人間工学
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25 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 徳田 哲男, 栃原 裕, 梁瀬 度子
    1989 年25 巻4 号 p. 197-206
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    隣接した人工気候室を2室(寒冷室は室温10℃,温暖室は25℃,相対湿度,定常気流は両室とも50%,20cm/sec)利用し,厳寒期の一般木造家屋室間の室温差を再現することで,この寒冷負荷が高齢者の心身諸機能に及ぼす影響について検討した.対象は高齢女性10名(63~79歳)と若年女性10名(20~22歳)であり,実験期間中(連続加算作業および閉眼椅座位安静)は指定の衣服(0.63clo)の着用を義務づけた.平均皮膚温には寒冷室,温暖室ともに群間差を認めなかったが,高齢群では寒冷室で最高血圧の上昇が著しく,安静時の覚醒水準も低下しにくい傾向にあった.また,高齢群の温冷感,快適感の申告には,室温急変直後と入室37分目とで差が検出され,室温環境の変化に対して老化に伴う感受性の遅延を認めた.
  • ―ソフトウエア開発の作業環境改善との関係において―
    小松原 明哲, 本田 勝己, 東 基衛, 横溝 克己
    1989 年25 巻4 号 p. 207-216
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    コンピュータソフトウエア生産性向上のための作業環境改善を想定して,概略設計・詳細設計・テスト・ドキュメント作成の各工程において,延べ15日間,実際のソフトウエア開発作業者の作業行動を観察・解析した.観察された要素作業を情報生産の観点から整理し直し,発生比率を検定したところ,工程間・被観察者間には有意差はみられなかった.要素作業の1回の発生における持続時間は比較的短時間持続する場合が多く,特に机上整理や休息で顕著であった.要素作業間の遷移関係については,思考的作業・書記的作業・端末作業・机上整理の間の関係が深かった.これらの結果をもとに作業環境改善の配慮点を考察した.
  • 武田 常広, 飯田 健夫, 福井 幸男
    1989 年25 巻4 号 p. 217-224
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    筆書らの開発した3次元オプトメータを用いて,(1)奥行き感に富む絵画,(2)運動視差によって形成された凹凸面の2つの刺激に対して自由に眼を動かして注視したときの,眼の焦点調節,眼球運動,瞳孔反応の同時測定を行った.2つの刺激はいずれも被験者の前方の一定位置に置かれ,通常の照明下で提示された.双方の刺激に対し,2名の被験者は明瞭な調節反応をすることが測定された.すなわち,視距離が一定で焦点調節が必要のない視覚刺激に対しても,見かけ上,奥行きを感じる視対象を観察すると,焦点調節系は従来予想されていた以上に明瞭に反応することが初めて実証された.この眼の調節反応特性は,立体映像が視覚疲労を誘発しやすいことの有力な原因になっている可能性が指摘された.
  • 末長 修, 井原 素三
    1989 年25 巻4 号 p. 225-232
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    補償手動制御系における人間の最適制御動作の解析に適した単純な最適制御モデルを提案し,2次形式評価関数の重み行列と試行の繰り返し効果の関連について検討した.その結果,次の諸点が明らかになった.(1)人間の制御動作をPID動作と低域通過フィルタにより近似できると仮定することにより,人間の単純な最適制御モデルが導出される.また,このモデルは,人間が直接受容できる偏差と操作量のみから同定される.(2)数値シミュレーション結果から,本モデルは人間の応答波形をよく近似する.(3)2次形式評価関数の重み行列は,試行の繰り返しとともに変化し,人間の繰り返し効果を解析するうえで有効な指標である.
  • 大倉 元宏
    1989 年25 巻4 号 p. 233-241
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    本論文は,行動経験,視覚障害およびルートに対する地理的予備知識の程度に差のある盲歩行者のメンタルワークロードを,二次課題法を用いて測定した研究結果をまとめたものである.二次課題は2選択反応課題で,被験者に2種類の頻度の異なる皮膚振動刺激を与え,その一方に対して手持ち型押しボタンスイッチにより応答するというものであった.被験者は難易度の異なる2つのテストルート上を単独および誘導歩行しながら,同時にこの二次課題を遂行した.二次課題の結果から,盲歩行者のワークロードがルートの難易度や行動経験,視覚障害およびルートに対する予備知識の程度に依存し,また,単独歩行時には歩道からの逸脱や道路横断などの事象に対応してオーバーロード状態が発生することが明らかとなった.
  • 小川 鑛一, 森 政弘, 平井 明樹夫, 土屋 謙一郎, 湯原 博光
    1989 年25 巻4 号 p. 243-251
    発行日: 1989/08/15
    公開日: 2015/05/19
    ジャーナル フリー
    生物の動きを機械運動に導入することを目的に,物体を持った上肢の直線運動の公式化を図り,これを一次元サイバネティックモーションと名づけた.本稿では,サイバネティックモーションと他の動き(一定速度,2段変速度,サイクロイダル)を見たときの感情を,セマンティックディファレンシャル法により分析を行った.動きの表現は,扉の開閉をパソコンCRT上に描いた運動と1畳ほどの実物ベニヤ板上下運動である.CRT上の運動は青年男女461名の被験者に,実物のベニヤ板の運動は青年男子67名の被験者に提示した.その結果,サイバネティックモーションは快く速い運動であるという分析結果を得た.
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