本論文では, モノをつくる職業の印象を扱う. 第1の目的は, モノをつくる職業の社会的な印象を明らかにすることである. 第2の目的は, 評定法による違いが結果に現れるかどうかを考察すること. 実験は, 各対象を個別に評価させるSD法と対で評価させる分類法の2つの手法を, 同じ81名の被験者に行ってもらった. 対象には, まず18職業を用い, 次にその中からモノをつくる4つの職業を取り出して, さらに解析を行った. 2つの評定法の結果は, 同じではなかった. 分類法の方がSD法よりもよく群化を見せ, 3つの群を形成していた. 職人の印象は, 評定法の違いで群化が異なった. しかし, 職人に対して同じような印象を抱いている人が多いことから, その印象が多様なのではなく個性的であることが明らかになった. 新しさに積極的に取り組んでいるか, 生活が安定しているかという2つの視点が, 芸術家, 職人, デザイナーを明確に区別していた.
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