されたMRSAの3株を, 最小発育阻止濃度 (MIC), fractional inhibitory concentration (FIC) index, Mu 3 寒天培地, population analysis, パルスフィールドゲル電気泳動 (PFGE) を用いて検討した. その結果, 3株のPFGEは一致しており, 同一のMRSAがVCMの使用に伴い感受性が低下したと考えられ, Mu3寒天培地, population analysisではMu3株とMu50株の中間のパターンを示した.
  • 医療経済的な検証も含めて
    寺田 喜平, 新妻 隆広, 荻田 聡子, 片岡 直樹, 二木 芳人
    2001 年 75 巻 6 号 p. 480-484
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    欧米ではMMR (麻疹, ムンプス, 風疹) ワクチンを2回接種しているが, 我が国では1回の麻疹ワクチン単独接種であり, 接種率が約70%しかない. 今回, 地域の麻疹小流行に伴い, 病院内感染で職員8名, 学内流行で学生7名が麻疹に感染した. いずれも重症で入院治療を受け, 学生の一人は脳炎となった. 職員1人当たりの社会的損失は約50万円, そのうち医療費は約31万円であった. 麻疹流行数ヵ月後の抗体スクリーニング検査では, 40歳未満の職員 (1, 048名) は麻疹1.2%, 風疹8.8%, ムンプス10.0%, 水痘20%が陰性, 5年の医学生はそれぞれ1.0%, 22.0%, 9.0%, 5.0%が陰性であった. 職員の9.6%が麻疹抗体異常高値であり, 少なくとも10%に無症候性再感染が認められた. この理由は麻疹ウイルスの感染力の強さと感染源となった職員が発症後平均4, 8日間働いていたことが要因と思われた. 麻疹以外の抗体異常高値は, 水痘0.5%, 風疹12%にも認め, 今後の院内感染の危険性を示していた. 初画の全体における抗体検査とワクチンの補助費用で約280万円かかったが, その後は毎年約70万円で済む. 職員および臨床実習をする学生は, 抗体検査を実施し, 陰性者にワクチン接種を行うべきであると考えられた.
  • 尾畑 浩魅, 甲斐 明美, 諸角 聖
    2001 年 75 巻 6 号 p. 485-489
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1989年~2000年までの12年間に東京都内で食中毒あるいは有症苦情の疑いで, 当研究所に搬入された検体のうち, ふん便から腸炎ビブリオが検出された食中毒事例数は710件であった. その発生動向を年次別にみると, 1989年が55件, '90年が75件であったがその後減少し, '93年では24件とこの期間では最も少なかった. それ以降増加傾向に転じ, '98年が最も多く107件認められたが, '99年は74件, 2000年は65件とやや減少してきている.月別では, 8月の発生が最も多く314件 (44.2%) であった. 7~9月の3ヵ月間で全体の88.7%を占め, その前後の月をあわせた6~10月の5ヵ月間で全体の99%の事例が発生した. 腸炎ビブリオ食中毒の原因血清型は各年で特徴があり, 最も多く検出された血清型を年次別に見ると1989年はO4: K4, '90年および'91年ではO4: K8, '92年ではO1: K56, そして'93~'95年は再びO4: K8で, 数年毎に血清型の推移が認められた. しかし, 1996年以降はO3: K6が急増してその大半を占めるようになり, 2000年においてもその傾向はまだ継続している. また, 1998年にはこれまで分離報告例の無い新しい血清型O4: K68が突然出現した. 東京都ではその後も本血清型菌が, 事例数はそれほど多くないが, O3: K6に次いで多く検出されている.
    この12年間の腸炎ビブリオ食中毒の発生動向には, これまでにない様々な特徴や劇的な変化が認められた.
  • 篠原 美千代, 内田 和江, 島田 慎一, 瀬川 由加里, 星野 庸二
    2001 年 75 巻 6 号 p. 490-494
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    埼玉県ではここ数年, 手足口病患者等から, 主にコクサッキーA16型 (CA16) が分離されてきたが, 2000年は髄膜炎の併発が多数報告され, エンテロウイルス71型 (EV71) が多く分離された. そこで, 2000年のEV71分離株の遺伝子配列をこれまでの分離ウイルスと比較した.
