人間工学
Online ISSN : 1884-2844
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ISSN-L : 0549-4974
59 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
エディトリアル
オープンデータ
  • 稲葉 翔吾, 川村 淳, 奥山 知子, 小川 将樹
    2023 年 59 巻 5 号 p. 193-200
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/11/03
    ジャーナル フリー

    ミントガムの香りおよび咀嚼行動が乗り物酔いにおいて軽減作用を及ぼすかを評価するため,健康な47名の成人の被験者について,ミントガム咀嚼または無咀嚼の状態で,マイクロバス乗車中の20分間の主観的な気持ち悪さ評価値の比較を行った.その結果,ミントガム咀嚼条件にて有意に主観的気持ち悪さが軽減したことが分かった.また,SSQ(Simulator Sickness Questionnaire)の結果から,眼連動性,ふらつき感,および総合の各スコアにおいて,ミントガム咀嚼条件における有意な軽減が確認された.

実践報告
  • -飲食店の客視点を用いた実験的検証-
    矢野 円郁, 藤岡 茉央, 仁科 健
    2023 年 59 巻 5 号 p. 201-206
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/11/03
    ジャーナル フリー

    日本では,接客業の女性従業員は化粧を義務づけられることが多い.本研究では,飲食店の女性店員が化粧をしていない場合,客が不快に思うのかどうかを実験的に検証した.実験参加者に女性店員が接客をしている動画を見せ,その印象を評価させた.真の研究目的を悟られにくくするため,表情条件(笑顔/無表情)も追加し,複数の店員に対する評価を求めた.実験の結果,参加者の性別によらず,笑顔が印象を良くする効果は明確に示されたが,化粧の効果はほとんどみられなかった.また,化粧の実験操作に気づいた人(13名)においても,気づかなかった人(29名)と同様に,印象評価に化粧の効果はみられなかった.本研究結果が今後,女性に対する化粧義務の是非を議論するための材料の一つになると考える.

  • 山田 泰之, 小倉 健太郎
    2023 年 59 巻 5 号 p. 207-215
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/11/03
    ジャーナル フリー

    近年,日本の都市部では自転車の利用が増加している.この際,子ども乗せ自転車での転倒等での子どもの損傷リスクが懸念される.本研究では,日本の都市事情を踏まえ,子ども乗せに自転車に搭乗する子どもの安全性を高めるため,子どもの乗車位置が低い子ども乗せ自転車の実現可能性と,その効果について実験的に検証した.子ども搭乗時を模擬した実物大自転車の横転実験により,一般的子ども乗せ自転車よりも提案した低座席子ども乗せ自転車のほうが頭部傷害基準値を半減できるなど安全性向上の可能性を見出した.

原著論文
  • 武部 真人, 大下 和茂
    2023 年 59 巻 5 号 p. 216-222
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/11/03
    ジャーナル フリー

    本研究は,インソール先端部に取付けた突起物(突起インソール)による速歩時の蹴出しが,下肢関節可動域や歩幅に及ぼす影響を検討した.健常男性16名に3条件でトレッドミル歩行を実施した:普通条件はいつも通り歩行し,指示条件は立脚終期の蹴出しにより幅を伸ばすよう指示し,突起条件は突起インソールの突起を蹴出しながら歩幅を伸ばすよう指示した.指示条件では,蹴出しによる歩幅延長の指示時のみ,股関節および足関節可動域と歩幅が増加した.突起条件でも股関節可動域は突起インソール使用時のみ増加したが,足関節可動域と歩幅は,突起インソール使用前に比べて,使用時および使用直後で増加した.この関節可動域増加は立脚終期の足関節底屈増加によるものと考えられる.これらの結果は,準備運動などで突起インソールにより歩幅延長を促すことで,その後の運動では,突起インソールを使用せずとも歩幅延長効果が残存する可能性を示している.

  • 河村 隼太, 赤木 暢浩, 角 紀行, 和田 健希, 武本 悠希, 小東 千里, 齋藤 誠二
    2023 年 59 巻 5 号 p. 223-229
    発行日: 2023/10/15
    公開日: 2023/11/03
    ジャーナル フリー

    本研究は,重心位置の異なるウォーキングシューズの着用が成人男性の歩容に与える影響を明らかにすることを目的とした.成人男性19名に対して重心位置の異なる靴(つま先重心,中央重心,踵重心)を着用させ9 mの歩行路を歩行させた.そして,フットクリアランス,床反力,下肢関節角度,下肢関節モーメントを算出した.その結果,荷重応答期の膝関節モーメントは踵重心がつま先重心と中央重心より有意に小さかった.荷重応答期の鉛直床反力(床反力鉛直ピーク1)は中央重心と踵重心がつま先重心より有意に小さかった.また,遊脚初期の膝関節角度と遊脚中期の股関節角度は中央重心がつま先重心より有意に小さかった.以上のことから,つま先重心では遊脚期前半において,クリアランスを確保するために膝関節と股関節の屈曲を増大させる必要があることが示唆された.また,踵重心では荷重応答期において,ヒールロッカー機能が安定的に発揮されることが示唆された.

学術集会開催報告
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