本研究は人間工学に応用される脳機能の画像化技法の一つとして, 脳波の二次元等電位図の新しい補間方法―同心補間法―を提案している. この方法の特長は, 二次元の標本化定理を用いて, 従来の補間法のような座標系に依存した補間法からの脱却を図っている点にある. この特長を定量的に検討するため, 実際の認知機能を要する三つの課題 (ストループテスト, 英文字の認知, 計算) を与え, その際の頭皮上12電極から導出された脳波をもとに両補間法により
P4点と
Cz点における補間値を計算し, それらの値と実測値との比較を行った. その結果, 従来の補間法と同心補間法で得た各々の補間値の間に有意差を認めることができ, 同心補間法が実測値により近い補間値であることを示すことができた. 提案する同心補間法は, 測定の簡便さや, 作業時計測が可能であるといった, 脳波の利用価値を生かした人間工学研究のための技法として, 充分に寄与できると考えられる.
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