我々は,JICST文献検索磁気テープを,研究テーマに関係した文献の検索に用いるとともに,関係データベースモデルに基づく自由度の高い文献システムの開発や文献情報処理のための種々の手法の開発に際して必要な実験データとして用いており,本稿はこれらの事項に関係した成果をまとめたものである。まず,関係データベースやファイルの研究,研究室情報システムの開発等を,本稿で述べる研究とともにまとめて簡単に紹介する。つぎに,研究室におけるJICST文献テープ検索システムについてその機能をまとめている。つぎに,本稿の中心事項である,RS Index,MULLTI-KWIC,多レベル部分マッチング等の,あらたに開発した文献情報処理の手法について,例を中心に説明している。文献参照構造索引RS Indexは,文献の参照構造を木状に出力するもので,関連文献を見つけたり,研究の流れを知る助けとなるものである。プッシュダウンスタックを用いた記憶容量の少ないアルゴリズムが特色となっており,基本アルゴリズムに種々の機能を追加したプログラムを作成した。また,従来から広く用いられてきたKWICを一般化した多機能のMULTI-KWICの開発も行なった。MULTI-KWICは,文献標題集合に注目したキーフレーズ抽出機能を有しており,キーフレーズの分りやすいKWIC,2っのキーワードによるKWIC(とくにMULTI-KWIC Indexと呼ぶ),キーフレーズ年度別文献頻度表等の出力が可能となっている。最後に系列の部分マッチングのための効率のよい方法として多レベル部分マッチングアルゴリズムを示す。この方法は,前処理によって計算時間を減少させるもので,JICST文献検索磁気テープによる実験では,従来知られている中で最良のものであるAhoらの方法の比較回数をさらに1/2~1/5に減少させることができた。
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