人間工学
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38 巻, 6 号
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  • 身体計測値と衣服の適合状態を通して
    別府 美雪, 間壁 治子
    2002 年38 巻6 号 p. 297-307
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    成人女子の身体左右28項目の計測値を用い身体の左右差をとらえ, さらに一定基準で設計・作製された上・下実験衣の着用状態から着衣上に表出する左右差との関連についてとらえることを目的とした. 左右の身体計測値の比較では, 投影長の項目よりも体表長の項目の多くに左右差が認められた. 適合実験衣着用時に左右差が表出したのは, 上半身用実験衣では被計測者259名中243名 (93.8%) であり, 実験用スカートでは192名 (74.1%) であった. 左右の身体計測項目 (前・後頸付根寸法や脇ヒップ下がり, 肩傾斜角度, 前肩丈, 後肩丈, 前肩丈-後肩丈などの項目) の比較をすることによって着衣時の左右差の予測はある程度可能であることがわかった. さらに身体計測値での層左右差と上・下実験衣の着衣上に表出した左右差との関連をとらえることができた.
  • 岩瀬 弘和, 村田 厚生
    2002 年38 巻6 号 p. 308-315
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本論文では, 重心動揺の基本的測定量以外に再構成状態空間へのアトラクタ, フラクタル次元, 及び第1リアプノフ指数により重心動揺におけるカオス的特徴について調べた. 実験要因として視覚情報の提示 (開眼, 閉眼) 及び測定姿勢の状態 (両足直立姿勢( SBF), 左足直立姿勢 (SLF), 右足直立姿勢 (SRF)) の2要因を取り上げた. 第1リアプノブ指数に関してはSBF状態よりもSRF, SLF状態の方が大きい傾向が認められた. すなわち, SLF状態, SRF状態における姿勢制御システムはよりカオス的であることが示された. また, SLF状態及びSRF状態に関しては, 第1リアプノフ指数は開眼状態よりも閉眼状態の方が小さくなる傾向が認められた. 閉眼状態のフラクタル次元は開眼状態よりも小さい傾向が認められた. 以上のことから, SBF状態よりもSLF状態, SRF状態の姿勢制御システムの方がよりカオス性が強くなり, 重心の不安定性に繋がることが示唆された. また, 視覚情報の有無は重心動揺におけるカオス性に対して影響を及ぼすことが明らかになった.
  • 長岡 千賀, 小森 政嗣, 中村 敏枝
    2002 年38 巻6 号 p. 316-323
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では, 対話において適切な交替潜時 (一方が話し終わってから次の話者が話し始めるまでの時間間隔) がどのようにして決まるかについて検討を行う. この検討の手がかりとして2者の交替潜時が類似する現象に着目し, 2者の交替潜時が類似する過程を二つの実験により解明した. 実験1で, 非対面対話において2者の交替潜時が類似したことから, 音声的情報が2者の交替潜時を類似させる要因として働いていると考えられた. 実験2では自作アプリケーションを用いて対話相手の発話速度および交替潜時を操作し, 被験者の交替潜時への影響を調べた. 結果, 被験者の交替潜時は相手の発話速度によっては変化せず, 相手の交替潜時に応じて伸縮した. このことから, 通常の対話では対話者同士が互いに相手の交替潜時に応じて自らの交替潜時を変化させ, 結果として2者の交替潜時は類似すると推測される. 適切な交替潜時は2者間の相互影響によって決定すると考察された.
  • 牧下 寛, 松永 勝也
    2002 年38 巻6 号 p. 324-332
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    公道において走行実験を行い, 自動車運転中の危険発生に対し制動で回避するための反応時間を調べるとともに, 視線移動の頻度を計測した. 被験者は, 20代, 40~50代, 60代の3グループの一般運転者である. 単独走行と追従走行の2通りの形態で被験者車両を走行させ, 物陰から人が飛び出して来た場合と, 前を走る車両が制動した場合の2通りの危険を発生させた. 人が飛び出してきた場合の反応時間は高齢者と他の年齢層で有意差が見られたが, 前を走る車両の制動灯に対する反応では, 年齢層による差は見出されなかった. しかし, どちらの危険に対しても, 60歳代の被験者の大部分は, 異常に長い反応時間を示す遅れ反応になる場合が見られた. 運転中の視線移動の頻度は, 加齢とともに低下することが示されたが, 60歳代の被験者に遅れ反応を示す人が多いのは, 視線移動の頻度が低いためであると考えられた.
  • 加藤 貴昭, 福田 忠彦
    2002 年38 巻6 号 p. 333-340
    発行日: 2002/12/15
    公開日: 2010/03/12
    ジャーナル フリー
    本研究では野球の打撃において, 打者が投手の投球動作から視覚情報を得る準備時間相に注目し, 熟練打者と非熟練打者の眼球運動から視覚探索活動における有効なストラテジーについて考察した. 特にライブ状況でのフィールド実験により, 実践的な場面における周辺視特性の活用について考察を行った. 熟練者グループとして大学野球部員, 非熟練者グループとして一般の大学生が実験に参加した. 被験者は実際に打席に立ち, 投手による投球を観察し, その際の眼球運動が計測された. その結果, 熟練者の視線配置分布は非熟練者のものと比べ狭い範囲に及んでいた. 特に熟練者は投球動作を予測して投球腕が振られるであろう位置にあらかじめ視線を固定させ, 投球腕の肘近辺を中心に視支点を置き, 網膜の周辺部分で投手像全体を捉えて, 投球動作から動的な情報を効率よく収集する体系的な視覚探索ストラテジーを用いていることが確認された.
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