人間工学
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46 巻 , 2 号
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総説(アーゴデザイン部会)
原著
  • -アミラーゼ活性を用いたストレス度測定-
    加藤 千恵子, 寺田 信幸, 木村 慧心, 木村 宏輝, 石村 友二郎, 柴田 昌和
    2010 年 46 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,アミラーゼ活性を用いたストレス度の測定により,企業の休息時間におけるヨーガ療法のストレス軽減効果を検討することである.個人差についても考慮するため,ストレスの高低によるヨーガ療法の実習効果の差異についても調査した.その結果,ヨーガ療法を実習した群の方が自由に休息していた群よりもストレス軽減効果が高いことが明らかになった.さらに,ストレスが高い人では,ヨーガ療法の実習効果が高いことも判明した.また,内省報告より,ヨーガ療法はヨーガの体験自体に集中することができるため仕事でのトラブルを忘れることができ,自己の身体の状態のみならず心の状態にも気づくことが可能であることがわかった.その結果,ヨーガ療法は心と身体の調和・統合を促すことができる可能性があることが示唆された.
  • 田中 美吏, 山本 剛裕, 関矢 寛史
    2010 年 46 巻 2 号 p. 102-110
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    プレッシャー下で連続運動スキルを遂行するときの運動学的特徴,運動力学的特徴,注意,パフォーマンスを調べることを本研究の目的とした.ボールバウンド課題を用いて,15名の実験参加者に5試行のプリテスト,60試行の習得試行,5試行のポストテストを行わせた.その後に,1試行のプレッシャーテストを行わせた.プレッシャーテストでは,パフォーマンスの結果次第で報酬や罰が与えられるという教示を与えた中で課題を行わせた.その結果,ポストテストからプレッシャーテストにかけての心拍数に有意な増加が認められた.ボールの高さの正確性とグリップ把持力に変化は見られなかったが,3次元動作解析の結果,プレッシャーテストではラケット運動の周期の変動性の減少が認められ,さらにはラケット運動の左右方向の運動変位の減少が認められた.プレッシャー下での注意に関しては,身体運動に対する注意の増加は見られなかったが,注意散漫性の増加が示された.本研究におけるプレッシャー下では運動方略の変化に伴い,ラケット運動のタイミングの変動性や,変位が小さくなる運動学的変化が生じた.
  • -画面情報量に基づく評価-
    村田 厚生, 高橋 里奈
    2010 年 46 巻 2 号 p. 111-126
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究では,ウェブ探索時に必要不可欠な画面情報量として知覚情報量,認知情報量,選択情報量を定義し,これらの情報量の相関性を調査し,これらがウェブ探索時間にどのように関わってくるかを明らかにした.画像のないウェブサイト,あるウェブサイト(文字リンク+画像,画像リンク)に対して3種類の画面情報量を算出し,情報探索時間との相関を調べた.画像の付加状況が情報探索時間に与える影響を調べるために,情報探索時間を従属変数,知覚,認知,選択情報量を独立変数とする単回帰分析を行った.階層構造が同一で,画像の付加状況が違うウェブサイトにおいて,各画面情報量の相関を調べた結果,画像の付加状況に関わらず,認知情報量と選択情報量は高い相関性を有していた.これより,本実験で使用したウェブサイトを構成する要素(リンク,説明文,画像)の中で,説明文の量(認知情報量に対応)とリンク数(選択情報量に対応)とは非常に関係性が高いことが定量的に示された.また,知覚情報量は認知情報量,選択情報量との関係性が低く,本実験では知覚情報量はリンク数や説明文の量に依存しない情報量であると判断できる.
  • 茅原 崇徳, 広幡 哲志, 山崎 光悦
    2010 年 46 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    開けやすいアルミボトル口径の厳密な寸法を特定することを目的として,開けやすさの評価法について検討し,開けやすさ評価関数として,開栓動作時に人間が発揮できるトルクの最大値に対する開栓に必要なトルクの割合と定義する方法を提案した.具体的には,評価関数は,口径を設計変数とし,キャップを握る力と相関のある母指の長さを用いて個人差を加味し,さらにキャップを握る際の人間の動作の不確実性を考慮して定式化した.10名の被験者のデータを用いて開けやすさ評価関数を作成した結果,キャップを握る力は母指長に依存し,開けやすい口径は母指長の増加に伴い,28 mmからおよそ35 mmまで増加することを確認した.また,力の弱い被験者に配慮した場合,今回の被験者群においては設計解として28 mmが適当であると判断できる結果を得た.
