喉頭気管分離術・気管食道吻合術,および喉頭摘出術後の適切なカニューレの形状について検討した。
1996年から2002年までに都立神経病院神経耳科にて喉頭気管分離術・気管食道吻合術を施行された33例,喉頭摘出術を施行された7例を対象とした。仰臥位で胸部CTを撮影し,気管の縦軸に合わせ,矢状断に再構成し直した画像より曲率(
θ)を算出し,これを評価した。
喉頭気管分離術・気管食道吻合術後の症例の気管の曲率平均は
θ=47.4度,喉頭摘出術後の症例の気管の曲率平均は
θ=34.7度であった。一般に気管切開用カニューレは曲率が90度や60度のものが頻用されている。カニューレの不適合によって気管内に生じた肉芽から,感染,気管壊死による気管腕頭動脈瘻を起こした場合,致命的である。これを防止するためには従来のカニューレより,曲率は小さく,ゆるやかなカーブのカニューレを使用することが望ましいと考えられた。
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