人間工学
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54 巻 , 2 号
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実践報告
  • 榎原 毅
    2018 年 54 巻 2 号 p. 41-48
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    海上保安庁第四管区海上保安本部において,平成29年度に展開されたリスク改善活動の取り組みの概要を紹介する.上半期では,主にリスク改善活動の浸透・継続性を担保するために,行動規範を規定した安全声明文書を整備し,安全に関する組織体制を明文化した.トップマネジメントからの継続的な安全重視のメッセージの発信を行い,安全重視の職場文化形成の基盤整備を行った.下半期では,明示されたポリシーに基づき,多くのリスク改善活動が自主的に展開され,多面的な改善活動が実施された.本取り組みにより,当該年度の年間事故件数は,過去9年間の平均事故件数の1/4以下を達成した.組織安全・安全文化醸成のために重要な役割を果たしたポイントとして,1)トップマネジメント関与の重要性,2)組織化,3)共有する仕組みの整備,4)迅速性と継続性,5)外部有識者との連携・協同,の5つが有機的に作用したことが,リスク改善活動の成功に繋がったと考えられた.

オープンデータ
原著
  • 糸井川 高穂, 村田 智明, 古賀 誉章, 山田 昭徳
    2018 年 54 巻 2 号 p. 56-64
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    本研究の主な目的は,判別の容易なエレベータの開閉ボタンのデザインを提案し効果を検証することである.そのために,大学生を被験者とした3種類の実験を行った.エレベータの開閉ボタンのデザインを構成する要素として,イラスト,地の色,イラストの色,サイズ,振り仮名を設定した.イラスト毎の判別の容易性を明らかにする一つ目の実験では,三角および人をテーマとしたイラストで誤判別が生じやすいことがわかった.デザインの因子毎に判別の容易性を明らかにすることを目的とした二つ目の実験では,イラストでは顔,地は白,開ボタンのみ幅を1.25倍としたデザインが最も判別を容易にすることがわかった.判別の容易性を高める因子の効果の検証を目的とした三つめの実験では,各要素の最適組み合わせだけでなく,一般的なイラストの部分最適化においても,誤判別を低減させる効果を得た.以上より,本研究では,エレベータの開閉ボタンの判別を容易とすることを目指したイラストを提案するとともに,そのイラストを含むデザインを構成する要素毎の判別の容易性を明らかにした.

  • 沖 和砂, 山田 泰行, 広沢 正孝
    2018 年 54 巻 2 号 p. 65-73
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    アルペンスキー選手がパフォーマンスの向上と選手生命の長期化を実現するためには,スポーツ傷害のリスクマネジメントが不可欠である.そこで本研究では,日本選手をとりまくスポーツ傷害のリスク要因の特定と構造化を行った.日本選手24名(男性15名,女性9名)を対象とする半構造化面接を通して,リスク要因に該当する853のエピソードを収集した.Spörriら(2012)の先行研究を参照の上,専門家がエピソードの構造化を行った結果,39種類のリスク要因を抽出し,選手,道具,コース,雪質,気象,情報の6カテゴリに分類した.多重コレスポンデンス分析は,異なる組み合わせの4カテゴリを支持した.本記述研究の知見は,スポーツ傷害の潜在リスクを推定し,防止策を検討する上で有用といえる.

  • 前田 佳孝, 渡部 公也, 小松原 明哲
    2018 年 54 巻 2 号 p. 74-83
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    GUIシステムの設計では操作時間予測による評価が有用であり,その代表的手法としてCard SKのKLM(Keystroke Level Model)がある.その予測は,ユーザーの操作をモデル化し,そこに基本時間値を当てはめる手順で行われるため,予測時間はモデルに依存する.一方,その予測精度は必ずしも高いとは言えず,項目群視覚探索においてKLMを適用した例では実測値に対して30~40%長く予測されることが報告されており,その原因としていわゆる「斜め読み」のモデル化ができていないことが指摘されている.本稿では「斜め読み」について注視点分析を行った.結果,1)探索者が探索対象の項目と外見的特徴(文字数,文字の種類等)の一致する項目のみを知覚し,認知処理していること,2)一度の注視で近中心視内の外見的特徴が一致する項目を最大3項目まで同時認知していることが示唆され,それを基にモデルを構築し,探索時間を予測した結果,実測平均値との差が最大16%に収まり,予測精度の向上が確認された.

資料
  • 辻本 恵美, 青木 和夫
    2018 年 54 巻 2 号 p. 84-88
    発行日: 2018/04/15
    公開日: 2019/07/12
    ジャーナル フリー

    超音波検査は暗い部屋で被検者にプローブをあて,ディスプレイを注視して検査を行うため,眼の疲労感や腕・肩の疲労感が問題となっている.そこで超音波検査室の明るさと検査者の疲労感について調査した.超音波検査室5施設を対象に,検査室照度,超音波装置ディスプレイ照度と輝度を測定した.疲労感の測定は超音波検査に従事する29名に自覚症しらべ及び視力検査を行った.検査室の照度は0.05~50 lxと明るさに差が認められた.2施設で照明を消した状態で,3施設でダウンライトを使用して検査を行っていた.身体的疲労感と目の疲労感は朝から夕にかけて訴えが高くなることから超音波検査作業が目の疲労感を生じさせていると考えられた.また検査室を暗くしている施設で目の疲労感は有意に増大していた.調査結果から超音波検査の照明の基準を明確にし,超音波検査者の疲労感の軽減に対策する必要があることが明らかとなった.

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