世界で最も歴史があり,産業規模も大きい米国のデータベース産業と比較することで,わが国データベース産業の現状と課題を明らかにした。データベース産業規模の重要な指標である売上高は,日米間で1995年以降拡大の傾向にあり,1997年には米国は日本の9.6倍となった。そこで,データベース産業を8種類の専門情報と消費者向けサービスの合計9種類の分野に分け,日米の産業規模の比較を行った。1999年のWeb/オンライン(データベース)サービス売上高は,米国が日本の14.7倍となっており,差がさらに拡大する傾向にある。米国と日本とのWeb/オンライン(データベース)サービスの分野別売上比率は,「株式取引関連」が12.0倍,「財務ニュース・リサーチ」が15.7倍,「市場情報」が127.7倍と大きく開いていたが,一方で「最新ニュース・研究開発」は1.7倍と,分野により大きく異なっていた。米国と日本のデータベース産業の格差要因について,歴史的な差異,言語,政府の支援,インターネットの普及状況など多面的に検討された。また,日米データベース産業の今後の方向について,イントラネットへの対応,検索インタフェースのカスタマイズ,コンテンツ管理,配信のための知識ベースの提供,電子商取引との複合的な提供などの課題が指摘された。
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