人間工学
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実践報告
  • 中尾 許弘, 加藤 善久, 菅間 敦
    2018 年 54 巻 3 号 p. 93-97
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    アウトリガー一体式脚立“ダン吉AN”の開発と製品化するまでの取り組みについて紹介する.脚立の安定性向上と壁面等への作業性向上を目的とし,伸縮式アウトリガーを4本の支柱全てに内蔵した脚立を開発した.本製品は,アウトリガーにより昇降面側方への支持基底面積が当社従来品と比べ1.58~1.75倍となり,昇降面側方への安定性が向上したほか,伸縮脚により傾斜地や段差のある場所で水平を保つことが容易になった.また,踏さんと支柱の接合部形状の改良と結合部材の材料変更により,質量を当社のアウトリガー未実装品と同程度に抑えることができ,垂直高さ2 m未満の4サイズについては仮設機材の安全性に関する認定を受けた.本製品は特に壁面や傾斜地における脚立作業の安全性向上に有用であると考えられる.

原著
  • 中林 正隆, 渡邉 雅人, 嶋脇 聡
    2018 年 54 巻 3 号 p. 98-107
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    足趾は姿勢保持及び動作の安定性の確保において重要な役割を担うが,趾爪の機能については今までに議論された例はない.本研究の目的は,趾爪の機能を爪ひずみの計測によって調査することである.本報では,特に荷重が多く加わる母趾における爪ひずみを静止立位時と自由歩行時で計測した.被験者は健常者とし,母趾爪の表面3箇所(遠位中央,近位内側,近位外側)に2軸交叉ひずみゲージの各軸を趾軸方向と横断軸方向に一致させて貼付した.その結果,以下が示された.静止立位時では,趾軸方向に引張ひずみ,横断軸方向には圧縮ひずみが母趾爪に生じ,趾爪が趾腹部の背側へ変形を抑制すると推察された.自由歩行時では,踵が接地している区間で内外側方向の母趾爪ひずみに非対称性が生じ,その要因はwindlass機構による背屈だと考察された.踵及び母趾が接地する区間では,遠位中央部の方が近位内側よりも有意に大きい趾軸方向のひずみが示され,これより前方への体重移動時に趾爪が趾腹部を支持する役割をもつことが示唆された.

  • 武末 慎, LOH Ping Yeap, 村木 里志, 濱中 伸介, 山田 敦志, 池上 功一, 和田 健希, 古達 浩史
    2018 年 54 巻 3 号 p. 108-114
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    本研究は,靴着用時における歩行中の足甲接触圧分布の特徴を明らかにすることを目的とした.被験者は若年者男性10名であった.足部皮膚上の母趾球上面,第一趾脛側最突出点,腓側中足点,小趾球上面,第二楔状骨点および踵点に薄型圧力センサを貼り付けた状態で足部寸法計測により選定したサイズの測定靴を着用させた.約10 mの木板歩行路上を自由歩行の速度で歩行を行い,歩行動作中の足甲接触圧を測定した.母趾球上面および踵点における足甲接触圧の経時変化は踵接地時および足部蹴り出し時において静止立位時の接触圧と比較して有意に高値を示していた.また,第一趾脛側最突出点,腓側中足点および小趾球上面では遊脚期中の接触圧が静止立位時に比べ有意に低かった.荷重の受け継ぎや身体の前進に特に重要な役割を果たしている歩行相では接触圧が増加する部位が多く見られ,足部が地面から離れている遊脚期では靴設計時の隙間により接触圧が低くなる部位があった.以上のように,足と靴の歩行中の足甲接触圧の特徴を明らかにすることができた.

  • 大西 明宏
    2018 年 54 巻 3 号 p. 115-123
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    テールゲートリフター(TGL)はトラックの荷台後端に袈装される荷役省力装置であるが,毎年のようにTGL使用による死亡災害が報告されている.本研究ではTGL使用に起因する災害の特徴を検討するため,2011年および2012年の無作為に抽出された休業4日以上の労働災害データを対象に分析した.その結果,両年のTGL起因災害の年間件数は558~632件(0.49~0.53%)と推計された.そして約8割は運輸交通業および貨物運送業で発生していた.被災状況としては,作業者の転倒・転落と飛び降りおよび荷の転倒・転落は共に4割以上,プラットホームへの手足挟まれが約2割であった.プラットホームの位置(状態)ごとでは,荷台高さが3割以上で最も多かった.発生原因はプラットホームの位置(状態)ごとに異なる傾向であったが,路面やプラットホームの傾き,作業者や荷のはみ出しに関連するものが多かった.このようなことから,作業者や荷の転落防止には安全柵が必要になると示唆された.作業者搭乗による昇降に関しては,トラックドライバー等に適切な方法を教えるだけでなく,移動用ステップの提供が不可欠である.

  • 吉澤 厚文, 大場 恭子, 北村 正晴
    2018 年 54 巻 3 号 p. 124-134
    発行日: 2018/06/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    東京電力㈱福島第一原子力発電所は,東日本大震災による電源喪失等によって,放射性物質を大量に放出する過酷事故に至ったが,その後冷温停止状態を達成した.しかし,福島第一原子力発電所事故に関するさまざまな機関による調査報告書は,事故に至った過程に着目している一方で,事故の拡大の防止や被害の減少についてはほとんど着目していない.本研究は,福島第一原子力発電所の3号機における,冷温停止状態達成までの過程に着目した.公開データに基づき,事故の発生から冷温停止状態達成に至るまでの時列を整理し,それらを人間工学的視点によって行為群を分類した上で,状況の回復に重要な意味をもつ対処をm-SHELモデルを援用して分析した.このようなアプローチにより,状況の回復に必要な行為に関する新たな教訓を得た.

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