隣接した人工気候室を2室(寒冷室は室温10℃,温暖室は25℃,相対湿度,定常気流は両室とも50%,20cm/sec)利用し,厳寒期の一般木造家屋室間の室温差を再現することで,この寒冷負荷が高齢者の心身諸機能に及ぼす影響について検討した.対象は高齢女性10名(63~79歳)と若年女性10名(20~22歳)であり,実験期間中(連続加算作業および閉眼椅座位安静)は指定の衣服(0.63clo)の着用を義務づけた.平均皮膚温には寒冷室,温暖室ともに群間差を認めなかったが,高齢群では寒冷室で最高血圧の上昇が著しく,安静時の覚醒水準も低下しにくい傾向にあった.また,高齢群の温冷感,快適感の申告には,室温急変直後と入室37分目とで差が検出され,室温環境の変化に対して老化に伴う感受性の遅延を認めた.
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