本研究の目的は各種条件下における規制作業 (コンベヤー作業) と非規制作業について, 作業者の生理機能および作業の量および質について比較検討した. 被験者は8人の成人男子で, 単純繰り返し作業としてスタンプ押し作業を課した. 非規制作業では, 作業者は自己の自由な速度で30分, 120分, 150分間の作業をそれぞれ遂行した. 一方, 規制作業では, 非規制作業下で得られた1個当たりの平均所要時間値およびその時間値の1.5倍の所要時間値でそれぞれ120分間遂行させた. その結果は次のごとくである.
1) 集中維持機能 (TAF) 検査では, 非規制作業方式下の120分作業, 150分作業そして, 非規制作業方式下で得られた one cycle time をコンベヤー作業のピッチタイムとした条件において有意の低下を示した.
2) 自覚症状の訴え率では, 流れ作業方式に比較して, 非規制作業方式の訴え率が高かった.
3) 不良率では, 非規制作業方式下の150分作業に最も多く, 非規制作業下で得られた1個当たりの平均所要時間値の1.5倍を基準速度としたコンベヤー作業において最も少なかった.
4) 非規制作業において, 作業者に一連続作業時間を教示しないと, 作業能率は作業時間の経過に伴って指数函数的に減少した.
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