無重力環境では, 搭乗員の作業姿勢 (0G姿勢) は, 地球上の1G環境での作業姿勢 (1G姿勢) とは全く異なる. しかしながら, 有人宇宙システム開発において, 必ずしも人間工学的なデータ取得を実際の宇宙環境あるいは模擬的な無重力環境で実施できるとは限らない. 一方, 地球上の1G環境では, 被験者に0G姿勢をとらせること自体が被験者に負荷を与えてしまう危惧がある. そこで本研究は, 地球上の1G環境において, 被験者に0G姿勢をとらせた実験を行い, その実験手続きの妥当性を検討した. 1G姿勢と0G姿勢での人間パフォーマンスを比較した結果, 0G姿勢のほうが良好な人間パフォーマンスを得ることができた. また, 身体的にも余剰な負荷が被験者に課されていないことが確認でき, 1G環境での人間工学的なデータ取得の妥当性が示唆された.
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