1997年から2002年までの6年間に臨床材料から, 薬剤感受性試験によってampicillin, piperacillin, cefazolinおよびcefoperazoneに対して耐性と判定された
Profeus mirabilisが56株 (総分離株465株) 埼玉医科大学附属病院において分離された.分離数の推移を見てみると, 1997年に2株分離されたにすぎなかったampicillin, piperacillin, cefazolin, cefoperazoneに耐性を示す
P. mirabilisが, 2002年には13株に増加していた.これら4剤に耐性を示す
P. mirabilisのうち, 保存されていた12株を被検菌株として, 薬剤感受性試験, ESBL確認試験, PCR法によるESBL遺伝子検出を実施した.12株全株がpiperacillin (MIC;64μg/ml以上), cefotaxime (128μg/ml以上), cefpodoxime (64μg/ml以上), ceftriaxone (64μg/ml以上), cefepime (32μg/ml以上) に対して耐性を示したが, ceftazidimeに対しては全株感受性 (0.5以下~2μg/ml) であった.また, 12株中1株の
P.mirabilisはcephamycin系抗菌薬であるcefoxitin, cefmetazole, cefotetanに耐性を示した.ESBL確認試験によってESBLの産生が確認された12菌株に対して, それらが属するグループを特定する目的でPCRを実施した. その結果, 8株からCTXM-10の属するグループの遺伝子が, 2株からToho-1の属するグループの遺伝子が検出された.なお, 残りの2株についてはその遺伝子型を特定することが出来なかった. 12株のESBL産出
P.mirabilisが分離された症例のうち
P.mirabilisが起炎菌と考えられる感染症を発症したのは4例で, 尿路感染症2例, 肺炎1例, 敗血症1例だった.感染症発症症例は, ceftazidimeが単独投与された症例も含めて治療に難渋した症例を認めず, 全例感染症の治癒および菌の消失が確認された. 本検討により当院において検出されたβ-lactam薬耐性の
P.mirabilisの中に, CTX-M-型ESBLを産生する菌株の存在が明らかとなった.
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