事象関連電位(Event Related Potential,ERP)は,頭皮上から測定される脳波の加算平均により得られる.我々の実験で測定されたデータは,ERPと背景脳波や他のノイズの総和であり,刺激表示後からの時刻に関して一定の分布をもつ.本論文では,この分布から信号・雑音比(S/N)を推定し,「ERPの成分を見逃さない」という観点から,データを3分類し,それぞれの分類データからERPを再構成する手法を提案した.この手法を,実際のERP測定に応用して,その評価を行った.この方法で得られた結果は,ERPの中で多峰性とされている電位には,単峰性の電位の遅れによるものも存在することを示唆している.