喉頭原発の軟骨肉腫は,非常に稀な軟骨腫瘍である。治療としては,腫瘍の大きさに応じて喉頭全摘術,喉頭截開術,内視鏡下摘出術が施行されてきた。
今回,われわれは稀な輪状軟骨原発の軟骨肉腫症例を経験したので報告した。症例は55歳男性,主訴は嗄声である。初診時に喉頭内視鏡検査で粘膜下腫瘍を指摘された。CT検査では,輪状軟骨に高吸収域と低吸収域が混在する腫瘤影を認めた。
当初,喉頭の良性腫瘍を疑い,喉頭顕微手術および前頸部からの外切開により輪状軟骨と第1~第5気管輪の生検術を施行したところ,病理組織の結果は軟骨腫を疑った。全身麻酔下に外切開にて腫瘍切除術および気管切開術を施行した。永久病理標本では軟骨肉腫と診断した。患者に喉頭全摘術を勧めたが,本人が根治手術を希望せず,追加治療を施行しなかった。術後1年半経過したが,再発していない。今後,厳重な経過観察が必要である。
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