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60 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
記事
  • 成川 祐一
    2017 年 60 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    難しい漢字や言葉は使わない,常識ある大人なら誰でも読めるわかりやすい記事――。共同通信と全国の加盟新聞社向けの新聞記事の書き方の手引である『記者ハンドブック』は,やさしくわかりやすい文章のための用字用語集としてマスコミ以外でも幅広く使われている。1956年の初版から60年,義務教育の課程と重なる国の国語施策をベースに手直しを加え,言葉の意味や表記の変化には少し遅れてついていく姿勢で改訂を重ねてきた。本稿は戦後の書き言葉の大きな変化の中,記者ハンドブックの基礎ができるまでの過程を振り返るとともに,最近の事例として2010年(第12版)と2016年(第13版)の改訂を取り上げ,常用漢字表改定への対応やインターネットの横書きに対応した数字表記変更などを紹介する。

  • 松本 康志
    2017 年 60 巻 2 号 p. 79-88
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    気象情報は社会の基盤的な情報として,防災対応から日々の生活などのさまざまな分野で活用されている。気象庁は,スーパーコンピューターの計算能力向上を基盤にした精緻な数値モデル開発等による予測精度の向上と,ひまわり8・9号の観測データ等のビッグデータや対象区域の細分化によるきめ細かい気象情報をはじめとする新たな情報提供など,さまざまに充実を図ってきた。同時に,「気象庁防災情報XMLフォーマット」の策定など,気象情報を社会により広く,よりわかりやすく提供し,活用を促進する方策も講じてきた。近年の情報通信技術(ICT)の飛躍的な発展に伴い,即時的,自動的な情報処理による高度な利用が期待される。そのため,IoTなどに関する有識者や幅広い産業界の企業・団体からなる「気象ビジネス推進コンソーシアム」を2017年3月7日に発足させ,気象情報を活用して社会の生産性の向上を目指す取り組みを新たに開始した。

  • 小林 敦, 長谷川 朗, 福田 美穂
    2017 年 60 巻 2 号 p. 89-99
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    デジタルコンテンツにおける著作権保護の仕組みの一つとして,電子透かしがある。静止画の著作権保護では,放送局,新聞社,雑誌社の他,製造業などでも導入されている。一方,映像の著作権保護では,特定の事業者間のコンテンツ利用契約の順守を目的に導入されたケースはあるが,不特定の個人が動画投稿サイトに不正アップロードするのを抑止する目的では,処理時間と計算機パワーの問題に加えて,DRM(Digital Rights Management)との競合などもあり,導入は進んでいない。しかしながら今後は,DRMを補完する形で不正行為者を特定する用途や,STB(Set Top Box)などエッジ装置での電子透かし埋め込みの可能性もあり,引き続き適用先の開拓を進めてゆく。

  • 渋尾 欣弘, 佐貫 宏, 李 星愛, 吉村 耕平, 田島 芳満, 古米 弘明, 佐藤 愼司
    2017 年 60 巻 2 号 p. 100-109
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    電子付録

    近年,治水整備目標を超える規模の豪雨が増加傾向にあり,それに伴う水災害も深刻な問題となっている。これからの都市流域の浸水対策には,既存の治水施設や観測記録などの情報を効果的に活用していくことが求められており,特に浸水予測モデルが果たす役割は大きい。沿岸部低平地に都市部が広がるわが国においては,河川洪水,都市氾濫,沿岸部における高潮・高波などが複雑に都市浸水に影響し合うため,これらの事象を適切に評価しうるモデルが必要である。本稿では総合治水対策が進む鶴見川を対象に,河川・下水道・氾濫・海岸の各要素がシームレスに結合されたモデルを適用し,遊水地・雨水管理設備情報や時空間精緻なレーダー雨量等のデータを統合的に活用した,高度化された浸水対策への取り組みについて解説する。

  • 廣瀬 洋
    2017 年 60 巻 2 号 p. 110-118
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    埼玉医科大学における2016年4月の図書館システム更改に至るまでの検討過程および情報共有方法について報告する。図書館システム選定の方針は,(1)仕様書は作成しない,(2)カスタマイズは行わない,(3)チェックリストを作成し各社のシステムを評価する,である。選定の結果ベンダーを変更し,データ移行を行った。2016年3月末に全図書館職員が参加する運用会議を開催し,システムの使い方の意識を合わせた。情報共有にはNAS(Network Attached Storage)およびチャットツールSlackを用いた。これらのツールの使用により,システム担当者の負荷が軽減されることが確認できた。

  • 倉田 敬子, 松林 麻実子, 武田 将季
    2017 年 60 巻 2 号 p. 119-127
    発行日: 2017/05/01
    公開日: 2017/05/01
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    研究データ共有に関して,新しい研究のあり方のビジョン,国・地域を超えた標準的ルールの設定,国・地域としての推進策などが議論されている。しかし,研究におけるデータ共有を推進するための具体的な施策については,海外でも事例報告や現状調査がなされだしたところである。本稿では,日本の大学・研究機関における,研究データの管理,保管,公開の現状に関して行った質問紙調査の結果を報告する。494機関に対して,研究データのオープン化の現状認識,研究データに関するガイドラインおよび管理計画,研究データ公開のための機関としての整備状況などについて尋ねた。その結果,データ管理計画もデータ保管のための整備もほとんど進んでいないこと,研究不正行為への対応のためのガイドラインのみ対応がなされていることが明らかになった。

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