気道管理に難渋し,長期間の入院管理を要した症例を経験したため報告する。症例は63歳男性。当院消化管外科にて胸部上部食道癌T3N1M0および下咽頭癌輪状後部型T1N0M0の診断で,右開胸開腹食道全摘術,咽頭喉頭摘出術,胃管再建術を施行された。術後に気管内腔の色調不良,痂皮の付着が生じ当科へ紹介となった。永久気管孔より全周性に気管壊死・狭窄を認め,保存的加療の方針で気道管理目的に当科へ転科した。既存のカニューレでは病変をカバーすることが難しく,特注品を用いるなど試行錯誤した。最終的にGBアジャストフィット
®で気道確保されたが,喀痰による内腔閉塞のため1日2回の抜去洗浄が必須であった。気管内腔の上皮化を認めた後も狭窄傾向は改善せず,術後9カ月時に当院呼吸器内科と合同で気管内にデューモンチューブ
®留置を施行した。ステント留置後は,1日1回の処置で内腔保持が可能となり,術後316日目に自宅退院し,外来通院中である。
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