人間工学
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28 巻, 2 号
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  • 末長 修, 井原 素三
    1992 年 28 巻 2 号 p. 51-59
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    操作者によらず系の制御特性をほぼ一定に保ち, 個人差が及ぼす影響の低減をめざした手動制御系をモデル追従サーボ系設計手法をもとに構成した. 以前に, 同様の立場から手動制御系を提案したが, プラントモデルの実現, 操作者に対する作業負担などいくつかの問題が残されていることが明らかになった. そこで, 本研究はこれらの問題に対して改善を図り, その有効性を実験的に確かめることを目的とする. 改善策として, モデルには手動制御系全体の所望の制御特性を表現し, 操作者には実用上の面から目標値を直接表示することにした. さらに, プラントとモデルの両出力を一致させる制御入力を操作者による操作量とともにプラント入力とする手動制御系を構成した. その結果, 先報における諸問題は改善され, 同時に操作者による制御量 (プラント出力) の差異も低減されることが確かめられた. しかし, 提案した系には設定条件により操作性が損なわれるなどの問題がいまだ残されている.
  • 堀田 明裕, 吉岡 松太郎
    1992 年 28 巻 2 号 p. 61-68
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    回転操作における操作方向のステレオタイプを検討するため, 具体的な操作を伴う実験を23名の被験者を用いて行った. その結果, 底面操作面を除く各操作面において, 主に次の関係で強いステレオタイプが現れた. (1) 半円形指針刺激図形では, 半円下向き指針以外の回転指針と同方向操作の場合, (2) 幾何学図形の刺激では, 右方移動に対して時計方向, 左方移動に対して反時計方向操作の場合, (3) 直進指針の刺激では, 横形上向き指針右方移動に対して時計方向, 左方移動に対して反時計方向操作の場合, また, 縦形右向き指針の下方移動に対して左手操作の一部でステレオタイプが強かった. 以上のステレオタイプの強い関係では, 正の対方向操作性がみられた. 底面操作面では, 強いステレオタイプと負の対方向操作性が一例のみ現れた.
  • 徳田 哲男, 児玉 桂子
    1992 年 28 巻 2 号 p. 69-78
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    10種類の押引力および回転力モデル機器を実験室内に設置し, 操作方法や操作高の変化と作業者の操作力との対応関係を検討することで, 高齢者と若年者間の年代的特異性や共通性について明らかにした. 計測対象者は高齢女性12名 (68~78歳) と若年女性11名 (19~21歳) であった. 最適操作高は操作機器の種類により差が検出され, 回転操作機器では肘頭高と大転子高のほぼ中央を最適とした. また操作しやすい範囲は高齢者群で狭い特徴を認めた. 最大操作力は最適操作高において最も強く, また各操作機器ともに年代差を認めた.
  • 藤家 馨, 御手洗 謙二, 古賀 唯夫
    1992 年 28 巻 2 号 p. 79-89
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    車いすを使用する脊髄損傷者が, 出入口を通り抜けるのに必要な空間の広さや時間, および開扉力を測定した. 被検者は脊髄損傷者23名で, 残存レベルによって3つのグループに分けた. グループはそれぞれ, 残存レベルC5A~C6Aの頸髄損傷者が4名, C6B~C8の頸髄損傷者が8名, およびT3~L1の胸・腰髄損傷者が11名であった. 測定は, 実験室内に組み立てた出入口ユニット (引き戸・開き戸) を車いすで通過する際の時間や車いすの位置, および引き戸と開き戸での開扉力の測定を行った.
    出入口の通り抜けに必要な時間は, 残存レベルC5A~C6Aの頸髄損傷者グループが他のグループよりも長かった. また, 引き戸よりも開き戸 (押して開く) のほうが短時間で通り抜けることができた. 通り抜けに必要な空間は, 上肢健常群 (対麻痺者) では既存の建築指針と同程度であったが, 上肢に障害をもつ四肢麻痺者のグループでは, さらに広い空間を必要とした. 開扉力は, 残存レベルC5A~C6Aの頸髄損傷者グループが他のグループよりも小さく, 開扉力の最も小さい被検者で500g程度 (開き戸) であり, 上肢健常群の1/20であった.
  • 村田 厚生
    1992 年 28 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1992/04/15
    公開日: 2010/03/11
    ジャーナル フリー
    時間的なプレッシャーとして与えられる作業負荷レベルの変化とともにメンタルワークロードがいかに変化するかを検討し, 心拍変動性 (Heart Rate Variability) 指標によってメンタルワークロード測定の問題を考察した. その結果, 作業負荷レベル間で正答率, 処理時間などのパフォーマンスには有意差は認められなかったが, 作業負荷レベルの増大とともに一対比較法より得られた精神的な作業負担感は増大し, HRV指標DSDp, DSDnが安静時に比べて精神作業時に有意に低い値を示すこと, ならびにHRV指標TPによって安静時と精神作業時のメンタルワークロードの相違を評価できることが明らかになった. 以上のように, DSDp, DSDn, TPに基づいてメンタルワークロードを測定できる可能性が示唆された.
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