人間工学
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53 巻, 6 号
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原著
  • -身体部位間の相違の推定-
    小野 貴彦, 吉栖 正生
    2017 年 53 巻 6 号 p. 195-204
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2019/03/06
    ジャーナル フリー

    救急車の加速度運動に伴い,傷病者の血圧が変動する.本研究では,このような加速度に由来する血圧変動の身体部位間の違いを推定することを目的とした.まず,コンピュータ制御式の傾斜ベッドを利用し,被験者の左腕の位置を変えながら,脳内動脈,鎖骨下動脈,上肢末梢血管で起こる血圧変動をシミュレートした.このシミュレーションを,健常被験者15名に対して,3種類の位置と5種類の加速度パターンの組み合わせからなる計15通りの条件の下で繰り返し行った.続いて,異なる位置で測定された左手の指尖血圧から,平均血圧と瞬時脈拍数の増減量の相加平均を0.01秒ごとに求めた.これらを比較することで,血圧変動が前庭-動脈圧反射のような加速度の突然の変化に由来する反射,動脈圧受容器反射,加速度の血液への力学的作用の重畳による変動として説明できることを示した.血圧変動量のピークピーク値から,加速度の血圧への影響は,鎖骨下動脈,上肢末梢血管,脳内動脈の順に大きくなることが示唆された.

  • 加藤 由季, 渕 真輝, 久保野 雅敬, 藤井 迪生, 小西 宗, 藤本 昌志, 廣野 康平
    2017 年 53 巻 6 号 p. 205-213
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2019/03/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,画面上に表示された情報による遠隔操船を考えるための基礎的研究として,操船シミュレータを用い,目視情報のみを使用し衝突回避判断を行う実験と,計器情報(レーダー)のみを使用し衝突回避判断を行う実験を,出現する隻数の異なる2種類の交通流で実施し,情報源の違いによる衝突回避判断に関して検討を行った.実験参加者は,知識はあるが実航海での経験がない14名であった.衝突回避判断および衝突回避判断に関わる事項を調査分析した.その結果,他船が一隻の状況では衝突回避判断に差がないが,他船が複数隻存在する状況では,計器情報の方が早めに衝突回避を行うことが示された.このことは,衝突回避判断に関わる事項(「関心を抱く船」,「衝突回避判断の背景」)において,情報源間で差異が生じているためと考えられた.

  • 藤掛 和広, 田中 貴紘, 米川 隆, 山岸 未沙子, 稲上 誠, 木下 史也, 青木 宏文, 金森 等
    2017 年 53 巻 6 号 p. 214-224
    発行日: 2017/12/15
    公開日: 2019/03/06
    ジャーナル フリー

    本研究では,ドライバエージェントの受容性を明らかにする為に,エージェントに対する主観的評価実験を行った.評価者は,高齢者を含む幅広い年齢である.評価するエージェントは「音声」「映像」「ロボット」の3種類の形態である.エージェントに対する評価の結果,「親しみを感じる」等の評価項目では,高齢層と非高齢層に共通して,ロボットエージェントの評価が高かった.また,「邪魔だと思う」等の評価項目では,音声・映像よりも,ロボットエージェントの評価が低かった.このことから,ロボットエージェントは受容性が高く,阻害要因になりにくいと考えられる.また,ドライバエージェントを繰り返し使用することで,評価結果が変化したことから,継続利用の影響も示唆された.今後の研究課題として,最も受容性の高かったロボットエージェントを対象とした運転後の行動変容や長期利用に伴う変化等について検討が必要である.

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