  • 高橋 卓也, 山崎 信寿
    2010 年 46 巻 2 号 p. 136-143
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    現代のオフィス作業は,PC作業を主体としながら,記帳や資料整理などの書類作業も多い.このため,両作業時の身体負担を軽減するPC機器配置と机面条件を実験により求めた.PC作業時には,アームレストを3°,キーボード面を10°前傾させ,座面からキーボード前端までの高さを180~260 mmにすることで,肩と上肢の筋負担が軽減した.また,文章入力と表計算作業では,ディスプレイの前後距離を変えることで,頚部の負担が軽減した.一方,記帳時には机面前端高をPC作業時より60~80 mm高くし,机面を10°程度後傾させることで視認性が向上し,上肢負担が軽減した.以上のPC作業と記帳のそれぞれの机面条件を独立した2枚の机面で実現し,一方を引き出すと他方が後退する連動二段机を開発した.本机によれば,頭頚部の前傾および肩の挙上を防止でき,頚肩部の筋負担を軽減できることを確認した.
  • 舩田 眞里子, 渋川 美紀, 五十嵐 善英, 舩田 忠, 二宮 理憙
    2010 年 46 巻 2 号 p. 144-156
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    事象関連電位(Event Related Potential,ERP)は,頭皮上から測定される脳波の加算平均により得られる.我々の実験で測定されたデータは,ERPと背景脳波や他のノイズの総和であり,刺激表示後からの時刻に関して一定の分布をもつ.本論文では,この分布から信号・雑音比(S/N)を推定し,「ERPの成分を見逃さない」という観点から,データを3分類し,それぞれの分類データからERPを再構成する手法を提案した.この手法を,実際のERP測定に応用して,その評価を行った.この方法で得られた結果は,ERPの中で多峰性とされている電位には,単峰性の電位の遅れによるものも存在することを示唆している.
  • 勝平 純司, 冨田 早基, 原口 辰也, 原田 紗希, 石川 悦子, 久保 和也, 丸山 仁司
    2010 年 46 巻 2 号 p. 157-165
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,移乗補助具の使用,種類(トランスファーボードとスライディングシート)そして使用姿位の違いが移乗介助動作時の腰部負担に与える影響を椎間板圧縮力と剪断力を指標とした三次元的な動力学分析により明らかにすることである.対象は健常成人男性10名とし,内1名を被介助者とした.計測条件は移乗補助具を使用せず車椅子からベッドへ移乗を行う,トランスファーボードとスライディングシートを使用して立位で移乗を行う,トランスファーボードとスライディングシートを使用して片膝位で移乗を行う,以上5つの動作とした.結果として,移乗補助具を使用すると,補助具を使用しない移乗と比較して椎間板圧縮力と剪断力を大きく減少させることができた.片膝立ちで使用すると,立位で補助具を使用したときよりも更に腰部負担を軽減させることができた.これらの効果はトランスファーボードとスライディングシートいずれを使用しても同様に得ることができた.
  • 野守 耕爾, 西田 佳史, 本村 陽一, 山中 龍宏, 小松原 明哲
    2010 年 46 巻 2 号 p. 166-171
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    乳幼児の事故を環境改善によって予防することを目指し,環境の変化によって乳幼児の行動発生がどのように変化するのか計算できる,行動予測モデルを開発する.転落事故の事前行動となるよじ登り行動に着目し,物に対する乳幼児のよじ登り行動の計測実験を行い,実験データから,物の属性,乳幼児の特性,そしてよじ登り行動との確率的因果関係をベイジアンネットワークによりモデル化した.モデリングの結果,よじ登り行動には物の高さと広さ,乳幼児の身長が関係していることが分かり,乳幼児のよじ登り行動が物の属性から予測できること,さらに物の属性を操作することでよじ登り行動を制御できることを示した.本モデリングアプローチによって開発される行動モデルを用いることで,乳幼児の行動を誘発する環境条件の定量的な評価や,その評価に基づいた環境改善によって傷害発生の要因となる行動の抑制が可能となり,乳幼児の事故予防への応用が期待される.
  • 齋藤 誠二, 村木 里志
    2010 年 46 巻 2 号 p. 172-179
    発行日: 2010/04/15
    公開日: 2011/04/11
    ジャーナル フリー
    本研究は,高齢者の「つまづき」による転倒の要因について明らかにすることを目的に,障害物をまたぐ際の足の軌跡と位置知覚能力を分析した.高齢者20名と若年者20名に指定した高さに足を上げさせる課題1と0.5 cm,4 cm,9 cmの高さの障害物をまたがせる課題2を行わせた.両足爪先に付けた磁気センサで足の高さを計測し,課題2では試技が終了する毎に知覚した足の高さを判断させた.その結果,高齢者は知覚した足の高さと実際に上げた高さの差および高さのばらつきが大きくなることが認められた.さらに,高齢者は障害物をまたぐ際に引き込む足が低くなることが認められた.以上のことから,高齢者は自らが上げた足の高さを認識することが難しく,引き込む足が低くなることでつまづきやすくなると示唆された.したがって,高齢者自身に足を上げた高さの知覚が難しくなっていること,および引き込む足が低くなることを認識させることが必要である.
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