中小規模製造業の精密ハンダ付け作業を対象として, 本作業の負担の特徴と長期継続が作業者に及ぼす影響について, 現場調査ならびに実験室内シミュレーション実験を実施し検討した.
1. 現場調査:
(1) 副次行動の出現傾向, 疲労自覚症状, 身体疲労部位の訴え傾向は, シミュレーション実験結果と比較的よく対応し, 現場作業負担の特徴が単調労働型のパターンを呈することを示唆し, 伴せて, 日内の労働に伴う作業者の負担の多さを示した.
(2) 作業者の稼働率は主作業90.0%という高稼働性を示し, 現場作業の他律的要因はきわめて高かった.
(3) 蓄積的疲労徴候調査, 作業前における疲労自覚症状, 身体疲労部位の訴え率の高さから, 現場作業者が慢性的な肉体的・精神的負担状況に陥っていることが伺われた.
2. シミュレーション実験:
(1) CFF値, 副次行動, 心拍数の変動, ならびに自覚症状の訴えは, 単調労働型負担パターンを呈し, 作業時間の経過とともに大脳活動水準の低下を示唆する現象を示した.
(2) 身体疲労部位の訴えは, 作業特性に関連する部位に集中し, 作業時間の経過とともに訴え率が増加し, その大小は一連続作業時間の長さが大きく関係してくるものと思われた.
(3) 調節近点距離の変動では, 作業累積時間に呼応する機能の低下現象が観察された.
以上の結果に基づき, 今後の作業管理面への配慮についての考察を行った.
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