    2000年に分離されたEV71, 14株の5'NCRからVP2にかけての約700塩基の配列の解析から今年の分離株は3つに分類できた. 第1は台湾株TW/2086/98, NCKU9822に89~91%の相同性を持つグループであり, 第2は両台湾株と最も高い相同性 (93~94%) を持つグループであった. この2グループはより大きい1グループともみなしうるものであった. そして, 第3はシンガポール分離株18/Sin/97, 13/Sin98に高い相同性 (93~95%) を持つグループであった. 第3のグループはneurovirulent株であるMS/7423/87に近いウイルス群であった.
    検体の採取地区と分離株の系統樹から, 西部地区では台湾株類似株が, 南部地区ではシンガポール株類似株が分離されたことが判明した. また, 無菌性髄膜炎併発患者からの分離株はシンガポール株類似株であった. 2000年の分離株はいずれも過去の埼玉県分離株とは遺伝子的に相違しており, また, この中にneurovirulent株類似の株が存在していることが判明した.
  • 冨岡 洋海, 藤山 理世, 大西 尚, 多田 公英, 岩崎 博信
    2001 年 75 巻 6 号 p. 495-498
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    “HITAZYME C. pneumoniae” is a diagnostic reagent that has been recently developed by adopting an ELISA method for detection of anti-Chlamydia pneumoniae (C. pneumoniae) antibodies. A case presenting bilateral interstitial opacities and severe respiratory failure with high titers of “HITAZYME C. pneumoniae” was described. Sputum, blood, serological, and bronchoalveolar lavage examinations failed to reveal other etiology to explain his severe respiratory illness. Clinicians should be aware that C.pneumoniae may cause severe respiratory failure or ARDS. Further studies are needed to evaluate the role of C. pneumoniae infection in the development of severe pneumonia or ARDS.
  • 岡本 将幸, 村井 幸一, 岡山 昭彦, 関屋 亮, 片岡 寛章, 飯野 英親, 常岡 英弘, 塚原 正人, 坪内 博仁
    2001 年 75 巻 6 号 p. 499-503
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A previously healthy 25-year-old female was admitted to our hospital in November, 1997, for treatment of a spike-fever of 2 weeks' duration. She had a cat in her house but reported no history of cat bites or scratches. No peripheral lymphadenopathy was detected. White blood cell count was within normal limits, but an increased C-reactive protein level of 11.4mg/dl was noted. Infectious disease was suspected but ruled out as blood cultures were negative. Empiric therapy with clarithromycin, isoniazid, and rifampicin was ineffective. In January, 1998, abdominal ultrasonogram revealed multiple hypoechoic mass lesions in the spleen and liver, and a splenectomy was performed in March. Histopathlogic examination showed numerous necrotizing and caseating granulomas, which tested positive for Bartonella henselae DNA by PCR. Furthermore, the patient tested positive for B. henselae antibody by immunofluorescence assay. A diagnosis of systemic cat-scratch disease with hepatospnenic involvement was made. Combination therapy with minocycline, sulbactam/cefoperazone, and tosufloxacin was administered and her inflammatory findings improved gradually. We report an adult case of systemic cat-scratch disease with liver and spleen involvement in the nonimmunocompromised host.
  • 斉藤 美和子, 新妻 一直
    2001 年 75 巻 6 号 p. 504-506
    発行日: 2001/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Pleural effusions seldom accompany nontuberculous mycobacterial infections. We resorted one such case of M. avium lung infection with pleural effusion. A 40-year old male was admitted to our hospital complaining of right chest pain and general fatigue. His chest X-ray showed a consolidation in the right lower lung field. The day after admission, a right pleural effusion appeared. The fluid was exudative and microbiological examinations of the effusions, including staining and culturing, proved negative. However, one month afteradmission, acid fast bacilli were observed in his sputum and a subsequent sputum culture specimen revealed the presence of M. avium. Treatment with antimycobacterial agents was promptly commenced and the patient's effusion and lung consolidation was gradually resolved.
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