久留米大学医学部耳鼻咽喉科で1991年1月から1997年12月までの間に,初治療として喉頭全摘を行った喉頭癌T3,T4症例は声門癌24例,声門上癌46例である。これらの症例の摘出喉頭を用いて病理組織学的な声門下進展,CA浸潤,気管傍・喉頭前リンパ節転移を検討し以下の結果を得た。
1)気管傍・喉頭前リンパ節に転移する頻度は声門癌T3,T4で19%,声門上癌T3,T4で7%であった。
2)声門癌では声門下進展例の50%に,声門上癌では20%に気管傍・喉頭前リンパ節転移を認めた。
3)声門癌のT3症例1例と声門上癌のT3症例1例では,声門下進展がないにもかかわらず気管傍リンパ節転移をきたしておりCA浸潤の関与が示唆された。
4)声門下進展がなくてもCA浸潤があれば,声門癌では40%の頻度で,声門上癌では20%の頻度で気管傍・喉頭前リンパ節転移が認められた。
5)声門下進展とCA浸潤がなければ,声門癌・声門上癌ともに気管傍・喉頭前リンパ節に転移は認められなかった。
6)気管傍リンパ節郭清術あるいは同部へ術後照射を行った例では,SRをきたした例は1例も認められず,SRを予防する方法としていずれも有効であると思われた。
抄録全体を表示