人間工学
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49 巻, 2 号
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表紙
原著
  • 中村 孝文, 黒岡 紀哉, 田内 雅規
    2013 年 49 巻 2 号 p. 43-53
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/06/19
    ジャーナル フリー
    目的:車いすのティッピングレバー(TPL)は前輪の上げ下げに用いられるが,現状のTPLは形や位置の面から前輪上げ下げ操作がしやすいとはいえない.そこで本研究では,前輪上げ下げ時のTPL位置と操作時に感じられる身体的負担の関係を調べ,負担を軽減できる最適なレバー位置について検討した.
    方法:被験者は介助操作に慣れた健常成人12名とした.介護用車いすの左右のTPL先端部にアダプターを取り付けてその間に棒(バー)を渡し,床からの高さを75~175 mm,後輪軸からの水平距離を110~230 mmの範囲でその位置を調整出来るようにした.車いすには被験者が前輪上げが可能と感じる質量の70%の重りをシート上に乗せた.被験者はバーを踏んで前輪上げ下げ動作を行い,その際の腕,脚,腰の負担を記録した.
    結果:前輪上げ動作では,バーの後輪軸からの水平距離の増加に伴い腕,脚,腰の負担はどれもほぼ直線的に減少した.バーの高さの変化に対しても腕,脚,腰の負担特性は類似していた.3部位の負担はバーの高さが低い場合は減少するが,その関係は線形ではなく,後輪軸からの距離に依存して変化した.前輪下げ時の特性は上げ時と類似していた.車いす後部空間における前輪上げ下げ時の負担の結果から最も効果的なTPL位置は水平距離225 mm,高さ125 mmであった.
    結論:TPLを置くべき位置は腕,脚,腰の負担及び走行時の妨げの少なさの観点から,後輪軸から水平距離225 mm,床からの高さ125 mmが適当と考えられた.
  • 石倉 啓行, 山崎 信寿
    2013 年 49 巻 2 号 p. 54-61
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/06/19
    ジャーナル フリー
    オフィスのフリーアドレス制による事務机の共有化が,ノートPCの普及と共に進みつつある.しかし,ノートPCでは,ディスプレイの見やすさとキーの打ちやすさを両立させることが困難であった.このため,形状可変実験椅子を用い,女性5パーセンタイルから男性95パーセンタイルについてノートPC作業を行いやすい椅子条件を求めた.その結果,ノートPCのキーボード面を10°起こし,背もたれ腰部を68°として胸郭支持部は79°にし,座面を水平から10°後傾させれば良いことがわかった.また,低身長者には座面中央部の幅260 mmの範囲の座面長を354 mmとし,左右の座面長は378 mmとして高身長者の大腿側面を支持する最大35°の傾斜をつけた.座面高は350~410 mmで,目の高さを下げるため,従来オフィスチェアよりも低くする必要があることもわかった.試作椅子による40分のノートPC作業では,従来椅子と同等の作業効率で頭頸部の前傾は平均9°小さく,肩の挙上もなくなり,三角筋,僧帽筋,脊柱起立筋の負担が減少し,下肢のむくみも低下した.
  • 笠原 康代, 島崎 敢, 石田 敏郎, 平山 裕記, 酒井 美絵子, 川村 佐和子
    2013 年 49 巻 2 号 p. 62-70
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/06/19
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,内服与薬を遂行する看護師の確認行動と誤薬について検討することであった.63名の看護師に対して,ベッド16床を配置した看護実習室で実験を行い,ビデオカメラで行動を記録した.看護師は処方箋どおりの薬剤を模擬患者6名のベッドに配るよう教示された.
    結果,32名(50.8%)が誤薬し,与薬量間違いがもっとも多かった.確認方法は,声出し確認と指差し確認の2つのタイプがある.これらを両方実施した群といずれかを実施した群,両方実施しなかった群の3群間で誤薬件数を比較するために分散分析を実施した.準備段階で主効果がみられ,声出し確認と指差し確認のいずれかまたは両方実施した群は,両方実施しなかった群よりも誤薬件数が有意に少なかった.また,与薬段階においても主効果がみられ,両方実施した群は,いずれかもしくは両方実施しなかった群よりも誤薬件数が有意に少なかった.
短報
技術報告
  • 石田 秀一, 宮本 弘之, 橋元 隆
    2013 年 49 巻 2 号 p. 76-81
    発行日: 2013/04/15
    公開日: 2013/06/19
    ジャーナル フリー
    本研究では,杖歩行の習得を効率的に支援する歩行訓練ロボットの開発を行う.ロボットは自走式とし,移動台車に訓練者の歩行の支えとなる支持部材が立設された杖型の形状とする.移動台車に全方向移動機構を用いることで,訓練者が意図する方向へ自在な移動が行える.ロボットは訓練者に対し訓練と介助の2つの要素を提供する.訓練要素では,ロボットが訓練者の歩行前方の床面に足の踏み出し位置を映像により投影する.ロボットはこの目標位置に対する訓練者の足の踏み出しが,適切であるか判断し,フィードバックを与える.介助要素では訓練者の歩行時のバランスを保ちながら,杖歩行のリズムや訓練のモチベーションを高めるような音声を出力する.このロボットを用いて訓練者が楽しみを持って訓練に臨め,さらに介助者の省力化が図れる歩行訓練システムの開発に着手する.
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