下咽頭癌の治療方針決定において,リンパ節転移の有無は重要である。近年,FDG-PET/CTの有用性が報告されている。局所進行下咽頭癌症例のうち,術前cN0と診断した症例の術前FDG-PET/CT所見と術後病理検査によるリンパ節転移の有無をレトロスペクティブに比較,検討した。対象は東京医科大学八王子医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科にて2009年から2011年の間に,初治療として咽頭喉頭頸部食道摘出術,両側頸部郭清術を施行し,FDG-PET/CTにてcN0M0と診断した14例である。男性12例,女性2例であった。年齢は62歳から84歳で平均72歳であった。術前病期分類は,stage IIが1例,stage IIIが7例,stage IVが6例であった。術後病理組織診断にて14例中6例,42.9%にリンパ節転移をみとめた。陰性的中率は14例中8例,57.1%であった。転移リンパ節は6例,14個であった。転移リンパ節の長径平均は9.1 mm,短径平均は6.2 mm,腫瘍占有率平均は59.8%であった。転移部位は14個中11個 (78.6%) が患側であった。治療前FDG-PET/CTにてcN0と診断された場合でも,約40%に潜在性リンパ節転移が存在することを認識する必要があると思われた。
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